カテゴリー: 米国、関連
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ロシア軍大誤算:戦車キラーの攻撃ヘリが全く活躍できない
今後、欧米供与の戦車等によるウクライナ軍攻勢に打つ手なし
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73625





『年が明けて、今、米欧から大量の戦車・歩兵戦闘車などがウクライナに供与されようとしている。
第1次世界大戦以降、戦場の主役は戦車だと言われてきた。
その後、第4次中東戦争(1973年)で対戦車ミサイルの威力が証明され、一時期、戦場の主役から「戦車不要論」が言われるようになった。
さらに対戦車ミサイルを搭載した攻撃ヘリ(対戦車ヘリ)が、地上戦では「戦車キラー」の一つであり最強であった。
こういうことから、米軍は攻撃ヘリ「AH-1コブラ」「AH-64アパッチ」を多数保有し、日本の陸上自衛隊も同様の機種を保有しているほどだ。
自衛隊の戦術教育や図上戦術の際に用いる「相対戦力比較」では、攻撃ヘリ1機は戦車7両に匹敵するとして計算していた。
筆者が陸自指揮幕僚課程(CGS)学生や幹部高級課程(AGS)の戦略教官であった時も、その見方は変わってはいなかった。
しかし、露軍のウクライナでのこれまでの戦いでは、その攻撃ヘリの活躍は、侵攻初期を除いてほとんどない。
露軍は、「戦車キラー」と呼ばれる攻撃ヘリを約400機保有していた。侵攻当初に約30%が撃墜されたが、まだ大量に残っている。
これまでの戦いでは、「戦車キラー」として活躍していないのだ。
今後、米欧の戦車等と露軍の攻撃ヘリの戦いは、どのようになるのかについて考察する。』
『攻撃ヘリが「戦車キラー」と呼ばれる理由は、攻撃ヘリが地形の起伏を利用して、地上を這うように匍匐(ほふく)飛行して戦車に接近し、対戦車ヘリに搭載する対戦車ミサイルの射程(約3000メートル)内に入り、ミサイルを発射すれば、撃破できるからだ。
戦車の弱点である上部を狙って射撃ができるのだ。
戦車は、戦車砲の射程外(約1500メートル以遠)から、対戦車ミサイルを発射されるので、主砲から砲弾を発射することもできないで破壊される。
攻撃ヘリの匍匐飛行(イメージ)
出典:筆者作成(以下の図もすべて筆者作成)
ギャラリーページへ攻撃ヘリの攻撃要領(イメージ)
ギャラリーページへ(図が正しく表示されない場合にはオリジナルサイト=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73625でお読みください)
攻撃ヘリは、地形に隠れて自由に動き回り、1両を破壊すればすぐに、次の目標を選定して攻撃するなど、次から次へと撃破し破壊していくことができる。
戦車と攻撃ヘリが交戦すれば、攻撃ヘリ1機で、7両の戦車を撃破できるとされてきた。戦車にとっては、最大の脅威だ。』
『
2.露軍の攻撃ヘリ数量と戦闘能力「ミリタリーバランス2021」によると、ウ地上軍の攻撃ヘリ保有数は35機で、露地上軍(海軍のヘリはほとんど参戦していないので除く)は、394機である。
露軍の機数はウ軍の約10倍以上だ。
その種類と数量は、「Ka-52」×127機、「Mi-24」×100機、「Mi-28」×103機、「Mi-35」×64機だ。
また、露軍は、ウ軍のMi-24よりも新型であるKa-52、Mi-28を230機保有している。露軍とウ軍の攻撃ヘリを比較すれば、露軍が圧倒的に有利だ。
露軍の攻撃ヘリ約400機をすべて展開して、1機で7両の戦車を撃破できるとすれば、2800両の戦車を撃破できる計算になる。
露軍は、欧州からモスクワまでの大平原では、突進してくるNATO(北大西洋条約機構)の戦車軍団を撃破するには最適の兵器であると考えていたはずだ。
攻撃ヘリは、広大な平原を素早く飛行して、射撃の位置を変え、ミサイルとロケットを撃ち尽くせば、補給地まで飛行して戻って補充すればよい。
そして、何度も攻撃に加入できる。
戦車は砲弾を撃ち尽くし、燃料がなくなれば、砲弾や燃料が来るまでそこで停止せざるを得ない。
弾もなく停止していれば敵に破壊されてしまう。攻撃ヘリには、この欠点はない。
そのため、露地上軍のキーウ攻略作戦では、攻撃ヘリが大活躍すると考えていた。
しかし、実はウ軍のスティンガー携帯地対空ミサイル(携帯SAM)に撃破され、その行動は止められてしまった。
