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年28兆円の管理社会
移動や異論封殺、失敗許さぬ「理想郷」
大中国の時代 次なる危機③
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00001940V20C22A7000000/
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年28兆円の管理社会
移動や異論封殺、失敗許さぬ「理想郷」
大中国の時代 次なる危機③
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00001940V20C22A7000000/
中国、改正独占禁止法が施行 ネット大手の統制狙う
取り締まりの矛先、外資系企業から「プラットフォーマー」へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2845Q0Y2A720C2000000/

『中国政府は8月1日、改正独占禁止法を施行した。改正の狙いはネット大手に対する統制の強化だ。2021年の独禁法違反の罰金(没収を含む)総額に占めるネット業界の比率は9割を超え、民営企業が中心のネット大手が標的となった。エネルギーや通信業界などでは国有企業の寡占が続いており、消費者の利益を損ねる恐れを指摘する声も出ている。
独禁法は08年8月1日に施行された。今回は初めての改正で、ライバルとの取引を事実上禁じるルールなどの乱用による競争制限の禁止を明記した。実はネット大手の摘発は昨年から相次いでおり、ネット大手に対する取り締まりの実態に独禁法が追いついた格好だ。
中国で独禁法は政府の思惑を実現する手段として利用されてきた。施行当初は外国企業の中国事業を抑制するための法運用が目立った。当局は09年に米コカ・コーラによる中国飲料大手の買収を承認せず、15年には米半導体大手クアルコムに優越的地位を利用した不正行為があったとして60億元(約1200億円)の罰金を科した。
ネットの台頭に伴って「プラットフォーマー」と呼ばれる企業が出現すると、政府の矛先は変わる。政府は19年に独禁政策を担う国家市場監督管理総局に対してネット大手を厳しく取り締まるよう指導し、独禁法改正の検討を進めた。
具体的には、当局は20年11月にライバル企業と取引しないように「二者択一」を求めることは独禁法違反にあたるとして摘発に乗り出す。21年4月にネット通販最大手のアリババ集団に182億元に達する過去最大の罰金を科し、10月には食品宅配最大手の美団に34億元の罰金を科した。アリババは当局の指導に従うと表明し、美団も「二者択一」を断ち切ると発表した。
中国の独占禁止法の標的となる美団の出前サービス(AP)
21年の独禁法違反の没収を含む罰金額は235億元で、20年の約50倍に急増した。中国メディアによると、このうちネット大手が市場での支配的な地位を乱用した案件などの罰金が217億元にのぼり、罰金全体の92%に達したという。
一方、国有企業の寡占や独占には切り込まない。習氏は「国有企業は国民経済の重要な柱だ」と発言しているためだ。実際、国有石油大手3社が牛耳る地域のガソリン価格は高止まりし、北京―上海間の高速鉄道の料金は値上げが続く。
中国メディアによると、政府系シンクタンク、中国経済改革研究基金会国民経済研究所の王小魯副所長は7月の会合で「(当局は)長期にわたって国有企業の独占や寡占の問題に触れておらず、鉄道、石油や通信、航空、金融など多くの領域で様々な形で独占や寡占が存在する」と指摘した。(北京=多部田俊輔)』
中国恒大の複雑に絡み合う借入金 1400億円の担保執行へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM011PT0R00C22A8000000/
『【広州=比奈田悠佑】経営再建中の不動産大手、中国恒大集団は7月31日、グループ会社が借入金を返済できず、恒大傘下の他の事業会社が間接的に差し入れていた約73億元(約1400億円)の担保が執行されると発表した。この借入金を巡ってはグループ外の第三者も保証関係に介在しており、恒大が抱える債務の複雑さが浮き彫りになった格好だ。
恒大はグループ会社や第三者の名称を公表していない。
グループ会社の借り入れは、第三者が保証し、この第三者には恒大傘下の南昌市の事業会社が地方銀行、盛京銀行の株式を担保として差し入れていた。今回、このグループ会社が借入金を返済できなくなり、巡り巡ってこの事業会社が差し入れていた担保が執行されることが決まった。
恒大は7月下旬、グループ内の不適切な資金流用に関わったとして複数の幹部が辞任した。経営再建に向け債務の整理は急務だが、保証関係や担保設定が複雑で、その調査に時間がかかっているもようだ。
当初は、7月末に暫定案をまとめるとしていた外貨建て債務再編計画の公表は先送りしている。債権者との調整や資産売却が難航しているようだ。資産査定の作業を近く完了し、年内の計画公表を目指すという。』
ゼロコロナと不動産問題──ダブルの試練に見舞われた中国経済の行方
https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00827/
『 中国経済が急失速している。7月15日に発表された2022年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比で0.4%増とほぼゼロ成長に。1992年以降で2番目に低い数字となった。ゼロコロナ政策によるロックダウン(都市封鎖)や行動規制の強化に加え、不動産市場の低迷が景気の回復を妨げている。
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崩れた「勝ちパターン」
2019年12月に武漢市で発生し、世界に広がった新型コロナウイルス・パンデミックに対し、習近平政権は感染経路の徹底追跡とロックダウンで応じ、ウイルスを封じ込めたはずだった。たとえ小さなクラスターでも広範囲、時には1000万人都市を封鎖するやり方は、「動態清零(ゼロコロナ政策)」と呼ばれる。他国から見れば厳し過ぎるが、これが中国の“勝ちパターン”として定着してきた。
ところが、21年の年末から22年の初頭にかけて感染力のより強いオミクロン株が登場すると、この勝ちパターンをもってしても感染防止が追いつかなくなり、大きなクラスターが飛び火し始めた。年末年始には西安市、3月には中国のシリコンバレーと称される深セン市、そして4月には中国最大の経済都市・上海がロックダウンとなった。
