内閣人事局長に栗生氏
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021100500015&g=pol
『政府は4日、内閣人事局長に事務担当の栗生俊一官房副長官を充てると発表した。また、同日付で内閣官房参与の人事を決定。飯島勲、今井尚哉、岡部信彦、熊谷亮丸、宮家邦彦、村井純、岡村健司、山崎重孝の8氏をそれぞれ再任した。 』
内閣人事局長に栗生氏
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021100500015&g=pol
『政府は4日、内閣人事局長に事務担当の栗生俊一官房副長官を充てると発表した。また、同日付で内閣官房参与の人事を決定。飯島勲、今井尚哉、岡部信彦、熊谷亮丸、宮家邦彦、村井純、岡村健司、山崎重孝の8氏をそれぞれ再任した。 』
「首相秘書官」「首相補佐官」どう違う? “影の総理”評の大物も
(2018/5/11(金) 14:20配信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5cb82682457d2dbdd8b0bce97c39c7fc898e988b?page=1

『日本の行政トップは内閣総理大臣(首相)ですが、時に“影の総理”や“総理の懐刀”と呼ばれる人たちがいます。中曽根康弘内閣時代の後藤田正晴官房長官や小泉純一郎内閣での飯島勲首相秘書官らがその人です。
【写真】ニュースでよく聞く「政府」ってそもそも何?
いま国会を揺るがしている森友学園や加計学園をめぐる問題でも「首相秘書官」「首相補佐官」が注目されています。国会質疑の中で、今井尚哉(たかや)首相秘書官や和泉洋人首相補佐官、最近では元首相秘書官の柳瀬唯夫氏がニュースで取り沙汰されています。
首相を支える官邸スタッフにはさまざまな役割の人たちがいます。それぞれどんな権限があって、どんな仕事をしているのでしょうか。
◇
東京都千代田区永田町2丁目。国会議事堂の南西側、東京メトロ溜池山王駅のすぐそばにあり、外堀通りからよく見えるガラス張りの大きな建物が総理大臣官邸(首相官邸)です。
普段から厳重な警備がされている首相官邸は、首相が仕事をする上での拠点になっており、「内閣官房」という首相を支えるチームも仕事をしています(内閣官房自体は内閣府庁舎と官邸に置かれています)。つまり官邸は、日本の行政府が入っている建物で、行政府の象徴と言ってもいいでしょう。
●内閣官房と内閣府
よく似た名称の組織なので、混同されることが多いのが「内閣官房」と「内閣府」です。ともに首相主導の政治、内閣機能の強化の実現のために誕生し、組織改編されました。
内閣府は、2001年に総理府・沖縄開発庁、経済企画庁が統合して生まれました。内閣の重要な政策ごとに内閣官房を支えます。首相を補佐するというよりは、大臣で構成される内閣全体を支えるといった色合いが強いと言えるかもしれません。
これに対して内閣官房は、総合的な戦略を立案して、首相自身の政治的な決断やリーダーシップを助ける役割を担う組織です。トップはもちろん内閣官房長官です。
内閣官房は首相のブレーン的な役割、内閣府はその内閣官房の補佐と調整をする部署と考えるとイメージがしやすいかもしれません。今回は、主にこの内閣官房とその中の役職について見ていきます。』
『●首相秘書官
[図]首相を支える主な役職
首相秘書官は内閣官房の一員で、正式には「内閣総理大臣秘書官」といいます。その名の通り、首相に影のように寄り添って、各種の事務を取り扱い、首相の指示で政府の各部署や与党、各省庁などとの調整に当たる大事な役職です。
首相秘書官の存在は内閣法第20条で決められ、定数を7人とする国家公務員です(将来的には定数は5人になる見込み)。その内訳は、政務担当秘書官1名、事務担当秘書官6名の計7名で構成されています(あくまで慣例)。
政務担当秘書官は、一般的に「首席秘書官」と呼ばれることもあります。首相に永年連れ添ってきた国会議員秘書が就くことが多く(近年は官僚からの登用もみられる)、首相秘書官の取りまとめ役としての色合いが強くなっています。大臣である副総理や官房長官を除けば、ある意味、首相に最も近いポジションとも言えます。
森友学園などをめぐる一連の問題で、キーパーソンとして取り沙汰される今井尚哉氏は、現在、安倍晋三首相の首席秘書官であり、まさにこの役職に就いているということになります。今井氏は経済産業省出身で、第一次安倍内閣では事務担当秘書官を務め、その際に安倍首相と確固たる信頼関係を築いたといわれています。
加計学園の問題で名前が挙がっている柳瀬唯夫氏(現経済産業審議官)は、第二次安倍内閣で2012年12月に事務担当の首相秘書官に任命されました(2015年8月に退任)。
首相秘書官は、具体的にどのような業務を担当しているのでしょうか。柳瀬氏は10日の国会での参考人招致の中で、こう答えています。「首相が所掌する政策分野は広い。私(の担当)はイノベーション、成長戦略、TPP、地球環境問題、エネルギー、規制改革など多岐にわたる。それぞれごとに現状や課題について担当の部署などから話を聞き、必要なことは首相に相談し報告する」
2013年11月に女性初の首相秘書官に就任した山田真貴子氏(2015年7月に退任)も首相官邸のホームページで「情報通信政策、女性登用政策、地域活性化策などを担当するとともに、広報担当として総理官邸の情報発信、記者対応等を担っています」と説明しています。
ちなみに政務担当である首席秘書官には、今井氏のように首相からの信頼が厚い人物が任命されることが多く、その意味で、首相に強い影響力を持つと評されることがあります。歴代の秘書官の中では、小泉内閣における飯島勲氏(メディア戦略に長け、政務担当秘書官として官邸を束ねる)の当時の政権内での影響力の大きさはよく語られるところです。
これに対して事務担当秘書官は、基本的に財務省、外務省、警察庁、防衛省、経済産業省から1人ずつ内閣官房に出向する形で役割を担います。出向してくる秘書官は、出身省庁の課長級や局次長級、あるいは審議官級というエリートで、将来の事務次官候補と目されるケースが多いのが特徴です。』
『●首相補佐官