露軍は、戦車軍団を撃破するために、多額の予算を投入して攻撃ヘリを生産し、保有してきたはずである。』
『3.露軍攻撃ヘリの対戦車戦闘の現状
露軍は侵攻当初、戦闘機・攻撃機と攻撃ヘリの両方で、重要都市や軍事拠点(空港や防空兵器)を叩いて、友軍の地上軍の快進撃を掩護するはずであった。
最初の総攻撃の2週間、第2回目の総攻撃の4週間目には、戦闘機等および攻撃ヘリが地上軍の進撃を支援して、地上軍は、北部・東部・南部で進展できた。
だが、攻撃ヘリを含むヘリは最初の2週間で約80機、4週間目で約40機、最初の1か月に120機の損失を出した。
保有数の約15%、投入数の約20%であった。
露軍のヘリ保有数は823機だ。攻撃ヘリは約400機なので、全数の約50%である。
攻撃ヘリは前線で攻撃に介入し、1か月で120機の半数の60機あるいはそれ以上が撃破破壊されたと考えられる。
10か月で、ヘリ総数の267機が撃墜破壊されているので、攻撃ヘリはその半数の約130あるいはこれ以上の数量が撃墜破壊されたであろう。
たった1か月間でこれだけの損失が出たのは、大きなダメージである。
そして、ウ軍の防空兵器特に、携帯SAMが至る所に展開しているため、攻撃ヘリによる攻撃では成果は出ないし損害も大きいので、2か月目以降は、積極的にウクライナ領域に侵入して攻撃することができなくなった。
つまり、地上軍の作戦を緊密に支援できていないのだ。
露軍ヘリの損失:左が週毎、右は月毎 』
『4.露軍の攻撃ヘリは今も戦車キラーか
露軍の攻撃ヘリは、ウクライナの戦場で戦い、活躍しているのだろうか。
今、ウクライナの戦場で活躍しているのは、ウ軍に提供されたHIMARS(High Mobility Artillery Rocket System=高機動ロケット砲システム)や長射程精密誘導砲弾だ。
そのHIMARSを使用したクライナ地上軍が、これまで散々悩まされてきた露軍の火砲とその弾薬庫を破壊している。
ウ軍のHIMARSなどを破壊できるのは、露空軍の航空攻撃か攻撃ヘリによる攻撃だ。露軍の火砲ではできない。
ところが、航空攻撃はウ軍の防空兵器を恐れ、露の領域から出てウクライナに奥深く入り込んでいない。
ウクライナの平地を超低空飛行して、ウ軍の防空網をかいくぐって、ウ軍の地上部隊特に、HIMARSの位置に飛行して接近して攻撃できる兵器は唯一、攻撃ヘリだけだ。
攻撃ヘリによるウ軍HIMARS等への攻撃(イメージ)
ギャラリーページへウクライナの戦いでは、攻撃ヘリがHIMARSキラーになってもよいはずなのだが、そうなってはいない。
攻撃ヘリもウクライナの領域に深く入り込んで、攻撃するということは、極めて少ないようだ。攻撃ヘリが本来の役割を果たしてはいないのだ。』
『5.ウクライナの戦場で活躍できない攻撃ヘリ
戦車キラーと言われた露軍攻撃ヘリは、ヘリの損失や映像画面などで判断すると、一部だけが作戦行動しているようだ。
機甲戦主体である地上戦でなぜ、戦車キラーである攻撃ヘリが活躍していないのか。その理由を考察する。
その1:平坦なウクライナの地形では、ヘリが空中を飛行すると、直ちに発見される
攻撃ヘリは地形に沿って飛行する。匍匐飛行して発見されないように近づき、そして、対戦車ミサイルを発射する。
ウクライナの地形は起伏がなく、地平線まで見える平坦地であるがために、攻撃ヘリの飛行を秘匿することができない。
攻撃ヘリが捜索レーダーに発見されないように、超低空あるいは地上10メートルくらいを匍匐飛行していても、上空を監視する兵から発見される。
その2:携帯SAM等の格好の餌食になる
発見されれば、携帯地対空ミサイルで、さらに地を這うように飛行しても、ジャベリン対戦車ミサイルに狙われる。
どちらもミサイルは命中する。
ジャベリンは対戦車ミサイルなのだが、発射されたミサイル自体が、目標物を画像として認識し、それに向かって追随していく。
攻撃ヘリに対する携帯SAM・ジャベリンの射撃(イメージ)
ギャラリーページへ元来、攻撃ヘリは敵の戦車、火砲(HIMARS)、防空ミサイル陣地まで接近し、攻撃することができる。つまり、それらの天敵なのだ。
したがって、露軍の攻撃ヘリは、ウ軍の後方地域に配置されているHIMARSや防空ミサイルを攻撃できる唯一の兵器だ。
だが、ウ軍のこれらの兵器が、露軍の攻撃兵器で、攻撃を受け破壊されたという情報を見ない。
