すでに始まった金融引き締めフェーズ(NY特急便)
米州総局 田口良成
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23F870T20C21A6000000/

『23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長による前日の議会証言で、早期利上げの過度な警戒感は和らいだ。次のシナリオをどう描くか。前提として浮上するのが、金融引き締めはすでに始まっているとの見方だ。』
すでに始まった金融引き締めフェーズ(NY特急便)
米州総局 田口良成
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN23F870T20C21A6000000/

『23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長による前日の議会証言で、早期利上げの過度な警戒感は和らいだ。次のシナリオをどう描くか。前提として浮上するのが、金融引き締めはすでに始まっているとの見方だ。』
※「電動化」とか、「カーボンニュートラル」とかというお題目とは、対極の世界がここにはある…。
ランクル14年振りの刷新 「ランクルじゃなきゃダメなんだ」世界で評価される理由
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2106/14/news026.html





『実はミスターランクルみたいな名物エンジニアがいるのだが、彼と話していると、頻繁に出てくる言葉がある。それは「必ず帰って来られる」という言葉だ。ほんのわずかな油断が絶望的な状況を招くかもしれない「道」で、何があっても絶対帰って来られる性能を最大限に追求したクルマがランクルだ。彼はこう言う。
「モデルチェンジする時、旧型で走れた場所が新型では走れないということは絶対にあってはいけないんです」
村落の食料や生活必需品の輸送ルートが、ランクルにしか通れない「道」だけで結ばれている場合がある。そのクルマを買い換えた時、旧型でできたからと、いつものつもりで走って、走破できないとドライバーは死んでしまうかもしれない。だから絶対に限界性能は下げてはいけないと彼は強く訴えた。そのミスターランクルは、昨年定年を迎えて後進に道を譲った。図らずも100年に一度の改革のタイミングにである。』
『もっとスゴい話もある。1986年、アフリカ大陸中央部のチャドで起きた内戦のうち特定の時期を雑誌「タイム」は「トヨタ戦争」と名付けた。
リビアとの国境付近で起きた武力衝突で、反政府軍を応援するカダフィー率いるリビアはチャド併呑(へいどん)の目論見を成就すべく、チャド正規軍の殲滅(せんめつ)を狙って虎の子の戦車旅団を派遣した。まあ実態は崩壊間近の旧ソ連製のT-54、T-55戦車の中古で、整備不良のひどい代物だったとはいわれているが、その数実に300両。
普通に考えてチャド正規軍に勝機はない。それをひっくり返したのがランクルやハイラックスなどに機銃とロケットラウンチャーを備えた急造部隊400台だった。結果的にカダフィーは自慢の戦車部隊に大損害を受け撤退した。
チャド正規軍は、ランクルとハイラックスの圧倒的な機動性を生かして、戦車に対してヒットアンドウェイ攻撃を繰り返して走り去って行く。その後ろ姿に描かれた「TOYOTA」の文字がタイムのカメラマンによって象徴的に報道され、世界の人々を驚愕(きょうがく)させたわけだ。』
ホンダ、FCV生産中止 販売低調で
米GMとの共同開発は継続
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC15A2F0V10C21A6000000/
「エンジン開発消えた」 EV化で破綻、下請けの誤算
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF289V90Y1A520C2000000/
ホンダ、栃木のエンジン部品工場 25年に閉鎖(2021年6月4日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0478X0U1A600C2000000/
ハイブリッド車も廃止 「エンジンのホンダ」に何が起こったのか
近岡 裕 日経クロステック
2021.04.26
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05516/




『経営戦略の失敗により、ホンダの4輪車事業は長年にわたる低収益のダメージを受けた。中・長期的にはこれ以上、エンジン車とHEV、EV、FCVの全方位に開発費を注ぎ続けることはできない。一方で、ホンダは2020年9月に米General Motors(GM)との間で、北米市場に投入するクルマについてパワートレーンを含むプラットフォームの共有化、および共同購買に向けた検討を進めることで合意している。ホンダ1社では限界がある量産効果を、GMと手を結ぶことで拡大し、製造コストを下げるのが狙いだ。』
『そのGMがEV・FCVシフトを表明した。2025年までに新車の40%をEVとFCVにし、2035年までにはそれらを100%まで高める計画だ。すなわち、同年までにエンジン車とHEVから撤退する。GMが表明したこの目標に、ホンダの今回のEV・FCVシフトは5年遅れで追従する。ホンダが掲げた目標は、EV・FCVの比率を2030年に先進国全体で40%、2035年に同じく80%にし、2040年には世界で100%にするというものだ。』
『つまり、利益に乏しく十分な開発費を捻出できなくなる一方で、プラットフォームを共通化するGMとは歩調を合わせなければならない。そのGMがEVとFCVの専業メーカーへとひた走る影響を受け、ホンダは、やむにやまれずエンジン車とHEVを捨てるという決断を迫られたのではないか──。』
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g01074/









『―スタートアップ企業のソラミツがアイデアを武器に一国の中央銀行のデジタル通貨を作り上げた過程は、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツがシリコンバレーの最初の頃を彷彿とさせます。デジタル通貨に目を向けた理由は?