首相秘書官とよく似た名前の役職として「内閣総理大臣補佐官(首相補佐官)」があります。秘書官と同じく、内閣官房の一員です。基本的には、与党の国会議員がその職に就きます。内閣法第19条に規定されていて、特定の政策の企画や立案に当たる仕事です。定数は5人です。首相補佐官は、首相直属のスタッフとしての色合いが強く、時の政権が取り組む重要な政策や外交防衛問題など高度に専門性の高い政策の立案にも携わります。
首相秘書官と首相補佐官。どちらの権限が大きいかは、なかなか難しいところです。補佐官が特定の政策立案のスタッフだとすれば、秘書官は省庁間の調整を含めたかなり広範な実務を担っている、まさに首相の秘書としての役割ということができるでしょう。したがって実質的な首相への影響力は首相秘書官の方が大きいと見る人もいます。しかしこれも、首相と秘書官、補佐官の関係性や、国会議員であるか官僚出身か、政治家としてのそれまでのキャリアや人柄などによって変わってくるものでもあります。
●官房長官
内閣官房長官は、内閣官房の長です。国会議員から選ばれ、閣僚の一員でもあります。「首相の女房役」と呼ばれることもあり、内閣官房の事務全般を取り仕切る役職です。組閣の際、最初に任命される点からも、その重要性が分かります。過去には、中曽根内閣での後藤田正晴氏、橋本龍太郎内閣の梶山静六氏、小渕恵三内閣の野中広務氏らのように“影の総理”と称される大物もいました。
主な役割としては、内閣のさまざまな案件について、行政の各部署、国会各会派(特に与党)との調整役のほか、内閣の取り扱う重要な事柄や、政府としての公式見解などを発表する「政府報道官」(スポークスマン)としての役割があります。第二次安倍内閣以降は、菅義偉(すが・よしひで)衆院議員がその職に就いています。官房長官経験者が後に首相になるケースも多くあります(鈴木善幸内閣の宮沢喜一氏、竹下登内閣での小渕恵三氏、小泉内閣での福田康夫氏ら)。
官房長官を補佐する役割としては、内閣官房副長官がいます。特別職国家公務員で、定数は3人です。慣例によって、政策担当として衆院議員と参院議員で2人、事務担当として事務次官経験者などのキャリア官僚から1人が任命されます。』
『●省庁の官房
実は内閣だけではなく、各省庁にも「官房」と呼ばれる役職があります。省や府、庁、行政委員会と会計検査院に置かれる部局の一つで、各組織の内部管理と行政事務の総合調整を行います。各省庁内の各所と調整を行う役割と考えると分かりやすいでしょう。基本的にキャリア官僚がその職に就きます。
機能強化と首相官邸
今回、解説している各役職は「首相官邸機能の強化」あるいは「内閣機能の強化」の流れで設置され、その役割が見直されてきた経緯があります。
官邸機能の強化は、アメリカ大統領府の大統領補佐官制度や、イギリス型の議院内閣制などを手本にされているといわれています。
そもそも首相官邸では、従来は財務省や総務省、外務省といった中央官庁の役人の力が強かったため、その状況を改めるべく、国民が選挙で選んだ国会議員から選出される首相を筆頭とした官邸機能を強化することを目指しました。また、首相が任命する大臣の集まり、つまり内閣の力を強めて、政治家主導でさまざまな政策を決定し、実行していく狙いがあります。
こうした方向性が生まれたきっかけは、1995年の阪神大震災で政府の初動対応が遅れたという苦い経験にあります。当時、首相官邸のスタッフは、内閣官房長官、官房副長官を除くと全てが官僚でした。日本の官僚機構は優秀ですが、さまざまな局面で必ずしも即座に判断を下せる組織ではありません。急な事態、不測の事態に機敏に対応するのは、組織の構造や法的な位置づけからして難しいのです。
特に大災害やテロ、他国からの侵略行為などの非常事態には政治家による政治判断を次々に出していく必要があります。そうした政治家の判断、首相の判断を下しやすいようにする、そうした環境を整備したのが官邸機能の強化です。
※ ※
首相の公式な事務所である首相官邸、そして内閣官房を中心に、さまざまな役割の人たちがチームを組んで、首相を支えています。政治家や政治家の秘書、中央官庁の官僚らがブレーン役、調整役として役割を担っています。こうした視点をもとに国会や政治をとりまくニュースを見ると、より分かりやすくなるでしょう。
■戸桝茂哉(とます・しげや) ライター、時事アナリスト。神奈川大学卒業。衆院議員秘書として活動後、IT企業に就職。地方創生とメディア運営の知見を生かした講演活動や独自視点を交えた政治経済予測を行う 』
首相秘書官に嶋田氏ら8人 安保補佐官は木原副長官兼務
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021100401075&g=pol

『政府は4日、岸田文雄首相の秘書官計8人の人事を決めた。筆頭は嶋田隆・元経済産業事務次官が務める。岸田事務所の山本高義氏を起用し、防衛省出身の中嶋浩一郎氏を留任させる。財務省からは2人を登用し、厚生労働省からは見送った。
与党、岸田内閣の陣容評価 「自信の表れ」「フレッシュ」
木原誠二官房副長官は国家安全保障担当の首相補佐官を兼務する。その他の首相秘書官は以下の通り。(敬称略)
宇波弘貴(財務)、荒井勝喜(経産)、中込正志(外務)、中山光輝(財務)、逢阪貴士(警察)。 』
「新・闇将軍」安倍晋三の誕生、岸田政権長期化で日本の右傾化が加速するか
上久保誠人:立命館大学政策科学部教授
https://diamond.jp/articles/-/283819
※ 重要な「視点」を、提供していると思う…。
※ それは、「総裁選」と「総選挙戦」は、「投票する層」が、違う…、ということだ…。
※ 『自民党にとって、党総裁選では「保守派」の支持が重要となるが、総選挙では、「保守派」の支持の重要性が薄れる。自民党総裁選では、各候補者が日本遺族会や日本会議など、保守系の団体に配慮をしてきた。選挙の勝敗に一定の影響を持つからだ。
「新・闇将軍」安倍晋三の誕生、岸田政権長期化で日本の右傾化が加速するか本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されています。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)』…。
