
『【瀋陽=出水翔太朗】中国中央テレビは25日、月の裏側で土壌採取に成功した中国の無人探査機「 嫦娥(じょうが) 6号」が同日、中国の内モンゴル自治区に帰還したと報じた。月の裏側から試料を持ち帰るのは世界初で、「宇宙強国」を目標に掲げる 習近平(シージンピン) 政権にとって新たな成果となった。』

『【瀋陽=出水翔太朗】中国中央テレビは25日、月の裏側で土壌採取に成功した中国の無人探査機「 嫦娥(じょうが) 6号」が同日、中国の内モンゴル自治区に帰還したと報じた。月の裏側から試料を持ち帰るのは世界初で、「宇宙強国」を目標に掲げる 習近平(シージンピン) 政権にとって新たな成果となった。』
JAXAに複数回サイバー攻撃、23〜24年 機密情報流出か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE210L20R20C24A6000000/
『2024年6月21日 8:19 (2024年6月21日 10:57更新)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2023年から24年にかけてサイバー攻撃を複数回受け、機密指定を含む情報が外部に流出した可能性があることが21日、分かった。
関係者によると、流出の恐れがあるファイルは1万以上にのぼり、JAXAと秘密保持契約を結んでいた外部機関の情報も含まれていたとみられる。
JAXAは文部科学省などに被害を報告した。流出した可能性のあるファイルについて、「ロケットや人工衛星に関する機微情報は含まれていない」と説明しているという。
JAXAは「関係者の皆様にご迷惑をおかけしていることを真摯に受け止めている。今後、対策の強化を進めていく。サイバー攻撃の詳細については回答を差し控える」とコメントした。
JAXAはロケットの打ち上げや人工衛星、宇宙探査など日本の宇宙開発で中心的な役割を担う。近年は宇宙利用の安全保障上の重要性も高まり、機密性が高い情報を数多く取り扱っている。
木原稔防衛相は21日の閣議後の記者会見で「JAXAは宇宙・航空分野で重要な役割を果たしており、装備品などの研究開発、役務の契約相手方でもある。現時点で防衛省の業務に特段の支障はないと考えているが、JAXAによる調査を引き続き確認していきたい」と述べた。
JAXAは過去にもたびたびサイバー攻撃を受けてきた経緯がある。16〜17年にはJAXAを含む国内約200の企業や研究機関に大規模なサイバー攻撃があった。12〜13年にも不正アクセスが複数回発生した。
23年11月には内部ネットワークへの不正アクセスが警察からの連絡で分かったと明らかにした。ただ、ロケットや人工衛星といった機微情報を扱うネットワークとは異なる一般業務の情報を管理するイントラネットに対する不正アクセスだったとしていた。JAXAの山川宏理事長は当時、「サイバー攻撃を受けたのは事実だが、ロケットや人工衛星に関する機微情報はしっかり管理しており、漏洩したと考えていない」と説明していた。
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・JAXAにサイバー攻撃、理事長「機微情報の漏洩ない」
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次世代HDD技術がついに登場、東芝はMAMRで勝負する
https://www.sangyo-times.jp/article.aspx?ID=2758






『2018/9/21
HDD(ハードディスク装置)の次世代記録技術が2019年に相次ぎ登場する。次世代技術として開発が進むのがMAMR(マイクロ波アシスト記録)とHAMR(熱アシスト記録)だ。米国のWestern DigitalとSeagate Technology、さらに東芝を加えたHDDメーカー3社が新技術でしのぎを削る。
果たして、次世代HDD技術の本命は。
HDDはストレージの主役