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズとは月とスッポンですけれども、私はソニーで長く勤めました。ソニーは世界初をやろうという文化がありましたから、とにかく世の中にないものをやりたいと思った。私はシリコンバレーでパソコンのVAIO1号機を開発したものの、大きな赤字を出した。これからはハードウェアの時代じゃない、サービスとかインターネットの時代だと思いまして、帰国して、電子マネーのEdyを始めました。
EdyはEuro、Dollar、Yenの頭文字から取り、世界の通貨を目指していた。ところが、技術の壁があって、海外で全然受け入れてもらえず、日本でしか普及しなかった。一方、ビットコインは出てすぐ、世界中で使われるようになった。これは悔しいと、ブロックチェーン(分散型ネットワークを構成する複数のコンピューターに、暗号技術を組み合わせ、取引情報などのデータを同期して記録する手法)の技術を持つソラミツに参加して、今は代表取締役をやっています。
―何かをやりたいというのをどんどん追求していったら、デジタル通貨を作るに至ったということですか。
本当に自分のライフワークになっていて。やっとこういう時代になったと。技術がやりたいことに追いついてきた時、たまたまカンボジアの中央銀行との出会いがあって、これこそ自分のライフワークだと思って取り組み始めました。
―Edyを作った頃にブロックチェーン技術があったら、Edyはデジタル通貨となったのでしょうか。
そうだと思います。Edyを始めた頃、大学の先生からずいぶん怒られたんです。『君たちは技術の使い方を間違っている』と。いわゆる転々流通(不特定の所有者に価値が引き継がれること)しないんです。これは学者さんから見ると、経済理論の見地からおかしい。単なるプリペイドカードでしかないし、電子マネーじゃないと。
ただ、当時は、転々流通できてセキュリティが高いという技術がなく、やむなく転々流通でない方式、「口座型」(利用者の口座間で振替決済)をやった。Suicaが口座型を真似して、さらにPay PayやLINE Payも真似した。だから、日本の金融業界が効率の悪い口座型になってしまって、転々流通ができなかった責任は私にもあると。私が最初に間違った方式でやって、学者さんの反対を押し切ってやっちゃったので。だからそこを直さなきゃいけないと思っていまして。要するに世直しですよね。それを何とかしなきゃいけないという気持ちは強いです。
詐欺かと思ったカンボジア国立銀行の誘い
―カンボジアの中央銀行(カンボジア国立銀行)からデジタル通貨のシステムを作って欲しいと言ってきたとき、パッと手を挙げたのは、スタートアップ企業だからこそ出来たのですか。
SNSで『国立銀行です』と名乗られて、『お宅の技術をちょっと試してみたい』と連絡してきた。最初は偽物だろうと思いました。国立銀行がスタートアップに連絡してくるわけがないと。これは絶対いわゆる詐欺じゃないかと。でも、いろいろやり取りしていると、どうも本物らしいということで、創業者と一緒にカンボジアへ行ってみたわけです。そうしたら、本当にカンボジア国立銀行だった。
私はソニーで、いろんな技術の盛衰を見てきました。昔、ベータマックスというビデオがあって、それがVHSに負けたとか、メモリースティックはSDカードに負けた。やっぱりIT技術って日本だけでやっていたら駄目だと。ガラパゴスでは絶対に勝てない。世界で勝負して、世界標準を目指していかないと残れないというトラウマを何回も経験した。
ソラミツ創業者の武宮誠はアメリカ国籍だったのですが、日本に来て日本が好きになって帰化した。彼もとにかく最初からグローバルで勝負しようということで、プロトタイプを開発していきなりスイスに行って、スイスのダボス会議に参加したりとか、ニューヨークでプレゼンしたりとか。そうしないと絶対に生き残れないという意識でやっていました。それがカンボジア国立銀行の目に留まったんだと思います。
プノンペン市のカンボジア国立銀行 提供:ソラミツ
アンコールワットの遺跡を背景に。ソラミツの創業者である武宮氏(右から2人目)と宮沢氏(左から3人目)提供:ソラミツ
―最初からグローバルで勝負し、それを成し遂げたのは技術的な裏打ちもあった。
そうですね。武宮は本当に天才です。彼は大学卒業後に米陸軍に入隊し、脳科学とかAIとかをずっと研究していた。奈良県にあるNTTの先端技術研究所に転籍して働いていた時に、ビットコインというのが世の中で生まれた。彼は『すごいけど、もっといいものを作れると思った』と言い、実際作っちゃった。彼はスティーブ・ウォズニアック(アップル創業時の天才技術者)のように、最先端のものを作ってくれた。私はどちらかというとスティーブ・ジョブズ・タイプかもしれない。自分はコードも書きますが、そんなに得意ではないので、新しい技術を理解して、それをどうやって世の中に受け入れてもらうかを考えながらやっていた。
―ソラミツは独自に開発されたブロックチェーン技術「ハイパーレジャーいろは」をオープンソースとして開放し、周辺で利益を上げるというビジネスモデル。従来の日本企業のパターンと違う。
ブロックチェーンを開発した日本企業はあるが、われわれみたいにオープンソースにして世界で戦っている企業は本当に少ない。大手のブロックチェーン開発企業は日本国内で閉じていて、なおかつオープンソースではなくて、ライセンス料で収入を得るようなビジネスモデルなので、広がらない。閉じてしまっているというのは非常に残念ですよね。
このままでは世界に遅れる日本の金融界
―バコンの話に戻りますが、カンボジアはドルが自国通貨より流通し、中央銀行は困っていた。しかし、バコンを始めると自国通貨の割合のほうが多くなった。
カンボジアは国立銀行がしっかりしている。若い人が多く、みんなすごく勉強しています。金融の人だけれども、技術にも明るく、ある意味しがらみがない。日本の金融機関ってしがらみだらけで、既存のシステムを変えられないとか、失敗したくないと考えている人が役員に多いと思う。
この調子で行くと、ますます日本は遅れていく。日本の金融界の偉い方も、『カンボジアは金融インフラがないからできた』と言う。それだけではなく、先々を見る目とか、それに対して挑戦しようという気概があった。短期間でできたのも、彼らには既に概念設計が出来上がっていたから。中央銀行デジタル通貨(CBDC)はこうあるべきだというものが、全部出来上がっていた。
日本にはデジタル通貨の概念設計がないんです。中央銀行デジタル通貨はどうあるべきか、明確ではない。これから実証実験をちょっとずつやっていきます、みたいな感じ。一方、カンボジアは確固たる考え方を持っていた。リスクとか、こういうことをやると銀行に大きな影響を与えるとか、シミュレーションを行い、全部分かっていた。それが2016年です。5年前にカンボジアでは今の日本よりもはるかに明確になっていた。
カンボジアは自国通貨リエルよりも米ドルが流通していた。ドル比率が高いのを何とかしたいと。しかし、バコンを導入したことによって、自国通貨の割合が高くなった。
デジタル通貨「バコン」の開始式典であいさつするカンボジア国立銀行のチア・セレイ統括局長 2020/10/28 プノンペン(共同)
―カンボジア国立銀行は中国のデジタル人民元に対する危機感もあった?
