『コンピテンシー(Competency)とは、高い業績を上げる社員(ハイパフォーマー)に共通して見られる行動特性や思考行動様式のことです。
単なる「知識」や「スキル」を持っているだけでなく、それらを実際の業務で発揮して成果に結びつける具体的な行動力を指します。
💡 コンピテンシーが浮上した経緯
この概念は、1970年代の米国において、従来の「知能テスト」や「学歴」だけでは個人の仕事の成果を予測できないという問題意識から誕生しました。
- 提唱のきっかけ(マクレランド教授の研究)
1973年、ハーバード大学の心理学者であるデビッド・マクレランド(David McClelland)教授が、米国の外交官(ファ Foreign Service Officers)を対象とした調査を行いました。
当時、外交官の採用は学歴や知能テストを重視していましたが、配属後に「優秀な成果を出す人」と「そうでない人」の差がなぜ生まれるのかが課題となっていました。
- 学歴や知能に代わる「行動特性」の発見
マクレランド教授がハイパフォーマーの行動を分析したところ、学歴や知能テストの成績ではなく、「未知の環境での人間関係の構築力」や「他者への共感性」といった特有の行動・思考パターンが成果に直結していることが判明しました。これがコンピテンシーの原型です。
- 日本企業への導入(1990年代後半〜)
日本には1990年代後半のバブル崩壊後に本格導入されました。
- 背景: 従来の「年功序列・職能給制度(能力を持っていることに給与を払うシステム)」から「成果主義・職務給制度」への移行期でした。
- 目的: 成果主義による社内競争の弊害(目先の数字だけを追う、ノウハウを共有しないなど)を防ぐため、「プロセス(どう行動して成果を出したか)」を正当に評価・育成する指標としてコンピテンシーが注目されました。
🔍 「能力(スキル)」と「コンピテンシー」の違い
氷山に例えると、表面に見えている部分が「知識・スキル」であり、水面下に隠れている「行動の源泉(動機や価値観)」が行動として表れたものがコンピテンシーです。
項目 従来の「能力(スキル)」 「コンピテンシー」
定義 知識、資格、技術(持っているもの) 成果を生み出す行動特性(発揮されるもの)
視点 「何ができるか(潜在的な可能性)」 「実際にどう行動したか(顕在化した行動)」
評価のしやすさ テストや資格で測れるが、成果に直結するかは不明 実際の行動を観察・評価するため、成果と連動しやすい
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