HDDはパソコン(PC)やAV機器、データセンターの記録装置として広く利用されている。近年では、フラッシュメモリー(半導体メモリー)を用いたSSDの普及が進んでいるが、記録容量やビット単価(単位情報あたりのコスト)で比較した場合、依然としてHDDのアドバンテージは大きい。
HDDは磁気ディスク(磁性材を成膜した円板)の中の微小な磁石の向きが反転する現象を利用して、1、0のデータを記録・再生する。米IBMが1956年に発表した「RAMAC」が世界初のHDDと言われている。すでに半世紀上の歴史がある技術だが、磁気ディスクの表面をヘッドが移動することで記録・再生する、という基本的なメカニズムは現在も変わっていない。
変わったのは記録密度(容量)と装置の大きさである。直径24インチ(約60cm)の磁気ディスクを50枚使用していたRAMACは、とにかく大きかった。一方で、記録密度は平方インチあたり2k(キロ)ビットと、現在のHDDと比較すると絶望的とも言える少なさである。
現在のHDDのフォームファクターは3.5インチと2.5インチで、記録密度は平方インチあたり1T(テラ)ビットに達している。単純計算で、HDDの記録密度は60年間で5億倍に増えたことになる。
ちなみに、以前は1インチや1.8インチといった小型HDDもあったが、その領域は完全にフラッシュメモリー(SSD)に置き換わった。
HDDとSSDの価格差は大きい
フラッシュメモリーに対するHDDの競争力の源泉がビット単価である。Western Digitalの分析によると、10年前のHDDのTB(テラバイト)あたりのコストは100ドル強で、フラッシュメモリーに対して50~60分の1程度だった。その後、フラッシュメモリーはSLC(1ビット)からMLC(2ビット)に移行したことでコストが急速に下がったが、現在も20倍程度の価格差がある。
今後、フラッシュメモリーは多値化(3ビットのTLCもしくは4ビットのQLC)と3次元構造の組み合わせでコスト低減が進むが、HDDもMAMR、HAMRといった新技術の登場で高密度化&コスト減が進むため、HDDとフラッシュメモリーのコスト差は当分縮まりそうにない。
いずれにしても、HDDがフラッシュメモリーと競合するには、記録密度および記録容量を上げ続けるしかない。
PMRの記録密度は限界
簡単にHDDの高密度記録の歴史を振り返ってみよう。HDDは長年、記録層の磁石の向き(磁極)を面内方向に変える「面内(長手)記録」という方法が使われていたが、00年を過ぎたあたりで高密度化の限界が見えてきた。この時の記録密度はおおむね100G(ギガ)ビット/平方インチと言われている。
HDDは磁性層の磁石の大きさを小さくすることで記録密度を上げることができる。つまり微細化だ。これはフラッシュメモリーの高密度化と同じアプローチだが、当然ながら微細化には物理的な限界がある。
HDDの場合、磁石の粒径が小さくなりすぎると、減磁界(磁石内の磁力を減少させる働き)や熱揺らぎ(磁化エネルギーが熱エネルギーに負けて記録が消える現象)といった問題が顕著になり、情報の書き込みや記録保持が難しくなる。
こうした技術課題を克服する切り札として登場したのが、磁極を深さ(垂直)方向に変えるPMR(垂直磁気記録)である。04年に東芝が世界に先がけ商品化し、以来、HDDの高密度化を支え続けている。
近年、PMRを補完する技術として提案されているのがSMR(瓦記録)である。屋根瓦のように、ディスク上のトラック(データを記録する同心円状の円周)の一部を重ねながら記録することから「瓦記録」と呼ばれる。SMRはトラック幅を狭くしなくても高密度記録が可能だが、メディアキャッシュ(データの仮置き場)を介して、まとまったデータを記録する必要があるため、ランダムな書き込みができないという課題がある。
それでも、記録密度はPMRで1Tビット/平方インチ、PMRとSMRの併用では1.4Tビット/平方インチが狙える。しかし、市販されているHDD(PMR&SMR)の記録密度はすでに1Tビットを超えており、既存技術での高密度化が頭打ちになるのは時間の問題だ。
そこで、次世代記録技術の出番となる。最有力候補がMAMRとHAMRである。
アシスト記録の本命は?
