米国自動車市場の成長性・多様性を考える
~CASE・MaaS・ZEV等の革新性と大型車嗜好の保守性が同居~
https://www.dbj.jp/topics/region/area/files/0000029853_file2.pdf






















米国自動車市場の成長性・多様性を考える
~CASE・MaaS・ZEV等の革新性と大型車嗜好の保守性が同居~
https://www.dbj.jp/topics/region/area/files/0000029853_file2.pdf






















米カリフォルニア州、2035年にハイブリッド車も販売禁止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2509E0V20C22A8000000/
『【シリコンバレー=白石武志】米カリフォルニア州の環境当局は25日、2035年にガソリンのみで駆動する新車の販売を全面禁止する新たな規制案を決定した。26~35年にかけて段階的に電気自動車(EV)などの販売比率を高めるよう各自動車メーカーに義務付ける。州内の新車販売の10%強を占めるハイブリッド車(HV)も35年以降は販売禁止とする。HVを得意とする日本車メーカーは戦略変更を迫られる。
欧州連合(EU)が35年までに域内におけるガソリン車の新車販売を原則禁止する方針を打ち出すなど、輸送分野における石油依存を減らす動きが世界的に広がっている。米国の環境規制をリードするカリフォルニア州ではニューサム知事が20年9月にガソリン車の新車販売を35年までに全面禁止すると表明。同州の大気資源局(CARB)が約2年かけて規制案を検討してきた。
CARBはガソリン車の規制案について8月25日に2回目の公聴会を開いて州民らの意見を集約し、同日の会合で可決した。各自動車メーカーに州内の販売台数の一定割合を環境負荷の少ないゼロエミッション車(ZEV)とするよう義務付けるものだ。
規制値は26年式については35%、30年式は68%、35年式は100%に高まり、段階的にガソリン車の販売比率を引き下げる。規制値を満たさなかった車メーカーには、未達成分について1台あたり最大2万ドル(約270万円)の罰金を科すという。
新たな規制案ではEVのほか、燃料電池車(FCV)や電池だけで約80キロメートル以上走れるプラグインハイブリッド車(PHV)がZEVとして認められた。CARBは原則として排ガスを出さない車の普及を目指しており、PHVを算入する場合には規制が要求するZEV販売台数の20%以下に抑えるよう各車メーカーに求めている。
カリフォルニア州新車ディーラー協会(CNCDA)によると22年1~6月に州内で販売された約85万3000台の新車のうち、EVとPHVの比率は合計約18%だった。ただ、これはEV専業の米テスラによる押し上げ効果が大きい。約4年後の26年式について販売台数の35%をZEVとするよう義務付ける新たな規制案は、多くの車メーカーにとって高いハードルとなる。
カリフォルニア州はこれまでも車メーカーに販売台数の一定割合をZEVとするよう義務付ける規制を実施してきた。従来は規制値を満たせない車メーカーは超過して達成した他社からクレジット(排出枠)を購入することで罰金などを回避できていた。CARBは26年式から始まる新たな規制案ではクレジット売買などの仕組みは用意していないと説明している。
CARBが25日に可決した規制案はすでに州議会の支持を受けており、法令案を審査する州の部局の承認などを経た上で今秋にも正式決定する。同州におけるEVの平均単価は約6万ドルと高止まりしており、一部の団体は新たな規制について「現実的ではない」と反発している。施行までには曲折もありそうだ。
カリフォルニア州は米連邦政府に先駆けて車の排ガス規制を導入した歴史的な経緯から、独自の環境規制を定めることが認められている。他の州がカリフォルニア州の規制にならうことも許されており、CARBの担当者は「多くの州で新たな規制案を採用する動きがある」と話している。
【関連記事】
・米カリフォルニア州でガソリン車販売禁止へ 車産業に波紋
・NY州も35年ガソリン車全廃へ 知事が目標に署名
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ニューズレター
多様な観点からニュースを考える
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深尾三四郎のアバター
深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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ひとこと解説
カリフォルニア版欧州バッテリー規制の導入可能性にも要注目。
米国EVシフト政策は、従来は排ガス抑制を目的とした環境対策の一環だったが、昨今は再エネの調整力や分散共有機能を持つ車載電池の普及を狙ったエネルギー政策としての新しい意味が加わった。ウクライナ戦争勃発後は車載電池に含まれる重要鉱物を囲い込むため、欧州バッテリー規制のような電池部材のリサイクル強化を促すルール作成の議論もカリフォルニア州では加速している。かつてとは次元の違うスピードと深度でEVシフト政策が強化されており、日系メーカーのドル箱市場でのZEV規制は欧州のそれ以上に厳しい規制となる。
2022年8月26日 8:16 (2022年8月26日 8:31更新)
柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説
あと12年少々でEVしか販売できない。今の現実から推察すれば、2030年ごろから内燃エンジン車の駆け込み需要は想像できないほど爆増するだろう。要するに、それまでに電池の革命が飛躍的に進歩しなければ、EVが完全に内燃エンジン車を凌駕できない。こういう政治パフォーマンスは何をもたらすのだろうか
2022年8月26日 7:55
福井健策のアバター
福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察
柯隆さんのおっしゃる通り、EVは電池問題を解決できていませんので、もっとも適した用途は短・中距離の移動であり、あらゆる用途に向く移動手段ではありません。またこうした規制は新たな買い替え需要や廃棄物を生み、それ自体が別な環境問題を生じさせるリスクもあります。
何度も書きますが環境問題にそんなに便利な打ち出の小槌はありませんので、公共交通やロード・プライシングも活用したモーダル・シフト全体の中で、位置づけるべきものでしょう。
2022年8月26日 8:43
村上芽のアバター
村上芽
日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト
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ひとこと解説
カリフォルニア州が独自の環境規制を認められているという末尾の段落の点、トランプ政権下では取り下げられ、バイデン政権になって戻り、その後も「平等」を巡って訴訟になっていました。そうした経緯からも一筋縄ではいかない話であるとはいえ、現地で生活する人たちの山火事や熱波への恐怖を想像すると、足並みをそろえないことに現実味があります。
2022年8月26日 8:32
蛯原健のアバター
蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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分析・考察
今回除外対象外の50マイル/80キロ以上電気走行可能PEVは現行でも結構ある故、ハイブリッドが禁止というのはミスリーディングだろう。ただし日本勢は現行エネルギーミクスを前提にした最適化を考慮し電気走行距離は抑えており80キロには至っていない。が大きな戦略シフトとまで行かずとも対応は可能な範囲ではなかろうか。先月ベイエリアをテスラで走り回ったがハイウェイは当たり前だがまだまだガソリン車、古いピックアップトラックだらけであった。サンフランシスコ市内はホームレスだらけ、その超格差地域においてこの方向に突き進む事は、就労形態の変化や中国製EVの台頭など良きにつけ悪きにつけ大きな社会変容を産むだろう。
2022年8月26日 8:30
高橋徹のアバター
高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説
米国の人口の1割を占めるカリフォルニア州は「全米のトレンド・セッティング・ステート」と呼ばれてきました。1990年に最初にZEV販売義務付け規制を出したときも世界に衝撃を与えました。当時は「技術革新を法律で縛る」と批判もされましたが、いまにつながるEVの開発競争の揺り籠となったのは間違いありません。今回の決定は面目躍如といえるでしょう。ただ、かつてのZEV規制も、達成年限の先送りやHVの算入、他社からのクレジット購入など現実に即した「規制緩和」を取り入れてきました。今回はどうでしょうか。
2022年8月26日 7:18 』
ジャクソンホール会議開幕 「経済・政策の制約」を議論
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25DWY0V20C22A8000000/
『【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=斉藤雄太】世界の中央銀行関係者や経済学者らが集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が25日夜に開幕した。会議全体のテーマは「経済と政策の制約の再評価」。新型コロナウイルス禍を経て変容した経済・物価環境に政策当局がどのように対処すべきかを討議する。
開催期間は25~27日の3日間。昨年までコロナの感染対策でオンライン形式だったが、今年は3年ぶりに対面型の開催になる。会場はロッキー山脈の麓の山荘だ。
会議を主催する米カンザスシティー連銀が公表したプログラムによると、25日夜の開幕レセプションを経て、26日午前8時(日本時間午後11時)に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演する。今後の利上げペースなど金融政策の先行きにどこまで踏み込んだ発言をするかが最大の注目点になる。
26日はパウエル議長講演に続き、独ゲーテ大のニコラ・フクス・シュンデルン教授が「最大雇用」、仏ビジネススクールINSEAD(欧州経営大学院)のジョン・フェルナルド教授が「潜在国内総生産(GDP)」に関する論文を公表し、対談者と議論する。
国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート筆頭副専務理事やオバマ政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたジェイソン・ファーマン米ハーバード大教授らは「コロナ禍以前のトレンドは終わったか、あるいは一時的な中断にすぎないのか」についてパネル討論会に臨む。国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人も講演する。