そう思います。やっぱりデジタル人民元の動きが気になるわけですよね。デジタル人民元は中国の中でしか使いませんというふうに言っていますけれども、それはたぶん方便だと思っていて。中国はUAEとかタイと研究会を開いて海外での利用の可能性を検討しているわけですよ。デジタル人民元の国際連携みたいな話で、一帯一路で使わせるとか、アジア圏に普及させるということを考えている。それが広がると、米国がドルのSWIFT(国際銀行間通信協会)を活用した経済制裁を出来なくなると思います。北朝鮮やミャンマーが経済制裁されても、デジタル人民元を使って中国から資金がどんどん行ってしまう。
デジタル通貨「バコン」の使用を呼びかける看板(プノンペン市内)提供:ソラミツ
デジタル人民元の脅威
―これからデジタル人民元をはじめ、各国でデジタル通貨が普及していくと、社会がどう変わっていくと思われますか。
3つぐらいのシナリオを思い描いています。日本の金融機関がうまく正常な形で進化して、新しいデジタル技術を取り入れていくというのが1番目のシナリオです。
2番目のシナリオは、それができなかった時に、新たなプラットフォーマーが金融機関に取って変わる。〇〇Payなのか、あるいはFacebookなのか。巨大プラットフォーマー企業が新しい技術で利便性の高いサービスを提供することによって、ユーザーが『そっちでいいや』となって、どんどん日本の金融機関のシェアが下がって、その分、銀行は淘汰される。これが2番目のシナリオ。
3番目は、中央集権的なプラットフォームが支配する世の中ではなくて、分散型金融の普及で、資産を分散的に所有し、民主的に配分が決まっていく。金融機関も必要なくなるかもしれません。例えばDEX(Decentralized Exchange)という分散型交換所では資産は人手を介さず自動的に交換される。為替交換とか全部できてしまう。そういうものがより安いコストでより普及していく。これら3つの勢力が、市場を拡大しながら共存していくのかなと思っています。
―宮沢さんは日銀のデジタル通貨分科会ラウンドテーブル委員を務めている。日本のデジタル通貨はどの方向が望ましいと思ってらっしゃいますか?
2番目のシナリオはよくないと思っています。プラットフォーマーが日本の金融界を牛耳ることになると、銀行は信用創造機能を制限されて経済活性化ができなくなる。なので、1番が良いですよね。3番の、ビットコインのような仮想通貨はこれからも発展していくと思いますが、多くの日本人は、銀行のサービスが便利になればそっちを使うかなと。で、私としては、1番を応援しているという立場ですね。
『ソラミツ 世界初の中銀デジタル通貨「バコン」を実現したスタートアップ』(宮沢和正著 日経BP)書影
日本銀行は民間デジタル通貨や決済手段と日銀が将来発行するCBDCが共存・連携することを大前提としています。そのためには日本の銀行預金の使い勝手がもっと良くならなければいけない。銀行が決済性預金としてブロックチェーンなどの最新の技術を活用した民間デジタル通貨を発行し、決済コストを今までの1/10以下に下げ、即時支払や転々流通に対応し、スマートコントラクトを活用して支払方法に様々なルールを設定できる金融システムを構築する必要があると思います。そうしないと利用者は新たな技術を活用したもっと利便性の高い決済手段に流れていってしまいます。
銀行や自治体などが全国共通の民間デジタル通貨を発行するためのプラットフォームを運営する会社があります。2020年4月に設立したデジタル・プラットフォーマーという企業です。この企業はカンボジア中銀デジタル通貨「バコン」と同じ技術を活用しており、全国の銀行や自治体を繋ぎ将来は日銀の発行するCBDCとも連携して国民に低コストで利便性の高いデジタル通貨を提供する新時代の決済システムを提供してゆくと思います。
バナー写真:カンボジアのデジタル通貨「バコン」を紹介する展示物 プノンペン 2020/10/28 共同 』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16E4C0W1A410C2000000/

『【ニューヨーク=中山修志】米ゼネラル・モーターズ(GM)は16日、米南部テネシー州に第2の車載電池工場を建設すると発表した。韓国・LGグループと合弁で約23億ドル(約2500億円)を投資し、2023年から電気自動車(EV)用のリチウムイオン電池を生産する。EVシフトへ電池の量産体制を整える。
新工場はLG化学の車載電池部門を引き継いだLGエナジーソリューションと折半出資で設立する。23億ドルの投資額は両社が米オハイオ州で建設中の電池工場とほぼ同じ規模。1300人を雇用し、LGとGMが共同開発したEV用リチウムイオン電池「アルティウム」を生産する。
生産能力は標準的なEVの60万台分に相当する30ギガワット時程度となる見通し。高級車ブランド「キャデラック」のEVを生産するテネシー州の完成車工場に電池を供給する。LGエナジーソリューションの金鐘現(キム・ジョンヒョン)社長は同日、「テネシーはEVと電池の重要拠点になる。研究開発から原材料の調達、生産までを担う強固で安定したサプライチェーン(供給網)を構築できる」とコメントした。
GMは25年末までに世界でEV30車種を発売し、うち約20車種を北米市場に投入する計画。米国に11ある完成車工場のうちテネシー州とミシガン州の3工場をEVの主力工場と位置づけ、22年以降の本格生産に向けて電池の供給体制も整える。