前述のように、最初の1か月は、露軍の攻撃ヘリが果敢に攻撃をして、携帯SAMなどから攻撃され、多くの被害を出したが、その後、動きがほとんどない。
テレビ映像でも見ることはない。ウ軍の末端の部隊まで携帯SAMが配置されていれば、露軍の攻撃ヘリは、手足が出せずお手上げ状態なのだ。』
『6.米欧供与の戦車キラーにはなれず
現在、米欧から戦車や歩兵戦闘車が供与される可能性が高まってきた。
各種報道によると、英国は「チャレンジャー2」戦車14両と装甲車数百両、米国は「ブラッドレー」歩兵戦闘車59両と「ストライカー」兵員輸送車(*実態は戦闘車)90両、フランスは「AMX-10RC」装甲車(実態は戦闘車)数量不明、ドイツは「マルダー」歩兵戦闘車約40両、ポーランドとフィンランドがドイツ製の「レオパルド2」戦車(ドイツの承認待ち)、ドイツ企業は「レオパルド」戦車100両以上供給する用意などがあるという。
*装甲車の名称ではあるが、実態は「戦闘車」である。陸自も米仏の装甲車と同様の兵器を保有しているが、名称は、「機動戦闘車」としている。
これらの戦車等の敵は、戦車、対戦車ミサイル、攻撃機だが、最大の天敵は攻撃ヘリだ。
本来であれば、露軍の約400機に近い攻撃ヘリが大活躍するはずであった。
ところが、侵攻当初に多くが撃墜されたために、その後、露地上軍の戦闘を支援している様子はない。
露軍パイロットは、「ウクライナ領内に入って攻撃することを拒否している」という話もある。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が春以降に大規模攻撃に踏み切るというが、米欧から供与された兵器で増強されたウ地上軍の攻撃を露地上軍が阻止できるだろうか。
戦車キラーと呼ばれた攻撃ヘリの直接支援は期待できない。戦闘機・攻撃機もそうだ。
露軍にとっては、ウ軍機甲軍団を食い止める天敵はいなくなったも同然だ。露軍がウ軍を阻止する手段(兵器)はもうほとんどない。露軍が期待できるのは、都市を攻撃するための軍用機からのミサイル攻撃、短距離弾道ミサイル攻撃、自爆型無人機だけだ。
これらも、今後供与されるパトリオットミサイルが加われば、ほとんど撃ち落とされる。
露軍は、東部では国境線まで後退し、南部ではクリミア半島を放棄することになる可能性が高まった。』
『7.日本では極めて有効な攻撃ヘリ
最後に、日本の防衛のために付け加えておきたい。
日本は、地形の起伏があり、その地理的範囲は、北から南まで3000キロもある。予想していない地域に上陸侵攻された場合の対処には、迅速に本土から島嶼などに展開する必要がある。
それには、攻撃ヘリは最適な兵器で、絶対に必要な兵器である。
攻撃ヘリが、ウクライナで活躍しないから、高価だからといって、無人機に置き換えるというのは早計過ぎる。』
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ロシア社会は“プーチンの戦争”を止められない
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/01/27/28858.html『「ロシアには人々が意見を表明できる仕組みがない」
ロシア社会について独自の分析を続ける社会学者として知られるレフ・グドゥコフ氏は、いまのロシアの現状をそう語りました。
政権に批判的な姿勢を変えることなく、世論調査や分析を続けてきた独立系の世論調査機関「レバダセンター」で、所長を務めてきたグドゥコフ氏。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア、そしてプーチン大統領をどう見ているのか。
話を聞きました。(聞き手 モスクワ支局記者 禰津博人)
レバダセンター グドゥコフ氏とは
2003年に設立された「レバダセンター」で長く所長を務めてきたレフ・グドゥコフ氏。
「レバダセンター」は2016年、プーチン政権によって、いわゆる「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも独自の世論調査活動や分析を続けています。
2021年5月に所長を退任したあとも、研究部長としてロシア社会について独自の分析を続け、リベラルな論客として活動しています。
※以下、レフ・グドゥコフ氏の話
ロシア社会の現在地は?