27日は米ジョンズ・ホプキンス大のフランチェスコ・ビアンチ教授が「財政制約」、ニューヨーク大のヴィラル・アチャリャ教授が「中銀のバランスシート」について論文を公表する。欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事や韓国銀行(中銀)の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁らによる「コロナ後の政策見通し」の議論などを経て、閉幕する。
【関連記事】
・25日からジャクソンホール会議 「タカ派」発言に注目
・FRB議長が講演へ 市場、インフレ退治の強硬姿勢見極め 』
[FT]ロシアの極右思想、世界へ プーチン氏の侵攻を支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB240Z00U2A820C2000000/
『長いひげと過激な発言をもってすれば、簡単に注目を集められることにロシアの極右の思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏は気づいた。彼を「プーチン大統領の頭脳」、あるいはロシア帝政末期の怪僧になぞらえ「ラスプーチン」と呼ぶ人までいる。だが、2014年にモスクワ国立大学教授の職を失った事実から、ロシア政府に対し、特に影響力を持つわけではないとする向きもある。
イラスト James Ferguson/Financial Times
それでも今月20日、ドゥーギン氏の娘で国家主義的なジャーナリスト、ダリア氏がモスクワ郊外で運転していた自動車が爆発して死亡した事件から、ドゥーギン氏を重要人物とみる人がいるのは明らかだ。爆発したのが彼の車だったため、ドゥーギン氏を狙った犯行との見方が優勢だ。
ウクライナ侵攻を1990年代から提唱
プーチン氏とドゥーギン氏の個人的な関係がどうであろうと、プーチン氏がウクライナ侵攻を決断したことは、ドゥーギン氏が1990年代初頭から主張してきた考え方が実行に移されたことを意味する。ドゥーギン氏は97年の著書でロシア士官学校の必読書にもなった「地政学の基礎」で「ウクライナは地政学的には存在する理由がない」と主張した。
2018年に中国・上海の復旦大学で講演した際、プーチン氏への影響力について質問されたドゥーギン氏はあまり多くを語らなかったが、ロシアがクリミアを併合すべきだとの考えは「プーチン氏が行動を起こすはるか前」の1990年代に自分は主張していたと指摘した。
ドゥーギン氏は中国で存在感を発揮した。彼はプーチン氏に近いらしいという噂と、高い言語能力(英語とフランス語を流ちょうに話す)を生かし、自ら国際的にその存在感を高めていった。
そして今や中国やイラン、トルコでは、米国の覇権を打破したいとする勢力のスポークスマンおよび調整役となっている。一方、欧州や米国では各国の極右勢力と通じ、自らを「グローバリズム」との闘いにおける同盟者と位置付けている。
ドゥーギン氏は復旦大学での一連の講演でロシアと中国は連帯して「多極的な世界秩序」を構築し、米国による覇権を終わらせなければならないと論じた。3月に中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相とロシアのラブロフ外相が会談した際、両者はこの考え方を支持し、ラブロフ氏は王氏に両国が「ともに(中略)多極的で公正で民主的な世界秩序へと向かう」べきだと呼びかけた。
イラン、トルコの政府や西側の極右に接触
ドゥーギン氏の世界観では、ユーラシア大陸の国々はロシアを中心とした「大陸国家」であり、米国(その前は英国)が主導した「海洋国家」中心の世界とは必然的に対立する。同氏はナチスにも加担したドイツの哲学者カール・シュミットが「欧州とロシア、アジアが直面する『敵』とは、米国とその島国の同盟国イングランドであることを明確に理解していた」として彼を称賛してきた。
こうしたドゥーギン氏の反西欧的、反自由主義的な考え方はイランでもすぐ歓迎された。同氏はイランを何度も訪れており、体制内の強硬派に特に人気がある。2015年には自分を招いたイランの人々に、イランを「近代化(西洋化)に抵抗する闘いの主要拠点だ」と持ち上げた(これは褒め言葉らしい)。
同氏はトルコも定期的に訪問しており、与党・公正発展党(AKP)のゲストに招かれることもある。そうした中で、現政権内の反米勢力と共通認識を築いてきた。
一方、欧州ではドゥーギン氏は自らの資金提供者であるロシアの銀行家コンスタンチン・マロフェーエフ氏とオーストリアの自由党やイタリアの同盟、フランスの国民連合など極右政党と関係を築き、ロシアや西欧各国で会議や講演、会合を催すことで連携を維持している。
米国のドゥーギン氏支持者も当然、極右勢力だ。トランプ氏が大統領に就任して間もない17年2月に、ドゥーギン氏は極右の陰謀論者アレックス・ジョーンズ氏のインタビューを受け、「私が心から支持するトランプ氏」への期待を表明した。そして、トランプ氏支持派とプーチン氏支持派は「共通の敵であるグローバリスト」に対抗するため団結すべきだと語った。
トランプ氏が16年の大統領選に勝利した直後、右手を斜め上に掲げ「ハイル・トランプ」と叫ぶ姿がカメラに捉えられた極右のリチャード・スペンサー氏(編集注、白人至上主義者として知られる)もドゥーギン氏とつながっている。スペンサー氏の妻はドゥーギン氏の著作を英訳したこともある。