米国ではGMやフォード・モーターに加え、複数の新興メーカーがEV市場への参入計画を打ち出している。バイデン米大統領は2月、半導体などとともにEV向け電池のサプライチェーンの整備を命じる大統領令に署名した。韓国のSKイノベーションも南部ジョージア州で電池工場の建設計画を進めている。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN15DMW0V10C21A4000000/

『【ニューヨーク=宮本岳則】米金融大手シティグループは15日、消費者向け(リテール)銀行サービスの戦略を見直すと発表した。オーストラリアや中国、韓国などアジア・太平洋地域を中心に13の市場から撤退する。富裕層向け事業や法人向け業務など成長分野に経営資源を振り向け、収益力の改善を目指す。
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米シティ初の女性CEO 上位行に後れ、「多様性が力に」
アジア・太平洋地域では中韓豪のほか、インドやインドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾、タイ、ベトナムの消費者向け市場からも撤退する。アジア以外ではロシアとバーレーン、ポーランドも撤退対象となった。法人向け業務は継続する。
シティは段階的に海外の消費者向け銀行業務を縮小してきた。日本事業は14年に撤退対象となり、三井住友フィナンシャルグループに売却した。
シティのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は13市場について「(ライバルと)競争する上で必要な事業規模を持ち合わせていなかった」と指摘した。今後、シンガポールと中国・香港、アラブ首長国連邦(UAE)、ロンドンを拠点とした富裕層向け金融サービスに注力する。
シティはかねて高コスト体質を株主から問題視されてきた。シティのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)によると、13市場の営業費用は33億ドル(約3630億円、2020年)だった。撤退によってコスト削減効果が見込めるという。
フレーザーCEOはトップ就任前に出席した1月の決算説明会で、非中核事業からの撤退を含む戦略の抜本的な見直しを実施すると話していた。同氏は15日の声明で消費者向け銀行以外のビジネスでも改革に踏み切る可能性を示唆した。
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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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野崎浩成
東洋大学 国際学部教授
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ひとこと解説 前任のマイケル・コルバット氏からバトンを受け取って2か月弱、ジェーン・フレーザー新CEOが早くも改革に着手し始めました。
シティはGCB(Global Consumer Banking)とICG(Institutional Clients Group)の部門からなりますが、今回の事業再構築の対象はGCBとなります。
160か国超の世界最大級のグローバルネットワークを抱えているだけに、13市場という数字自体はごく一部に過ぎませんが、アジア太平洋の主要地域における小口金融に大鉈を振るうことは重要な判断といえます。
2021年4月16日 8:37いいね
14 』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1042Z0Q1A410C2000000/



『米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引で一部金融機関が損失を出したことをきっかけに、規制の抜け穴に注目が集まっている。同社が「隠れみの」としていたのが株式投資の損益を丸ごと移転する取引だ。米証券取引委員会(SEC)がこの取引に新しい規制を導入するのは2021年11月。導入まで10年の歳月がかかり、アルケゴス問題を防げなかった。
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膨れる高リスク資産 「影の銀行」に緩和マネー
アルケゴスに群がった金融機関 米当局・議会監視強める
SECによる監督の対象外だったファミリーオフィス(個人資産の運用会社)と並んで焦点となっているのがデリバティブ(金融派生商品)取引の一つ、「トータル・リターン・スワップ」だ。
トータル・リターン・スワップは、投資家が実際には株式を持たないにもかかわらず、株式を持つのと同じ効果を持つ。
仕組みは単純だ。投資家は金融機関に一定の手数料を支払ってトータル・リターン・スワップ契約を結ぶ。金融機関は原則その契約に従って株式を購入。名目上はこの金融機関が株主となる。ただ株価の上下に伴う利益と損失は全て投資家が負い、実質的な株主はこの投資家となる。金融機関は手数料と引き換えに投資家に「賭場」を提供するようなかたちだ。
各金融機関はヘッジファンドなど顧客に与信枠(融資枠)を設定している。アルケゴスはこの枠内でレバレッジ(てこの原理)を効かせて、投資規模を膨らませることができた。こうして100億ドル(約1兆1000億円)の自己資産に対して、その数倍のポジション(持ち高)を構築していた。