戦争は、名目上はほぼ変化なく支持されており、ピークは2022年3月で、その後いくぶんか低下しましたが、およそ72%から75%になります。
一方で、特に2022年9月の動員宣言後、軍事活動の停止や交渉の開始を願う人が増え始めました。それまで戦争はバーチャルな、テレビの中での性格を帯びており、国民の大多数には影響していませんでしたが、動員のあと態度は変化しました。
8月には、48%の人が「勝利で終わるまで、ウクライナを完全に壊滅させるまで戦う必要がある」と主張し、44%が「もう停戦交渉を始めるときだ、戦争は長期化している、戦争の代償は高すぎる」と考えていましたが、10月以降には50%以上が軍事活動の停止に賛成し、戦争の継続に賛成した人は30%から40%台にとどまりました。
人々は戦争に疲れました。
いまのロシア社会の雰囲気は、不安、将来の不確実さ、そして恐怖です。
動員は招集された本人だけでなく、親の世代にも動揺をもたらし、国外に多くの人が逃れたことも、社会にある種の雰囲気を生み出しています。物価上昇や制裁など、ネガティブな感情も混ざり合っています。
戦争を支持する一方、交渉を願うのは矛盾では?矛盾しているように感じるだけです。
ロシアは民主主義国ではありませんし、世論は体制が下す決定に何の影響力も持っていません。
体制はますます抑圧的になりつつあります。
ほとんど全面的な検閲が導入されました。ウクライナでの軍事活動の開始とともに、260以上の人気のある出版物、インターネットのポータルサイト、「モスクワのこだま」といったラジオ局、「ドーシチ」のようなテレビ局、ネットメディアの「メドゥーザ」などが閉鎖され、情報の真空状態が発生しました。
国民の大多数はここへのアクセスを失い、国営テレビからすべての情報を得ています。これは非常に攻撃的で、うそが多くデマに満ちた、非常に強力な全体主義的なプロパガンダの影響力を持つチャンネルです。
部分動員に対する抗議集会中に拘束される市民 (2022年9月 モスクワ)
ロシア軍の活動を批判すること、これについて話すこと、そもそも「戦争」という単語に言及したり、民間人や軍人の損失に関するすべてに言及したりすることなどが禁止されています。情報管理を強化しているのです。
1万5000以上のウェブサイトが現時点で閉鎖され、名誉棄損などに関する刑事事件の訴追件数はブレジネフ時代の政治犯の人数にすでに近くなっています。
威嚇することで自分の意見を表明するなどの権利を失わせながら、国民、社会への弾圧を進めています。体制はただ強権的になりつつあるのではなく、独裁的になりつつあります。
社会の中に恐怖があります。そしてこれはすべての出来事への不満を率直に表現する可能性をまひさせている、非常に重要な要因です。
ソビエト時代の二重思考の技能はここに由来しています。自宅の台所でなら、罵ったり思っていることを話したりできます。ですが、公の場では人々は政権が彼らに期待している通りに行動するのです。
動員宣言後の変化は?
動員宣言後、実際に急激な不安、恐怖、憤りの感情が湧きましたが、それは、プーチン氏が宣言していた軍事的に最も強い超大国、超近代的兵器の保有国に関する神話が目の前で崩壊したからです。
ロシアによる新型ICBM「サルマト」の発射実験(2022年4月)
ロシア軍がはるかに弱いはずのウクライナ軍をたたきつぶしたり、勝利したりすることができないということは、何かがおかしいということになります。プロパガンダがうそをついているのか、何か隠された問題があるということになります。そして人々はもう自分たちで考えを巡らせています。これは神話が崩壊しているのであり、実際に強力な軍事大国としての政権の正統性の土台が侵食されています。
ロシア人の半数以上は戦争の終結を望んでいます。
ウクライナでのロシア軍の破壊はあまりに大きく、損失の人数はロシア国防省が発表したよりはるかに多く、これは増える一方であるというおぼろげな理解があります。
人々の意識、記憶には、第1にソビエトのアフガニスタン侵攻とその敗北についての記憶が残っており、第2にチェチェンの記憶があります。2度のチェチェン紛争は不公平なものとして認識されました。
ウクライナでの軍事活動については、ロシア人全員がこれは3日間、あるいは3週間のことだと予想していました。そうはなりませんでした。
この戦争の規模と期間そのものが、戦争への強い疑いと、実際に戦争を望まない気持ちを生み出しています。戦争疲れ、恐怖、身近な人々を案じる気持ちや経済的影響を心配する気持ちを生み出しているのです。
戦争を始めるのは簡単ですが、これを終わらせるのは非常に困難です。
そして人々が推量している、戦争そのものの長さ、経済的影響、身近な人々が殺りくの場へ招集されることの危険性は、想像していた以上にはるかにひどく怖がらせています。
人々は戦争を望んでいませんし、そもそも自身の日和見主義と体制順応主義の下で、平和に暮らしたいと思っています。
今回、私たちは戦争に関する熱狂をまったく確認していません。これが2014年のクリミア併合の際にあったこととは異なります。クリミア併合は流血なしの素早い作戦でした。2022年3月にはこれを期待していたものの、うまくいきませんでした。戦争は長期化し、損失の規模は大きくなっていく一方です。
クリミア・セバストポリ(2014年3月)
政権プロパガンダに変化か?