これまでのHDDは記録層(磁性層)の磁石を微細化することで高密度化を進めてきた。磁化の向き(記録状態)は磁石の保磁力で維持されるが、微細化が進むと保磁力が低下し、熱安定性が下がるため、情報のエラーや記録消失といった問題が発生する。熱安定性を高めるには保磁力の強い材料を使えばいいが、そうなると今度は書き込みが難しくなる。
こうした問題を解決する新たな記録技術がアシスト記録である。要するに、情報を書き込む時だけ、一時的に磁石の保磁力を下げればいい。磁石の保磁力を下げる方法として、MAMRはマイクロ波、HAMRはレーザーを使う。MAMRでは、記録ヘッドにマイクロ波を発生するスピン・トルク・オシレーター(STO)を搭載し、HAMRもヘッドにレーザー発振のためのレーザー・ダイオードを配置する。
東芝はMAMRを選択
MAMR、HAMRのどちらを選択するかはHDDメーカーによって戦略が分かれるが、今のところ、Western Digital(子会社のHGST含む)と東芝がMAMR、Seagate TechnologyがHAMRを選択している。
Western Digitalは17年に世界で初めてMAMR方式を採用したHDDのデモンストレーションを行ったが、18年にサンプル出荷を開始し、19年の量産開始を目指している。
Seagate Technologyは、00年からHAMRの開発に取り組んでおり、16年にはHAMRで2Tビット/平方インチの書き込みを実証した。これまでに4万台近いHAMRドライブを試作しており、主要顧客へのサンプル出荷も開始している。19年からパイロット生産を開始し、20年に20TBのHDDを量産出荷するという。
米国勢2社に対して、東芝もMAMR、HAMRの開発に取り組んでいるが、まずはMAMRの実用化を目指す考えだ。19年まではPMR、SMR、TDMR(2次元記録)といった既存技術の活用で18TBの容量を実現するが、順調にいけば、19年末にもMAMRを採用した18~20TBのHDDを投入する予定だ。
東芝はMAMRで勝負
MAMRとHAMRのどちらが次世代HDD技術の覇権を握るかは分からないが、現状、コスト面ではMAMRが有利とされる。マイクロ波は温度上昇の影響がなく、従来のPMRと同等の温度で動作するという利点もある。記録密度は4.5Tビット/平方インチが狙えるとし、現在と同じ8枚ディスクの場合、1台のHDDで40TBの記録容量が可能となる。
一方のHAMRは加熱と冷却は数ナノ秒という短時間に行われるが、それでもヘッド先端が高温になるため劣化しやすい、といった課題が指摘されている。ただ、高密度化ではHAMRにアドバンテージがあり、50TB超の大容量化が可能と言われている。
HDDも3次元を目指す
さらにその先の技術検討も進んでいる。10Tビット/平方インチを超える技術として期待されているのがビットパターンメディアである。ビットパターンメディアは、1つの磁性結晶粒が1つのビットを構成するため、これまでのグラニュラ媒体を大幅に上回る記録密度が可能となる。ただ、そのためには数nmサイズのドットを均一に作製する技術が必要で、技術的なハードルはかなり高い。
さらに、強誘電体記録(ferro-electric Recording)や3次元記録といった新技術も提案されている。強誘電体記録は、強誘電自発分極の方向でビット情報を記録する方式で、PMRに類似した情報記録を電気的に実現できるらしい。これまでに4Tビット/平方インチの記録が可能なことが報告されており、ストレージ技術の研究コンソーシアムであるASRC(Advanced Storage Research Consortium)も強誘電体記録を新たな研究テーマに加えている。
3次元記録については、15年に東芝が記録層を多層化した3次元構造でも磁性媒体への書き込みや読み出しができることを発表している。多層化する磁性媒体には、異なる強磁性共鳴周波数を有する磁性体を使用し、強磁性共鳴周波数に応じた周波数のマイクロ波磁界を印加することで、特定の磁性体層のみに磁化振動を励起することができた。磁化振動が励起された層は、磁化反転に必要なエネルギーが低減されるため(マイクロ波アシスト効果)、層を選択した磁化反転が可能という。
早ければ25年ごろの実現を目指すということだが、問題は現在のHDDと同じビットサイズでこれが実現できるかどうかだ。磁気ヘッドや多層記録に最適化した記録媒体の開発など、解決すべき課題は少なくない。
