強制執行とは?借金滞納で差し押さえられるまでの流れ
https://www.effata.co.jp/saimu/saimuseiri-1540.html
※ 租税債権でない金銭債権(自力執行力のない通常の金銭債権)の、強制執行の段取りの話しだ…。





『2024年11月7日
・消費者金融から強制執行をするという連絡が来たが、どうなるの?
・借金を放置していたら裁判所の執行官が家に来たけど、どうすればいいの?
消費者金融や銀行からの借入、クレジットカードの支払い、住宅ローン、家賃、携帯料金など、あらゆる借金を滞納し続けると、債権者に「強制執行」という措置をとられてしまいます。
実際に強制執行されると、給料や預金などの債務者の財産が差し押さえられ、債権者への弁済に充てられてしまいます。
強制執行をされたら生活に直接的な影響が及ぶので、その前に法律の専門家と相談して借金問題の根本的な解決を図ることをおすすめします。
この記事では、「強制執行とは何なのか?」「強制執行されたらどうなるのか?」という点を詳しく解説していきます。
目次
借金滞納による強制執行とは?
強制執行の具体例と生活への影響
給与・給料
預金口座(預貯金)
不動産・動産
強制執行でも差し押さえされない財産
借金滞納から強制執行までの流れ
郵便や電話による督促・取り立て
「期限の利益喪失通知」の送付
法的措置の開始
強制執行の申立て
強制執行・差し押さえは債務整理で解決できる
まとめ|借金滞納で強制執行されたら弁護士へ
借金滞納による強制執行とは?
強制執行(差し押さえ)の仕組み
「強制執行」とは、債権者が繰り返し督促をしても債務者が債務(借金)を弁済しない場合、債権者が裁判所で手続きをすることで、国家権力が債務者の財産を差し押さえ、支払いを実行させることです。
具体的には、給与や預貯金を差し押さえられたり、不動産が競売により売却されたりするでしょう。強制執行のうちの一種が「差し押さえ」ということです。
給料を差し押さえられると、債権者は債務者の給与から毎月強制的に一定額を徴収できます。
預金口座(預貯金)を差し押さえられると、預金が徴収されて残高が0円となってしまうこともあります。
強制執行が行われた場合、債務者は裁判所の命令に従わねばならず、差し押さえられた財産の価値が債務(借金の返済)に充当されます。充当後も借金が残る場合もありますが、当然ながらその残債についても返済義務は残ります。
これらの差し押さえを回避したいならば、裁判所から郵便物が届いた時点で早めに対応する必要があります。
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強制執行の具体例と生活への影響
強制執行による差し押さえの対象は、給料、金融機関の口座(預貯金)、不動産、動産、有価証券、債務者が持っている他人への債権など、多岐に渡ります。
(動産とは要するに「不動産以外のもの」のことで、現金、宝石などの貴金属、骨董品、自動車などがこれに相当します。)
一方、差押禁止財産や債務者の名義ではない財産(家族の私物など)が差し押さえられることはありません。
給与・給料
給与差し押さえの仕組み
実務上で最も多く差し押さえられるのは「給料(給与)」です。
給与差し押さえでは、債権者が債務者の給与から強制的に一定額を徴収し、債務の弁済に充てます。労働者が雇い主(会社)から給与を受け取る権利(給与債権)を差し押さえるのです。
毎月の給与だけでなく、ボーナスや退職金も差し押さえの対象になります。
差し押さえられるのは一定額だけ(原則として、税金等を控除後の給与の4分の1)なので、全ての収入源が絶たれてしまうわけではありません。
しかし、借金が完済できるまで差し押さえは続きますし、借金滞納・差し押さえの事実は勤務先にバレてしまいます。
給与差し押さえについては、以下のコラムで詳しく解説しています。
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預金口座(預貯金)
預金差し押さえの仕組み
預金口座(預貯金)を差し押さえられてしまうことも多いです。
口座を差し押さえられると、通帳に「サシオサエ」と記載され、残高が0円になってしまうこともあります。
「預金」は銀行へお金を預けている状態であり、預金者は「銀行から現金を払い戻してもらう権利」を持っています。
この権利を差し押さえることで、債権者は債務者の代わりに払い戻しを受ける権利を得られるというわけです。
裁判所が銀行に債権差押命令をすると、銀行はただちに債務者の預金から請求額を別口座(差押口)に移管します。
この時、請求額>預貯金額の場合は、口座残高が0円となります。
その後、債務者にも債権差押命令が届きます。債務者としては、いつの間にか預金口座のお金が減っているという事態になるでしょう。
債務者に債権差押命令が送達されてから1週間以上経てば、債権者は銀行から直接お金を取り立てられるため、差押口から借金を回収することになるでしょう。
なお、給与と違い、預金口座の差し押さえは一度きりですので、差し押さえ後に入金された金銭については差し押さえの対象外です。
しかし、債権者もこれを知っているので、給料の入金日に合わせて預貯金を差し押さえてくることが多いです。
また、年金の受給権は差し押さえられませんが、既にもらった年金を口座に入れていると預貯金として差し押さえられてしまいます(それが年金かどうかの区別がつけられないため)。
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不動産・動産
競売の仕組み
不動産や動産が差し押さえられた場合、それらの財産は競売などの手続きで処分され、売却代金が債務の支払いに回されます。
家や土地などの不動産の差し押さえは、特に住宅ローンなどで自宅に抵当権が設置されている場合によく見られます。