ただし金融機関はトータル・リターン・スワップ契約を結ぶ取引先の投資家に一定の担保を要求する。金融機関が保有する株式や担保価値が値下がりすれば、金融機関の安全のため投資家に追加担保の差し入れ(追い証)を求める。アルケゴスは今回、追い証に応じられず、一部の金融機関が担保として取っていた株を一斉に売却した。
銀行の自己勘定取引は金融規制改革法(ドッド・フランク法)の中核となるボルカー・ルールで厳しく規制された。今回明らかになったのは取引先が過度のリスクをとることで、結果的に金融機関が潜在的な損失リスクを負っていたことだ。取引先が破綻すれば、デリバティブ契約は無効となる。その場合、金融機関はボルカー・ルールで規制されているにもかかわらず、取引先が抱えていた価格変動リスクを「自己勘定」で背負うことになる。
問題はこうしたリスクを監督当局も金融機関も正確に把握できていなかったことだ。トータル・リターン・スワップ契約は投資家が株式を保有しないため、米国の「実質的な保有者」の情報開示義務を免れる。過去には英ヘッジファンドがトータル・リターン・スワップを使って「実質的な株式持ち高を隠した」と提訴されたことがある。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は11日、米テレビ番組に出演し、「金融機関はニューヨークの5、6社の同業が同じようなことをしていることを知らなかった」と明らかにしたうえで、「(同様の事件を)二度と起こさないように決意した」と話した。
10年のドッド・フランク法で規制強化が求められ、SECはトータル・リターン・スワップを含む有価証券を裏付け資産とするスワップ取引に対する新規制策定を19年12月にようやく終え、21年11月に導入する。新しい規制では、投資家は個別取引を当局の監視下にあるデータベースに登録する。投資家のポジションが当局に一目瞭然となる見通しだ。
米議会上院は14日、SEC委員長にゲーリー・ゲンスラー氏を承認した。ゲンスラー氏はオバマ政権時代の米商品先物取引委員会(CFTC)委員長として、金融界の抵抗を押し切って金利や通貨を対象とするスワップ取引の規制をまとめた実績がある。
市場の安定に向けて規制・監督体制の強化は避けられない。金融技術の発展で次々あらわれる規制の抜け穴。ゲンスラー氏がどこまでこの抜け穴を塞げるか試されている。(ニューヨーク=宮本岳則)
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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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上杉素直
本社コメンテーター・論説委員
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ひとこと解説いざ大きな損失が発生すると、この記事が指摘するような妙な仕組みの存在が明らかになるというのはよくある話です。アルケゴスが使っていた仕組みのように、後から振り返れば妙な取引はまだまだあるような気もします。にもかかわらず、金融の世界はなお金余り状態にあり、実体経済の回復を背景に市場参加者の強気ムードが続いているようです。バブルを膨らませていないか、という心配が募ります。
2021年4月15日 7:32 』


『いすゞ自動車は2024年3月期までの3年間に合計3000億円規模の設備投資を実施する方針を固めた。21年3月期までの3カ年中期経営計画期間と比較して約30%増となる見通し。主にトラックのモデルチェンジ対応などに割り振る。海外拠点の生産最適化も進める。自動車業界で競争が激しい「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」関連の投資は研究開発費が中心となる。
いすゞは現在、24年3月期までの新中計を策定中。期間中にトラックのモデルチェンジなどを行い、それに伴う工場設備への投資が膨らむ見通し。
デジタル関連投資も進める。22年5月をめどに本社を現在の東京都品川区から横浜市に移転する。本社移転に合わせた情報システムの刷新などで数百億円程度を投じる方向。IT環境の改善で生産性向上を見込む。販売拠点のデジタル化も推進する。
海外ではタイを中心に好調な主力のピックアップトラック「D―MAX」について、生産拠点の整備に力を入れる。CASE関連は開発段階のものが多いことから設備投資への影響は少なく、研究開発費で対応。CASE関連分野の開発については今後3年間で1000億円程度を投じる。
ただ過度な開発投資を防ぐため、スウェーデンのボルボ・グループなど他社との連携を生かして投資効率を高める戦略をとる。
日刊工業新聞2021年4月9日』
新局面迎える世界情勢 「汎地球的」ルール整備が必要だ
ヴォルフガング・パーペ (元欧州委員会アジア戦略担当)
渡邊頼純 (関西国際大学国際コミュニケーション学部長・教授)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22577



『「どちらからお越しですか?」。新型コロナウイルスが世界的に流行する前、外国に旅行するたびによくこんな質問を受け、私は「ヨーロッパから」と答えていた。ニューヨークの高校に通っていたころ、周囲の人たちが自分を「アメリカ人」と呼びながら、本来はそこに含まれるべきカナダ人やメキシコ人を無視している姿を目にしていたからだ。もちろんヨーロッパも単に欧州連合(EU)だけを意味するわけではない。EUに含まれない東側の国々も含まれる。