ロシア政府の政策、今後過激さ増すのか
ドゥーギン氏は最近、中国やパキスタンの学者を集めた講演で、ロシアはウクライナでの敗北を認めるぐらいなら核兵器を使うだろうと断言した。今の問題は、20日のダリア氏殺害事件を受け、ロシア政府がウクライナでの戦争や国内政治で一層過激な政策に向かうのかだ。
ロシア連邦保安局(FSB)は既に事件を解決したと主張している。ウクライナが暗殺を依頼したと断定し、実行犯は既にロシアから国境を越えてエストニアに逃亡したと発表した。この主張はロシアが今後、ウクライナ政府の主要な建物や要人を標的とした攻撃を含む首都キーウ(キエフ)空爆を正当化するのに利用される可能性がある。
さらにロシア政府がエストニアに実行犯とする容疑者の引き渡しを要求するだけでなく、引き渡さなければ軍事措置も辞さないと脅せば、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国と紛争に発展しかねない事態に突入することを意味する。
ウクライナ政府は事件への一切の関与をすぐに否定した。しかし、だからといってロシア政府の多くの人の考え方が変わるわけではない。ドゥーギン氏に代表される極端な国家主義を信奉する面々は、以前からロシアはもっと容赦ない戦術に出るべきだと主張してきた。
ドゥーギン氏は暴力的で扇動的な弁舌を得意とするが、それは講堂やテレビ局のスタジオなど戦場から離れた安全な場所からだった。しかし、20日の事件で、モスクワも戦いの最前線となった。
14年にロシアが一方的にクリミアを併合した際、ドゥーギン氏はロシア人にウクライナ人を「殺して殺して殺しまくれ」と呼びかけた。ロシア侵攻による悲惨な事態を耐え忍んでいる多くのウクライナ人に、ドゥーギン氏のために涙を流す人はほぼいないだろう。ロシアとウクライナの紛争から距離のある人は、どんな人であっても自分の子どもを目の前で爆破されるようなことは許されないと思うのかもしれない。
By Gideon Rachman
(2022年8月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
ギデオン・ラックマン
Gideon Rachman 英国生まれ。英BBCや英エコノミストなどを経て2006年FTに入社。同年、現在の外交関係の論評責任者に。2016年政治分野のジャーナリストとして英オーウェル賞を受賞。著書に「Easternization」(2016年)などがある。
[FT]ロシアの極右思想、世界へ プーチン氏の侵攻を支持(0:00)
[FT]トルコ、NATOに不可欠 黒海掌握で価値証明(7月8日) 』
米中間選挙 ポイントを読む⑥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN03DMN0T00C22A8000000/
※ 『上院は大統領が指名した政府高官や裁判所判事の人事を認めるかどうかの重要な権限を持つ。人事は単純過半数で通る。共和党が多数派に返り咲けば、政権に対して強力な交渉カードを握るようになる。』ここが、ポイントか…。
※ 上院≒参議院、下院≒衆議院…、というアナロジーで捉えていたが、そう単純なものでもなさそうだ…。
※ これだから、他国の「政治制度」を理解するのは難しい…。
※ 「アメリカ政治学」なる学問分野が、成立しているのも宜(むべ)なるかなだ…。

『11月の米中間選挙では米連邦議会の上院(定数100)の3分の1、下院(同435)の全議席を争う。上院と下院それぞれの過半数を与野党がどう押さえるかで、バイデン政権の今後を大きく左右する。政府高官や裁判所判事の人事を承認する上院の主導権を失えば、政権運営は苦しくなる。
上院は現在、50対50と与野党が同数で拮抗する。上院議長を兼ねる副大統領が1票を投じることができるため、与党・民主党が多数派と呼ばれる。野党・共和党は中間選挙で1議席でも上積みすれば多数派を奪還できる。
上院は大統領が指名した政府高官や裁判所判事の人事を認めるかどうかの重要な権限を持つ。人事は単純過半数で通る。共和党が多数派に返り咲けば、政権に対して強力な交渉カードを握るようになる。
上院で法案を通すためには投票規則の関係から60票が要る。どちらの党が多数派を握っても60議席を上回らない限り、他党の協力が必要なのは変わらない。
民主党はバイデン政権の気候変動対策を通すため、特定の条件を満たした予算法案に限って単純過半数でも可決できる措置を使った。民主党が過半数を失えばこの「奥の手」も使えなくなる。
下院は各州を細かく分けた選挙区から2年ごとに議員を選ぶ。建国時に細かく素早く民意をつかめるように設計した。バイデン大統領や与野党議員のこの2年間の仕事ぶりはどうか。有権者の評価は下院の議席数に分かりやすく反映される。
(ワシントン=鳳山太成)』
欧米銀のロシア事業縮小、停滞気味 シティ個人向け撤退
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25E890V20C22A8000000/
※ 『ロシアのプーチン大統領は8月5日、「非友好国」の企業がロシアのエネルギーや金融部門の株式を売却することを年末まで禁じる大統領令に署名した。』…。
※ そういうことが、「できる」し、「やる」国なわけだ…。
※ 「カントリー・リスク」の一つだな…。