まず、家や土地などの不動産を差し押さえられると、債務者は自分の判断で自己の不動産を売却したり、取り壊したりができなくなります。
不動産を差し押さえられると、土地や住宅に入れなくなる・路頭に迷ってしまう、というような考えを持っている方も多いですが、そのようなことはありません。
実際には、不動産を差し押さえられても、債務者は普段のように自宅を使うことができますし、土地に立ち入ることもできます。
しかし、競売が終わり不動産の所有権が落札者に移転すると、債務者はその家に住み続けたり、立ち入ったりすることができなくなります。すなわち、いずれは引っ越しを余儀なくされるということです。
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住宅に付随する家財道具(動産)については、一般家庭にあるものであればほとんどが生活用品として差し押さえを免れます。
例えば、中古家電などは売却してもあまり高値で売れないため、基本的には差し押さえがされません。
しかし、一般家庭にそぐわない高価なホームシアターセットなどは、換価すると一定の額になるので差し押さえられる可能性があります。
また、骨董品や貴金属、流行りのゲーム機など、換価して高額になる物品は、やはり差し押さえの対象になります。
現金も動産として差し押さえの対象になりますが、手元に66万円以下の現金しかない場合は現金の差し押さえができないことになっています。これは、債務者の生活を守るための措置です。
普段から家に66万円を超える現金を保管している家庭は少ないでしょうから、現金を直接差し押さえられる可能性は極めて低いといえます。
強制執行前に裁判所の執行官が家に来ることがある
競売が開始となると、まずは裁判所から執行官がやってきて、家の状況(広さや間取り、外観など)を調査されます。
周辺状況なども同時に確認されるため、これを見られるとご近所から不審に思われるかもしれません。
また、動産の差し押さえの際は、執行官が債務者の家に来て物品を差し押さえます(債権者もしくはその代理人弁護士も同行するでしょう)。これは、動産を予め隠匿されることがないよう、抜き打ちで行われます。
現金や移動が可能な動産についてはその場で持ち帰り保管され、差し押さえから1ヶ月以内に売却期日が決定され債権者に告知されます。債権者がどうしても手放したくないものは、近しい人に競り落としてもらうしかないでしょう。
なお、債務者が留守の場合、執行官は強制解錠をして中に立ち入ることができます(債権者は外で待っています)。
強制執行でも差し押さえされない財産
差押禁止財産を含める以下のものは、差し押さえの対象になりません。
生活上で必要な衣服、日用品、消耗品
食料、燃料
寝具、家具、家電(同種の物が2点以上あれば差し押さえ対象)
鍋、包丁などの調理器具および台所用品
仕事の上で必要な道具
仏壇、仏像、位牌など
生活保護や年金の受給権(※受け取り後の現金・預金は差し押さえ対象)
債務者本人の名義ではない財産(家族の私物など)
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借金滞納から強制執行までの流れ
強制執行(差し押さえ)までの流れ
強制執行に至るまでの過程はどのようなものなのでしょうか。
以下では、強制執行の前段階から実際に財産が差し押さえられるまでの流れをご説明します。
郵便や電話による督促・取り立て
大抵の場合、まずは郵便物の送付で支払いの督促が行われます。
普通郵便で督促が行われているうちは「支払いがありませんが、何かありましたでしょうか?」程度の内容です。うっかり支払いを忘れていたという場合でも、この段階で支払いを行えば大事にはならないでしょう。
しかし、滞納を続けると電話がかかってきたり、簡易書留など記録が残る形の郵便物が送付されたりするようになります。
督促の内容も徐々に厳しいものになり、無視をすれば自宅や勤務先に電話がかかってくることもあります。
特に注意すべきは内容証明郵便です。ここまで来ると相手方も痺れを切らしており、「一刻も早く支払わないと法的手段に出るぞ!」という意思が表れていると考えて良いです。
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「期限の利益喪失通知」の送付
借金の返済が滞り、電話・郵便による督促に長らく応じない場合、借金をした相手から「期限の利益喪失通知書」が届くことがあります。
債務者は、期限になるまでの間は借金を返済する義務がなく、返済の催促もされないといった利益を受けます。こういった利益を総称して「期限の利益」と呼びます。
期限の利益がなければ、「昨日借りたお金を今日返せと言われる」などといった事態が起こりかねないのです。
さて、「期限の利益喪失通知書」に記された期日になったら、この「期限の利益」が失われ、債務者は即座に全ての借金を返済しなければならない状態に陥ります。
分割払いの契約であったとしても利息+元金+遅延損害金の一括払いを行うよう請求され、支払えなければ更に延滞金が積み上がっていきます。
しかし、この段階で借金を一括で支払える方はほとんどいないでしょう。
このまま返済しない場合は、いよいよ法的措置が進められていくでしょう。
【債権譲渡が行われることも】
債務者がなかなか返済をせず自社での債権の回収は難しいと思った債権者が、別の会社や弁護士に債権を譲渡するケースがあります。これを「債権譲渡」と言います。
債権回収会社や弁護士事務所など、債権を譲り受けた側は、あの手この手で債務者に返済を求めます。債務者からすると返済相手が変わっただけなのですが、債権の譲渡先によってはそれまでの催告方法が激変したり即座に法的措置に踏み切ったりすることもありますので、より早く対応をすることが求められるでしょう。
参考:債権回収会社(サービサー)から取り立てがきたらどうなる?