電子デバイス産業新聞 編集部 記者 松永新吾 』
HDD再成長 大容量化でソニーや日東電工に恩恵
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1422G0U4A610C2000000/





『2024年6月18日 2:00
処理速度が速いソリッド・ステート・ドライブ(SSD)にシェアを奪われてきたハードディスク駆動装置(HDD)が土俵際から復活しようとしている。記録容量を大きく増やす革新技術が実用化の段階に入った。生成AI(人工知能)の普及などでデータセンター向け記憶装置の需要が急増するタイミングと合致し、HDD市場は再び成長軌道に乗ろうとしている。
「ディスク1枚当たりの記録容量は、これまで2.4テラ(テラは1兆)バイト(TB)だったが、今年3TBに、2025年は4TB、さらに28年ごろに5TBへ急増する」
米大手HDDメーカー、シーゲイト・テクノロジーの日本法人、日本シーゲイト(東京・品川)の新妻太社長は今後の見通しをこう話す。さらに8〜10TBにする研究も進めているという。HDDには日本メーカーが関わっている部品・素材も多く、市場の再拡大は日本にとっても追い風になる。
シーゲイトが導入する新技術は「熱アシスト記録(HAMR=ハマー)」と呼ばれる。HDDの記録密度を高めるためには、ディスクの磁性粒子を小さくする必要があるが、そうするとデータ記録後の保持が難しくなる。HAMRはレーザー光を使い、ディスクを一時的に加熱することで、この課題を乗り越えられるという。
シーゲイトがHAMRの開発に取りかかったのは00年代初頭。原理は業界でも知られていたが、記録媒体の研究やセンサーの開発など多様な技術開発を長期にわたって行ってきた。同社は24年6月までに1枚の記録容量が3TBのディスクを10枚搭載したHDD(容量計30TB)を100万台生産する予定で、大容量品の量産化で競合他社を引き離しにかかる。
HDD活躍の舞台はデータセンター
かつてパソコンなどの記録媒体の主役だったHDDは、ここ10数年余りで、データの書き込み・読み出しが速いSSDに急速に取って代わられてきた。市場調査会社のテクノ・システム・リサーチ(TSR、東京・千代田)によると、デスクトップパソコン用の記録媒体では16年にはHDDが90.5%を占め、SSDは9.2%にすぎなかったが、20年に両者のシェアは逆転し、23年はSSDが87.5%、HDDは11.9%だった。
ノートパソコンでは、一足早く18年にSSDがHDDを上回り、23年は94.5%をSSDが占めた。同様に「クラウドに使うサーバー用の記憶装置でもSSDにかなり置き換えられてきた」(TSRアシスタントディレクターの楠本一博氏)。
かつてのフロッピーディスクのように記録媒体としての役目を終えていくのかと思いきや、大容量化の新技術によって息を吹き返そうとしている。大容量化するHDDが活躍する舞台となるのは、「ニアライン」と呼ばれるデータセンター用などの記憶装置だ。
この分野ではデータの読み出しなどの速度がサーバー用ほど速くなくてもよく、記録容量の大きさやコストの低さが重視されることから、HDDがまだ優位を保っている。
HDDの記録容量が2倍になるということは「同じ専有面積でデータセンターの記録容量を2倍にできる」(日本シーゲイトの新妻社長)ことを意味する。データ量1ビット当たりで見たデータセンターの建設・運用コストや消費電力は大きく下がり、データセンター投資が促進されることにもつながりそうだ。
大容量化技術が実用化の段階に入ることで、データセンター用ではHDDはSSDより高いシェアを維持していくというのが業界の一般的な見方となった。シーゲイトに対する投資家の評価も一変し、22年末に1株50ドル台前半で推移していた同社の株価は足元で100ドル近くまで回復している。
ソニーは半導体レーザーで貢献
データセンター市場を意識したHDDの大容量化の技術開発は、HAMR以外でも進んできた。
東芝は、記録時にマイクロ波を使うことでデータを書き込みやすくするマイクロ波アシスト記録(MAMR=ママー)と呼ばれる技術を00年代後半から開発してきた。「24年夏にはディスク1枚当たり2.8TBまで記録容量を拡大する」(東芝デバイス&ストレージの楠本辰春ストレージプロダクツ設計生産統括部ゼネラルマネジャー)