その結果、厳しい隔離政策の副作用が際立ってきた。上海でいえば、1日あたりの新規感染・発症者が2万人台に至るや、2400万市民が買い物にも出られない外出禁止措置が講じられた。この措置は6月1日に解除されたが、2カ月に及んだロックダウンがもたらした影響は甚大だった。
凍りついた上海の経済活動
上海市は、このロックダウンによって、経済も社会も2年前の武漢のように凍りついた。周辺の江蘇省、浙江省の各市も道連れとなり事実上のロックダウンかそれに近い状況が続いたほか、高速道路やコンテナ港などの物流インフラが広域にわたって停止した結果、中国経済の心臓部である長江デルタ地帯が麻痺状態に陥った。
上海港は世界最大のコンテナ港であり、中国経済と世界経済をつなぐ大動脈だ。その上海港がストップした影響は、サプライチェーンを経由して世界経済にも及んだ。日本では、中国からの部品配送が攪(かく)乱され、自動車、家電製品、IT機器などの製造業が操業時間の短縮や部品調達先の調整を余儀なくされた。
こうした事態を受けて、中国政府は4月から自動車、医薬医療、電子、生活物資などの重点企業666社の物流を優先的に取り扱う「ホワイト・リスト」制度を導入するなど、「円滑な物流の促進、サプライチェーンの安定化」を図る対策を打ち出した。この結果、工場生産や物流は5月以降、徐々に回復している。
しかしながら、ロックダウンによるダメージは簡単に癒(い)えるほど浅くはなかった。
中国国家統計局が7月15日に発表した2022年4~6月期(第2四半期)のGDPは、前年同期比0.4%増という低さで、1~3月期の4.8%増から大幅に減速した。
とりわけ上海は前年同期比13.7%減、周辺の江蘇省と浙江省もそれぞれマイナス1.1%、プラス0.1%と、中国経済の心臓部である華東地域全体が落ち込んでしまった。また、上海のロックダウンほど極端ではないにしても、北京も厳重なコロナ対策が講じられた影響から2.9%のマイナス成長と、中国の中心都市は軒並み大打撃を受けた。
グローバル・サプライチェーンが被る影響
上海におけるロックダウン措置は、世界的に見れば「奇異」と呼べるほど厳格なもので、ここまで事態が深刻化したのは「人為的事象」とも言える。では、今後の世界経済にどのような影響を及ぼすだろうか。
現行の国際分業体制において、中国内外の各企業が被る影響は、業種によって異なると思われる。
例えば、電子機械等の業種においては、中国国内に部品・素材などのインダストリアルチェーンが世界に比類のない規模と稠(ちゅう)密さで形成されているため、生産拠点を海外に移するのは簡単ではない。また、自動車のように中国が世界最大級の市場になっている製品でも、市場シェアを維持するためには消費地生産が欠かせない。これらの業種も今回のロックダウンで大きな打撃を受けたが、海外移転が難しい以上、今回の“ゼロコロナ事件”で直ちに生産拠点が中国から移転するなどの影響は出ないだろう。
一方で、中国国内での生産が必須ではなく、条件次第では他国での事業展開も検討可能な業種(例えば、ハイテク製品でも最終組立だけの工程など)においては、生産コストの急速な上昇、人手不足などに加えて、経済安全保障意識の高まりなどから、すでに生産拠点を海外に移転する動きが起きている。これらの業種にとっては、今回の出来事で、中国での事業継続に対するマイナス評点がまた一つ増えたと考えられる。実際、ロックダウン解除後、中国を離れる外国人が増加しているという。
中国政府は今も「動態清零(ゼロ・コロナ政策)を堅持する」と再三表明しているが、一方で今回甚大な代償を払ったことから、同様の混乱を繰り返さないように努めるはずだ。それでも再発するようなことがあれば、中国での事業展開が必須とは言えない業種においては、投資環境に対するマイナス評価が閾(しきい)値を超えて中国からの撤退に拍車をかける恐れがある。
もう一つの疾患、不動産問題
2022年4~6月期の中国経済が大きく落ち込んだ原因は、上海ロックダウンばかりではない。昨年後半から続く不動産不況が中国経済全体に深刻な影響を及ぼしている。人間の健康にたとえると、ゼロコロナ政策による経済の落ち込みが「急性疾患」とするなら、不動産市場が抱える問題は「慢性疾患」と言える。
中国は、コロナ感染爆発で大きく落ち込んだ経済を回復させるために、20年4~6月期から財政・金融を総動員した景気対策を打ち出した。このため同年夏には不動産バブルが再燃。憂慮した政府は、不動産デベロッパーに対する融資を厳しく引き締める措置を開始した。ところが、この引き締め措置もまた、上海ロックダウンと似て度を越した厳しさであり、そのせいで21年後半には不動産市場全体が厳しい不況に陥ってしまった。
事態の深刻さに気付いた政府は、同年暮れ以降、金融引き締めの行き過ぎを是正し、地方政府にも住宅ローンの条件緩和を許すなど不動産市場のテコ入れを図っている。しかし、厳し過ぎた引き締めの後遺症は重かった。
22年上半期の住宅販売は、面積ベースで対前年同期比26.6%減、金額ベースでは31.8%減。新規着工面積は35.4%減、土地仕入れは48.3%減と惨憺(さんたん)たるもの。不動産は中国の経済成長の4分の1を稼ぐと言われてきただけに、この落ち込みの影響は大きい。
気がかりな「負の連鎖」
さらに深刻なのは、この不動産不況から負の連鎖反応が2方面に広がっていることだ。
第一は、土地払い下げによる地方政府の収入が大きく落ち込んでいること。地方政府の全歳入の3割を占める土地払い下げ収入は、上半期に31.4%も落ち込んだ。加えて、今は景気対策のために、歳入面では付加価値税の大幅減税、歳出面では景気浮揚のための公共工事を増発している最中とあって、地方政府の財政難はいよいよ深刻化している。22年後半には景気浮揚を図らなければならないというのに、こうした地方財政難は大きな懸念材料だ。
第二は、デベロッパーの資金繰りが悪化して、販売済みマンションの工事が中断していることだ。これに不安を感じた購入者たちが、マンション購入のために組んだ住宅ローンの返済を集団で拒む動きが全国に広がっている。
本稿執筆時点で、ローン不払いが確認された物件は全国で320件に上っており、今後さらに増加しそうだ。そうなると不安心理がさらに広がり、不動産市場がますます冷え込むばかりでなく、銀行が抱えるローン債権が不良債権に転化する恐れも出てくる。
中国不動産バブルは崩壊するのか?
