台湾周辺に中国軍、米議長訪台以来の水準 頼政権を威嚇
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM301XY0Q4A630C2000000/
『2024年7月2日 16:26
【台北=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が5月に発足した台湾の頼清徳(ライ・チンドォー)政権への軍事的威嚇を強めている。中国と台湾の暗黙の休戦ラインとされる中間線を越えた中国の軍用機は6月に延べ175機となった。2022年8月以来の高い水準だ。
台湾国防部(国防省)は7月2日、同日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に中国の軍用機延べ13機が台湾本島の周りに現れたと発表した。そ…
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『そのうちの10機が中間線を越えて台湾本島の北部や中部、西南、東南の4方向の空域から進入した。軍艦6隻の活動も確かめた。
中国軍は戦闘機や無人機、軍用ヘリコプターなどを台湾本島周辺の空域に相次ぎ投入している。台湾国防部は「厳しく監視し、対処している」とコメントした。
中間線は台湾海峡のほぼ真ん中に引かれた防衛ラインを指す。1950年代に米国が中華民国(台湾)を守るために設けたのが由来との解説がある。習指導部のもとで中国軍機が突破する動きが目立つようになった。
台湾国防部傘下にある国防安全研究院の王尊彦・副研究員は中間線越えの回数について「習指導部の台湾への軍事的・政治的圧力の強さを示すバロメーターとなっている」と話す。
6月は延べ175機と、ペロシ米下院議長(当時)の訪台に反発した中国軍が台湾本島を取り囲んで軍事演習した22年8月(290回)以来の水準となった。蔡英文総統(当時)の訪米に反発した中国軍が威嚇した23年4月(149回)も上回った。
中国軍のヘリコプターや無人機などが台湾本島の「背後」に当たる東部の上空に回り込む動きも増えている。6月は18回と5月より2回増え、24年で最も多くなった。
台湾のある安全保障研究者は東シナ海や南シナ海に続き、台湾東側の空海域を押さえ、台湾を3方向から封鎖する意図があると分析する。中国軍機が迫るたびに台湾空軍も主力戦闘機「F16」などで緊急発進(スクランブル)しており、偶発的衝突を懸念する声も絶えない。
国防安全研究院の蘇紫雲所長は「中国空軍は異なる機種を合同飛行させて、洋上の打撃能力を高めようとしている」と指摘する。
台湾の離島・金門島周辺で台湾当局が設定する「制限水域」に中国海軍や海警局などの船が入る事態も起きている。台湾当局は力による現状変更の試みとみて警戒態勢をとる。
習指導部は頼政権を「台湾独立分子」とみなしてきた。5月に頼氏が就任演説で「中華民国(台湾)と中華人民共和国は互いに隷属しない」と発言したことに猛反発した。
6月に「台湾独立を主張する分子による扇動行為」を厳しく処罰する指針を施行し、死刑を科すことも可能にした。
頼氏は6月の記者会見で台湾と中国がお互いに隷属しないのは「社会の共通認識だ」と述べた。「中国の脅迫に台湾は屈しない」と強調した。米国や欧州、日本など民主主義の価値観を共有する先進国と結びつきを強めて中国の圧力に対処する戦略を描いている。
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