法的措置の開始
差し押さえなどの強制執行を行うためには、債権者が裁判所に対して「強制執行申立て」を行うことが必要です。そして、この申し立てには「債務名義」という公文書の提出が必須となります。
債務名義とは、債権の存在を証明し、裁判所が強制執行の許可をした文書です。
債務名義を得て強制執行の申立てをするために、具体的には、以下のような法的手段が行われることになります。
支払督促
簡単に言えば、債権者が裁判所に申立てることにより、簡易裁判所から債務者に督促状(支払督促)を発行してもらう制度です。
支払督促に対して反論がある場合、債務者は2週間以内は異議申し立てが可能です。
支払督促に対して異議申し立てをしない場合、債権者は「仮執行宣言の申し立て」を行えます。これによって支払督促に執行力が付与され、今度は「仮執行宣言付支払督促(=債務名義の一つ)」が債務者と債権者の両方に送付されます。
仮執行宣言付支払督促が債務者に到着し2週間経過した時点で、債権者は債務者に対して強制執行をすることが可能になります。
次の「訴訟」よりも簡易的に債務名義を取得できるので、債権者の多くは債務名義の取得に際して支払督促を採用するでしょう。
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訴訟
債権者が債務者を訴えて、裁判所から確定判決を得る手続です。借金の支払いに関する訴訟は「貸金返還請求訴訟」と呼びます
確定判決文(=債務名義の一つ)を得た債権者は、それを使って強制執行に踏み切ることができます。
訴訟は時間がかかるため債権者にとっても好まれない方法ですが、それだけに訴訟を起こすということは債権者が本気で債権回収を図っているということに他なりません。
訴訟には弁護士による対応が必要となるので、訴状が届いたら早めに相談をするようにしましょう。
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強制執行の申立て
支払督促や訴訟などの手段で債務名義を得た債権者は、これを用いて裁判所に強制執行の申立てを行います。
これまでに記載した通り、強制執行が申立てられると、債務者は差し押さえにより一部の財産を失ってしまい、これが借金の返済に充てられます。
差し押さえをされる財産として代表的なものは、給料(給与)や預貯金でしょう。
強制執行・差し押さえは債務整理で解決できる
借金を返せず強制執行まで発展しそう、あるいはすでに差し押さえを受けているという方は、自力での完済は現実的ではないケースがほとんどでしょう。そこで、弁護士や司法書士に依頼して債務整理をすることをご検討ください。
債務整理とは、その名の通り借金(債務)を整理し、返済の負担を合法的に軽減する手続きのことです。
弁護士などに代理人となってもらった上で債権者(お金を貸した側)と直接交渉したり、裁判所の許可を得たりして借金を減額・免除してもらうことができます。
個人の債務整理には、一般的に「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった3つの方法があります。
それぞれ、債権者との交渉の有無、借金の減額率、必要書類の種類などで違いがありますが、いずれの方法であっても借金の負担を減らすことができます。
特に、法的な手続である個人再生と自己破産は、手続中に裁判所へ申し立てることにより差し押さえを中止・失効してもらうことが可能です。差し押さえを回避・解除しながら借金問題も根本から解決できるのです。
どの債務整理手続きが適しているかは債務者の事情や状況によって異なります。スムーズかつ失敗しない債務整理手続きのためにも、弁護士・司法書士に相談してどのように手続きを進めるかを決めることをおすすめします。
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まとめ|借金滞納で強制執行されたら弁護士へ
借金を返せなくなった、または強制執行の気配を感じたら、ためらわず弁護士に相談してください。
できるだけ早いタイミングで相談することで、債務整理などの手段を講じて強制執行を回避できます。
債権者が債務名義に相当するものを取ったら、強制執行されるのは時間の問題です。滞納を続けて生活に更なる悪影響が出る前に、どうぞお早めに弁護士へご相談ください。
できれば「借金苦だと感じる」「完済の目処が立たずに不安を感じる」時点で弁護士に連絡を取ることをお勧めします。』