英30年金利、27年ぶり高さ トランプ氏懸念が欧州に波及

英30年金利、27年ぶり高さ トランプ氏懸念が欧州に波及
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『2025年1月8日 5:24
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伊藤さゆりさんの投稿
伊藤さゆり

英スターマー首相=ロイター

【ロンドン=大西康平】7日の債券市場で英30年物国債の利回りが27年ぶりの高水準まで上昇した。トランプ次期米大統領の政策がインフレにつながるとの懸念が出る中、国債の入札が相次いで需給が緩みやすく、欧州に金利上昇圧力が波及している。

7日に英30年債金利は一時5.25%まで上昇(価格は下落)した。英フィナンシャル・タイムズ(FT)などによると、同水準を付けたのは1998年以来だ。

政権交代後初となる労働党のスターマー首相による予算案が財政拡大方針を掲げることや、賃金上昇による根強いインフレでイングランド銀行(BOE)の利下げペースが遅れることへの警戒感が出ている。

欧州の30年債は同日、ドイツが2.71%と半年ぶり、イタリアが4.28%と2カ月ぶりの高水準を付けた。

米国の金利上昇が波及しているためだ。米30年債金利は一時4.92%と、1年2カ月ぶりの高さとなった。20日のトランプ氏の大統領就任を控え、関税強化によるインフレや大型減税による財政悪化への警戒感が出ている。

年初で国債入札の予定が相次いでおり、投資家が買いをためらって需給が緩みやすくなっている面もある。7日には英国で30年債の入札があった。

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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事
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別の視点トランプ2.0の始動と英国政府との関係では、政治的な影響力を強めるイーロン・マスク氏が、児童への性的虐待問題に、スターマー首相が十分な対応を行ってこなかったとして、辞任を要求するなど、英国の政治への関与を強めていることが注目されている。同氏は右派ポピュリスト政党のリフォームUKを支持する。
2月に総選挙を控えるドイツについても、マスク氏は、「ドイツを救えるのは(極右ポピュリスト政党の)AfDだけ」と投稿したことで、波紋が広がっている。
トランプ2.0と欧州の間には懸念材料は数多いが、マスク氏の政治関与も深刻な懸念材料の1つとなりつつある。
2025年1月8日 10:22 』