2022年1月ですら、37%がウクライナとの戦争が起きると考えており、さらに25%がその戦争はNATOとの対立に移行するだろうと考えていました。つまり、60%以上がこうなると予想しており、非常に恐れていたのです。
ただ、これが数日の、最大でも数週間の、時間的にも規模的にも局所的な特別軍事作戦になると宣言されたとき、これはいくぶんかの安心と支持をもたらしました。しかも、東部ドンバス地域のロシア語話者住民の保護、ウクライナ国家の非ナチ化など、政権が掲げた動機や目標は国民が理解できるものでした。
これはウクライナ人へのさまざまな共感や同情、親近感を一瞬で破壊し、彼らを非人間化し、支持を生み出しました。
しかし、いまはプロパガンダの方向性が変わっています。
今ではロシアが戦っているのはもうウクライナのナチズムではなく、集団的な西側諸国であり、この状況に耐えるようにとプーチン政権は呼びかけています。
NATO首脳会議でウクライナ支援を協議(2022年3月)脅威はまさにNATO、アメリカから生まれているとされ全体的な脅威となったことで、政権に対していくぶんかの忠誠心を持ち続けていなければなりません。
ウクライナとの戦争の責任は何よりもアメリカにあると考えている人は60%以上います。ウクライナが悪いと考えている人は17%のみです。ロシアだと考えているのはおよそ7%です。
制裁はどの程度影響している?多くのロシア人は制裁を感じていません。
実際に制裁の影響を感じているのは国民のおよそ18%、最大で20%です。これは中産階級、あるいは上位中産階級と呼ばれる人たち、大都市の比較的裕福で教育水準が高く、市場経済により組み込まれている人たちです。
モスクワ市内そういった人たちは、このプーチン氏の思惑がどのような影響をもたらすか、情報をより多く持ち、より理解しています。彼らは恐怖を感じています。
外国へ去った人々の大部分がまさにこうした人たちなのは偶然ではありません。IT専門家、金融業、学術研究員、大学の教員などです。
一方、大多数は貧しい生活をしています。農村や、農村での生活水準とあまり差のない小都市の住民です。
とても貧しい住民で彼らの生活は悪くなりましたが、物価が上昇しても彼らの意識の中では戦争や制裁と、自分たちの経済的、物質的状況の悪化は関係がありません。この関係は完全に断ち切られています。
反対派がおらず、情報空間は完全に管理されており、人々には耳を傾けることのできる権威ある意見がないので、起きていることを解釈できないのです。
プーチン氏の支持率は?
プーチン氏の支持率は非常に高いです。
2022年5月から6月にわずかに下落しましたが、最近の調査(※2022年11月)では79%が支持しています。これは非常に高い数字です。
ですが、この数字はプーチン氏には責任がないことを示しています。人々はプーチン氏を問題の責任者だとみなしていません。国家の象徴であり、西側の侵略に対応する指導者だと考えているのです。
この状態は全体主義的であると言えます。インターネット上ではファシズム、ロシアファシズムと言う人がますます増えています。
実際に国家機構の活動はますます明白になっており、国家が従来はその管轄に入っていなかった、科学、芸術、家族生活、道徳、宗教、文化、教育などの部門へと管理を拡大していることは事実です。
国家は全体主義的であることを自認しています。そしてまさにこれこそが全体主義です。
ロシアの中で現状を変えられるのは?モスクワ クレムリン
唯一の要因となるのは指導部内での公然とした衝突です。
ハイレベルの指導者の一部は疑いの余地なく、この戦争のとても重大な影響を理解しています。
経済、技術発展において、ロシアは20年後退し、これは元に戻りません。これは向こう数年で埋め合わせることができません。生活水準は低くなります。ですが、ロシアのエリートは国民の大多数の生活水準が低下しても生き延びるでしょう。
エリートはいま恐怖、そして抑圧によって支えられています。毎年、高官のおよそ2%が逮捕され、裁かれています。6、7年で平均2%です。つまり、ハイレベルの指導部のおよそ10%から15%が刑務所に入れられたということになります。
私たちは遅かれ早かれ、指導部内の公然とした衝突を目にするでしょう。
そうなれば世論が大衆の雰囲気を表現するチャンネルとなると思います。そうなって初めて、何かが変わるかもしれません。ただ、今はまだそうではありません。
2024年3月予定の大統領選挙の見通しは?