これまで中国政府は経済成長のために安直な“不動産頼み”を続け、不動産バブルに有効な対策を講じてこなかった。その結果、不動産価格が非常識なほど高値となり、「持てる者と持たざる者」の資産格差が米国並みに広がってしまった。
一方、中国家庭の持家比率は今や9割を超えている。各家庭の資産の3分の2が不動産という実態から考えると、不動産価格が大幅に値下がりすれば、国民が大きな不満を持つのは必至だ。だから中国政府はこうした事態を何としても防ごうとするだろうし、政府が持つ強力な権限と財力から見て、中国で不動産バブルの崩壊はまず起きないと考えられてきた。
ところが、不安材料が徐々に増えているのも事実だ。特に大手デベロッパーの破綻や上述したローン支払い拒否の原因となっている購入マンション引き渡し問題に対して、今後も明確な対策を打ち出せないままだと、中国不動産市場はさらに冷え込み、不安定化する。財政難に苦しむ地方政府は、これまでのように機動的に対策を打つことができるだろうか。
2022年後半の中国経済の行方
公約に掲げていた通年で5.5%の経済成長は、達成が極めて難しくなった。国民の悲観心理も強まる中、不動産市場の回復も消費の力強い回復も期待薄である。ウクライナ危機の影響も出ている。今後の世界経済がインフレや利上げで減速することを考えると、今年上半期好調だった輸出に頼ることもできない。
だが、今年秋には習近平主席の3選を決める第20回党大会が控えている。そうした中で経済成長率が2~3%まで落ちるような事態は何としても避けたいだろう。だとすれば、残るは財政出動しかない。中国では今、大幅な財政拡大への期待の声が高まる一方で、「もしそうすれば、過剰債務問題など中長期的な問題がいっそう深刻化する」との懸念の声も出ている。
どの道を通っても「あちら立てればこちら立たず」──間もなく3期目を迎える習近平政権の前途には茨(いばら)の道が続いている。
バナー写真:北京市内に林立する高層マンション群。中国では不動産開発の行き詰まりで未完成のまま放置されたり、入居者が集まらずに廃れるマンション群が出現し、社会問題化している AFP=時事 』
中国、ネット法規を厳格化
共産党大会前に統制加速
https://nordot.app/926433768483274752?c=39546741839462401
※ 今日は、こんなところで…。
『【北京共同】中国政府は8月1日、インターネットの統制を強めるため、交流サイト(SNS)の新たな管理規定や改正独占禁止法を施行した。秋ごろに開かれる5年に1度の共産党大会を前に社会を安定させるため、反政府的な言論やネット企業の巨大化を阻止する取り組みを加速させる。
新たなSNS規定は「社会主義の価値観を発揚し、国家の安全を守る」ことを目的に、身分確認を徹底する。サービス提供業者は、利用者の氏名、身分証番号、職業などをこれまで以上に厳格に審査しなければならない。
改正独禁法は「データやアルゴリズム(計算手法)、技術、資本の優位性を利用した独占行為」を禁じた。』
中国、「国策市場」の虚実
一目均衡 上海支局 土居倫之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM191RK0Z10C22A7000000/

『1986年11月14日、中国北京市の人民大会堂で、最高指導者の鄧小平氏は会談したニューヨーク証券取引所のトップ、ジョン・フェラン氏に手土産を渡した。国有音響機器メーカー、上海飛楽音響の株券だ。資本主義の象徴である株式の存在が、最高指導者の手によって名実ともに公認された瞬間だった。
それから35年後の2021年11月15日。習近平(シー・ジンピン)総書記が開設を宣言した北京証券取引所が取引を始めた。
「資本の無秩序な拡大を防ぐ」と巨大IT(情報技術)企業を統制し、「共同富裕(共に豊かになる)」を訴える習氏が新たな株式市場を開設したのはなぜか。浮かび上がるのは、既存の株式市場が習氏が推進する中国経済の「高質量発展(質の高い発展)」に十分な役割を果たしてこなかったという問題意識だ。
取引開始から約8カ月超が経過し、北京証取の上場企業数は当初の81社から104社に増えた。株式時価総額トップはリチウムイオン電池の正負極材を開発する貝特瑞新材料集団。同社はバッテリー世界最大手の中国寧徳時代新能源科技(CATL)を顧客とし、急成長している。2位は炭素繊維を生産、開発、販売する吉林碳谷碳繊維、3位以下も半導体、薬品関連などハイテク企業が並ぶ。
一方、上海・深圳株式市場の時価総額トップは中国の伝統的な蒸留酒である白酒最大手、貴州茅台酒、2位は中国の銀行最大手、中国工商銀行とオールドエコノミーが並ぶ。いずれも収益力は高いが、成長力には疑問符が付く国有企業だ。10位以内で民営企業は、CATLと電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)の2社のみ。アリババ集団など巨大IT企業は香港や米国に上場する。
上海・深圳証券取引所の新興企業向け市場「科創板」と「創業板」では不動産・金融業の上場を認めない。だが、投資家が最も注目する最上位の「主市場」は両業種の資金調達の場となってきた。
北京証取は不動産・金融業の上場を禁止し、国務院(政府)が詳細に要件を定める供給過剰・淘汰指定業種の上場も認めない。革新的な中小企業を上場対象とするという抽象的な概念にとどまらず、具体的なルールに踏み込む。
中国のある投資家は「米国のニューエコノミーはナスダック証券取引所がネット企業の技術革新(イノベーション)を支えたから」と話す。中国は習氏肝煎りの北京証取の開設やハイテク産業育成策「中国製造2025」など強力な国策を通じ、米並みの繁栄を実現しようとしている。
