日本は「産業スパイ天国」 技術持ち出し防ぐ仕組み甘く
安全保障とeconomy
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0553W0V00C25A2000000/
『2025年2月10日 5:00 [会員限定記事]
企業の技術を盗む産業スパイ被害は日本でも深刻だ。従業員として潜り込んだり、協力者を巧妙にそそのかしたりする手法が目立つ。国の安全保障の観点からは人工知能(AI)や量子といったデュアルユース(軍民両用)技術を守る取り組みが急務となる。
人を潜入させたり、協力者の情報網を築いたりする活動をヒューミント(人的情報活動)と呼ぶ。企業が舞台なら産業スパイになる。近年、幅広く活動しているとされるのが中国だ。…
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『ターゲットとした企業の従業員に金銭や地位の提供をちらつかせ、情報を持ち出させるなど手口は多岐にわたる。
東京大の玉井克哉特任教授(知的財産法)によると、産業スパイの行動には6段階ある。①対象を見定める②接触する③金銭などで取り込む④従わせる⑤情報を収集させる⑥関係を終わらせる――の順だ。
例えば③の段階では、必ずしも機密にあたらない情報に50万円前後の対価を払うことで情報提供への心理的ハードルを下げる手口がある。
人の欲や弱みにつけ込みながら「自分が役に立っている」と錯覚させ、さらなる深みに誘い込む。④や⑤に向けて徐々に提供させる情報の重要度を高める。後戻りできなくなったとみるや要求をエスカレートさせ、営業秘密を渡すよう指示・脅迫する。
情報機関が学生などの留学費用を肩代わりすると持ちかけて近づき、留学先でスパイ活動をさせる場合もあるという。
近年は国家主導の事案が増え、摘発・検挙が難しくなっている。中国以外ではソフトバンクの秘密情報を元社員がロシアの元外交官に渡し、報酬を受け取っていたことが20年に発覚した。』