2022年12月31日 大晦日恒例の国民に向けた演説を行うプーチン大統領
1年前であればプーチン氏が選挙に出ることには何の疑いもありませんでした。
そもそも、そのために憲法全体、憲法の手順全体が改正されました。そしてプーチン氏が選ばれることにも同じく疑いはありませんでした。
今はどうでしょうか。全てが軍事活動の結末次第です。
もしロシアが軍事的に敗北すれば、プーチン氏は立候補しない可能性が非常に高いです。そうなれば、そもそも彼の政治生命は甚だ疑わしいものとなり、不確かなものとなります。
プーチン氏の選挙基盤は高齢者、教育水準が低い層、農村部、貧しくて国家に依存している層です。より保守的な層です。
30歳以下の若者はかなり激しい反プーチン的な姿勢が特徴的です。
ですが、国民の人口構成で若者はとても少ないです。加えて、若者は政治に参加できると思っておらず、政治を望んでいませんし、責任を取りたくありません。若者が選挙に行くことははるかに少ないです。
ロシア社会はプーチンが戦争をやめるように働きかけられない?
レフ・グドゥコフ氏
私はできないと思います。なぜなら人々の意見を表明できる仕組みがないからです。
政党は疑似的、装飾的な性格を帯びています。主に、政権と一体化したクレムリン党で、集団の利益、人々の考えや意見を明確にするというよりも、むしろ社会の管理を行っています。
政治システムが機能していないために、メディアは全体主義的なプロパガンダの道具に変貌しています。
警察と、大統領直属の準軍事組織、国家親衛隊は戦争に反対するあらゆる演説を弾圧しているので、人々にはできることがありません。
人々は意見を表明することはできないと思っています。
この状況に対する責任を自ら負い、状況を変える用意のある社会勢力は見当たりません。 SNSでは反対派から涙や号泣、彼らの状態に対する苦情、プーチン氏の糾弾、罵倒や憎悪が見られますが、強力な反戦活動、反対派の活動の出現につながるような具体的なものは見られません。
私は2023年を非常に悲観的に見ています。』
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デザートストーム作戦には2000両以上のM1戦車が持ち込まれ…。
https://st2019.site/?p=20826『Howard Altman 記者による2023-1-26記事「This Is What M1 Abrams Tanks Will Bring To The Fight In Ukraine」。
1992年に米会計検査院がまとめた報告によると、デザートストーム作戦(※ 湾岸戦争の時の対イラク戦争の作戦)には2000両以上のM1戦車が持ち込まれ、そのうち23両が破壊もしくは損壊させられたと。9両が、完全に破壊された。その9両のうち7両は、友軍によって誤射されたものだった。2両は、故障して動かせなくなったので、乗員の手によって爆破された。
M1部隊には、燃料補給トラックが随伴する必要がある。M1の燃料タンクには500ガロン入るが、燃費が悪いので、8時間ごとに300ガロンを給油してもらわなくてはいけない。
これは途方もない給油能力を必要とする。ウクライナ軍には無理だろう。』
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2015年に、ベルギー軍は、保有していた戦車のすべてを、Versluis氏に売却してしまった…。
https://st2019.site/?p=20826『Boyko Nikolov 記者による2023-1-27記事「Belgium wants to send tanks to Ukraine but sold them to a dealer」。
いま、ベルギー軍には、1両の戦車もない。
そしてベルギーでは、民間の武器商人が、廃車の「レオパルト戦車」を保有しているという特異な事情がある。
2015年に、ベルギー軍は、保有していた戦車のすべてを、Versluis氏に売却してしまったのだ。1両1万5000ユーロで。その後、持ち主は変わったが、廃車群は、Tournai市の同じガレージにずっと保管されている。
ベルギー政府は、これを買い戻して、あらためてウクライナに送ることを検討しはじめた。
しかしVerslius氏が手放したときの価格はぜんぶまとめて50万ユーロだったから、それ以上のカネが必要だ。その上、アップデートの再整備も必要だ。
Verslius氏にいわせると、50万ユーロは安い買い物だと思うが、コンディションはボロボロなので、このままウクライナへ贈ろうとは考えない方がいい。高額な粗大ゴミ輸出になってしまう。
同じような酷いコンディションなのがスペイン保有のレオ2。2022夏に、これを有料でウクライナに委譲しようかという話があったが、ボロボロなのを実見してウクライナ政府側で断った。必要な修理費はEUが出してくれるとしても、ウクライナ国内では整備のしようがないレベルだったのだ。
ベルギー軍はべつに「戦車無用論」を唱えているわけではない。だが戦車というものは、もしそれを保有しようとするならば、IFVもSPも戦車回収車も工兵車も架橋車もすべて「セット」として必要になる。すなわち氷山の頂点のようなもので、少数の戦車戦力を整えるにも、多額の軍事費が毎年、かかるようになる。その負担にベルギー財政は耐えかねた。それで、むしろ他の兵器を整備することにしたのである。
※雑報によるとベルギーの軍需企業が試算値を出した。レオ1A5BEを改修してウクライナに援助するには、履帯の修理に12万ユーロ、エンジン修理に18万5000ユーロ、ショックアブソーバーの交換に36000ユーロ、FCSの更新に50万ユーロかかりますよ、と。