だが新市場には虚実も透ける。北京証取で時価総額トップの貝特瑞は7月20日、董事長の賀雪琴氏がインサイダー取引の疑いで証券監督管理委員会の調査対象になったと発表した。そもそも米経済の繁栄を支えたのは自由で透明度の高い社会だった。その裏付けのない「国策市場」のままなら、習氏が目指す「中華民族の偉大な復興」の実現など遠のくばかりだろう。』
中国、工業・情報化相を調査 現職閣僚が失脚か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM289V40Y2A720C2000000/
『【北京=羽田野主】中国で汚職を摘発する共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は28日、肖亜慶・工業情報化相を規律に違反した疑いで調べていると発表した。現職閣僚の調査は異例だ。党の幹部人事を決める5年に1度の党大会が秋に迫り、習近平(シー・ジンピン)指導部が反腐敗運動を加速させている可能性がある。
工業情報化省は産業育成を担う官庁で、肖氏は人工知能(AI)産業の振興や産業サプライチェーン(供給網)の構築、高速通信規格「5G」の基地局整備などに向けて旗を振っていた。規律違反の内容などは明かしていない。
習氏は党が27日まで開いた重要会議で「根気よく綱紀粛正を続ける」と表明。党トップとして異例の3期目入りに意欲をみせたうえで、習氏続投への異論を封じ込める姿勢をみせていた。』
中国人民解放軍に募る焦燥 共産党大会前に「手柄争い」
迫る中国共産党大会(4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM018JA0R00C22A6000000/
『7月8日、中国人民解放軍機が台湾海峡の停戦ライン「中間線」を越えて台湾側に侵入した。台湾軍の地対空ミサイルシステムが異常を察知し、偵察機がただちに現場へ向かった。
中国軍が台湾への圧力を強めている。2022年版防衛白書によると、中国の台湾も射程に入れる中距離・準中距離弾道ミサイルの保有数は21年に278基と前年より24基増えた。弾頭部分を極超音速滑空体にした新型ミサイルも含まれる。
米中央情報局(CIA)長官のバーンズは5月、ワシントン市内で開かれた英紙フィナンシャル・タイムズ主催の会合に出席し、ウクライナ侵攻でのロシアの苦戦を目の当たりにした総書記の習近平(シー・ジンピン)が「動揺している印象を受ける」と指摘した。習指導部の台湾統一計画が遠のく可能性にも言及した。
米国はハイテク兵器を売却し、台湾の「軍事要塞化」を進める。要人の訪問も増やし米台の結束を深めようとしている。
5月、1人の中国軍人を糾弾する文書が中国共産党内で出回った。名指しされたのは階級最高位の上将で、国防大学政治委員を務めた劉亜洲だ。
「政治的投降の思考の軌跡」と題する文書は、劉がかつて米国を「唯一無二の超大国」と評価し、台湾の武力統一に反対したことを責め立てた。「必ず批判を加え、粛清すべきだ」と結んだ。著者は退役軍人だ。
習と劉はかつて親しい間柄で知られた。なのに非難文書が出回るのはなぜか。内情に詳しい関係者は「台湾問題の解決が遠のきかねない状況に、軍内で不満が募っている」と話す。
軍のいらだちを示す動きはあちこちで起きている。5月に南シナ海上空でオーストラリア軍の哨戒機の前を中国軍の「殲16」が横切り飛行を妨害した。6月には同海上で米軍の輸送機に中国の「スホイ30」が異常接近した。朝鮮半島の近くでカナダ軍の哨戒機が中国軍機から威嚇される事態も起きた。
安全保障を担う日本政府関係者は「このタイミングで軍事的緊張を高めることは必ずしも最高指導部の意向と一致しない。党と軍の人事を決める党大会が迫り、軍が手柄争いをしているのではないか」と分析する。
習政権の3期目をにらんだ思惑が交錯するなか、党幹部や長老らが集まる夏の北戴河会議が始まる。(敬称略)
中国総局の桃井裕理、川手伊織、多部田俊輔、羽田野主が担当しました。
【ルポ迫真「迫る中国共産党大会」記事一覧】
・習近平氏「刃を内にむけよ」 3期目へ異分子をけん制
・中国「対米休戦を急げ」 景気浮揚へ制裁関税撤廃狙う
・ジャック・マー氏、つかの間の安息 ネット統制に恭順
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
ロシアの対ウクライナ軍事作戦の長期化を見て、中国の習近平国家主席は憂慮しているだろう。武器を含むロシアへの積極的支援は見送っているようであり、自国に火の粉が飛んでくるのを回避したい様子がうかがえる。一方で、「一つの中国」原則は絶対に譲れない一線。米国が台湾に武器を売却するなど肩入れしている状況は座視し得ず、厳しいコメントが中国から出ている。そうした中、記事によれば、中国人民解放軍の一部は指導部の舵取りに不満を抱いているようであり、独断専行的な行動に出ているという。以前に北朝鮮の軍部隊についても同様の話が出ていたが、現場の跳ね上がり的な行動は、不測の事態につながりかねないリスク要因である。
2022年7月29日 7:42 (2022年7月29日 7:43更新) 』
中国国策半導体ファンド、トップが身柄拘束
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM293GI0Z20C22A7000000/
『【北京=多部田俊輔】中国の国策半導体ファンド、国家集成電路産業投資基金(国家大基金)の経営トップ、丁文武総裁が身柄を拘束されたことが29日までに明らかになった。中国メディアの財新が伝えた。中国政府が補助金を投じる中で「半導体バブル」が起きており、資金の流用などの不正が相次ぎ摘発されている。
