胡錦涛氏復活! 「共産党よ、私は帰ってきた」

胡錦涛氏復活! 「共産党よ、私は帰ってきた」
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『胡錦涛氏といえば、そもそも習近平氏を国家主席へ引き上げた立役者であり、それは、そもそもは、権力闘争の妥協の産物であった事は、このブログで何回も記述しています。つまり、共青団、江沢民派などが、争う中で、一時的に権力を預けて、「腐敗撲滅」という、恨みを買いやすい仕事をさせ、自分達が無傷のまま、次の政権の中枢に影響力を残す為の捨て駒だったわけです。パフォーマンスにしても、共産党内部の腐敗を取り締まるとなると、少なからず恨みを買いますからね。それを引き受けて、1期で消えてくれる当て馬として、習近平氏は登場しました。

しかし、本人は、それで終わる気は、まったくなく、公安という秘密警察を支配下に置いた習近平氏は、「腐敗撲滅」と言いながら、主だった長老の部下を、何らかの罪で拘束し、知っている事を吐かせて、それで邪魔な人間を排除するという方法で、憲法まで改正して、同じ人間が2期以上の最高権力者に留まる事を禁じた条文も改正し、3期に及ぶ長期政権を続けました。その間も、「腐敗防止」に名を借りた粛清は続き、軍部の人事にも介入し、軍と共産党、更には本来は首相が統括するはずの内政にまで手を広げ、ほぼ完ぺきな支配体制を確立します。

その最終的な姿は、2022年の10月に行われた、5年に一回行われる、「チャイナ7」と呼ばれる政治局常務委員を選出する会議において、習近平氏の隣に座っていた胡錦涛氏が、警備員に脇を掴まれて、強制的に退出させられる場面です。この会議で、いわゆる共青団派は、完全に排除され、主な役職は、全て習近平派で固められました。そして、共青団出身でありながら、地方政府にいる時代から、側近として忠誠を示してきた李強氏が上海共産党トップから、ゴボウ抜きの出世で首相になったわけです。これで、盤石の体制が完成したかと思いきや、実は、対立構造が固まり、はっきり長老派に敵と認定されたわけです。

この頃から、様々な習近平氏の失策が表に出てきて、立場が苦しくなるのを見越して、何と、一時期は「植物人間説」まで出ていた老体の胡錦涛氏が院政を布く黒子として権力の座に復活をしているようです。まず、一つとして、既に車椅子状態になっていた宿敵の江沢民氏が、死んだのが大きいでしょう。老衰で死んだわけですが、胡錦涛氏が現役だった時代は、複数の暗殺未遂事件を挟んで、この二人は、バチバチの権力闘争を繰り広げていました。その結果、生まれたキメラが習近平氏だったわけです。江沢民派は、未だに残っていますが、実は中国の派閥って、親分が死ぬと、あっさりと解散したりします。親分の支えがあっての、自分の立場という関係が成立しているので、その保証が崩れると、我先に対立派閥や他の派閥に鞍替えします。それで、胡錦涛氏についた人間も、相当いたと思われます。

そして、人事に口出しされて、かなり怒っていた軍部の大物を、反習近平派として、組織できたのが大きいです。人民解放軍というのは、国軍ではなく、共産党存続を使命とする私兵軍団です。なので、当然ながら、政府を転覆させようなんて動きがあると、国内の人民にも攻撃します。人民は守る対象ではなく、支配する対象であり、その為の私兵が、人民解放軍です。そして、ここのトップである人民解放軍最高司令官は、自ら線を引いて引退した鄧小平氏が、最後まで手放さなかった地位であり、つまり、ここを握っている人物が、実質的に共産党という組織を把握している事になります。つまり、「政治において最大の権力は、暴力装置である軍である」という事です。ここの把握は、習近平氏にしても、最後になったので、反撃の目が残っていました。

そして、既に軍からは、習近平派は排除され、その武力を背景に、共産党の役職からも、次々と習近平氏に近い人物が排除されたり、「行方不明」になったりしています。これは、外部観察で、中国ウォッチャーの間で言われている事ですが、既に習近平氏には、国家を主導する権力は無く、対外的な面子を維持する為、任期を全うするまで国家主席の座にいるだけの存在と言う人もいます。で、何と、ここで共産党のフィクサーとして出てきたのが、胡錦涛元国家主席なのですよ。高齢で、既に白髪で真っ白であり、時々、車椅子で移動している長老が、表舞台に出てきました。

最近の中国の官報では、「独裁から集団指導体制への切り替え」「科学的な意思決定、民主的な意思決定、法に則った意思決定」という胡錦涛氏が過去に訓示した内容を再録したり、明らかに胡錦涛氏の復権というのをアピールしています。そして、それは共青団を中心に行われるという明確な意思表示です。共青団は、共産党における過去の功績ではなく、一般から広く人材を募り、エリート教育の後に、国家にとって有益な人材として、各所へ配属されるテクノクラート軍団です。胡錦涛氏も、ここの出身ですし、李強首相も、ここの出身です。で、李強首相の最近の習近平氏を、まったく気にしないフリーダムな動きを見ていると、既に完全に寝返ったと思われます。

長老と言う事でいえば、温家宝氏もいるのですが、彼も82歳と高齢で、かつ首相までしか経験していません。なので、現在、実質的な権力は、胡錦涛氏に移行していると見られています。構図から言うと、自分を引き立てた恩人に牙を剥いた習近平氏が、誅された形になります。

私は、かつて、胡錦涛氏が周辺国への挨拶として、習近平氏を次のリーダーと紹介する為に、彼を引き連れて、天皇陛下に謁見しに来日するニュース映像を見ているのですが、その時は、今を、まったく想像すらできませんでした。結構、意外ですが、中国の国家主席というのは、日本の天皇陛下に謁見する事が、一つの行事になっているのですよ。このブログで、言っているように、国家というのは、単に自ら名乗るだけではなく、周辺国家の認知と承認を得ないと、国家として成立しないのですよね。今でも、国家を自称して、国連に認められていない武装勢力というのは、複数存在しています。なので、周辺国に挨拶をして回るというのは、儀式として重要であり、権力を固める意味でも象徴的です。もう10年以上も前の話ですが、こんな結末を迎えるとは、まさにドラマです。

タグ :#胡錦涛#習近平#共青団 』