※『しかし、総選挙になると、自民党は保守派に配慮しなくなる。むしろ、子育て世代、現役世代のいわゆる「中道層」の票の獲得を狙う。声が大きいが、実は多数派ではない右派や左派ではなく、日常的に政治に声を上げることは少ないが「サイレントマジョリティー」である中道層の支持を得ることが、野党を破って、政権を維持することにつながるからだ。』…。
※ 『それが、安倍政権が保守層にリップサービスをしつつ、実際に社会民主主義的な政策を実行し続けた理由だ。一方、野党の弱体化は、左傾化して中道層に失望されてしまったことで、安倍政権は長期政権を実現した(第169回・p3)。
なぜ、総選挙では保守派が重要でなくなるのか。
保守派は、自民党に不満があっても、総選挙で野党に投票することは、絶対にないからだ。だから、岸田政権も、保守へのリップサービスを続けつつ、実際には中道層に支持される社会民主主義的な政策を拡大していくことになる。それが、野党をつぶす常套策であり、自民党の権力維持のためのリアリティーなのである。』 …。
※ 「総裁選」という「疑似”首相の予備選”まがいのもの」(実態は、一政党の党首選)で「世間の耳目を集中」させ、「票の掘り起こし」を実行し、「選挙民の心理を、ホットな状態にしておいて」、投票行動に誘導し、ガッポリと票を頂く…。
※ そういう「構図」が、透けて見えるな…。
※ 今回の「総裁選」でも、結局は、「女性候補」が2人となり、華やかな「論争」が繰り広げられ、その周辺の動きも、連日、面白おかしく報道された…。
※ そして、その「ホットな状態」が冷めないうちに、「総選挙」へと突入して行く…。
※ その間、野党は、ボソボソと「選挙区での、”野党統一候補”のこと」を語る他は無い…。
※ さっぱり、「国政の舵取り」をどうするのか、「政策」をどう打つのか、という話しは聞こえてこない…。
※ これじゃ、結果は、もう見えている…、と言わざるを得ない…。
※ この人の言うように、安倍さんが「新・闇将軍」となっているのかどうかはさておき、そういう「構図」だけは、押さえておくべきだろう…。

『かつて、田中角栄元首相が、首相退任後も政界で隠然たる影響力を保ち「闇将軍」と呼ばれた。「闇将軍」とは、公式には自民党所属ですらなかった政治家が、役職に何も就かず、何の権限も持たないのに、政治のすべてを一人で決めるほどの隠然たる権力を持つという、得体の知れないものだった。しかし、今回の総裁選・党役員人事・組閣を通じて、自民党・政府の資金、人事権、公認権、利益誘導の公的な権限・権力を実質的につかんだ「新・闇将軍」が誕生した。安倍晋三元首相である。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)』
『「勝者」にさせてもらった岸田新総裁
自民党総裁選は、岸田文雄新首相が「圧勝」したといわれるが、私は彼が「勝ったのではない」と思う。総裁選で、さまざまな政治家の激しい政争の結果、岸田新首相が「勝者」になっただけだ。
岸田氏の選挙戦は、到底「勝者」のものではなかった。政局勘、戦略眼のなさは相変わらずだった(本連載第285回)。
高市早苗新政調会長が安倍氏の支援を得て出馬すると、保守派の支持を集めてネットが盛り上がった。高市氏の勢いはすさまじく、投開票日前には、第1回投票では岸田氏と高市氏のどちらが2位となるかわからなくなった。
それでも、第1回投票の開票では、岸田氏が河野氏を1票上回り1位となった。それは、安倍氏が選挙戦の最終盤で「手を緩めた」からだ。
総裁選半ば、安倍氏は、福田達夫氏ら若手が結成した「党風一新の会」の参加者などに「アベノフォン」と呼ばれるほど電話をかけまくった。「河野氏の『脱原発』に支持団体は怒っている。次の選挙で支援を得られないぞ」という内容を話し、河野氏支持を切り崩していったという。だが、アベノフォンは、投開票前にパタッと止まった。
その頃、岸田陣営と高市陣営が、決選投票での協力で合意したという報道が流れた。福田氏も決選投票では岸田氏に投票すると表明し、岸田氏勝利の流れが出来上がっていった。だが、これは岸田派側の戦略的な動きでなかったのは明らかだろう。岸田派幹部が、高市陣営との合意で勝利を確信しながらも、岸田政権は「安倍かいらい政権になる」という「自虐的」な発言もあったという。これは、岸田氏勝利の流れは、安倍氏の仕掛けだったことを示唆している。
岸田氏は、安倍氏に「勝たせてもらった」だけなのだ。』
『安倍氏による「新・闇将軍」体制の確立
自民党総裁選が、血で血を洗う権力闘争であることはいうまでもない。勝者はおいしい権力の蜜をすべて取る。一方、敗者は徹底的に干し上げられるが常だ。安倍政権時の石破茂元幹事長の冷遇は誰もが知るところだ(第190回)。今回の総裁選後も、敗者となった河野氏は「党広報委員長」へ「格下げ」となった。
ところが、岸田新総裁は、敗者を干しただけではなかった。党四役に総裁派閥・岸田派から1人も起用しないという露骨な「岸田派外し」を行ったのだ。
党四役は、「3A(安倍・麻生・甘利)」の一角・甘利明幹事長、安倍氏の「側近」・高市早苗政調会長、アベノフォンに籠絡された福田達夫総務会長、そして谷垣グループ(有隣会)の遠藤利明選対委員長となった。
内閣人事も発表され、内閣官房長官は細田派の松野博一氏が起用された。萩生田光一氏の起用も取りざたされたが、松野氏が起用された理由は、当選回数が上だからだという見方がある。
だが、それ以上に重要なのは、萩生田氏が安倍政権時のコロナ対策「全校一斉休校」に文科相として公然と異を唱えたり、菅義偉政権の組閣でも官房長官起用が取りざたされたほどの「実力者」になったことだ(第253回・p4)。安倍氏は、「実力者」の官房長官起用を嫌がった。一方、松野氏ならば、安倍氏が支配する岸田政権の方針に従い、忠実に粛々と「実務」をこなすと考えたのではないだろうか。
また、財務相には「3A」の一角・麻生太郎氏の側近にして親戚の鈴木俊一氏が起用された。鈴木氏は大ベテランだが、財政通と呼ばれる経歴はない。麻生氏は党副総裁に移るが、その後も実権を握り続けるつもりなのだ。
これが、安倍氏による「新・闇将軍」体制の確立なのである。』
『小選挙区制の時代では、「闇将軍」は現れないはずだった
正直、これまでちまたでよくいわれる安倍氏の「影響力」について懐疑的だった。派閥の親分のような大物政治家が、裏でカネを配って権力を振るったのは遠い昔の話だからだ。