『【ニューヨーク=大島有美子、ロンドン=篠崎健太】米シティグループが7~9月期にロシアの個人向け(リテール)金融業務から撤退を始める。事業売却を模索してきたが、売却先探しに時間がかかり、店舗閉鎖も含む事業縮小に自ら動く。ロシアのウクライナ侵攻で地政学リスクが高まるなか欧米銀は相次ぎロシア業務の縮小を表明したが、取り組みは停滞している。
シティはロシアの15支店の閉鎖を決めた。同国で25年以上業務を手がけており、約50万人の個人顧客がいるが、個人向けの預金、投資商品、融資やカード業務をやめる。多国籍の法人向けビジネスは維持する。
【関連記事】米シティ、ロシアの個人向け金融撤退 費用230億円
シティは米銀で最もロシア関連のエクスポージャー(投融資残高)が大きい。2021年末時点で98億ドル(約1兆3400億円)あった。地政学リスクを考慮し減らす方針を明らかにしていた。6月末時点では84億ドルに減った。撤退を決めたリテール関連では約10億ドルあるといい、削減を進める。
シティはウクライナ侵攻前から海外リテール事業見直しの一環で、ロシアのリテール事業の売却を模索していた。ロシアのVTBバンクが候補として名前が挙がったが、米国の制裁対象となり、不透明感が強まっていた。シティ幹部は「過去数カ月間、事業売却のために複数の選択肢を検討した。環境を考慮すれば、事業縮小が理にかなっている」と述べ、自ら撤退する道を選んだ。
欧米の大手銀でロシア事業の処分をいち早く済ませたのが仏ソシエテ・ジェネラルだ。ロシアの銀行子会社ロスバンクと保険事業を5月、現地の富豪ウラジーミル・ポターニン氏率いる投資会社に売り、22年4~6月期決算で33億ユーロ(約4500億円)の関連損失を計上した。ウクライナ侵攻や欧米の経済制裁の影響を考慮してロシアからの撤退を決めた。
事業売却や閉鎖のような大規模な動きはまだ一部に限られ、多くが停滞しているのが現状だ。ロシア事業の規模が比較的大きいオーストリアのライファイゼンは撤退も視野に検討を続けているが、ウクライナ侵攻開始から半年が過ぎても目立った進捗はない。イタリアのウニクレディトも現時点では投融資規模の圧縮にとどまる。
シティも機関投資家向けのビジネスは維持するとしており、顧客との契約上放棄できない業務もある。米銀JPモルガン・チェースもロシアで機関投資家の株式や債券を保管する業務を手がけている。目立った動きはなく、4月時点でロシアの銀行免許を維持する方針を示している。
ロシアのプーチン大統領は8月5日、「非友好国」の企業がロシアのエネルギーや金融部門の株式を売却することを年末まで禁じる大統領令に署名した。資本の引き揚げを伴うロシア撤退はさらに難しくなりそうだ。ハンガリーのOTP銀行の幹部は11日の決算説明会で、検討中のロシア事業売却はこの影響で遅れる可能性があるとの認識を示した。』
ザポロジエ原発、電力網から遮断 火災の影響か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25E8Q0V20C22A8000000/
『【イスタンブール=木寺もも子】ロシアが占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所が25日、ウクライナ国内の電力網から切り離された。運営するウクライナ国営エネルゴアトムがSNS(交流サイト)上で明らかにした。詳しい原因は不明だが、火災の影響としている。
エネルゴアトムなどによると、隣接する火力発電所で起きた火災が原因となり、発電ユニットの電力系統が2度にわたって途切れた。この結果、ザポロジエ原発が国内の電力網から切り離され、非常システムが働いたという。その後すぐに代替のディーゼル発電機が電力供給を再開した。
エネルゴアトムは火災の詳細な原因には触れていないが、「侵略者の行為」が引き起こしたことだとしてロシア側を非難した。ほかの3本の電力系統はこれまでのロシアの砲撃で損傷したとしている。
ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、ディーゼル発電機など安全システムが正常に機能しなかった場合、放射線漏れが起きていたと指摘した。そのうえで「ロシアはウクライナや欧州を放射線災害すれすれのところに追い込んだ」と訴えた。
欧州最大級の原発であるザポロジエ原発はロシアが占拠した後も、エネルゴアトムのウクライナ人職員による運転が続いている。今月に入って砲撃が相次ぎ、原子力災害への懸念が強まっていた。ロシアとウクライナは互いに砲撃は相手方の仕業だと主張している。
国際原子力機関(IAEA)は現場の状況を確認するため、専門家の派遣に向けて調整を進めている。ロイター通信によると、ウクライナのハルシチェンコ・エネルギー相は25日、派遣は9月上旬までの「近日中」に実現するとの見通しを示した。
ロシアもIAEAの専門家受け入れには前向きな姿勢を示している。一方、ウクライナや国連が求めている原発の非武装地帯化は拒否した。
米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は25日、「ロシアは原発周辺の非武装化を受け入れるべきだ」と発言した。
【関連記事】
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・安保理、ウクライナ原発問題で緊急会合 ロシア撤兵促す
・ウクライナ原発「数日以内に査察めざす」 IAEA事務局長
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福井健策
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分析・考察