だが、イギリスのブレグジットをめぐる交渉により、EU加盟国の結束はむしろ強化された。イギリスが被るマイナスの影響や損失が次第に明らかになったからだ。複数の調査によれば、ヨーロッパ統合には利点があると考えるEU市民は増えている。ドイツでは、その割合が過去15年で最高の73%に達した。脱退したイギリスでさえ、EUを支持する人が60%にのぼる(2020年8月ピュー・リサーチ・センター調査)。そんなEUをめぐる、21年の諸問題について触れていきたい。
現在ウイルスの変異株が現れ、ヨーロッパ諸国は相次ぐ感染の波にさらされている。ドイツのメルケル首相も昨年3月に隔離を余儀なくされたが、すぐに回復し、その後の活躍で70%を超える支持率を獲得した。7月には、フランスのマクロン大統領と手を組んでEU加盟国を説得し、総額1兆8000億に及ぶ予算(21~27年)と経済回復プランを成立させた。
メルケルとマクロンのコンビは、これらの受け入れに消極的だった「倹約4カ国」(オーストリア、デンマーク、オランダ、スウェーデン)の説得だけでなく、イタリアの動揺を一時的に鎮めることにも成功した。イタリアの人々は、ウイルスがヨーロッパ全域に広まる以前、ベルガモやミラノ、アルプス地方に押し寄せてきたウイルスとの死闘を真っ先に経験し、置き去りにされたような感覚を抱いていた。EU議会選挙前の19年5月、私が同僚と自転車でポー川流域を遊説していた際にも、現地のポピュリストの政治家から不満げに「ブリュッセル(EU本部の所在地)があまりに遠い」と言われたことがあった。
新たにイタリアの首相となったマリオ・ドラギ氏。技術官僚の「スーパーマリオ」は、多額の復興資金を割り当てられるなど経済的に苦しむイタリアを救えるか
(MONDADORI PORTFOLIO/GETTYIMAGES)
21年初めの現在、EUは2220億(約28兆円)ものコロナ復興資金をイタリアに割り当てている。ところがイタリアは、またしても個人間および政党間の内紛に陥った。そしてまたしても、この国を救えるのはEUで経験を積んだテクノクラート(専門家、技術官僚)だけだと考えている。「スーパーマリオ」の異名を持つ元欧州中央銀行総裁、マリオ・ドラギである(編集部注・欧州経済危機に苦しんでいた11年にも同じくテクノクラートのマリオ・モンティが首相に擁立された)。
ワクチン供給の鍵は開放経済
公衆衛生の問題については、EUの権限はまだ限られているが、EUは昨年の6月にはすでにワクチン戦略を発表し、安全なワクチンの生産能力の向上を図っていた。欧州医薬品庁(EMA)により承認されたワクチンはクリスマス直前の時期に、加盟27カ国間での不平等を避けるため、同じ条件のもと、同時に配布された。ちなみに、最初にEUの承認を得た米ファイザー・独ビオンテック製のワクチンは、マインツ(独)の移民夫婦により開発され、国境を越えたフランドル地方(ベルギー)の小さな町で製造された。これを見ても、緊急時には自由に動かせるサプライチェーンが必要なことがわかる。20年12月27日から、EU全域でワクチン接種が始まった。
しかし、やがてワクチン不足が報じられるようになると、欧州委員会の交渉や計画に対する批判が高まり、今年2月初旬にはフォン・デア・ライエン委員長が非を認めるに至った。同氏によると、効果的なワクチン開発ばかりに気を取られ、大量生産の問題を軽視していたという。実際、最近になって、サプライチェーンの問題が世界中で起きている。
スマートフォンは、小売市場に出るまでの製造過程で100回国境を越えると言われるが、同様にハイテク薬剤の大量生産も、一国の国内だけでは調達できない特殊な物資や設備、質の高いサービスを提供する無数の企業に依存している。アメリカのような大国にもこの教訓はあてはまる。ファイザーが真っ先にワクチンを開発できたのは、ドイツのビオンテックの協力があったからにほかならない。
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『対米正常化は分野別協力から
政治面では、バイデン政権の誕生で、トランプ政権時代には低調だった米国とEUとの協力関係は間違いなく回復するだろう。しかしEUは、危機には陥りやすいがますます自律性も高めつつあり、「貿易においても、大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)においても、5年前と同じ立場には戻れない」(編集部注・米国の強い姿勢にも対抗する)とフォン・デア・ライエン委員長は言う。また欧米関係が「正常化」すれば分野ごとの協力は進むだろうが、それが大きく報じられるかは別問題である。
今年2月のEU統計局の発表によると、中国が米国を抜きEU最大の貿易相手国となった。対中国問題については、EUが提唱するEU-米国貿易・テクノロジー評議会(TTC)が、ハイテクの規格、投資審査、知的所有権の問題での協力を進めるはずだ。昨年末、ドイツの後押しにより大急ぎで締結された中国との包括的投資協定は多大な批判を浴びたが、それ以前に米中間で交わされた貿易に関する第一段階合意にある程度従い、公平な輸出条件を確保するよう努力してはいた。メルケルが欧州理事会でこの議論を主導したのは、これが中国市場を活用して低迷するドイツの自動車産業を支援する最後のチャンスと考えたからだろう。
ドイツでは今年9月の選挙で新たな首相が誕生する。どの政党から首相が誕生するにせよ、その人物はフランスの大統領との相互補完的な協力関係を維持し、ヨーロッパ統合の屋台骨を支えていくことになるのか?