90年代、「政治・行政改革」によって資金と人事と公認の権限を握るのは、首相(党総裁)と党幹事長、そして官房長官となった。一方、派閥は力を失った。だから、資金、人事、公認の権限を与えない限り、史上最長の長期政権を築いた元首相といえども、権力を振るうことはできない。首相を退任して無役となった政治家が政界に隠然たる影響力を保つというのは、難しいと考えていた。
ところが、安倍氏は総裁選で、したたかに動いて岸田氏を勝たせた。そして「人の話をよく聞くこと」が長所だという岸田氏によく話をしたのだろう。資金配分権、人事権、公認権を握る幹事長、官房長官は、安倍氏の手中に収まった。さらにいえば、選挙に直接影響する支持者への利益誘導を決める財務相と政調会長まで、安倍氏の影響下に入ったのだ。
これが、派閥の親分たちが支配した「中選挙区制の時代」とはまったく違う、「小選挙区時代」の新しい「闇将軍」の誕生だと思う。
本来、選挙制度が改革されたのは、何の公的な権限も権力も持たないはずの派閥の親分たちが、首相や党幹事長などよりも影響力を発してしまう「権力の二重構造」を壊すためだった(第16回)。
言い換えれば、小選挙区制の時代では、「闇将軍」は現れないはずだった。実際、首相や党幹事長などのポジションを実際に得た政治家が、その任期の間に権力・権限を行使する。その結果が、政権交代が起きやすい小選挙区制の選挙によって、国民から民主的に審判を受ける制度に変わった。長期的には、権力・権限は特定の政治家には集中しないはずだった(第115回)。
ところが、安倍氏は、岸田首相に「総裁派閥外し」をさせて、権力・権限を持つポジションをすべて掌握することで、「小選挙区時代」の「新・闇将軍」になった。』
『岸田政権が長引けば、「新・闇将軍」の力が強大に
安倍氏が、岸田政権期にこの支配体制をしっかり構築し、岸田政権が総選挙、参院選を乗り切り長期政権化すれば、どうなるか。人事権、資金配分権、公認権を「新・闇将軍」が掌握し続け、新人候補は「新・闇将軍」の推薦する人ばかりになることはありえる。現在でさえ、自民党議員の約4割は、安倍政権期に初当選した若手だが、それ以上に安倍氏の影響下にある政治家が増えて、党内の多数派となっていく。総裁選で勝てるのは、「新・闇将軍」に従う人ばかりになる。
そうなれば、誰が首相になろうと、人事権、資金配分権、公認権を行使するポジションに就くのは「新・闇将軍」の影響下にある政治家だけになる。だから、安倍氏をただの「首相の後見役」とみなすのは甘いと思う。「新・闇将軍」と呼ばせていただくのが妥当だ。
永田町に「新・闇将軍」が誕生しようと、国民にとって重要なことは、政治が国民の生命と安全、生活を守ってくれるかどうかだ。「新・闇将軍」の影響が強まると、岸田政権が「保守化」「右傾化」すると思われるだろうが、事は単純ではない。
安倍政権時代の国内政策は、実は「女性の社会進出」「全世代社会保障」「教育無償化」「外国人単純労働者の受け入れ」など、社会民主主義的な傾向が強かった(第218回)。これらは、保守派の不満が強かったが、それを押し切って実行された。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」も含めて、世論・社会情勢の変化に対して「現実的対応」をするのが安倍政権の特徴だったのだ(第163回)。この傾向は、岸田政権でも継続されるのではないだろうか。
総裁選でも論争になった「同性婚」「選択的夫婦別姓」など多様性・人権に関わる政策は、高市政調会長の下で自民党内の議論が停滞すると思われるかもしれない。だが、私はむしろ着実に前進すると考える。
高市政調会長は、本質的には保守というより徹底したリアリストだ。それは、女性政治家として政界を生き抜く術だった(第285回・p3)。例えば、選択的夫婦別姓の問題については、「通称使用の拡大」に取り組んできたと総裁選で説明してきた。選択的夫婦別姓は、女性差別の問題であると捉えられがちだが、それと同時に、女性の社会進出の促進という「競争政策」の側面がある。高市政調会長は、女性の社会進出を否定するのではなく、現実的な取り組みをしてきた。多くの女性議員など「推進派」の議員との間で、党内の議論は活発化する。議論の活発化は、岸田首相の総裁選時の発言と一致している。
来る衆院選、来年の参院選に向けて、自民党は権力を死守するためのリアリティーを見せつけるだろう。「同性婚」「選択的夫婦別姓」など社会民主主義的な政策の党内議論を進めていくことは、野党の存在意義を消すことになるからだ。』
『総選挙では、保守派の支持はスルーする自民党
自民党にとって、党総裁選では「保守派」の支持が重要となるが、総選挙では、「保守派」の支持の重要性が薄れる。自民党総裁選では、各候補者が日本遺族会や日本会議など、保守系の団体に配慮をしてきた。選挙の勝敗に一定の影響を持つからだ。
「新・闇将軍」安倍晋三の誕生、岸田政権長期化で日本の右傾化が加速するか本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されています。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)
しかし、総選挙になると、自民党は保守派に配慮しなくなる。むしろ、子育て世代、現役世代のいわゆる「中道層」の票の獲得を狙う。声が大きいが、実は多数派ではない右派や左派ではなく、日常的に政治に声を上げることは少ないが「サイレントマジョリティー」である中道層の支持を得ることが、野党を破って、政権を維持することにつながるからだ。
それが、安倍政権が保守層にリップサービスをしつつ、実際に社会民主主義的な政策を実行し続けた理由だ。一方、野党の弱体化は、左傾化して中道層に失望されてしまったことで、安倍政権は長期政権を実現した(第169回・p3)。
なぜ、総選挙では保守派が重要でなくなるのか。
保守派は、自民党に不満があっても、総選挙で野党に投票することは、絶対にないからだ。だから、岸田政権も、保守へのリップサービスを続けつつ、実際には中道層に支持される社会民主主義的な政策を拡大していくことになる。それが、野党をつぶす常套策であり、自民党の権力維持のためのリアリティーなのである。』
