中国2大苦境が誘う習・石破会談、12年経て豹変
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD149V50U4A111C2000000/
『2024年11月20日 0:00
日本に厳しく出る3つのセオリー
北京APECとリマAPECは同じ国際会議の場での日中首脳会談なのに習の表情がこうも違うのはなぜか。日米中3カ国関係を注視してきた海外の識者の辛辣な観察を紹介したい。中国が日本に厳しい態度をとる際のセオリーは大きく3つだという。これを適用すれば、12年に安倍政権が発足した時の対応に比べての中国の変化、習の豹変(ひょうへん)も読み解ける。
セオリー①:中国は、基盤が弱く、いつまで続くか不明とみた日本の政権を相手にしない。安定政権だとみれば一転、多少気に入らない人物でもきちんと付き合おうとする
セオリー②:中国にとって最も重要な対米関係が良好で、先が見通せる場合、中国は日本に対して極めて強く出たり、無視・パッシングしたりする
セオリー③:中国が経済的に自信があり、勢いに乗っている時期は、日本の政府や経済界、企業を重視しない。放っておいても日本側からやって来るのだから』
『両手で握手した石破首相
リマでの日中首脳会談の開始前の対面では、習とまともに視線さえ合わせなかった石破だが、別の形で習に心情を伝えていたフシもある。握手の際、習が差し出した右手を両手でしっかり握っていたのだ。
10月、ラオスで中国共産党序列2位の首相、李強(リー・チャン)と会った際の握手では見せなかった動作だ。習に対する両手での握手は、外交的には誤解を受けかねない。「上下関係」がにじむからだ。
首脳会談を前に握手する石破首相㊧と中国の習近平国家主席(15日、ペルー・リマ、代表撮影)=共同
だが石破はあえてそれを選択したようにもみえる。「選挙運動のとき両手で握手するクセが出た」という一部の説明には、やや無理がある。今回のペルー・ブラジル訪問での2国間会談で最も注目されるのが日中首脳会談であるのは明らか。石破は十分、考えたはずだ。意識的につくった無表情とは違い、両手の握手には感情がにじむ。』
『ペルー会談で習が差し出した片手を、両手で握った石破の所作は、功を奏するのか。それとも裏目に出るのか。安全保障、経済両面で課題は山積している。日本産水産物の輸入再開問題では一定の前進はあった。一方、アステラス製薬社員ら日本人の拘束問題などは解決の見通しが立たない。
まずは日中首脳会談が今後も継続できるのかに注目したい。米トランプ政権の再来は石破に有利だ。石破と習も自由な雰囲気で懇談できるまでになれば、今回の会談で習が口にした両国関係の「改善」が絵に描いた餅ではなくなる。(敬称略)』