【解説マップ】ニーチェの哲学思想を図解でわかりやすく(著書や名言まで)

【解説マップ】ニーチェの哲学思想を図解でわかりやすく(著書や名言まで)
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『『この記事は、有名哲学者らの思想をマインドマップでひもとく哲学入門コンテンツです。彼らの思想や考え方が、世界にどんな意味や影響を与えたのかを見ていきましょう。⇒「哲学者」一覧

偉人ライターの神宮寺葵です。

ニーチェは19世紀のドイツの哲学者です。既存の価値観を批判し、「神は死んだ」という言葉はあまりにも有名です。実存主義の先駆者であり、超人思想や永遠回帰など、独自の概念で現代思想に大きな影響を与えました。主著に『ツァラトゥストラはこう語った』があります。今回は、そんなニーチェがどんな人で何をした人なのか、彼の哲学人生を深掘りしていきます。

🔗参照:【解説マップ】もしもニーチェが現代の企業経営者だったら?

解説マップ

さらにくわしく解説します

1.どんな哲学者なのか?
2.どんな哲学思想なのか?
3.どんな影響を与えたのか?
ニーチェの最期(死因)
ニーチェの著書
ニーチェの名言
さいごに
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さらにくわしく解説します
上記のマインドマップで整理したニーチェの哲学思想について、イメージを交えながらくわしく解説します。

1.どんな哲学者なのか?

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フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)は、ドイツの哲学者で、19世紀後半の西洋思想に革命をもたらした人物です。彼はすでに存在する道徳観や宗教観に鋭い批判を向け、新しい価値観の創造を提唱しました。

ニーチェは、人間の本質や生きる意味について深く考察し、「神は死んだ」という衝撃的な宣言で知られています。また、「ルサンチマン」や「超人」といった独自の概念を通じて、人間の心理と社会の関係を鋭く分析しました。彼の思想は、現代哲学や文学、心理学など、幅広い分野に大きな影響を与えています。

ニーチェの性格や人柄とは?

ニーチェは生真面目で純粋、同時にどこか人間味あふれる性格を持っていました。幼少期には、校則を守るために雨の中でも決して走らず、ゆっくりと帰宅したエピソードがあり、真摯な性格の表れとして知られています。24歳でバーゼル大学の教授に就任したものの、周囲の嫉妬と自分への厳しい理想から孤立し、苦悩する日々を過ごしました。また、神や超人といった哲学的な探求に没頭する一方で、「なぜ自分はモテないのか」といった悩みも抱えていたとされ、普遍的な理想を求めながらも、時折、俗世の弱さも垣間見せる姿が、彼の独特な魅力を生み出しています。

2.どんな哲学思想なのか?

ニーチェの哲学思想は、すでに存在する価値観を根本から問い直し、人間の可能性を最大限に引き出そうとするものです。彼は、人間が自らの力で新しい価値を創造し、より高い段階の存在へと進化することを目指しました。

【解説マップ】ニーチェの哲学思想を図解でわかりやすく(著書や名言まで)

① 「神は死んだ」:価値観の転換

ニーチェの最も有名な言葉の一つである「神は死んだ」は、それまでの西洋社会を支えていた絶対的な価値観(神や道徳)が失われたことを意味しています。

たとえば、昔は「良い人間とは神の教えを守る人」と考えられていましたが、科学の発展などにより、そうした考え方が通用しなくなってきました。ニーチェは、このような状況で人間は自分自身で新しい価値観を作り出す必要があると主張したのです。

② ルサンチマンと超人思想:自己超越への道

ニーチェは「ルサンチマン」という概念を提唱しました。これは、自分より強い者や恵まれた者に対する劣等感や妬み、またはそこから生まれる価値観の逆転を指します。たとえば、「お金持ちは悪い人だ」という考え方は、実際にお金持ちが悪いからではなく、自分がお金持ちになれないことへの妬みや恨みから生まれた価値観かもしれません。

ニーチェは、このようなルサンチマンに基づく道徳を批判し、それを乗り越えるものとして「超人(Übermensch)」という概念を提唱しました。超人とは、ルサンチマンから解放され、自らの意志で新しい価値を創造できる理想的な人間像のことです。

身近な例で考えてみましょう。たとえば、「みんなが良いと言うから」という理由で進路を決めるのではなく、自分の情熱や才能にもとづいて独自の道を切り開く人がいるとします。そういった人々が、ニーチェの言う「超人」に近い存在と言えるでしょう。

③ 永遠回帰:人生を肯定的に生きる

「永遠回帰」は、ニーチェの難解な概念の一つです。これは、同じ人生を何度でも繰り返し生きることになったとしても、それを喜んで受け入れられるかという思考実験です。

たとえば、あなたの人生のすべて―良いことも悪いことも―が永遠に繰り返されるとしたら、どう感じますか?ニーチェは、そんな人生でも「もう一度!」と言えるほど、自分の人生を肯定的に生きることを提唱しました。これは、人生の一瞬一瞬を大切にし、後悔のない生き方をすることの重要性を示しています。

3.どんな影響を与えたのか?