衆院選、異例の短期決戦 高い内閣支持率保ち投開票狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA043EU0U1A001C2000000/


『岸田文雄首相は4日、衆院を14日に解散し次期衆院選を19日公示―31日投開票の日程で実施すると表明した。首相就任から1カ月弱の異例の短期決戦になる。政権発足時に期待する高支持率を維持したまま投票日を迎える狙いだ。与野党は事実上の選挙戦に入る。
首相は就任後初めての記者会見で「可及的速やかに衆院選を実施し、国民から信任をいただいて国政を担っていく」と強調した。「思い切って新型コロナウイルス対策、経済対策をできないか。そういった思いから日程を決めた」と説明した。
衆院選の日程は異例ずくめだ。4日の首相指名から14日の解散はわずか10日後にあたり、戦後最短となる。公示日と投開票日は共にこれまで多くの政権が避けてきた「六曜」の仏滅になった。
いずれも仏滅なのは2000年の森喜朗内閣以来だ。このときは天皇陛下の訪欧と衆院議員の任期切れの間隔が短く、日程の選択肢が少なかった。首相は「六曜」よりも早期の投開票を優先した。
与党内にはもともと11月7日か14日投開票を想定する見方が多かった。1~2週間の投開票前倒しはどう影響するのか。
日本経済新聞社による過去の内閣の発足直後の支持率を見ると理由が浮かび上がる。
20年9月に発足した菅義偉内閣は74%の高支持率で始まり、1カ月後に63%、2カ月後に58%、3カ月後に42%と低下した。新型コロナウイルスの感染状況が年末にかけて悪化し、批判が高まったのが響いた。
06年発足の第1次安倍内閣以降の5つの自民党政権のうち4内閣の支持率が発足から1カ月後に下落した。
下落幅は就任1カ月後が3~11ポイント、2カ月後は4~22ポイントと拡大した。発足時に53%だった麻生政権は2カ月後に危険水域の31%に落ち込んだ。
新型コロナ禍ではさらに下落するリスクがある。首相は記者会見で、31日投開票について「国民に貴重な判断をいただくわけだから新型コロナの状況も当然、念頭においた」と説明した。
足元で減少基調にある新規感染者が再び増加すれば、世論の関心は新型コロナに集中する。冬場には「第6波」が懸念されており、それまでに医療提供体制を拡充しておかなければならない。投票までの期間が長引くほど、政権にとっては不安要素が増える。
衆院選を見据えた野党側の準備も考慮した。総裁選で自民党の支持率があがり、野党共闘の動きが加速していた。
立憲民主党の枝野幸男代表は9月30日に共産党の志位和夫委員長と会い、政権交代が実現した場合には「共産党が限定的な閣外からの協力をする」と一致した。
両党が候補者調整を進めれば、現時点で70ほどある競合区は一段と減る。時間的余裕を与えてしまうと野党候補の一本化が進み、与党との接戦区が広がる構図だ。
国会対策上の効果もある。野党は首相が出席を前提とした予算委員会の開催を要求してきた。一問一答形式で政権を追及できる予算委は野党にとっての見せ場だからだ。これまでは総裁選などで自民党への関心が高まったが、予算委中は立場が逆転する。
自ら政治日程を組み立て主導権を示した。総裁選中からあった11月7日や14日投開票との観測を打ち消し、首相の専権事項の解散権を自ら行使する姿勢を明確にした。
党内では一連の人事を巡り「首相が人事で他派閥に配慮しすぎだ」との声が出ていた。党四役には自ら率いる岸田派から一人も入らず、内閣の要となる官房長官や財務相、外相も他派閥に譲った。
一方、早期の投開票はデメリットもある。首相が意欲を示す数十兆円規模の経済対策や補正予算案の決定は選挙後に先送りとなる。
子育て世帯への給付金や企業への持続化給付金の復活といった政策の実績をほとんどあげないうちに、政権を選ぶための十分な判断材料を国民に示すのは難しい。
学習院大の野中尚人教授は「本来は経済対策などこれからやることを具体的に国民に提示してから衆院選に臨むべきだ」と話す。「衆院選後に政策を肉付けすると、その政策が国民の信任を受けたといいきれない。政策の推進力を欠く」と指摘する。
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3Aに響く不協和音 岸田人事に安倍氏は「不満」
【イブニングスクープ】
2021年10月4日 18:00 (2021年10月4日 20:19更新) [有料会員限定]
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA033HP0T01C21A0000000/?n_cid=NMAIL006_20211004_Y

『岸田文雄内閣が4日、発足した。首相は閣僚や自民党執行部の人事で党総裁選への論功行賞をする一方、若手も登用した。安倍晋三元首相、麻生太郎氏、甘利明幹事長の「3A」の影響力が強く働いた人事と受け止められているが、内実は異なる。安倍氏は不満を漏らしており、3氏と岸田氏の間に出た不協和音は政権運営に響きかねない。
「正直、不愉快だ」。安倍氏は閣僚人事の全容が固まると周辺につぶやいたという。最大派閥・細田派を事実上率いる立場として同派からの起用が前回より減っただけではない。
人事の要は党幹事長と内閣の官房長官だ。自身が推す萩生田光一氏をどちらかに、という希望が通らなかった。
「もう少し巻き返せないのか。岸田さんと話してくれ」。先週後半、安倍氏は官房長官に内定していた細田派の松野博一氏に促した。萩生田氏は文部科学相から経済産業相になったものの、全体では期待通りの人事とは言い難い。
安倍氏は一連の人事の前からクギを刺していた。「人事は人に相談すると自分の思い通りにならなくなる。1人で考えた方がいい」と岸田氏に伝えていた。
今回は幹事長になった甘利氏が推した人物の登用が目立つ。安倍氏周辺では「こちらに相談がないのに甘利氏とは相談するのか」との不信感が生まれた。
一方、岸田氏にも異論がある。「ずっと自民党改革はやると言ってきたじゃないか」。岸田氏は細田派で衆院当選3回の福田達夫氏を総務会長に抜てきする人事に「反発がある」と聞くと、周囲に反論した。
8月26日の総裁選への出馬表明で党改革を訴え、若手・中堅の登用を掲げた。福田氏は党改革を唱える党内のグループの代表世話人を務めていた。