原発の軍事目標化。恐ろしい悪夢ですが、もうそのパンドラの箱は開いたと考えるべきでしょう。
軍事・テロのリスクに加えて、特に日本では大きい地震・津波のリスク、人的ミスのリスク。これら全てが原発のコストですが、その最大の問題は、今回のように、コストの大きさを事前予測できないことです。これに対して、再生エネルギーや省エネルギーは、(ある程度は)コストを予測できます。
リスク管理の世界では、予測不能かつ取りかえしのつかないコストは忌避するのが基本ですが、さて原子力リスクの恐ろしさを一番知っているはずの日本は、どんな選択をするのでしょう。ニュースを見ながら、そんなことを考えました。
2022年8月26日 7:50』
ロシア極右思想家の娘殺害、ウクライナ攻撃強化の圧力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB248MZ0U2A820C2000000/
『モスクワ郊外で20日、走行中の乗用車が爆発、炎上した。運転していた政治評論家、ダリア・ドゥーギナ氏が死亡した。
警察は運転席の下に仕掛けられた爆弾が爆発したとみている。標的はダリア氏ではなく、父で極右思想家のアレクサンドル・ドゥーギン氏だった可能性が高い。ドゥーギン氏はロシアのウクライナ侵攻を思想面で支える人物だ。
モスクワでの暗殺は珍しい。例外は反体制派だ。2015年には、クレムリン(ロシア大統領府)のすぐ近くで反体制派指導者ボリス・ネムツォフ氏が射殺された。ところが、ダリア氏と同氏の父は政権寄りのエスタブリッシュメント(支配層)としては筋金入りで、ウクライナ侵攻を全面支持していた。ロシアのプーチン大統領は22日、ダリア氏を「純粋なロシア人の心を持つ有能な人物だった」とたたえた。
ロシア連邦保安庁は「ウクライナの犯行」
多くのモスクワ市民にとって、ダリア氏の死は6カ月前に始まったウクライナ侵攻の影響が間近に迫る不穏な兆しとなった。世間の注目を集めたほかの殺人事件と同じく、ダリア氏の死についてもすぐに、つじつまの合わない陰謀説が浮上した。ウクライナ側は関与を否定し、この親子を狙う動機が同国政府にあると考える人はまずいない。だが、ロシア連邦保安庁(FSB)は事件の2日後、容疑者を公表した。ダリア氏と同じアパートに部屋を借り、事件後は隣国エストニアに出国したウクライナ籍の女の犯行だと特定した。FSBは「ウクライナの情報機関が準備し、実行した」と主張した。
西側のコメンテーターは、FSBの捜査があまりに迅速だといぶかった。
FSBの発表前、ロシアの野党指導者で19年にはウクライナに亡命したイリヤ・ポノマリョフ氏は、ロシアの反体制派地下組織「国民共和党軍」が出したとする犯行声明を示した。だが、西側当局者の一人は声明を「ポノマリョフ氏の想像の産物」だと決めつけた。
ドゥーギン氏自身が、なにかと陰謀説を唱えて名前を売った人物だ。1990年代以降にロシアの極右の寵児(ちょうじ)となった。極右思想の造詣が深い。当時のエリツィン政権が民主化を進められず、社会に失望が広がっていた際、海外の極右思想を翻訳して紹介した。ドゥーギン氏と一時、共に活動していた反体制派の著名人、エドワルド・リモノフ氏はドゥーギン氏を、(ロシア語の表記に使う)キリル文字の原型を発明した9世紀の聖人「聖キリルと聖メドティウスのファシズム版だ」と評した。
ドゥーギン氏は90年代、ロシアの軍部と関わるようになった。モスクワの陸軍士官学校で教壇に立ち、上級将校に欧州の地政学理論を説き、「地政学の基礎」を執筆した。これは90年代に最も大きな影響力を持った書籍の一つだ。この本は、陸軍士官学校の教科書になったこともある。この本のなかで、西側を分断し、欧州からアジアにまたがる「ユーラシア」という概念で(ロシアの前身の)ソ連を再構築する構想を示した。英作家ジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984年」に着想を得たような考え方だった。
ロシアの右派に詳しい米フーバー研究所のジョン・ダンロップ氏は「共産主義体制が崩壊した後のロシアで、軍、警察、国家主義の外交エリートにこれほど大きな影響を与えた本はほかにない」と指摘した。
「プーチンの頭脳」と呼ばれるが、一定の距離
プーチン氏が政権を握ると、ドゥーギン氏は05年の極右勢力のデモ「ロシア人の行進」、自身が設立した民族主義グループ「ユーラシア青年連合」をはじめ、政権公認の政治活動に取り組むようになった。ドゥーギン氏はプーチン氏との直接の関係を否定するが、プーチン氏に近い人物の多くと連携した。こうしたプーチン氏の取り巻きたちはドゥーギン氏の名を口にし、同氏の主張を引用する。ドゥーギン氏には活動資金を提供する。ドゥーギン氏を「プーチンの頭脳」と呼ぶ専門家もいる。
ドゥーギン氏は常に、プーチン氏とは一定の距離を保ってきた。西側との緊張が緩んでいた時期には公の場にほとんど姿を見せなかったが、プーチン政権が西側を威嚇するようになると、脚光を浴びるようになった。
ドゥーギン氏の神秘的なオーラは、活動範囲がヨガからファシズムまで幅広いモスクワの非公式な社会の主要人物であるという事実によって一段と強まる。その思想はロシアによる14年のウクライナ領クリミア半島の一方的な併合宣言、22年のウクライナ侵攻を後押しした。
例えば、20年に刊行されたジャーナリスト、キャサリン・ベルトン氏の著書「プーチンの仲間たち」によると、ウクライナ東部で同国から独立したと主張する親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」はクリミア併合宣言の前、ドゥーギン氏のユーラシア青年同盟と同じビルに入居する政党として産声を上げた。
