【解説マップ】ソクラテスの哲学思想を図解でわかりやすく(著書や名言まで)

【解説マップ】ソクラテスの哲学思想を図解でわかりやすく(著書や名言まで)
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『2024/6/29 神宮寺 葵

💁‍♂️ この記事は、有名哲学者らの思想をマインドマップでひもとく哲学入門コンテンツです。彼らの思想や考え方が、世界にどんな意味や影響を与えたのかを見ていきましょう。⇒「哲学者」一覧

偉人ライターの神宮寺葵です。

ソクラテスは紀元前5〜4世紀の古代ギリシャの哲学者です。「問答法」と呼ばれる対話を通じて真理を探求し、「無知の知」を説きました。その教えは、弟子のプラトンによって広められ、西洋哲学の基礎となっています。今回は、そんなソクラテスがどんな人で何をした人なのか、彼の哲学人生を深掘りしていきます。

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解説マップ
さらにくわしく解説します
1.どんな哲学者なのか?
2.どんな哲学思想なのか?
3.どんな影響を与えたのか?
ソクラテスの最期(死因)
ソクラテスの著書
ソクラテスの名言
さいごに
関連:「哲学者」一覧
解説マップ
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さらにくわしく解説します
上記のマインドマップで整理したソクラテスの哲学思想について、イメージを交えながらくわしく解説します。

1.どんな哲学者なのか?
【解説マップ】ソクラテスの哲学思想を図解でわかりやすく(著書や名言まで)
ソクラテス(紀元前470年頃-399年)は、古代ギリシャの哲学者で、西洋哲学の祖と呼ばれる人物です。彼は、アテネの市場で若者たちと対話を重ね、真理や徳について探求しました。

ソクラテスは自らの無知を自覚し、「無知の知」を説いたことで有名です。彼の教え方は「産婆術」(問答法の比喩的表現)と呼ばれ、相手に質問を投げかけることで、相手自身の中にある答えを引き出そうとしました。ソクラテスの思想は、弟子のプラトンによって記録され、後世に伝えられました。

ソクラテスの性格や人柄とは?
ソクラテスは、その知恵とユーモアあふれる話し方で多くの人を引きつけましたが、見た目は古代ギリシャの美意識からは程遠く、親しみやすさを感じさせる風貌だったと伝えられています。彼は質素な布を身にまとい、裸足で氷の上を歩くなど質素で自制的な生活を好みました。その生き方は、人々の心に深く刻まれ、多くの友人や弟子からも尊敬を集めました。
2.どんな哲学思想なのか?
ソクラテスの哲学思想の核心は、「知を愛し、真理を追求すること」です。彼は、人々が当たり前だと思っていることに疑問を投げかけ、対話を通じて真の知識を探求しました。

【解説マップ】ソクラテスの哲学思想を図解でわかりやすく(著書や名言まで)
① 無知の知:
自分の無知を知ることの大切さ
上にも書いたように、ソクラテスの有名な言葉に「無知の知」があります。これは、「自分が何も知らないことを知っている」という意味です。ソクラテスは、人々が自分の知識や能力を過大評価していることに気づき、まず自分の無知を自覚することが重要だと考えました。

たとえば、友達と「正義とは何か」について話し合うとき、多くの人は「自分は正義について知っている」と思い込んでいるかもしれません。しかし、ソクラテスなら「本当にあなたは正義について知っているのですか?」と問いかけるでしょう。

つまり彼は、私たちが当たり前だと思っていることに疑問を投げかけ、自分の無知に気づくことが、真の知識への第一歩だとソクラテスは考えたのです。

② 対話法:
問答を通じて真理を探求する(ソクラテス式問答法)
ソクラテスは、真理を探求する方法として「対話法」を用いました。これは、相手に次々と質問を投げかけ、矛盾点を指摘しながら、真理に迫っていく方法です。

身近な例で考えてみましょう。友達と「幸せとは何か」について話し合うとき、ソクラテス流の対話法を使うと次のようになります。

あなた:「幸せとは何だと思う?」
友達:「お金がたくさんあることだと思う」
あなた:「でも、お金持ちでも不幸な人もいるよね?」
友達:「そうだね…じゃあ、健康であることかな」
あなた:「健康な人でも不幸せな人はいるかもしれないね。他に考えられることは?」
このように、質問を重ねることで、相手の考えの矛盾点を明らかにし、より深い理解に導いていくのです。

(※)産婆術とは?
「産婆術」は、問答法と似て非なるテクニックです。ソクラテスは自らを「思想の産婆」になぞらえ、相手の中にすでにある知識や真理を、問答を通じて「産み出す」手助けをすると考えました。

上の対話の例でいえば、この対話全体が「ソクラテス式問答法」であり、友達の中にある「幸せ」の概念を引き出そう(産み出そう)とするプロセスが「産婆術」です。

③ 徳の探求:
人間がよく生きるための知恵
ソクラテスは、「徳」(アレテー)を重視しました。徳とは、人間がよく生きるために必要な優れた性質のことです。彼は、正義、勇気、節制、知恵などの徳について探求し、これらの徳を身につけることが幸福な人生につながると考えました。

