スペインもパトリオットシステム提供を拒否、少数の迎撃弾提供に同意
https://grandfleet.info/european-region/spain-also-refuses-to-provide-the-patriot-system-but-agrees-to-provide-a-small-number-of-interceptor-missiles/
『スペインはウクライナにパトリオットシステムを提供するようEU・NATO加盟国から圧力を受けていたが、EL PAÍSは26日「国防省がパトリオット提供を拒否した」「政府は少数の迎撃弾提供に同意した」「スペインが備蓄している迎撃弾は約50発しかない」と報じている。
参考:España suministrará una partida de misiles Patriot a Ucrania
スペインが備蓄しているパトリオットシステムの迎撃弾は約50発らしい
ウクライナの空を完全に保護するにはパトリオットシステムもしくはSAMP/Tが26セット(レーダー、管制システム、発電機、複数のランチャーで1セット)必要で、クレバ外相はひとまず7セット確保を目標に保有国の説得を試みているものの、現時点でドイツ以外に手を上げた国はなく、Financial Timesは「ギリシャとスペインはEU・NATOの加盟国から圧力を受けている」「両国にとって防空システムの必要性は差し迫ったものではない」と報じたが、ギリシャに続きスペインもパトリオット提供を拒否した。
出典:U.S. Army photo by Eugen Warkentin
ギリシャ政府の報道官はFinancial Timesの報道に対して「自国の安全保障を損なう行動はとらない」と、ギリシャメディアのKathimeriniも「もしEUが我が国の安全保障を確保すると明確に約束するのであれば支援を検討するが、NATO加盟国同士の争い(トルコとの対立)に約束を提供するのは不可能だ」「もし防空システムの譲渡を行うならギリシャが財政的負担を負わないこと、同等のシステム供給を約束することが最低条件に条件になる」と述べ、ミツォタキス首相も「パトリオットやS-300のウクライナ提供に応じない」と断言。
スペインのアルバレス外相は「パトリオットシステム提供の可能性」を否定しなかったが、スペインメディアのLa Razónは「圧力にも関わらずスペインはパトリオット提供に消極的だ」と報じ、EL PAÍSも26日「国防省がパトリオット提供を拒否した」「政府はEU・NATOの加盟国から圧力を受けて少数の迎撃弾提供に同意した」と報じている。
出典:Turkish Presidency
EL PAÍSは「スペインにはドイツから購入したパトリオットシステムが3セットしかなく、内1セットはトルコのアダナに配備(シリアからトルコ領に向けて撃ち込まれるミサイル迎撃のため派遣中)され、内2セットはバレンシアの基地にあり、その内の1セットはスペイン人やウクライナ人の訓練のため使用されている。ウクライナはトルコに配備しているパトリオットを提供するよう要請してきたが国防省が拒否した。政府は代替案としてパトリオットの迎撃弾提供に同意した」と報じ、迎撃弾は非常に高価なので「スペインの備蓄量は約50発しかない」と付け加えている。
つまりスペインは「約50発の備蓄の中から少数の迎撃弾をウクライナに提供する=提供規模は非常に限定的」という意味で、しかも弾道ミサイルの迎撃に対応したPAC-3ではなくPAC-2(MIM-104DもしくはMIM-104E)だ。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Eugen Warkentin
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 42 』
『 Easy
2024年 4月 26日
返信 引用
ちなみにイギリスの史上最大の支援()ですが。
なんとその中には「これまでにイギリスが貸し付けた資金の利息支払い分」がしっかり含まれていまして。
支援です!と渡したカネからしっかり「では、この1億ポンドは利息として頂きます」と回収し。残りの貸付分については日本に保証人のサインをさせて、ウクライナが焦げ付かせても日本から回収出来るスキームにしてます。
さすがブリカスと呼ばれるだけはありますよ。やってることはヤミ金ウシジマ君とほぼ変わりません。
32 』
『 どねつくぼうし
2024年 4月 27日
返信 引用
日本にとってどうでもいいに等しい地球の裏側
支援しなくてはならない理由自体が希薄です
というか支援したのに成果は出せず他国の支援が足りないせいだなどと責任転嫁する国に今後何が期待できるというのでしょう?
9
なな
2024年 4月 27日
返信 引用
人民解放軍が日本列島で同じ事を始めても、歴史的に日本と親密だった国が欧州圏に存在しないんで、欧州は地球の裏側の親しくもない国には何もしてくれないでしょう
なら日本は今まで通りウクライナには非協力的にいくしかあるまい
ただでさえ何一つ軍備拡張に使えないまま円安で43兆円がドルベースで4割消し飛んで厳しい状況にあるんです
2 』
『 たむごん
2024年 4月 26日
返信 引用
スペインは、ロシア産LNG輸入が、36.5%もEU圏の中でありましたからね(2023年1-9月期)。
ロシアのガス利権を捨てるような事は、ものすごい何か対価がなければ、積極的にならないでしょう(ロシア産のシェアは増しています)。
スペインは、ヨーロッパの西端ですから、ロシアの脅威と言われても国民の心にも響きにくいでしょうし。
ガス利権を捨てて、インフレが深刻化しても、国民の理解を得にくいだろうなと。
パトリオットの需要は爆増していますから、提供したとしても、いつ補充納品されるのか分からないですからね。
ダチョウ俱楽部の手をあげた瞬間に『どうぞ・どうぞ』を思い出します。
スペイン国営天然ガス輸送網運営会社エナガス(ENAG.MC), opens new tabが10日公表したデータによると、同国が3月に輸入した液化天然ガス(LNG)の約26%はロシア産だった。前年同月は14.4%だった。
(2023年11月14日 ロシア産 LNG を輸入し続ける EU 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
(2024年4月11日 スペインのLNG輸入、3月はロシア産が26% ロイター)
16
58式素人
2024年 4月 26日
返信 引用
欧州のLNGパイプラインの配置を見ると。
アルジェリアから2本入っていましたから、
てっきりこちらと思っていました。
EUの目標として、ロシア産を切る話があったと思います。
それが終わってからか、
あるいは代替供給地と引き換えになるのでしょうか?。
1
たむごん
2024年 4月 27日
返信 引用
アルジェリア産、仰る通り重要です。
EU圏イスラエル擁護、天然ガスのロシア代替地(地中海東岸・イスラエル沿岸)でもあるため、これはこれで困った事になっているんですよね…
(2022年6月19日 イスラエル、EUにガス輸出拡大へ 脱ロシアへ関与 日経)
(2023/01/31 東地中海への期待と不安(1):イスラエル・レバノン海上境界合意とイスラエル・エジプト探鉱ブーム、そして新規入札ラウンドへ エネルギー鉱物資源機構)
3
Easy
2024年 4月 27日
返信 引用
それは大丈夫ですよ、イギリスが過去最大のロシア産天然ガスの輸入量を達成したそうで。
ヨーロッパの天然ガスの不足分は、イギリスがロシア産天然ガスを売ってくれるシステムになっています。
もう、ビジネスとは何か、利鞘を稼ぐとはどういうことか。我々がイギリスから学べることはまだまだたくさんありそうです。
4 』