東芝はマイクロ波を使う大容量HDDの量産化で先行(写真:同社提供)
さらに同社は「MAMRと並行してHAMRの開発もここ5〜6年進めてきた」(竹尾昭彦ストレージプロダクツ事業部技師長)という。25年にはテストサンプルの出荷を始めるといい、先行するシーゲイトを追う構えだ。
日本企業にもHDD大容量化の恩恵は及ぶ。例えば、ソニーグループのソニーセミコンダクタソリューションズ(神奈川県厚木市)は、熱アシスト記録技術に使う基幹部品の半導体レーザーを開発した。
容量拡大のために「ナノ(ナノは10億分の1)メートル級の照射精度を実現する技術開発に努力してきた」(谷口健博アナログデバイス製品部統括部長)という。24年、タイ工場に生産ラインを新設し、既存の生産拠点である白石蔵王テクノロジーセンター(宮城県白石市)と合わせて5月には生産量を数倍に引き上げるという。
HDDに組み込まれる回路基板で高いシェアを持つ日東電工にとっても収益機会が拡大する。とはいえ「大容量化は回路の配線密度が上がるなど、要求精度は高くなる」(篠木佳史ストレージ回路材事業部長)だけに、技術開発力が改めて問われる。
日東電工はHDD向け回路基板で高いシェアを持つ(写真:同社提供)
社会のデジタル化が進み、AIも普及する中、世界で創出・利用されるデータは飛躍的に増えている。技術革新によって息を吹き返そうとしているHDDは、そうした膨大な量のデータが行き交う社会を支えるインフラの一翼を担うことになる。
(経済ジャーナリスト 田村賢司)
[日経ビジネス電子版 2024年4月2日の記事を再構成]
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中国の月面探査機、地球帰還へ 裏側の土壌持ち帰り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM06B4G0W4A600C2000000/
『2024年6月6日 20:26
【北京=多部田俊輔】中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」は6日、地球に帰還する準備を整えた。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、月裏側で土壌サンプルを採取した着陸機が月の周回軌道で待機していた帰還機とドッキングし、土壌サンプルを帰還機に移した。
帰還機は今後、着陸機を切り離して地球に向かい、6月下旬に内モンゴル自治区に帰還する。月裏側の土壌サンプルを地球に持ち帰るサンプルリターンは世…
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中国「月の裏」再着陸、安保に直結 資源情報や技術蓄積
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG30AQT0Q4A530C2000000/






(※ wikiより)
『2024年6月2日 17:00
世界で唯一、月の裏側に無人探査機を送り込んだ実績を持つ中国が、再び着陸に成功した。地球と通信しにくい裏側は、表側と比べ着陸の難度が高い。地球から見えにくく、中国が米国などに先行して資源などの情報を収集して基地を建設できれば、月面開発や安全保障において優位に立つ可能性がある。
中国の探査機「嫦娥(じょうが)6号」は5月3日、大型ロケット「長征5号」で打ち上げられた。月を周回する軌道に投入されたあと、周回機から切り離されて降下し、6月2日に裏側への着陸に成功した。岩石などの試料を採取して、探査機は6月下旬にも地球に戻る予定だ。月の裏側の試料を地球に持ち帰ることができれば、世界初となる。
月は地球の周りを約1カ月間かけて1周する間に、月自体も1回転するため、地球から見ると、いつも同じ面が表を向いている。探査機が月の表側に向かう場合は、地球と直接通信でき、地球から指示を出したり、探査機の状況を把握したりしやすい。
一方、裏側の場合は通信がしにくく、着陸が一層難しい。探査機と地球の通信を中継する衛星を事前に打ち上げて、運用する技術が必要となる。今回の着陸にあたって中国は3月に衛星「鵲橋(じゃっきょう)2号」を打ち上げて、地球と月の裏側で通信できるようにした。