第二次世界大戦後にアデナウアーとド・ゴールが友好関係を築いて以来、ドイツとフランスの間には個人を超えた深いつながりがある。いまや両国の政治はあらゆる面において、地球上のいかなる二大国も成し遂げられなかったほどのレベルにまで相手国に浸透していると言ってよく、いずれかの選挙でその関係が突然変わることはないだろう。EUでは、テクノクラートが作成した委員会の提案を理事会で審議し、合意に基づいて意思決定を行う方式を採用しているが、これは、意見の対立を招きがちな米英の二大政党制ではなく、ヨーロッパ的な議会制民主主義を反映している。
だがこうした方式は、非自由主義的で違憲の疑いさえある行為を改めようとしない一部の加盟国(ハンガリーやポーランドなど)により、重大な危機に直面している。世界的に民主主義の力が弱まっている現在、多数者支配主義による統治がさらに長引けば、競争により前進する社会に欠かせない多元性が著しく損なわれてしまうおそれがある。EUにとって加盟国の内政は、効果的な対処が難しい問題である。
16年の米大統領選でのトランプ勝利、および英国のEU脱退決定という二つの衝撃的事件が発生すると、日本・EU間の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の交渉は一気に加速した。とりわけ、米国第一主義を標榜し、多国間協調主義を攻撃するトランプ大統領(当時)の影響は大きかった。だが、05年にパスカル・ラミー氏が欧州委員会から世界貿易機関(WTO)に異動したのを機に、EUもまた韓国を皮切りに、二国・地域間連携のパートナーを探していた。そのような状況のなかで、日本との交渉も始まったのである。
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『日欧EPA苦戦の背景
しかしエコノミスト誌(09年9月3日号)によれば、二国・地域間協定が複数存在し(特にアジアに多い)、異なる基準や規則が錯綜している場合(これを「スパゲッティボウル現象」という)、貿易を促進する効果はほとんどないことが証明されているという。
そのため最近ではアジアでも、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や地域的な包括的経済連携(RCEP)といった多国間地域協定が締結されている。米国・EU間のTTIPの交渉の際には、大衆の猛烈な反対もあった。一方、日EU経済連携協定は、安倍晋三前首相とEUのユンケル委員長の間で交渉が進められ、19年に発効に至った。
ところがふたを開けてみると、多大な期待に反する結果だった(編集部注・発効翌年の欧州委員会発表では、19年2~11月の10カ月間における貿易額について、EUの日本向け輸出額の増加は前年同期比で6.6%、EUの日本からの輸入額増加は6.3%であった〈20年3月、ジェトロ短信〉)。11年に日本が韓国と自由貿易協定を締結した際に、当初およそ35%も貿易量が増加したのとは大違いである。
実際、この協定の交渉時にはすでに、両者が重視する部分の違いが明らかになっていた(日本側は関税を、EU側は非関税障壁を重視)。これは、両者の歴史に基づく古くからの関心事の違いを反映している。島国だった日本は、外国に強制的に開国させられるまで、数世紀にわたり鎖国していたため、のちには「独自性」(日本人論によく見られる)の保護を求めるようになった。
それに対してEUは、国境を開放し、国の相違を調和させることを存在理由としている。こうした背景の相違から、交渉は複雑化した。関税や割当制(日本から見たEUの「国境障壁」)については相互授受の交渉の場で容易に数値化できるが、さまざまな非関税障壁(製品規格など)が貿易に及ぼす影響(EUから見た日本の「国内障壁」)については明確に数値化できないからだ。非関税障壁に関してはさらに、公共調達や競争に関する法律も重要な問題になる。
昨年10月、日英経済連携協定に署名した、茂木敏充外相(右)と英国のトラス国際貿易相 (KYODO NEWS/GETTYIMAGES)
重要なのは「汎地球的」ルール
もちろん、デヴィッド・リカードの言う貿易における「比較優位」の原則(編集部注・貿易においては自国の得意な生産に特化したほうが効果的)は、相違から生まれる利益に基づく。だが最近になって、輸入(類似製品の輸入も含む)を通じて競争やイノベーションを高めるというヨーゼフ・シュンペーターの主張(「共争」)がヨーロッパで優勢になりつつあり、徐々に東アジアにも広がっている。
この「共争」や「比較優位」は、FTAによる二国間や多国間の国益のみに左右されない公平な条件下の世界市場でこそ、その効果を発揮する。新型コロナウイルスのパンデミックで明らかになったように、グローバル化がもたらす恩恵により、あらゆる経済圏の相互依存は劇的に高まっている。もはや、多大な損失を被ることなくこの流れを逆行させることなどできない。世界に張り巡らされたインターネットに象徴されるこの相互依存関係をどう育むかは、グローバルな解決策を必要とするグローバルな問題である。
そのためには、主権国家だけでなく、GAFAやBATX(編集部注・中国の四大IT企業のバイドゥ、アリババ、テンセント、シャオミ)などの大企業や市民社会など、あらゆる関係者がさまざまな意見を比較検討する議論に積極的に参加し、二国間・多国間・地域間という枠組みを飛び越えた「汎地球的(オムニラテラル)」(omnilateral)ルールが必要だ。万人による万人のための枠組みが必要とされている。
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『column
日本とEUは新時代の真なる戦略的パートナーになれるか?