国家大基金は2014年に設立。第1期は約1400億元(約2兆8000億円)を半導体企業の育成に投じ、19年からは約2000億元規模の第2期の投資も行っている。丁氏は工業情報化省出身。国家大基金の設立を受け、同基金で陣頭指揮してきた。
中国メディアによると、丁氏は16日の半導体業界の会議に参加したのを最後に姿を現しておらず、当局の調査を受けているとみられる。国家大基金を巡っては、ファンドの資金を管理する企業の前トップも、7月中旬に身柄を拘束され調査を受けている。
国家大基金の投資先には、中国の半導体大手である紫光集団の傘下企業も含まれる。財新によると、紫光集団の前トップ、趙偉国氏も7月上旬に身柄を拘束された。同氏の経営する企業と紫光集団の傘下企業の間で不適切な利益移転があった疑いが浮上している。』
中国 経済減速で「懐の豊かさの保証」にかげり 中産階級が突きつける「ノー」に対応を迫られる政権 – 孤帆の遠影碧空に尽き
https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/a7df11278dd5d499a537dd631bae7f8c
『【4-6月期の実質GDPは、前年同期比0.4%増 中国経済の基盤は依然として不安定】
中国経済が厳しい「ゼロコロナ政策」の制約のもとで減速を強いられていること、一方で膨大な労働市場への新規参入者を抱えて「就職氷河期」の状況になっていることは、6月26日ブログ“中国 ゼロコロナの就職氷河期 1076万人の高等教育機関卒業生が労働市場へ”で取り上げました。
中国経済の急減速は、中国の国家統計局が7月15日、2022年4月から6月までのGDPの伸び率が、前年同期で0.4%増だったと発表したことでも明らかになっています。
0.4%という数字は日本などに比べれば厳しい条件下で健闘していると言えますが、成長を前提にした中国社会を安定的に支えていくものとしては非常に低い数字です。
****中国経済、プラス成長維持も苦境変わらず****
中国国家統計局が15日発表した2022年4-6月期(第2四半期)の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比0.4%増となった。伸びはこの2年間で最低だが、春に新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う厳格なロックダウン(都市封鎖)を実施したことを踏まえると、この成長率は事実ならば素晴らしい成果だ。
しかし、中国経済の基盤は依然として不安定に映る。中国政府は緩慢なペースの景気回復を軌道に乗せるためにも、特に住宅セクターへの大幅な梃入れが不可欠だ。
中国の6月の経済指標では、輸出と軽工業の回復をはじめとする明るい兆しも確認された。(中略)
さらに、地方政府が23年分のインフラ債(専項債)の前倒し発行を計画していると報じられた。これが実現すれば、中国の目前に突きつけられた「財政の崖」の回避につながるかもしれない。
今春のインフラ投資の回復を支えたのは、こうした地方債の大量発行だった。中国の純国債発行額は6月だけで1兆6000億元(約33兆円)増加し、月間ベースの増加幅は過去最高の20%近くに達した。
それにもかかわらず、中国経済全体は依然として問題を抱えており、22年通年の公式目標である5.5%前後の成長率を達成するのに必要な体力を持ち合わせていない。国債発行を除けば、信用の伸びは依然として低調だ。特に景気刺激策を講じた20年と15年の水準と照らすと非常に弱い。
中国経済にとって重要な不動産セクターは6月に回復の兆しを見せたが、現在は低迷へと逆戻りしている。大中都市30都市の不動産販売(床面積ベース)は6月下旬までに1日あたり100万平方メートル以上へと回復したものの、現在ではその3分の1以下に落ち込んでいる。
6月の不動産投資は前年同月比9.4%減となった。ソーシャルメディアでは、住宅購入者がまだ引き渡しが行われていないマンションの住宅ローンの支払いを拒否する動きが広がっている。こうした動きは不動産開発業者だけでなく、銀行にも新たな打撃となる恐れがある。
中国政府は、不動産開発業者に対して新たに大規模な支援に乗り出す必要がある。昨年、政府は不動産セクターを厳しく取り締まったことから、今となって支援を行うのは政治的に難しいかもしれないが、必要な措置だ。支援を実施しなければ、神経質になった金融機関が不動産開発業者に貸し渋り、開発業者はマンションの引き渡しにさらに苦労するという悪循環に陥ってしまい、住宅購入者の信頼をさらに損なう恐れがある。
地方都市の不動産価格は21年9月以降、下落を続けている。これは15年後半以来の最長の下落局面だ。当時、中国では不動産・重工業セクターが債務危機に見舞われ、金融システムが崩壊の瀬戸際に追いつめられていた。
6月の小売売上高は前年比3.1%増と緩やかな回復を示した。ただ、新型コロナの新規感染者は全国で再び増加に転じている。それでも新規感染者は1日あたり約500人前後と、ピーク時に上海市で記録された1日2万人を超える水準を大きく下回る。
少なくとも中国政府の公式発表によると、1-6月期のGDPは前年同期比でかろうじてプラス成長を達成した。だが、22年以降の見通しはかなり暗い。大型の景気刺激策を講じても、通年で1桁台前半の成長が関の山だ。
新型コロナのオミクロン変異株の大流行が発生した場合や、政策当局が不動産セクターを取り巻く逆境を好転させることができない場合、もはや中国政府は為す術がないだろう。【7月16日 WSJ】