中国は2013年に米国と旧ソ連に次ぐ3カ国目の月着陸に成功し、19年には世界で初めて裏側に着陸した。20年の「嫦娥5号」では、月の表側の砂や岩石を地球に持ち帰るサンプルリターンに成功した。
月は水などの資源が存在する可能性があり、人類が活動する拠点として使えるほか、より遠い火星などに進出するための足場にもなり得る。米国が有人月面探査「アルテミス計画」を打ち出して日本も参画する一方、中国は別に「国際月研究基地(ILRS)計画」を掲げる。
将来の基地建設に向けた地質調査をするため、世界各国は探査機を相次ぎ着陸させる計画だが、現状の主な競争の場は月の表側だ。中国が裏側を積極的に開拓するのはなぜか。
世界のどの国もなし遂げていない技術的、科学的な成果を出すことで国威発揚につなげるほか、月の開発を有利に進めるために裏側の資源などの情報を得る狙いがあるとみられる。
月には水資源のほかにも、核融合発電の燃料となる「ヘリウム3」や、建材などに使えるアルミニウムやチタンといった金属がある。ただ、資源がどのように分布しているかは、十分にわかっていない。
平らな地形が多い月の表に比べて、裏は凹凸が多く、隕石(いんせき)の衝突の跡がたくさん残されている。こうした地形の違いは資源にも影響を及ぼす。いち早く調査し、情報を得るメリットは大きい。
月での活動を含む宇宙関連の技術開発は安全保障にも直結する。宇宙はサイバーや電磁波と並び、安全保障の「新領域」の一つにあたる。「月の裏側」は宇宙の地政学的に重要な地位を占める可能性がある。
月の裏側は地球からは見えず、地球からの電波も届きにくい。中国が月の裏で何をしていても察知が難しい。日米欧は中国が月の裏側に軍事基地をつくろうとしているのではないかと警戒する。
中国の無人月面探査機「嫦娥6号」が着陸時に撮影したとする月の裏側の画像(中国国家宇宙局のサイトから、共同)
地球の上空を飛ぶ軍事衛星なら、戦争になれば地表からミサイルを撃って敵国の衛星を破壊できる。だが月の裏側にある構造物は地球から直接破壊することは困難だ。中国が米国などに先駆けて探査を進めることで月面を利用した安全保障で優位に立つ狙いがあるとみられる。
裏側への着陸を目指すなかで培う人工衛星のノウハウも、今後の武器となる。中国は衛星「鵲橋」シリーズを複数の異なる軌道上にそろえ、火星や金星にもネットワークを広げる構想を持つ。衛星網は宇宙領域の状況把握や資源調査にも欠かせない。まず月で通信環境を整えることは、月より遠くの宇宙開発に向けた足がかりとなる。
中国が月の裏側の探査で先行する中、日米陣営は民間の力も生かす。月面輸送サービスの構築を目指す日本のispace(アイスペース)は4月、小型人工衛星の製造を手掛ける米企業と中継用衛星の設計・製造で連携すると公表した。26年に裏側への探査機着陸を計画する。月の表と同様に、裏側でも探査競争が始まりそうだ。まずは中国が月の裏から試料を無事に持ち帰ることができるのかに注目が集まる。
【関連記事】
・中国探査機、月の裏側に着陸 世界初の土壌採取へ前進
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 宇宙開発は国家プロジェクトでやりやすい。あらゆる人材と巨額の資金を導入しやすいからである。月面着陸そのものの意味よりも、サンプルリターンに成功したことに重要な意味を持つ。次の目標は宇宙飛行士の月面着陸であるようだ。中国にとって宇宙開発のもう一つの意味は国威発揚である。自力更生で建設している宇宙ステーション「天宮」も完成しているようである。そこで行われるさまざまな科学的実験の結果が注目されよう。
2024年6月3日 6:54いいね
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分析・考察 月の裏側に構造物を作ると、どのような安全保障上の脅威となるのだろうか。将来、米国が月の裏側に行くことがあった場合、そこで米中の対立がある、という想定なのだろうか?月の裏側に軍事構造物が出来て、そこから地球に向かってミサイルを撃ってくるということなのだろうか?月の裏側に着陸することは困難だが、月の周回軌道に衛星を配置し、そこでどのような活動をしているかを監視することは可能(雲もないので定期的に監視できる)。これでも「月の裏側で何をしているかわからないから脅威である」となるのだろうか?