たとえば、「勇気とは何か」を考えてみましょう。多くの人は「危険を恐れないこと」が勇気だと思うかもしれません。しかし、ソクラテスなら「危険を知りながらも、正しいことのために行動することこそが真の勇気ではないか」と問いかけるでしょう。彼は日常的な概念を深く掘り下げ、その本質を探ろうとしたのです。

3.どんな影響を与えたのか?
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ソクラテスの思想は、西洋哲学の基礎を築き、その後の哲学者たちに多大な影響を与えました。とくに、彼の弟子であるプラトンは、ソクラテスの思想を継承し発展させ、さらにプラトンの弟子であるアリストテレスへと受け継がれていきました。

ソクラテスの対話法は、現代の教育や心理療法にも影響を与えています。 中でも「ソクラテス式問答法」は、学習者の批判的思考力を育てる教育手法として用いられています。また、認知行動療法などの心理療法でも、クライアントの思考を吟味する際にソクラテス的な質問技法が使われています。

さらに、ソクラテスの「無知の知」の考え方は、現代の科学的思考の基礎にもなっています。自分の無知を認識し、常に疑問を持ち続けることが、新しい発見につながるという考え方は、現代の科学者たちにも共有されています。

ソクラテスの最期(死因)
ソクラテスは紀元前399年、70歳の時にアテネの民主政府によって裁判にかけられました。彼は「神々を信じず、若者を惑わしている」という罪で告発されました。これは、ソクラテスの批判的な問答法が、当時の政治家や権力者たちの反感を買ったためだと考えられています。

公開裁判の場で、ソクラテスは自らの信念を曲げることなく堂々と弁明しましたが、結果として有罪判決を受けました。刑罰として毒杯を仰ぐことを命じられたソクラテスは、最後まで哲学的な対話を続け、平静を保ったまま毒杯を飲み干しました。

ソクラテスの死は、真理の探求と自らの信念を貫くことの象徴となり、後世の哲学者たちに大きな影響を与えました。

ソクラテスの著書
ソクラテス自身は著書を残していません。彼の思想は、主に弟子のプラトンによって記録され、後世に伝えられました。そのため、以下はソクラテスの思想が記録された主な著作です:

📕『ソクラテスの弁明』(プラトン著)
(時期)紀元前399年頃
(内容)ソクラテスが裁判で行った弁明を記録したもの。彼の哲学的態度や「無知の知」の考え方が表れています。

📕『メノン』(プラトン著)
(時期)紀元前385年頃
(内容)徳について議論し、ソクラテスの「産婆術」的な対話法が示されています。

📕『饗宴』(プラトン著)
(時期)紀元前385年頃
(内容)愛(エロース)について議論する中で、ソクラテスの思想が展開されています。

ソクラテスの名言
💬「吟味されない人生は生きるに値しない」
(意味)常に自分の行動や考えを振り返り、批判的に考察することの重要性を説いています。
(出典)プラトン『ソクラテスの弁明』(紀元前399年頃)
💬「われ唯一つのことを知る、それは自分が何も知らないということだ」
(意味)自分の無知を自覚することが、真の知恵への第一歩であるという「無知の知」の考え方を表現しています。
(出典)プラトン『ソクラテスの弁明』(紀元前399年頃)
💬「汝自身を知れ」
(意味)自己を知ることの重要性を説いています。この言葉は、実際にはデルフォイの神殿に刻まれていた格言ですが、ソクラテスがこれを重視したことで有名になりました。
(出典)プラトンの対話篇(複数の著作で言及されています)
さいごに
ソクラテスの哲学は、単なる理論ではなく、彼の生き方そのものでした。質素で自制的な生活を送り、常に身体と知性の鍛錬に励んだソクラテスは、自らの教えを体現する存在でした。彼は、富や名声を求めることなく、無報酬で誰とでも問答し、真理の探求に身を捧げました。

その姿勢に惹かれ、多くの人々が彼の「弟子」となり、国内外から仲間や友人が集まりました。ソクラテスは、彼らと対話を重ねることで、互いに学び合い、成長していきました。

ソクラテスの思想と生き方は、2400年以上経った今でも、私たちに自己省察と批判的思考の重要性を教えてくれます。彼の遺した「問答法」や「無知の知」の概念は、現代の教育や哲学、さらには日常生活においても、私たちの思考を深め、より良い生き方を模索するための有力な手段となっているのです。

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神宮寺 葵

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都内在住のクリエイティブディレクター。芸術系大学を卒業後、広告代理店でキャリアスタート。5年間の勤務を経てフリーランスに。レストランの内装デザインからアイドルグループのVISUALイメージまで幅広く手がける。MindMeisterは、ヒアリングとプレゼンなどに使っている。趣味は、カメラと偉人伝を読むこと。 』