政調会長に据えた高市早苗氏は無派閥とはいえ総裁選で安倍氏が全面支援した。岸田派からみれば党三役に事実上の細田派を2人起用し、官房長官まで同派に譲ったという認識がある。
岸田氏は総裁選の1回目の投票から安倍氏の支持を受けたわけではない。2018年の前々回の総裁選は安倍氏が3選するため、岸田氏は立候補を見送った。前回20年の総裁選は安倍氏が岸田氏ではなく菅義偉氏を支持した。
今回の人事に関して岸田派内では「細田派にそこまでの借りはない。譲りすぎだ」との意見が出た。
「これ以上ない満額回答だ」。閣僚に4枠を得た第3派閥の竹下派幹部は喜んだ。
総裁選2日前の9月27日、会長代行の茂木敏充外相は派の大勢が岸田氏支持だと表明した。茂木氏は総裁選中から頻繁に岸田氏とやりとりし、誰を起用するかも電話で協議した。岸田氏は今回、派閥会長や派閥幹部と事前に人事を相談した。
昨年9月に総裁選で敗れた後、菅内閣の組閣で岸田氏は自派の平井卓也、上川陽子の両氏を一本釣りされた。
当時、岸田氏は「俺はよっぽど嫌われているんだな」と語っていた。派閥トップとして人事の相談がないほどつらいことはない。自らの経験をもとに今回は細田派会長の細田博之氏とも調整した。これが安倍氏らとの食い違いを生んだ可能性がある。
甘利氏が所属する麻生派は嫉妬の対象になっている。岸田氏は総裁選終盤の段階で「幹事長は甘利さんしかいない」と決めていた。
閣僚人事では甘利氏が推した麻生派の山際大志郎氏や二階派の小林鷹之氏が入閣した。
甘利氏が座長を務める自民党の新国際秩序創造戦略本部で、小林氏は事務局長、山際氏は幹事長を務める。ポストは甘利氏の狙い通りではないが他派閥は「甘利人事だ」と説く。
麻生派で総裁選に出馬した河野太郎氏の広報本部長就任も同派が主導した。「日が当たらず業務も大変な役職はないか」。麻生派が河野氏の人事を岸田氏に提案した。
「受けるように」。河野氏に伝えたのも麻生氏だ。河野氏周辺ではこの人事に不満を持つ人もいたが、麻生氏直々の指示になる。河野氏は「なんでもやらせていただきます」と答えた。
総裁選翌日の9月30日、麻生氏は都内のホテルで岸田氏と向き合った。
「9年近く常に首相のそばに居た。新しいイメージでやった方が良い」。麻生氏が副総理・財務相を離れる意向を伝えると、岸田氏は「政高党低と言われているのを何とかしたい。党の存在感を上げていただきたい」と副総裁への就任を要請した。
3Aのうち麻生派の麻生、甘利両氏が党の副総裁、幹事長に並ぶ。内閣に強い重心がある「政高党低」も微妙な修正を迫られるかもしれない。
高市氏を推した安倍氏と、今回細田派内で処遇された面々の一部にも微妙な距離ができる。岸田政権の人事は一部で「安倍色が目立つ」との指摘もあったものの実情は違う。麻生、甘利両氏と安倍氏とのズレもうかがえ、長く自民党政権を支えてきた3Aの基盤にも変化の兆しがでている。
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岸田政権に「開成高」人脈 首相秘書官に嶋田元経産次官
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2880Y0Y1A920C2000000/





『自民党総裁になった岸田文雄氏が首相に就任した場合、どのような人が政権運営を支えるのか。政策づくりなどのブレーンになる可能性がある人脈を探った。母校である日本有数の進学校、私立開成高校(東京・荒川)出身者や、自身の派閥の側近議員の名が浮上する。
同校出身者は中央官庁や国会議員に多い。首相経験者はいない。OBからは岸田氏への首相待望論があった。2017年、同校出身の議員と官僚の計600人ほどで同窓会「永霞会」が発足し、岸田氏が会長に就いた。有力な人脈といえる。
最も近くで支えるのも同校OBになる。19年まで経済産業省の次官だった嶋田隆氏を政務の首相秘書官に起用する。次官経験者が秘書官になるのは極めて異例だ。
嶋田氏は安倍晋三前首相の秘書官だった今井尚哉氏と入省同期。安倍政権で官邸主導の中枢を担った同氏と重ね、経済官庁から「嶋田氏がキーパーソン」との声があがる。
岸田氏の義弟の可部哲生氏は7月まで国税庁長官だった。財務省で理財局長、総括審議官も経験した。岸田派幹部は「可部氏が節目節目で助言するだろう」と語る。
議員では自身が率いる岸田派に側近がいる。総裁選で訴えた「新しい日本型の資本主義」などの政策づくりは派閥事務局長で当選4回の木原誠二、同3回の村井英樹両氏が関与した。木原氏は官房副長官になる。
両氏は財務省出身で政策に詳しい。総裁選の討論会やインタビューの際は想定問答をつくり岸田氏と準備した。総裁選を争った河野太郎、高市早苗両氏の著書も2人が読み込み対策を練った。
岸田派の小野寺五典元防衛相は安全保障で進言してきた。岸田氏が今年発信した「敵基地攻撃能力の保有検討」は小野寺氏が理屈づけをした。
幹事長の甘利明氏からは経済安保政策で意見を聞いてきた。政調会長の時は甘利氏を座長に経済安保政策を検討する本部を設置した。総裁選で経済安保の閣僚ポストを新設すると掲げたのも同氏のアドバイスとみられる。
岸田氏は安倍政権で4年7カ月の外相経験がある。国家安全保障局長の秋葉剛男氏は岸田外相時代に外務審議官や総合外交政策局長を歴任し、信頼も厚い。
当時、米国務長官だったケリー氏はいまのバイデン政権で気候変動問題担当の大統領特使だ。16年にオバマ米大統領が岸田氏の地元の広島を訪問した背景にはケリー氏との信頼関係もあった。
ジョンソン英首相も交渉相手だった。岸田氏は9月「ジョンソン氏と気は合った」と明かした。ホテルのバーで外相会談を実施して「大変盛り上がった」と話した。
英国はインド太平洋への関与を打ち出しており、対中国でこれまで以上に日本も連携が必要になる。同氏との人脈が生きる可能性がある。
昨年の総裁選で岸田氏は目指す国家像を問われ「論語と算盤(そろばん)」と答えた。実業家の渋沢栄一氏の著書だ。自身が会長の議員連盟に渋沢氏のやしゃご、渋沢健・コモンズ投信会長を招き交流を重ねた。
成長戦略で重視する科学技術を巡っては、外相時代に初の科学技術顧問を置いた。岸輝雄東大名誉教授を任命した。この実績を踏まえ、総裁選では「全省庁に科学技術顧問を創設する」と表明した。