2024年6月2日 18:37いいね
』
中国、月裏側の土壌採取に成功 地球に帰還へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM042HF0U4A600C2000000/
『2024年6月4日 11:49
【北京=多部田俊輔】中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」が4日、月の裏側の土壌サンプルなどを採取して月から離陸した。国営新華社が伝えた。世界で初めてとなる月裏側の土壌を地球に持ち帰るサンプルリターンに向けて前進した。月面探査で米国に先行することで国威発揚を狙い、「宇宙強国」の確立をめざす。
中国当局によると、4日午前7時38分(日本時間同8時38分)に月裏側で土壌サンプルや岩石を採取した…
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『中国当局によると、4日午前7時38分(日本時間同8時38分)に月裏側で土壌サンプルや岩石を採取した着陸機が離陸し、月の周回軌道に入ることに成功した。月裏側の地形や土壌の構造分析などの調査分析も計画通り行った。
月の裏側は隕石(いんせき)の衝突の跡が多く、地形も複雑だ。約2キログラムの土壌サンプルを解析し、将来の月面開発などに役立てるとみられる。着陸機に搭載した欧州宇宙機関(ESA)、フランス、イタリアの観測機なども正常に稼働したという。
月の裏側は地球からの電波が届かないため直接交信ができない。3月に打ち上げた通信衛星「鵲橋(じゃっきょう)2号」を中継することで、地球から嫦娥6号をコントロールする仕組みだ。
嫦娥6号は5月3日、中国南部の海南省から大型ロケットで打ち上げられた。30日に月面で土壌サンプルを採取する着陸機を切り離し、6月2日に月裏側に軟着陸。約2日かけて月の裏側で土壌サンプルの採取などを手掛けていた。
月を離陸した着陸機は今後、月の周回軌道に待機している帰還機とドッキングし、6月下旬に内モンゴル自治区に帰還する計画だ。今回の月裏側からのサンプルリターンの成功をテコに、月面基地の建設や月面での資源開発を前進させる。
中国は19年に嫦娥4号を世界で初めて月の裏側に軟着陸させた実績を持つ。20年には嫦娥5号で米国、旧ソ連に次ぐ3カ国目として44年ぶりに月の土壌サンプルの持ち帰りに成功しており、今回の取り組みにつなげた。
【関連記事】
・中国探査機、月の裏側に着陸 世界初の土壌採取へ前進
・インドの無人月面探査機、着陸に成功 史上4カ国目』
中国探査機、月の裏側に着陸 世界初の土壌採取へ前進
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM012JV0R00C24A6000000/
『2024年6月2日 9:19
【北京=多部田俊輔】中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」が2日午前6時23分(日本時間同7時23分)、月の裏側への軟着陸に成功した。国営新華社が伝えた。約2日かけて土壌サンプルなどを採取する。世界で初めてとなる月裏側の土壌サンプルの持ち帰りに向けて前進した。
習近平(シー・ジンピン)指導部は宇宙開発分野で米国に先駆けた成果を上げることで、国威発揚とともに「宇宙強国」に弾みをつける。米国は…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『習近平(シー・ジンピン)指導部は宇宙開発分野で米国に先駆けた成果を上げることで、国威発揚とともに「宇宙強国」に弾みをつける。米国は有人月面探査「アルテミス計画」を主導しており、宇宙開発分野でも米国との競争が激化している。
5月3日に打ち上げた嫦娥6号は30日、月面で土壌サンプルなどの採取に必要な機器と再び月面から離陸して上昇する機器を組み込んだ着陸機を切り離した。6月2日に月裏側に軟着陸させた。
着陸機の準備を整えた後、ドリルやロボットアームなどを使って土壌サンプルや岩石を採取し、着陸エリアなどの調査分析を行ってから月面を離れる。月の上空軌道で待機する周回機とドッキングし、6月下旬に地球に帰還する。