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【不動産市場低迷で業績悪化の地方銀行が預金者への支払い停止】
景気の悪化で目立つのは上記記事にもあるように不動産市場の低迷。昨年は不動産大手「恒大集団」の経営危機が表面化しましたが、状況は改善していません。
それにともなって、社会不安が拡大しています。
河南省鄭州では、不動産企業に貸し付けた資金が焦げ付いたことから金融機関の資金が枯渇し、一般の預金者への支払いができなくなり、預金者が1000人規模(3000人との報道も)で金融機関に抗議。地元当局とみられる白シャツの集団に排除され、多数の負傷者が出る混乱も起きました。
事態の収拾を急ぐ地方当局は、小口預金者について銀行に代わり顧客に預金を払い戻すと発表するなどしています。
****中国の預金8000億円“凍結”問題、抗議活動が一層激しく 国も座視できない状況に?****
中国の地方銀行で8000億円の預金が引き出せなくなった問題。預金者ら1000人規模のデモが発生し、地元警察が力づくで排除するなど、抗議活動が一層激しくなっている。
事件は今どのような状況なのか。その大規模な抗議活動を取材したANN中国総局の李志善記者に聞く。
Q.現地の抗議活動の様子は?
10日の抗議活動は早朝4、5時からと早い時間からだった。そもそも抗議活動は河南省・鄭州市で、地元政府の銀行監督当局庁舎の前で何度か行われてきたが、今はそこにつながる道が封鎖されて近づけないようになっている。車はもちろん入れないし、歩いて行こうとしても制止される。
どうやって声をあげようかということで考えたのが、誰も予想できない時間と場所で抗議をするということだったようだ。今回の場所が中国人民銀行の河南省の支店で、ここは地方銀行の上級機関にあたる。ちょっとでも声が上に届いてほしいということで、その上級機関の前で抗議することになった。
中国の公務員がよく使うスローガンで「為人民服務」、つまり人民のために奉仕するという言葉がある。今回、現場で起きていたことはこれと真逆だったと言えると思う。被害者である預金者を強制的に排除したり、預金者に抗議活動に参加するなと電話をかける圧力をかけている。取材した預金者の「私たちは被害者であって、権利を守りたいだけだ」という言葉に尽き、それに耳を傾けるべきだと思う。
Q.行政の対応は?
11日夜にニュースが入ってきた。小口の5万元、日本円で100万円以下の預金について、地元政府が肩代わりするかたちで先に預金を返還すると発表した。それは1つ進展だと言えるが、一方で大口の預金者については追って対応を発表するとしていて、まだまだ安心できない。
このように地元政府は何もしていないわけではなく、警察当局とも連携をしながら事態の全容解明に動いている。
事件のスキームとして、投資会社が傘下の銀行を操って預金を集めていたが、それ以外にも複雑な状況があり、捜査に非常に時間がかかっている。多数の預金者がいることや個別のケースがあって、お金の行き先を調べたり、資金の凍結や差し押さえたりと徐々にやっている。
実は、この銀行は農村や農民、中小企業を助けるとうたっていたことから、地元政府は何度も模範的な金融機関として表彰していた。そのため、監督責任を追及する声があがっていて、地元政府としては事を荒げたくないということで封殺するように動いている。
地元警察は関係する容疑者を逮捕したと何度か発表していて、少しずつ進展はしていると思う。(中略)
Q.今後この事件が収束する見通しは?
見通しは難しい。ただ、中央政府に対してもなんとかしてくれという声もあがっていて、国が乗り出してくるのか、地元政府がなんとかするのか。国としても座視できない状況になってきているので、そこのバランスになってくると思う。【7月13日 ABEMA TIMES】
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【「独裁的体制とよりよい取引をするため、賢い抗議者は公式に承認されたやり方で不満を表現する」】
この問題は、地方当局が預金者の抗議行動を封じ込めるためにコロナ対策で使用される「健康コード」アプリを恣意的に使ったということでも大きな問題となりました。
中国共産党のもとで厳しい社会統制が敷かれる中国での抗議活動というのは、日本などとはやや異なる様相もあるようです。
抗議する側はやみくもに抗議を行っている訳でなく、“不安定化を恐れる中国共産党と、トラブルの表面化を嫌う地元当局の双方の立場に付け入ること”を狙った“意識的なロビー活動”との指摘も。
****独裁政権のパワーバランスを完全に理解した、中国農村デモ「勝利の方程式」****
<中国・河南省の農村向け銀行で、預金が一方的に凍結される騒ぎが発生。ただし抗議者は計算ずくの行動と主張で、中央政府を刺激せず目的の一部を達成した>
実りのない結果に見えた。河南省の省都・鄭州で7月10日、市民約3000人による大規模な抗議活動が発生。私服組と制服組が交じる警官隊と衝突した末に、制圧された──。しかし、参加者は少なくとも目的の一部を達成した。
市民が抗議の座り込みを行ったのは、中央銀行・中国人民銀行の鄭州支店前だ。河南省の農村向け銀行4行、および近隣の安徽省の銀行1行で今年4月から、計数十万件の口座の預金が引き出せなくなっているスキャンダルをめぐって、捜査と補償を訴えた。
中国のソーシャルメディアでは、警察の暴力を捉えた動画が拡散し、抗議活動を支持する声が上がった。「マフィア! マフィア!」と叫ぶ抗議者の非難の対象は、問題の銀行だけではない。複数の地元当局者が共謀して預金を奪ったと、彼らは主張している。