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ニーチェの思想は、20世紀以降の哲学、文学、芸術、心理学など、幅広い分野に多大な影響を与えました。

キルケゴールと同じく実存主義の先駆者として、サルトルやハイデガーなどの哲学者に影響を与え、文学ではヘルマン・ヘッセやトーマス・マンなどがニーチェの思想を作品に反映させました。

心理学の分野では、フロイトやユングがニーチェの思想から影響を受けており、とくに無意識の概念や「ルサンチマン」の心理分析の発展に寄与しました。また、ニーチェの価値観の転換という考え方は、現代の価値観の多様性を認める思想の基礎となっています。

ニーチェの最期(死因)

ニーチェは1900年8月25日、55歳で肺炎により亡くなりました。故郷の教会に埋葬され、葬儀は彼の意思に反して盛大に行われました。死後、妹のエリーザベトが遺稿を編纂し『力への意志』を刊行しましたが、その恣意的な編集が後にニーチェの思想解釈に混乱をもたらしました。ニーチェの真の思想を理解するには、原典に当たることが重要です。

ニーチェの著書

『悲劇の誕生』

(時期)1872年

(内容)古代ギリシャ悲劇を分析し、アポロン的なものとディオニュソス的なものという二つの原理を提唱。芸術と人生の関係について論じた初期の重要な著作
 

『道徳の系譜』

(時期)1887年

(内容)道徳の起源を探り、「ルサンチマン」の概念を詳しく展開した著作。西洋の道徳観を批判的に分析している
 

『ツァラトゥストラはこう語った』

(時期)1883-1885年

(内容)ニーチェの思想を詩的に表現した代表作。超人思想や永遠回帰などの重要な概念が登場する
🔗【要約マップ】『ツァラトゥストラかく語りき』を簡単にわかりやすく解説します

『善悪の彼岸』

(時期)1886年

(内容)9つの章を通じて、哲学、宗教、道徳、知識などの幅広いテーマを探求し、人間の可能性を探る哲学書
🔗【要約マップ】『善悪の彼岸』を簡単にわかりやすく解説します

『この人を見よ』

(時期)1888年

(内容)44歳のニーチェが精神崩壊を起こす直前に書かれた作品で、自身の人生と思想を振り返る
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ニーチェの名言
「神は死んだ。我々が神を殺したのだ」

(意味)絶対的な価値観が失われた現代社会の状況を表現しています。同時に、新しい価値観を創造する必要性を示唆しています。

(出典)『悦ばしき知識』(1882年)
 

「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」

(意味)危険や困難に立ち向かう時、その経験が自分自身を変えてしまう可能性があることを警告しています。

(出典)『善悪の彼岸』(1886年)

さいごに
ニーチェの思想をくわしく知りたいなら、彼の主著『ツァラトゥストラはこう語った』がおすすめです。この本では、山から降りてきた賢者ツァラトゥストラが、人々に新しい生き方を教えていきます。

とくに大切なのは「超人」と「永遠回帰」の二つの考え方です。「超人」は、今の自分を超えて成長し続ける人。「永遠回帰」は、同じ人生を何度でも繰り返すとしたら、どう生きるか?という問いかけです。

この本は、正直言って少し難しいです。でも、読んでみると自分の生き方について深く考えるきっかけになります。ニーチェは私たちに「自分らしく、強く生きよう」と語りかけているんです。彼の考えは、今の私たちの人生にも役立つヒントがたくさん詰まっています。

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神宮寺 葵

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都内在住のクリエイティブディレクター。芸術系大学を卒業後、広告代理店でキャリアスタート。5年間の勤務を経てフリーランスに。レストランの内装デザインからアイドルグループのVISUALイメージまで幅広く手がける。MindMeisterは、ヒアリングとプレゼンなどに使っている。趣味は、カメラと偉人伝を読むこと。

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