※ベルギーはAMRAAMをウクライナへ寄贈する。これはSAMとして用いてもらうためのものである。
※複数の報道。米国がF-16の供与を検討しはじめたので、フランスはラファールかミラージュを寄贈して先手を打つのではないかと。』
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エストニアは1990年代から、ドイツ製のクラスター仕様の155㎜砲弾を蓄積している。
『2023-1-27記事「Estonia wants to transfer cluster ammunition to Ukraine, German permission is needed」。
エストニアは1990年代から、ドイツ製のクラスター仕様の155㎜砲弾を蓄積している。それをウクライナに委譲したいので、ドイツ政府に許可を求めている。
2010年のクラスター禁止条約に、ロシア、ウクライナ、エストニア、アメリカ合衆国、中共、イスラエルなどは、加わっていない。
昨年末にCNNは、米政府がウクライナ軍のためにクラスター弾薬を供給することを検討中だと報じた。』
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ロシアのマニュアルでは、市街地を米軍の戦車から防禦するRPG歩兵は、ビルの3階より低いところに位置せよ、としている。
https://st2019.site/?p=20826『Tanmay Kadam 記者による2023-1-27記事「How To Kill An Abrams! Russian ‘Experts’ Issue A Guidebook On Where & How To Destroy The US Main Battle Tank」。
ロシアのマニュアルでは、市街地を米軍の戦車から防禦するRPG歩兵は、ビルの3階より低いところに位置せよ、としている。そして、できるだけ異方向から、M1の天板、側面、車体後部を照準せよと。
M1のエンジンルームには自動消火装置もあるのだが、露人にはそこは分かってないらしい。
過去、戦場でM1の砲塔がふきとぶくらいの損害を受けたことは1回しかない。それは2003-10のイラクで、155㎜砲弾多数とIED複数の連携戦果であった。米兵乗員2名死亡。
※意外かもしれないが、戦車の弱点は「砲身」である。それは「防弾鋼」ではできていないので、ふつうの徹甲弾やHEATでも容易に穴があいてしまうのだ。穴があいたら、もうその主砲は使えない。主砲の回りに「爆発反応装甲」を巻き付けている軍隊も無い。』
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欧州各国が供出するレオ2は、FCSや無線が国ごとに異なる。
https://st2019.site/?p=20826『Loveday Morris、Emily Rauhala、Dan Lamothe、and David Stern 記者による2023-1-26記事「Ukraine faces logistics hurdles ahead of tank deliveries」。
欧州各国が供出するレオ2は、FCSや無線が国ごとに異なる。たとえばスペインとフィンランドはどちらも「A4」型だが、FCSと無線に関してはインターオペラティヴではないのである。
チャレンジャー2の戦車砲は、120ミリの口径は同じでも、施条砲なので、その弾薬は、滑腔砲であるレオパルトやM1とは共用ができない。チャレンジャーだけしか使えない特別な弾薬が補給される必要があるのだ。
M1に対する補給線はポーランドから延ばしていくことになるだろう。
M1の乗員訓練は、おそらくドイツのグラフェンヴェール訓練場(バイエルン州)ですることになるのではないか。すでにそこでは米軍教官が600人のウクライナ兵に、機甲と砲兵の連携術について教育を開始している。
※雑報によると、モロッコは3003両も戦車を保有しているそうだ! そのうち173両の「T-74EA」をウクライナへ進呈する意向で、すでに70両は輸送されたと。そして注目は、他に「M1」も持っていること。なぜ米政府はこいつをとりあえずウクライナへ割愛させようとしないのか、理解に苦しむ。オースティンは、ウクライナに「新品」を長期にわたって「購入」させるスキームをバイデンに提案したようだ。選挙対策かよ!』
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スイス議会のウェブサイトによると、ようやくスイスは説得されたようだ。
https://st2019.site/?p=20826『Defense Express の2023-1-27記事「Switzerland Plans to Allow Armament Re-Export, Ukraine Might Get More Weapons And Ammunition」。
スイス議会のウェブサイトによると、ようやくスイスは説得されたようだ。
スイスは、外国が買ったスイス製の兵器・弾薬を、その外国からまた、現に交戦している国(ウクライナ)に移転することを許す意向。スイス連邦議会の下院の安全保障政策委員会が新方針を打ち出した。
再輸出禁止の原則は、次の場合には適用しない。すなわち、ある国が国際法を破って軍事力を行使した事態が現に発生しているときの、当の被侵略国を援助しようという場合。』
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商用4WD車(左ハンドル)の右側ドアをそのまま81㎜迫撃砲の底板にする場合、この「簡易型自走中迫」システムはどこまで軽くできるか?