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新政権で経済安保相新設 甘利氏「全省庁に指示出す立場」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA030D80T01C21A0000000/

『自民党の甘利明幹事長は3日のフジテレビ番組で、岸田新政権で経済安全保障の担当相を新設するとの見通しを表明した。「全省庁に対して指示が出せるようなポジションになる必要がある」と語った。国家安全保障局(NSS)も含めて所掌すべきだとの考えを示した。
甘利氏は菅政権で新型コロナウイルス対策を担う閣僚に関連して「船頭が多すぎた」と訴えた。「きちんとまとめる人がいて、その人が官房長官と連絡をとりながら政府としての指示をしっかり出す」ことが理想だとも言及した。
現在は厚生労働相のほか、経済財政・再生相が担うコロナ担当やワクチン担当に分かれている。甘利氏は「厚労相がこの指揮を1番中心にとればいいのではと個人的に思う」と述べた。自治体との調整体制を整える必要があるとも説明した。
新政権の財務相ポストには麻生派の鈴木俊一氏が内定した。麻生太郎財務相は党副総裁に移る。甘利氏は財務省が国の要になると言及したうえで、岸田文雄総裁による財務相交代の狙いとして「遠慮なく主導できる」と説いた。
麻生氏については「非常に強力なパワーの人だ」と指摘した。「菅義偉首相と麻生財務相の関係は、首相が指示するという関係ではなく協力をしてもらうという関係だった」とも振り返った。
河野太郎氏の広報本部長起用に関しては「腐ってそこで仕事ができないか、広報本部長というポストを歴代で1番輝かせることができるかは河野さん次第だ」と話した。
甘利氏は同日、NHK番組にも出演した。次期衆院選の日程について「解散は首相の専権で誰も言及することはできない」と述べるにとどめた。一方で「任期をできるだけ超えないような設計ができないかという工夫はされるんじゃないか」とも分析した。
経済政策を巡っては従業員の取り分を示す「労働分配率」の向上を掲げた。「税制や色々な政策、予算も含めて拡大して分配率を上げる」と主張した。
賃上げ促進の税制に関し「企業にとって魅力がないから内部留保を賃金に向けないとの指摘がある」と触れた。「もっとわかりやすい設計にしていくことも大事だ」と提起した 。』
岸田新政権、成長呼ぶ財政が急務 規模ありきの予算懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA015ZU0R01C21A0000000/


『自民党の岸田文雄総裁は積極財政や金融緩和を柱とするアベノミクスを踏襲しつつ、富の再分配や所得の拡大に重心を置く。成長力を底上げする具体論は今のところ乏しい。「規模ありき」の予算から脱却できなければ、経済が停滞したまま政府債務だけが膨らみかねない。企業の稼ぐ力を高める構造改革や人材の再教育など成長を呼ぶ賢い財政支出を探る必要がある。
デジタル化や脱炭素のアクセルを踏んだ菅義偉政権が1年あまりで終わる。新政権が4日に発足し、経済政策は仕切り直しとなる。
岸田氏は中間層の支援による「令和版所得倍増」を掲げる。総裁選では「成長は大事だが分配も考えないと日本はおかしくなってしまう」と強調した。財政拡大と金融緩和で脱デフレをめざすリフレ路線をすぐ修正する雰囲気はない。
経済対策や来年度予算を編成する前の11月に衆院選があり、骨太の方針を固める2022年7月ごろにも参院選がある。選挙前はばらまき型の政策が打ち出されやすい。公明党が18歳以下に1人10万円を配る公約を発表するなど、与党からの歳出圧力は既に強まる。
自民党で選挙公約をまとめる政調会長には高市早苗氏が就いた。第2次安倍政権の発足時にアベノミクスの立案にかかわった。リフレ色の強い発言も多い。総裁選でも、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化目標の凍結を主張した。
かねて岸田氏は財政規律を重視してきた。20年の著書「岸田ビジョン」では「政権としての指針が、財政健全化に向かっているということを、内外に示しつづける必要がある」などと訴えていた。
今回の総裁選で持論は抑え気味だった。PBを25年度に黒字化する目標について「必要であれば先延ばしも考えなければならない」と言及し、高市氏に寄って見せた。
岸田氏自身、数十兆円規模の追加経済対策も主張している。財務省は潮目の変化に敏感だ。「需給ギャップを埋めるのが目的なら『数十兆円』は(民間資金も含めた)事業規模ベースの数字ではないか」と、国の財政支出を抑える予防線を張る声も聞かれ始めた。
日銀の金融政策も急転換は見込みづらい。政策決定にかかわる審議委員が次に交代するのは22年7月。異次元緩和を主導した黒田東彦総裁の任期は23年4月までだ。
政府と日銀は13年1月、デフレ脱却に向けて物価上昇率を2%とする目標を盛り込んだ共同声明を出した。物価の下落が続くデフレ下では企業がもうけにくく、賃金も上がりにくい。所得が増えなければ消費は盛り上がらず、物価上昇は鈍る。悪循環を断ち切れなければ経済の低迷が続きかねない懸念があった。
物価を押し上げようと財政出動と金融緩和を続けた結果、国と地方の長期債務残高は12年度末の約930兆円から1200兆円超まで増えた。債務の膨張ペースは国内総生産(GDP)の伸びを上回る。肝心の成長戦略が実を結ばないまま、デフレから完全に抜け出せずにいる実態を映す。
岸田政権が発足して流れが変わるかどうか。東京大学の福田慎一教授は「再分配だけでは持続的な成長につながらない」と手厳しい。
岸田氏が言及する介護職についても「足元の賃上げより(規制緩和によって)医療行為などの権限を広げて将来の賃金が上がる展望を示すことが重要」と説く。産業構造の変化に対応し「職業訓練などによる成長分野への労働移動を促すことも欠かせない」という。
重要なのは生産性の向上を後押しする施策だ。企業の稼ぐ力が高まらなければ賃上げはおぼつかず、需要も喚起できない。
介護や物流などの分野は働き手不足に直面しながら、人手の配置規制などが足かせとなり生産性が低いままになっている問題もある。デジタル化やロボット技術の活用などイノベーションと合わせて必要な規制改革を進めていく必要がある。