鄭州では6月、抗議を計画する預金者の移動を制限しようと、新型コロナウイルス対策の一環として中国でダウンロードが義務付けられている「健康コード」アプリを、地元政府幹部らが不正操作した事件も発覚。一般市民の憤慨や国営メディアによる批判を招き、幹部らは処分された。
今回のような抗議活動は中国では一般的かつ明確な目的がある。単なる怒りの表明ではなく、当座の目標達成を追求する意識的なロビー活動だ。
この手の集団行動を効果的に行うカギは、不安定化を恐れる中国共産党と、トラブルの表面化(そうなれば、上層部に調査されることになりかねない)を嫌う地元当局の双方の立場に付け入ること。抗議活動の発生件数は業績評価の指標の1つでもあるため、当局者は未然に防ぎたがる。
こうした集団行動戦略は、要求内容が鉱山労働者への未払い賃金の支給であれ、固定資産税の引き下げであれ、一定の成功を収めることが多い。それは抗議活動への対応として、アメとムチの兼用が常套手段だからだ。
圧倒的な治安機構を背景とする強大な力でデモを鎮圧した後、通常はカネを提供することで、問題の少なくとも一部を解決する。
地方の金融機関で同様の問題が続く見通し
定石どおり、鄭州での座り込みの翌日、河南省当局は預金額5万人民元未満の顧客を対象に、補償計画を公告した。預金額5万元以上の顧客には追って補償を行うという。問題の銀行を乗っ取ったという「犯罪組織」関係者の逮捕も発表された。
同様の問題は、近い将来に再び起こりそうだ。中国ではこの10年間、地方部住民への融資サービスの拡大を図り、政府が農村向け銀行の奨励策を実施。その数は今や、およそ4000行に上る。
だが、多くの農村向け銀行は資本不足で不良債権に悩まされ、合併を求める声にさらされている。中国のほぼ全ての金融機関と同じく、建設・不動産市場に過剰投資してきたが、これらの市場は国内各地で急速に収縮している。
農村向け銀行は地元当局の汚職のツールにもなり得る。さらに、地方政府の歳入は先細りしている。補償の担い手は明確でなく、政府内で対立を招く可能性が高い。
今回の抗議活動の原因は不透明な補償プロセスだ。中国は2015年に預金保険制度を導入したが、これまで発動した例はない。
その一方、中国政府はいくつかの金融機関を救済している。モラルハザードよりも不安定化を懸念する政府は、いざというときには公的救済措置を取ると、中国の投資家は信じて疑わない。
上海交通大学上海高級金融学院の朱寧(チュー・ニン)教授いわく、これは「保証付きバブル」のパターンだ。不動産を含めて、通常経済では補償されないはずの金融活動はどれも、政府が補償してくれるという暗黙の了解が中国にはある。市場が下落傾向になると、街頭では抗議活動が始まる。
今回の事件では、被害口座が預金保険制度の対象になるのか不明なままだ。少なくとも一部は普通預金ではなく、制度の対象外である高金利の資産運用商品だった。預金者本人が、この事実を知らされていたかも明らかではない。
銀行側はオンライン融資と結び付いた高リスクのスキームを用い、補償責任の範囲外で預金を集めていたとみられる。預金件数の多くは、バランスシートに記載されることもなかったようだ。
中国のオンライン融資では、詐欺や不正会計が珍しくない。18年には、ピア・トゥ・ピア(個人同士)の融資システムなどをめぐって事件が相次ぎ、厳しい取り締まりが行われた。破綻企業の顧客は政府の補償を期待して抗議活動を行い、限定的ながら成果を得た。
許容範囲の「線引き」は突然変わる
資産運用商品は多くの場合、特に金融知識が乏しい層(または、最終的に政府がリスクを負担してくれると信じる人々)向けに、通常の銀行口座や有力機関のお墨付き商品であるかのように装って販売される。銀行が資金流出を防ぐために店舗を閉鎖したり、オンラインサービスの一部を停止し、顧客が口座にアクセスできなくなることもある。
中国の金融部門が不動産危機とゼロコロナ政策による経済減速に見舞われるなか、抗議活動は増えるだろう。だがそれは、あくまでも一定の枠内での行動を意味する。「独裁的体制とよりよい取引をするため、賢い抗議者は公式に承認されたやり方で不満を表現する」と、中国専門家のエリザベス・ペリーは指摘する。
今回、抗議者は中央政府に権力を行使するよう求めた。中央政府そのものに疑問を呈していたら、より過酷に弾圧されただろう。
もちろん、言動の許容基準は突然変化することもある。18年、オンライン詐欺の被害者が補償を求め、メッセンジャーアプリの微信(ウェイシン)を使って北京でデモを計画したが、開始前に解散させられた。北京が首都であることと、グループチャットが統制対象であることが作用した。
越えてはいけない一線を見極めるのは難しい。【7月20日 Newsweek】
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【建設中断マンション購入者がローン返済を拒否 中産階級が中国政府に「ノー」を突きつける】
金融機関の問題だけでなく、不動産不況によって建設が中断するマンションが相次ぎ、購入者がローン返済を拒否するという混乱も拡散しています。
中国では、まだマンションが建設される前から契約が行われ、ローンの支払いが始まります。ですから、建設が中断してしまっても、契約上はローンを払い続けなければいけません。
****マンション工事中断相次ぎ…購入者“ローン返済拒否”中国****
ゼロコロナ政策の影響などで経済が減速している中国で、マンションの工事中断が相次ぎ、購入者がローン返済を拒否する騒動が各地でおきています。