ドゥーギン氏はロシアだけでなく、ウクライナでも知られている。ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は「ドゥーギン氏を熟知している」と認めた。同氏は4月、自分がドゥーギン氏に近いモスクワの極右勢力とつながりを持っていたと屈託なく認め、物議を醸した。アレストビッチ氏はラトビアに拠点を置くロシアの独立系メディア「メドゥーサ」に対し、ウクライナの情報機関のために活動していたと打ち明けた。ドゥーギン氏の集会には「モスクワで300人ほどが集う」と話した。
アレストビッチ氏は「この手法は現代のロシア政権に浸透している。ドゥーギン氏は自分の論理と世界観を植え付けることに成功した。私は(ドゥーギン氏の集会に)参加しなかったが、(同氏に)近かったことで、ウクライナの役に立てた」と語った。
ドゥーギン氏の娘の死にロシアの極右勢力が反発し、プーチン政権にはウクライナへの攻撃を強めるよう求めるはずだ。爆発前にドゥーギン氏とダリア氏が参加していたイベントを主催した保守派の人気作家、ザハール・プリレーピン氏は、犯行が「完全にウクライナ側の手口だ」との見方を示した。
ドゥーギン氏も22日、事件に初めて触れ、「ウクライナのナチス政権によるテロ行為だ」と言明した。娘は「勝利に命をささげた」と述べた。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は事件にウクライナが関与しているとの観測を否定した。「ウクライナは無関係だ。ロシアのような犯罪国家でなく、テロ国家でもない」と反発した。
ロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」のコラムニスト、ユリア・ラチニナ氏は、ダリア氏の殺害が(旧ソ連の指導者)スターリン式の粛清を正当化する材料に使われると見通した。1934年、当時のソ連で政治家のセルゲイ・キーロフ氏が暗殺された事件をきっかけに、30年代後半に政治テロが広がった例をあげた。
ラチニナ氏は「ドゥーギン氏の娘の殺害は無意味でない。キーロフ氏の暗殺と同様に、報復テロの波を引き起こすだろう」と指摘した。「(ダリア氏の)殺害の背景として、あまりに多くの可能性があるので臆測は控える」と、慎重だった。
(チャールズ・クローバー)』
ウクライナ侵攻、崩れた安保の国際秩序とアジアの不穏
ウクライナ侵攻と世界(下)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM142ZT0U2A810C2000000/
『「停戦はなかなか難しい。長引く戦争になってしまうのではないか」。国連のグテレス事務総長は8日、広島訪問後の記者会見でウクライナ情勢について悲観的な見方を示した。
止められぬ侵攻
ロシアの侵攻を国連も北大西洋条約機構(NATO)も止めることはおろか仲裁さえできない。世界は国際秩序の崩壊という危機に直面している。
国連の安全保障理事会が出したロシアへの非難決議案はロシアの拒否権で否決になった。総会での非難決議は141カ国が賛成した一方、ロシアや中国などの反対と棄権、無投票が52カ国に上った。合計人口は45億人と世界の6割に迫る。国連は総会決議以上の強い声を上げられなかった。
国連の機能不全はいまに始まった話ではない。冷戦期も米ソが対立した。朝鮮戦争の国連軍は国連憲章第7章に基づく正規の国連軍ではなく、ソ連不在の安保理で決議したものだった。
冷戦終結後の一時期は米ソ、米ロが一定の協調関係にあり、国連が曲がりなりにも機能した面はあった。湾岸戦争ではクウェートへ多国籍軍を派遣し、主権を回復させた。北朝鮮の核・ミサイル開発には安保理が制裁決議を出してきた。
再び溝が深まるのは2010年代。オバマ米大統領が「世界の警察官ではない」と認め、国際秩序の空白ができた。ロシアがクリミア併合やシリア内戦への介入に動くと安保理は有効な手を打てなかった。
亀裂はウクライナ侵攻で決定的になった。22年5月、安保理で北朝鮮のミサイル発射への制裁決議案が初めて否決された。
集団安保に限界
国連以外の集団安保にも限界がある。冷戦期、加盟国に攻撃があれば全体で反撃する枠組みをつくったNATO。加盟国を守り続けてきたが、未加盟のウクライナが侵略を受けた。米国がウクライナに派兵しないと表明すると軍事介入の選択肢はとれなかった。
欧州で「力による現状変更」を止められない状況をみたスウェーデンやフィンランドは中立政策をやめてNATOに加盟申請した。
アジアはNATOのような集団安保の仕組みがない。冷戦期は日本や韓国を防衛する米国の軍事力が中ソを上回り、集団防衛の必要性が薄かったためだ。
アジア各国は米中両にらみに流れる。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は訪台したペロシ米下院議長と会わなかった。米主導の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の初会合は東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のうち7カ国しか参加しなかった。
台湾に限らず沖縄県・尖閣諸島や朝鮮半島、中印国境などアジアには火薬庫のように紛争の芽がある。いずれも中国あるいは中国が後ろで支える国が絡む。
日米は自由や民主主義といった価値観を共有する国・地域とスクラムを組んで中国を抑止する戦略だ。その対象は「同志国(like-minded partners)」。「同盟国(allies)」よりも緩い表現が集団安保の枠組みがないアジアの不安定な状況を映す。
