ソシオパスの指導者の特徴的な態度。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/36330656.html
『トランプ氏の人格形成については、過去にNetflixのドキュメントをベースに詳しく記事にした事があります。トランプ氏の姪であるメアリー・トランプ氏が書いた暴露本の「Too Much and Never Enough」の中には、その独特な家庭環境が描写され、日本で言うなら、西武グループを構築した堤一族と似た境遇なのが判ります。
トランプの父親のフレッド・トランプ氏は、ニューヨーク市から受注して、低所得者用の集合住宅の建築で成功した実業家です。なので、実は、事業家として活動していた頃のトランプ市は、民主党支持者でした。市長の殆どが民主党員でしたし、市民も民主党寄りの政策を支持していたからです。その方が商談が進めやすかったわけです。男3人と女2人の5人兄弟の次男として、ドナルド・トランプ氏は生まれています。で、この父親が叩き上げの実業家だったので、自分の子供に対して、競わせる事で、後継者を決めるというスパルタ教育を行いました。その教育理念は、通常とはかけ離れています。
「世の中は勝つか負けるかのゼロサムゲーム。権力を持つ者だけが、物事の善悪を決める。うそをつくことは悪ではなく「生き方」の一つ。謝罪や心の弱さを見せることは負け犬のすることだ」トランプ家の子どもたちはこう教えられ育ちます。親の愛情は条件付きで、フレッドの意に沿わないと残酷な仕打ちを受けました。愛情は、親の期待に応える報酬として、与えられたのです。
ドナルド・トランプ氏は、決して成績優秀というわけではなく、素行も悪るく、決して出来の良い子ではありませんでした。兄のフレッド・トランプ氏は、いわゆる優等生タイプで、人格者であった為、汚いディールや、相手を威圧して支配するような行動が取れず、父親から見るとトランプ家にいる資格の無い子供でした。なので、父親の支配を逃れて、パイロットとして生計を立てる道を選んでいます。後継者争いからは、自ら脱落したのです。しかし、心理的な傷を深く負っていたようで、アルコール依存症で亡くなっています。ドナルド・トランプ氏は、これを良く美談風に語っていますが、父親に気に入られるムーヴを、最も巧みにこなしていたのが彼なので、そんな綺麗な家庭環境ではなかったようです。しかし、自分の子供であるバロン氏に対して、バイデン元大統領の子供であるハンター・バイデン氏と違って、アルコールにも麻薬にも一切近づけなかったのは、兄の姿がどこかで影響を与えていた可能性があります。ちなみに、ドナルド・トランプ自身も、喫煙・飲酒・麻薬は、一切受け付けていません。事業の邪魔になるからです。その代わり、マクドナルドとコカコーラが大好きです。
ドナルド・トランプ氏の価値観の中では、貪欲・権力・支配は、ネガティブではなく、ポシティブな事です。そう、父親から叩き込まれたからです。実業の中で生きていくには、必要な事であり、それを持たない者は、いずれ食われると教えられてきたようです。なので、彼は自分の政策や支持について、説明はしません。従う事を要求するだけです。なので、相手に条件を飲ませる為に、威嚇を使います。ディールの道具としての威嚇なので、内容は正確である必要すらなく、メチャクチャな内容でも、相手に要求を飲まないと、どうなるかを印象づける事ができれば良いのです。本人ですら、自分の持ち出す数字や事実に、その場での威嚇以上の価値を認めていません。なので、余りにも突拍子の無い事を言うし、態度も頻繁に変えるので、周りからはバカに見えるのですが、ターゲットにしている結果を得る為には、嘘も平気でつくという事です。結果が得られなければ、過程が正しくても、負け犬であるという価値観です。
相手の立場を理解し、共感を得るという事は、ドナルド・トランプ氏的には、弱さなんですね。こちらの言い分を、聞き、認める相手が、自分にとってのグッド・フレンドです。なので、いわゆる通訳する人間が必要になります。その役目を果たしていたのが、かつての安倍晋三氏であり、今は恐らくイタリアのメローニ首相です。なので、ドナルド・トランプ氏の周りには、意向に沿う者ばかりが集められます。
イーロン・マスク氏も、その1人です。彼の危ない人格面については、このブログでは、業績の称賛と合わせて書いていますが、彼もソシオパスです。自分の発言が引き起こす現象と、他人の心理を推察できず、できたとしても、配慮するに値しないと考えるタイプの人間です。彼がトランプ大統領の施政方針演説の場で見せた、ナチス式敬礼のパーフォーマンスが問題になり、今、ドイツや欧州でテスラ車の不買運動が起きています。トランプ大統領が欧州に喧嘩を吹っ掛けたのと重なって、70%も販売実績を落とした上、現役のオーナーが、テスラ車という理由で、売却して買い替えをしています。去年の11月に、テスラ社の時価評価額は、アメリカ政権と結びつく事で、史上最高に跳ね上がったのですが、今は、そこから22.75%も下落しています。価格にすると3500億ドルの下落です。
彼らの評価基準は、目標にとって、有害か無害かだけなので、かつての敵で罵り合う関係であっても、今、役に立つのであれば、平気でよいしょする事ができます。今の国務長官のマルコ・ルビオ氏も、共和党の予備選挙で対立候補として戦った関係ですが、白旗を掲げて軍門に下ってからは、仕事の能力を買われて国務長官に指名されています。敵で無くなった有能は引き立てる事ができます。普通の独裁者と実業家のトランプ氏の違いは、ディールで相手を打ち負かしたとしても、最終的に全体の利益に質する事を示さないと、最終的に支持を得られない事を知っている点です。なので、メチャクチャな物言いと裏腹に、正しいかどうかは置いておいて、彼なりの計算は立ててやっています。ただ、それを説明せず、従うのが当然とばかりに圧をかけるので、外交などの場面では悪い影響が出ます。それは、ディールであって、外交ではないからです。
なので、外交をやろうとしてる他の政治家からは、理解ができません。セオリーを、余りにも逸脱しているからです。それは、背の高いトランプ氏が、他国の首脳と握手をする時、肩を怒らせて、無礼な程に強く握って、ブンブン振り回す仕草からも見えます。トランプ氏にとって、相手は、圧をかけて、こちらの言い分を飲ませる相手としか映っていないのです。この点について、故・安倍晋三氏の談話で、「握りつぶされるかと思った」と初対面の時の事を話しています。実際、その時の映像を見ると、握った手が痛かったのか、軽く手首を振っているんですよね。
なので、強く抵抗されると、まるで手のひらを返したかのような懐柔策を出してきたりします。周りからは、そう見えませんが、これは彼流の外交と思われます。いずれにしても、大国アメリカという看板を背負って可能な立場なので、周りからみると傲慢不遜な男以外の何者でもないですね。ただ、世界が、こうした強制力を伴う交渉じゃないと、バラバラに勝手な事をやりだして、収拾がつかなくなっているのも事実です。実際、外に向かって流出するばかりだった投資は、国内へ戻りつつあります。それを掴む為に、トランプ氏が言っている事は、言いがかりなのですが、結果が出れば、彼的にはオッケーなのです。ウクライナ侵攻に関する停戦も、成功するかは置いておいて、具体的な選択肢として交渉の対象になっています。
ちなみに、私は良い悪いの私的な評価は抜きで考えています。もちろん、善意と寛容の下で行われる外交が良いにこした事は無いのですが、資源の熾烈な奪い合いが起きている、現在の世界で、数億人の生活を任された指導者が、それで捌ける程、簡単では無くなったという事です。』