1970年代、難題を抱えていた日欧の貿易関係。多くの障壁を超え、今後は米中を巻き込む主導的な役割が求められている。
渡邊頼純(関西国際大学国際コミュニケーション学部長・教授)
1978年、ブリュッセルを訪問した福田赳夫首相(当時)は対日貿易赤字の拡大に悩む欧州共同体(EC=欧州連合〈EU〉の前身)首脳からの厳しい批判に直面した。続いてEC各国を歴訪した経済団体連合会の訪欧団も先々で同様に対EC貿易黒字の削減と日本市場の開放を強く求められた。
翌年にはECの行政府に相当する欧州委員会が対日関係に関する初めての報告書において、「日本人は働きすぎの労働中毒患者(ワーカホリック)でウサギ小屋(ラビット・ハッチ)に住んでいる」と揶揄した。
86年9月、関税貿易一般協定(GATT)のウルグアイ・ラウンドを立ち上げる閣僚会議で、ECは交渉項目の一つとして「利益の均衡」を取り上げるべきと訴えた。その核心は「日本は一方的にGATT体制から利益を得て、自らの市場は閉ざしたまま欧米の市場を席巻している、そのような不均衡は是正されるべき」という主張であった。幸い日本代表団の効果的な反対キャンペーンが奏功し、多国間交渉の中でECがシステマティックな対日輸入制限をルール化することは回避できた。
70年代後半から日欧(以下、日EU)間にはさまざまな貿易摩擦が存在した。日本が一方的に自動車や家電製品、エレクトロニクス関連商品を欧州市場に輸出する一方、EU側は自動車はもちろん、チーズやバター、ワイン、チョコレートに至るまで日本市場への売り込みに苦労していた。自動車は関税がゼロであったため、EU側は問題は関税ではなく関税以外の措置、いわゆる非関税障壁にあると主張、軽自動車に対する軽減税率や車検制度などをやり玉に挙げた。
日本政府が薬品についてEUの治験データを信用せず、あくまでも日本基準のテスト結果を求めるなどしたため、日本は非関税障壁のデパートのように言われた。今でも日本との通商問題が生じると「非関税障壁のせいだ」と言えば皆が納得する傾向があるのには閉口する。日本でのビジネスがうまく行かない時に欧州のビジネスマンがこのイクスキューズを使えばそれで良しとされた時代が長く続いたのである。
希望のEPAとSPA
そのような日EU間で、2019年2月に自由貿易協定(FTA)である日EU経済連携協定(EPA)が発効した。世界の国内総生産(GDP)の約3割、貿易で約4割をカバーするメガFTAが誕生した。規模だけでなく、米国のトランプ大統領(当時)による保護主義が世界を覆いつつあった時に、あたかもそれに挑戦するかのようにこのメガFTAが合意された。トランプ氏の政策に対するいわばアンチテーゼとなった。
またEPA発効だけでなく、政治協力を志向する戦略的連携協定(SPA)が締結されたことも意義深い。日EU双方は、民主主義、法の支配、人権など普遍的価値を共有することを確認しており、EPAとあいまって世界と地域の平和、安定および繁栄にむけて互いに協力する枠組みをもったことになる。この枠組みを通じて日EUの協力が深化することで、米国と中国の間で繰り広げられる「覇権競争」に第三の道を提示することが期待されている。
日EUが共によって立つのは多国間主義(マルチラテラリズム)である。米国も中国も引き込んで行くことで日本もEUも「米国か、中国か」というダイコトミー(二分法的論理)から解放される。そこに日EUパートナーシップの戦略的価値がある。パーペ氏の主張するオムニラテラリズム(汎地球主義)はその延長線上に存在している。
Wedge4月号では、以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。 http://wedge.ismedia.jp/ud/wedge/release/20210320
■「一帯一路」大解剖 知れば知るほど日本はチャンス
PART 1 いずれ色褪せる一帯一路 中国共産党〝宣伝戦略〟の本質
PART 2 中国特有の「課題」を抱える 対外援助の実態
PART 3 不採算確実な中国ラオス鉄道 それでも敷設を進める事情
PART 4 「援〝習〟ルート」貫くも対中避けるミャンマーのしたたかさ
PART 5 経済か安全保障か 狭間で揺れるスリランカの活路
PART 6 「中欧班列」による繁栄の陰で中国進出への恐れが増すカザフ
COLUMN コロナ特需 とともに終わる? 中欧班列が夢から覚める日
PART 7 一帯一路の旗艦〝中パ経済回廊〟
PART 8 重み増すアフリカの対中債務
PART 9 変わるEUの中国観
PART10 中国への対抗心にとらわれず「日本型援助」の強みを見出せ』


https://www.nippon.com/ja/news/reu20210408KBN2BU2BY/

『(検索コードを追加して再送します)
[東京/ローマ 8日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は7日、新型コロナウイルス禍で打撃を受けている国々を支援するため、国際通貨基金(IMF)の準備資産である特別引き出し権(SDR)を6500億ドル増額し、新たに配分する方向で合意した。
共同声明では「新型コロナの世界的大流行(パンデミック)に伴う課題に対処するため、脆弱な国々への支援をさらに強化する」とした上で、必要な限り財政や経済的な支援を維持すると改めて表明。IMFに対し「準備資産を補うという長期的な世界のニーズに応えるため、6500億ドルの新規SDRの一般割り当てについて包括的な提案を行う」よう求めた。
また、最貧国を対象とした債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)の期限を年末まで半年間再び延長することでも一致。大手ハイテク企業など多国籍企業に対する法人税の世界的な最低税率導入については、経済協力開発機構(OECD)の取り組みを踏まえ、7月までの合意を目指すとした。声明では、トランプ前米政権時に削除された「保護主義との闘い」の文言も復活した。
為替については「強固なファンダメンタルズや健全な政策は、国際通貨システムの安定に不可⽋」とし、「為替レートは根底にある経済のファンダメンタルズを反映することに引き続きコミットし、為替レートの柔軟性は経済の調整を円滑化しうることに留意する」と明記した。
さらに「外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する。為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び⾦融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する」との認識も盛り込んだ。引き続き「通貨の競争的切下げを回避し、競争⼒のために為替レートを⽬標としない」とした。
麻生太郎財務相はG20後、記者団に対し、共同声明に盛り込まれた為替に関する文言について、経済のファンダメンタルズを反映させるべきとする「従来の考え方を明確化した」と説明した。
DSSIの再延長に関しては「延長されたことを歓迎するとともに、(DSSI後の債務措置の)共通枠組みに中国国家開発銀行を含め、すべての債権者に参加してもらうことが必要」と述べた。国際開発協会(IDA)の前倒し増資検討では「12月までの合意を含め、G20が主導的役割を果たすべきと申し上げた」とした。
また、法人税の国際最低税率導入について、「法人税の引き下げ競争に歯止めかける観点から重要と申し上げた」と語った。』