銀行団、マスク氏のX買収向け融資債権売却 8400億円

銀行団、マスク氏のX買収向け融資債権売却 8400億円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN060C80W5A200C2000000/

『2025年2月6日 8:09 (2025年2月6日 8:35更新)

イーロン・マスク氏とトランプ氏の蜜月がXの評価額上昇につながった(1月、ワシントン)=ロイター

【ニューヨーク=斉藤雄太】米起業家イーロン・マスク氏による2022年のX(旧ツイッター)買収時に協調融資を実施した銀行団が、融資債権の一部を売却したことが5日わかった。銀行が融資した約130億ドルのうち55億ドル(約8400億円)分を大手機関投資家に売却した。銀行団に参加している関係者が明らかにした。

マスク氏は総額440億ドルに及んだXの買収資金の一部を銀行団からの借り入れで賄った。銀行団は米金融大手モルガン・スタンレーが率い、バンク・オブ・アメリカや英バークレイズなどが参加。邦銀では三菱UFJ銀行とみずほ銀行が加わっている。

買収向け融資を出す銀行は資本規制の制約上、融資債権を証券化して投資家に転売し、バランスシートから外すのが一般的だ。ところがマスク氏のX買収では同社の業績悪化や金利の上昇などが重なり、債権価格を大幅に割引しないと買い手がつかないため、銀行側は売却をできずにいた。

今回は額面1ドルあたり97セントで債権を売却した。当初は同90〜95セントで30億ドル分の売却を目指していたが、投資家の需要が強かったため価格を引き上げ売却規模も大きくした。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、買い手にはピムコやシタデルといった米機関投資家も含まれる。銀行団はすでに10億ドル相当の債権を先行して売却しており、今回の売却で計65億ドル分を手放したことになる。

債権の買い手の需要が高まった理由として、マスク氏とトランプ米大統領の親密さが指摘されている。両氏も投稿するXの注目度が高まり、広告収入の増加につながるとの見方がある。

米ブルームバーグ通信によると、マスク氏が立ち上げた人工知能(AI)企業の米xAIの持ち分の一部をXが持ち、xAIの高い価値がXの評価額の押し上げにもつながっているという。』