https://st2019.site/?p=20823『いまウクライナ軍に必要なのは、配備まで半年もかかる重戦車ではなく、いますぐ急速に、続々と展開できて、訓練がほとんど必要なく、弾薬補給の心配も将来にわたってまったくありえない「移動火力」である。
これなら量産と増強のテンポにおいてロシアの今の後方能力を圧倒できる。
システムまるごとの進退、集中、分散が機敏であるので、ロシア側からみると「対抗不能」である。
どこが敵の弱点か(いままさに火力を集中すべき方面か)は、最前線のウクライナ兵が判断すればよく、高級エリート幕僚の育成も必要がない。
この簡易システムにより、最前線の敵軍の士気は全線で萎靡すると期待ができる。
ではそれをいかにして実現しうるのか、以下に説明する。
6人乗れる商用4WD車をカスタムベースにする。
前列の右席は取り払い、そこに81㎜迫撃砲(砲身13~16kg、支持架13kg)を固縛する。右側ドアは取り払い、かわりにランプドア(あおり開閉板)をとりつける。
迫撃砲の底板(12~13kg)は、走行移動中は、そのランプドアに固縛された状態だ。ランプドアの開閉は、ワイヤー+滑車+手回しクランク による。
ランプドアのヒンジは、リジッドにはせず、簡便にとりはずせる構造とし、発射衝撃等によってランプドアがいくら歪もうとも開閉に特に不自由は起こらぬよう配意する。参考値。商用乗用車のドア1枚は、十数kg~25kgていどの重さがあるらしい。
車両の後席には、砲員2~3人を乗せ、当座発射見込み分の迫撃砲弾(1発 4.1kg)を、複数発、積む。
81㎜迫撃砲弾に充填されているTNTは700グラムである。ドローンから投下できるチャチな擲弾とは比較にならない致死威力を発揮する。
一般的な対人用の81㎜の迫撃砲弾は、最小レンジは150m。最大は5600m。零下46度でも問題なし。
もし、ACERMという特殊な高性能弾薬を使うと、レンジは20km、GPSまたはレーザー誘導で誤差1mで落ちるという。
対戦車用の特殊な81㎜の自律誘導砲弾もある。5km台という距離は、最も簡便なクォッドコプターの往復進出可能距離(ラジオ通達距離)にほぼ一致する。偵察と、射弾の観測は、商用のクォッドコプターを役立てることができる。
5km以内まで敵戦車が近寄ってくることは考え難い。というのは、その距離だとジャヴェリンやTOWが届くので。
このシステムは、数週間にして数百、数ヵ月にして数千、2年あれば数万も増強してやることができる。露軍はもっかの後方兵站環境ではこれに対抗することはできず、全線で、圧倒されてしまう。
西側製の重戦車×数百両で、1年後に、露軍を敗退させたとしよう。そのあとのウクライナはどうなる?
専門の訓練を受けた膨大な人数の戦車兵を、戦後も、そっくり、維持し続けなくてはならなくなる。それは民間経済の復興に回せる人材を無駄に拘束することと同義である。
私が提案する簡易火力システムならば、兵隊は戦後は全員、復員してしまって可い。
車両は、迫撃砲を卸してしまえば、商用の運搬車として復興に使うことができる。迫撃砲は倉庫にしまっておいても邪魔にならない。
この簡易火力システムは、台湾有事など、将来、別な地域で侵略事態が発生したときにも、各地に同じようにして応用することができる。
読者の篤志の方にお願い。
このコンセプトに基づいて実車サイズのモックアップを製作し、その動画を撮影してSNSにUpしてくれる人はいないだろうか? 世界の軍事バランスを日本のアイディアで変えよう!
なお御礼として、道南の回転寿司くらいは、奢らせていただきます。』