中国では、不動産会社の資金繰りが悪化しマンションの工事が中断する問題が相次いでいます。
こうした中、工事の再開や早く部屋を引き渡すよう求める購入者らが開発会社に対しローンの返済拒否を通告する動きが広がっています。
中国メディアによりますと、北京市内のこのマンションも工事が遅れていて購入者から「引き渡し期限をすぎればローンの支払いを中止する」と通告されました。
こうした物件は、中国全土で少なくとも100件以上に上っているということで、金融当局も対策を指示するなど神経をとがらせています。【7月20日 日テレNEWS】
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共産党一党支配と言うと、厳しい強権的な抑制・弾圧の側面がイメージされますが(実際にそういう面が多々ありますが)、それだけでなく、日本・欧米のように選挙などを通して民主的に人々の不満を政権につなげていく政治システムがないだけに(日本のシステムがうまく機能しているかは別問題です)共産党政権は国民の不満が爆発しないように敏感にならざるを得ないという側面もあります。
****中国政府は大慌て 都市部「中産階級」の不満はなぜ爆発したのか****
(中略)
中国政府は従来、こうした抗議デモ(河南省鄭州市で7月10日、地方政府や金融機関に3000人規模の預金者が抗議行動を行った事件)が発生しないように厳しく抑え込んできたが、最近、厳格すぎるコロナ対策への不満や景気減速による経済難などが災いして、各地で抗議活動が起きている。当局はこうした動きの広がりに神経を尖らせているが、気になるのは抗議者たちの要求の内容だ。
預金凍結に反対してデモ行進や集会を粛々と実施していたところに白ずくめや黒ずくめの服を着た暴漢が襲いかかったことから、中国人民銀行鄭州支店前に集結した預金者たちは「暴力で預金者に対応する省政府に抵抗する。人権と法治を要求する」「預金がなければ人権もない」とのメッセージを発するようになったのだ。
「中国人は豊かになっても民主主義や人権に対する意識は低いままだ」と揶揄されてきたが、「虎の子」である自らの財産が奪われるとなれば、話は違う。
10年以上前の中国では地方政府が暴力を振るって農民から土地を収奪する事件が相次いでいたが、習近平政権誕生以降はこのような暴力沙汰は鳴りを潜めていた。
だが、あろうことか、都市部の中産階級に対してかつてのような暴力事件が起きてしまった。農民とは異なり、中産階級の影響力は大きいため、中国政府は早速事態の収拾に乗り出した。
中国の複数の金融機関で預金が引き出せなくなった問題に関し、中国政府は11日、預金者向けの救済策を発表した。その内容は「15日からまず5万元(約100万円)以下の預金を対象に支払いを始め、5万元超も順次肩代わりをする」というものだ。
社会不安につながる動きを未然に防ごうとする中国政府の真剣さのあらわれだが、頭が痛いのは救済に当たる役割を押しつけられた地方政府の財政が「火の車」だということだ。
中産階級の「ノー」
米S&Pグローバルは「今年末までに中国の地方政府の3割に破綻リスクが生じる」との試算を公表した。不動産市場の低迷で土地使用権売却収入が落ち込み、インフラ債などの利払い費が膨らんでいるからだ。
新型コロナ対策に必要な財政負担も重くのしかかっており、預金者の救済が中央政府の思惑通り進む保証はないと言わざるを得ない。
中国政府にはさらなる難題が待ち構えている。
中国の不動産危機は昨年秋の恒大集団の経営難に端を発しているが、その後も苦境に陥る不動産大手が後を絶たないことから、建設工事が止まった未完成住宅の購入者が住宅ローンの返済を拒否するという動きが広がっている。
中国では新築マンションの竣工前に購入契約を済ませることが多い。入居前から住宅ローンの返済が始まることが通例となっているが、ローンを払っているのに住宅が完成する前に不動産企業が倒産したら元も子もない。
権利意識に目覚めた中産階級は物件引き渡しの遅れに抗議するため、住宅ローンの返済拒否という自衛手段に出ているわけだが、返済拒否が広がれば銀行の貸出残高の2割を占める住宅ローンが不良債権化してしまう。
中国の民間調査会社によれば、工事の停止で引き渡しが遅れているマンションに関連する住宅ローンは2兆元(約41兆円)に上る。
金融不安への警戒を強める中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は14日「金融機関にリスク対応を徹底させる」と発表した。さらに18日、未開発物件の完成を後押しするため金融機関に対し不動産開発企業への融資を促したが、事態が改善するかどうかはわからない。「支払い拒否」が金融危機の引き金になるとの危惧が強まっている。
「支払い拒否」という現象は、中産階級が中国政府に「ノー」を突きつけているあらわれでもある。「懐の豊かさ」を保障することができなくなれば、中国政府の正統性を揺るがす由々しき事態にもなりかねない。
ウクライナ危機で「漁夫の利」を得たとされる中国だが、足元の基盤は思いのほか脆弱なのではないだろうか。【7月26日 藤和彦氏 デイリー新潮】
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中国共産党政権と国民の間には、国家が「懐の豊かさ」を保証してくれるなら、一定の自由の制限にも甘んじるという一種の暗黙の契約があるともみなすことができます。
その暗黙の契約の大前提は“「懐の豊かさ」を保障すること”ですが、経済の減速・低迷でその前提が崩れると、抑圧されてきた不満が社会の歪からあちこちで噴き出すことにもなりかねません。
“前年同期で0.4%増”では足りません。』