(安全保障エディター 甲原潤之介)
【「ウクライナ侵攻と世界」記事一覧】
・深まる分断、消える500兆円 逆回転するグローバル化
・米中の緊張高止まり 「中立」台頭、危うい3極化
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詫摩佳代
東京都立大学 法学部教授
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分析・考察
国連の機能不全がウクライナ戦争で注目を集めていますが、記事にもある通り、今に始まった話ではありません。むしろ世界政府でもなく、加盟国に対して何ら強制力をもたない国連にとっては当然の限界です。安全保障とは本来、グローバル、地域、国など多層的なものであり、国連の集団安全保障はその一部と捉えるべきです。国際社会の分断に伴い、グローバルなレベルでの機能は弱体の一途を辿り、一方、地域や有志といったサブレベルの取り組みが重要性を増すのは当然の成り行きです。日本に関しては、国際的な緊張をコントロールする努力と併せて、有志国間や国レベルの安全保障機能を強化する必要性が、いつになく増しているように感じます。
2022年8月25日 9:24
鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察
う~ん、「集団安保(集団安全保障)」というのは、国連のような国際機関において、国際の平和と安全の脅威と指定された国や組織、個人に対して、その加盟国全体が軍事的・非軍事的制裁を行うこと。NATOは「集団安保」の組織ではなく、「集団的自衛権」を行使する同盟。こういう単語の使い分けをきちんとしないと変な誤解が蔓延する。それと、そもそも国連は拒否権を持つ大国が関与する戦争を止めることも、介入することも出来ない。
2022年8月25日 4:01』
ゼレンスキー氏、安保理で「駅攻撃」を非難 22人が死亡
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24DP50U2A820C2000000/
『【ニューヨーク=吉田圭織】国連の安全保障理事会は24日、ロシアのウクライナ侵攻から半年がたったことを受けて会合を開き、同国のゼレンスキー大統領が参加した。同氏はオンラインで参加し「この演説を準備している間にドニエプロペトロフスク州の鉄道の駅が攻撃されたと伝えられた。これが我々の日常だ」とロシアを非難した。
【関連記事】
・ウクライナ、厳戒の記念日 国連「市民1万3000人死傷」
・米国、ウクライナ軍事支援「数年単位で」 長期戦にらむ
駅に対する攻撃についてゼレンスキー氏は「現時点で少なくとも15人が死亡、50人のけがが確認されている。残念ながら死者数は増える可能性がある」と指摘した。その後に出した声明で死者数が22人に増えたと明らかにした。
周辺で爆発が続くザポロジエ原発について「ロシアの行為で世界は放射能災害の瀬戸際にある」と述べるとともに、即時に国際原子力機関(IAEA)の管理下に置く必要があると強調した。「ロシアにはウクライナに対する侵略の罪の責任を負う必要があり、国連総会の決議案を今後提出する」と明らかにした。
ウクライナからの穀物輸出が滞っていることについては「ロシアによる狂気じみた侵略によって人工的に飢餓が引き起こされ、世界各国で数千万人もの人を救う必要が出た」と批判した。高騰する天然ガスなどの燃料価格についても「ロシアが意図的に価格を引き上げ、数千万人の人に(電力などが届かなくなる)エネルギー貧困を押しつけているのは事実だ」と強調した。
日本を含む57カ国とEUは共同声明でウクライナ市民への連帯を表明し、ロシア軍の撤退を求めた(24日、ニューヨークの国連本部)
ロシアのネベンジャ国連大使は「ウクライナ人が困難な状況にあることは誰も否定しないが、この実態を招いたのはウクライナ政府だ」と主張した。「きょうの会合は現場の状況に全く関係なく、ただ西側諸国がウクライナに対して支持を示すためだけのものだ」と会合開催を批判した。
会合後には日本を含む57カ国と欧州連合(EU)がロシアのウクライナ侵攻を非難する共同声明を発表した。声明ではロシアに対して「ウクライナに対する攻撃を即時に停止し、ウクライナから無条件で完全な軍の撤退と軍装備品の引き揚げを求める」と訴えた。同時に「住宅地や民間施設に繰り返し当たったロシア軍によるミサイル攻撃を最も強い言葉で非難する」と述べた。
安保理はウクライナ侵攻が始まってから70日以上が経過した5月に議長声明を初めて出した。だが、それ以来一致した対応をとれていない。安保理はロシアによる拒否権の行使で非難決議などの対応がとれず、機能不全に陥っていると批判されている。
ウクライナ訪問を19日に終えた国連のグテレス事務総長は「(穀物輸出の再開など)人道面での進展があったが、戦闘が終わる気配はなく、新たな危険も出てきている」と述べた。周辺で爆発が起きるなど事故のリスクが高まっているザポロジエ原発の問題や、ドネツク州のウクライナ人捕虜収容所で起きた爆発について懸念を表明した。
グテレス氏はIAEAによるザポロジエ原発の査察について、「ロシアとウクライナが合意できれば国連はIAEAの調査団を支援できる」と指摘した。捕虜収容所の爆発をめぐっては「最近設立された調査団の派遣に向けた取り組みが進んでいる」と述べた。「捕虜は国際人道法で保護されており、赤十字国際委員会(ICRC)がいつでもアクセスできなければいけない」と訴えた。』