トランプ氏「関税収入で減税」の皮算用 歴史の教訓生きず
崩れる自由貿易 80年目のリセット②
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0505K0V00C25A4000000/
『2025年4月8日 2:00 [会員限定記事]
think!
多様な観点からニュースを考える
諸富徹さんの投稿
諸富徹
4月2日、ホワイトハウスの中庭「ローズガーデン」。世界が注目したトランプ米大統領の演説からは、米国から「ぼったくり」を続ける各国への嫌悪だけではなく、相互関税を必要とする政権の切迫した事情も浮かび上がった。
時計の針を1世紀以上巻き戻す
「理由は不明だが、外国ではなく米国民が政府運営に必要な税金を払うよう連邦所得税が導入された」。トランプ氏がやり玉に挙げたのが、1913年の憲法修正第16条だ。…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
諸富徹のアバター
諸富徹
京都大学公共政策大学院 教授
分析・考察 ほとんど墓場に入ったと思われていた「関税」という税金が、21世紀の現代に呼び戻されるとは思わなかった。トランプ大統領は、財源調達と産業政策の役割を同時に求めるが、目的を達することはないだろう。関税は経済成長しても税収が伸びず、関税が効くほど貿易が縮小して税収が減る税だ。おまけにその負担は海外だけでなく、国内にも帰着する。低所得者ほど重くなる逆進的な税で、トランプの支持層こそ打撃を受けるだろう。産業政策として関税は、これから伸びる「幼稚産業」が時間を稼ぐための保護手段であって、「衰退産業」の保護手段ではない。産業衰退の根本原因の解決を遠ざけ、比較優位産業まで巻き添えにしてしまう最悪の政策手段だ。
関連トピック』