月の裏側で巨大な隕石(いんせき)が衝突してできた南極エイトケン盆地の一角に着陸した。約2キログラムの土壌サンプルを採取する。中国メディアによると、古い岩石や深部の物質を採取することで、月の進化の過程などの解明に役立つとみられる。
月の裏側は地球からの電波が届かないため直接交信ができない。中国は今回のプロジェクトのために3月に通信衛星「鵲橋(じゃっきょう)2号」を打ち上げた。同衛星を中継して、地球から嫦娥6号をコントロールする仕組みだ。
嫦娥6号の着陸機には欧州宇宙機関(ESA)、フランス、イタリアの観測機などを積んでいる。中国側は世界で初めてとなる取り組みで世界各国をひきつけるとともに、国際協力をアピールしている。
中国は19年に嫦娥4号を世界で初めて月の裏側に軟着陸させた実績を持つ。20年には嫦娥5号で米国、旧ソ連に次ぐ3カ国目として44年ぶりに月の土壌サンプルの持ち帰りに成功しており、今回の取り組みにつなげた。
中国は月面探査計画を加速する。中国メディアによると、無人月面探査機を26年ごろと、28年ごろに打ち上げ、30年までに月面に宇宙飛行士を送り込む計画。35年までに月面基地の基礎となる研究ステーションを完成させる構想を描く。
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ひとこと解説 これまで米国や旧ソ連が月の岩石などのサンプルを地球に持ち帰っていますが、すべて地球から見える表側のもので、裏側のサンプルを持ち帰ったことはありません。
月の裏側は表側に比べて地殻が厚く、クレーターが多くて起伏に富んだ地形をしているなど、表側と裏側で大きな差があります。
サンプルを持ち帰って表側と裏側を比較することで、月や地球がどのようにしてできたかの研究が進むことが期待されます。
2024年6月2日 12:22 』
ウェッブ望遠鏡、最古の銀河観測 宇宙誕生から2.9億年後
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF310SQ0R30C24A5000000/

『2024年5月31日 10:14
【ワシントン=共同】欧米の研究チームが30日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使い、これまで知られている中で最も古い銀河を観測したと発表した。宇宙の始まりから2億9千万年後の姿で、端から端まで光の速さでも1600年かかる大きさ。質量は太陽の数億倍と見積もっている。
若い星々が放った光の残骸である赤外線を、昨年秋から今年初めにかけて捉えた。今回のように明るく、大きく、重い銀河は宇宙の黎明(れいめい)期のものとしては異例。今後探索を進めれば、もっと若い宇宙にあった明るい銀河が見つかってくる可能性もあるとみている。
この銀河には酸素が含まれていることも判明した。約138億年前に起きたビッグバンの後、恒星が生まれては死ぬサイクルを繰り返す中でできたと考えられる元素で、ごく初期の宇宙で既に星の世代交代が起きていたことになる。このことも研究者を驚かせた。〔共同〕
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・銀河の「目」ぎょろり ウェッブ宇宙望遠鏡観測 』
半導体や工作機械の5分野、技術移転防止を補助金条件に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA271VL0X20C24A5000000/
『2024年5月30日 5:00
【この記事のポイント】
・補助金の条件を見直し、企業の管理意識の向上狙う
・他国で生産や増産する場合は経産省に事前相談
・先端技術分野で日本の国際競争力を維持
経済安全保障の強化に向けて、経済産業省は半導体や工作機械の5分野で技術の海外流出を防ぐ取り組みを厳しくする。補助金の支給先企業を対象に、重要技術に関わる人数を制限するほか、他国で生産を増やす場合に事前相談を求める。取引先の技術流出対策も把握する…
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