米国や欧州はコロナ危機からの出口に向けて、成長分野のデジタルや脱炭素に集中的に予算を投じる姿勢を鮮明にしている。欧州連合(EU)は計1兆8千億ユーロ(約230兆円)の「コロナ復興基金」の3割を気候変動対策に充てる。
岸田新政権が掲げる再分配が持続的な経済成長へとつながる姿は、まだはっきり見えてこない。「規模ありき」の予算ではなく、成長のサイクルを再起動する「賢い支出」が改めて求められる。(髙見浩輔)
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・経産相に萩生田氏、厚労相は後藤氏 岸田内閣4日発足
・予算「規模ありき」限界あらわ 衆院選控え歳出圧力増す 』
初入閣13人「岸田色」映す 経済安保、対中国で党と連携
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0229Z0S1A001C2000000/


『自民党の岸田文雄総裁が4日発足させる新政権で初入閣は13人に上る見通しだ。新設の経済安全保障相に党側で関与してきた小林鷹之氏を起用し、対中国で党と連携を深める。厚生労働相など新型コロナウイルス対応を担う閣僚は刷新する。重要政策の陣容で「岸田色」をうかがわせる。
内定した顔ぶれをみると初入閣の13人は全閣僚の65%を占める。2020年に発足した菅義偉内閣の5人、12年の第2次安倍晋三内閣の発足時の10人と比べると多い。
初入閣組は衆院当選3回の若手3人を含む。岸田氏が党総裁選で「中堅・若手を登用することが大事だ」と繰り返してきたのを意識したとみられる。
女性閣僚は3人になる。総裁選で戦った野田聖子元総務相は少子化相に起用し、子ども庁創設に向けた取り組みを期待する。
目玉閣僚の経済安保相に初入閣組を充てる。小林氏は衆院当選3回で、党内の経済安保を議論してきた党新国際秩序創造戦略本部の事務局長を務める。座長の甘利明幹事長と近く、両氏で提言づくりなどを担ってきた。
甘利氏は3日のフジテレビ番組で、経済安保相について「全省庁に対して指示が出せるようなポジションになる必要がある」と強調した。国家安全保障局(NSS)も含めて掌握できる仕組みにすべきだと唱えた。
半導体などの重要物資の確保や技術流出の防止といった経済安保を担当する閣僚は岸田氏が党総裁選の公約として掲げた。担当相は中国などに過度に依存せずに有事も国民生活と経済活動を安定させる「経済安全保障推進法」の策定を担う。
政府内に「担当閣僚が入ると情報ラインが複雑になる」との懸念も出ていたが、岸田氏は経済安保の司令塔を置く必要性を重視して新設を実現する。甘利、小林両氏の連携を新政権での円滑な政策運営に生かす狙いもみえる。
新政権最大の難題は引き続きコロナ対策だ。今冬にも到来が想定される感染拡大の「第6波」への備えは欠かせない。
岸田氏は安倍、菅両政権がコロナ対策で批判を浴びてきた経緯を研究してきた。厚労省が法令の整合性を重視し、首相官邸の方針に繰り返し慎重論を唱えてきたとの認識がある。
焦点となる厚労相につけるのは初入閣の後藤茂之氏だ。旧大蔵省出身で、政調会長代理として党側でコロナ対策を議論してきた。岸田氏は厚労省の主張を客観的に判断して官僚を動かす実務能力に期待する。
コロナ対策を担う経済財政・再生相は麻生派の山際大志郎氏、ワクチン接種の担当は岸田派の堀内詔子氏といずれも初入閣の中堅・若手を充てる。
野党はコロナ対策の担当閣僚が乱立していると批判していた。甘利氏は3日の番組で「厚労相がこの指揮を一番中心にとればいいのではないかと個人的には思う」と述べた。
11月にも2回のワクチンが希望者に行き渡る見通しで、接種証明書を活用しながら行動制限を段階的に緩和する局面に入る。閣僚の役割分担の整理も検討する。
岸田氏が指導力を発揮して新閣僚を通じて行政組織を円滑に動かせるかが新政権の支持に直結する。
内定した閣僚20人のうち再任は茂木敏充外相と岸信夫防衛相の2人だけとなる。外交・安保は中国の影響力拡大を踏まえ、自由や法の支配を重視した国際秩序をつくる「自由で開かれたインド太平洋」をはじめ基本的な方針を受け継ぐ。
総裁選で自らが会長を務める宏池会(岸田派)に対する「親中」との印象を払拭するのを意識し、新政権でさらに一歩進める議論に入る。
攻撃を受ける前に敵のミサイル発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の保有は「有力な選択肢だ」と前向きな姿勢をみせた。岸氏が議論を主導する。
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察
岸田色というよりは甘利色が強い組閣になった気がするが、党と政府の関係がスムーズになり、より建設的な政策決定が出来るようになるのであれば、それはそれでよい気がする。
ただ、初入閣の閣僚が重要政策を担うという形になっているので、官僚を動かす力、政策を実現する力が問われるようになる。
首相や幹事長、ベテラン大臣が中心になりながら、若手が実務をこなしていくという連携が上手くできれば、それが一番望ましいのだが。
2021年10月4日 7:16
深尾三四郎のアバター
深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員
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別の視点
挙党態勢で総選挙に臨む岸田新首相のカラーが牧島かれん氏と小林鷹之氏の初入閣に表れている。
総理・総裁への登竜門となる自民党青年局長の牧島かれん氏は、神奈川17区で河野洋平氏から後継者に指名され政界入りした。規制改革・行革大臣を兼務し前任・河野太郎氏の意思を引き継ぐ。
女性初の青年局長に指名した菅首相の肝いり・デジタル庁を牧島氏に任せて、河野氏と菅氏に配慮するとともに、将来の女性首相候補をひとり加えたことで自民党の若返りも期待させる。
新内閣の目玉である新設・経済安保相には関連テーマで甘利氏・山際氏と連携している小林氏を二階派から一本釣り。各派閥や総裁選他候補に配慮しつつ自民党の若返りを狙った布陣。
2021年10月4日 8:24 (2021年10月4日 8:26更新)』