チューリングの大聖堂

チューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来 単行本 ? 2013/2/22
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%81%96%E5%A0%82-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E5%89%B5%E9%80%A0%E3%81%A8%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%88%B0%E6%9D%A5-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4152093595

『グーグル、アマゾンが君臨する現代のデジタル世界は、もとをたどれば数学者チューリングの構想した「チューリングマシン」に行きつく。

そして理論上の存在だったチューリングマシンを現実の装置として創りあげたのが万能の科学者フォン・ノイマンだ。

彼の実現した「プログラム内蔵型」コンピュータが数に関する概念を変え、デジタル宇宙を創生したのだ。

しかし、フォン・ノイマンがそれを成し遂げたのは、産業や学問のしきたりにとらわれない、プリンストンの高等研究所という舞台あればこそであった。

チューリングは何を考え、フォン・ノイマンはどう立ち回り、アインシュタインやゲーデルを擁した高等研究所はいかにしてその自由性を得るにいたったのか。

そして彼らとともにコンピュータ開発を支えた科学者・技術者はいかにして関わりを持つようになり、現代に直結するどんな偉業を成し遂げたのか・・・・・・

高等研究所などに収められた詳細な文献や写真資料、豊富なインタビュー取材をもとに、大戦後の混乱でこれまで必ずしも明らかでなかった歴史事情や、知られざる人々の肖像をちりばめて綴る、決定版コンピュータ「創世記」。』

『 商品の説明

著者について

◎著者紹介=ジョージ・ダイソン(George Dyson): アメリカの科学史家。著書に本書のほか、アリュート族のカヤックに関する『バイダルカ』Baidarka、デジタルコンピューティングとテレコミュニケーションを題材にしたDarwin among the Machines、宇宙探索に関するProject Orionなどがある。父は物理学者のフリーマン・ダイソン。姉は投資家でIT業界のオピニオンリーダーであるエスター・ダイソン。

◎訳者略歴=吉田三知世(よしだ・みちよ): 京都大学理学部物理系卒業。英日・日英の翻訳業。訳書にクラウス『ファインマンさんの流儀』、ファーメロ『量子の海、ディラックの深淵』、ウィルチェック『物質のすべては光』、ボダニス『E=mc2』(共訳)、マンリー&フォーニア『アメリカ最優秀教師が教える 相対論&量子論』、ガブサー『聞かせて、弦理論』、ジョンソン『もうひとつの「世界でもっとも美しい10の科学実験」』ほか多数。

『H.竹内
5つ星のうち3.0 知らないことだらけ
2014年1月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

アランチューリングの功績は大学時代に授業で受けていた。最近、昨年読んだ吉田氏の素数夜曲の中でラムダ記法について勉強し、今までと異なる評価を感じていた。

この本は専門書に近い。私はかなり専門知識を有していると思うが、知らないことがたくさん書かれている。

陰極線管を表示に使うのは当然だがメモリに使うというのは到底思いつく手段ではない。32×32に画面を区別してどこにビームが当たっているかを情報として取り出す。DRAMのようにリフレッシュまでする。これを並列に多数並べてランダムアクセスメモリに仕立てる。現在なら1Bit(二通り)ずつ同時に16Bitまとめて処理するが、この方法では1024通り×40個というような使い方をしていたわけだ。詳しい説明はない。専門家でなければ理解が難しいかも。

アランチューリングはノイマンと同じ時代の人で、お互い影響し合っていたようだ。

実はチューリング自身が英国でコンピュータを作り上げており、歴史を覆すようにENIACより僅かに早いようだ。

ノイマンは運動を全くしない人だったが、歩くことに関しては全く気にならなかったらしく、意外にも私と全く同じ性格。大型車が好きというのも。

最初の方でアメリカ独立とともに移住したヨーロッパ人がニュージャージーのニューアーク、プリンストンの周囲に大学を作り上げるシーンがある。私も2回にわたりニュージャージーへ行ったことがあり、ニューヨークやワシントンDCとの位置関係や風景、ドライカウンティの状況が想像できる。ノイマンは恐ろしく数理学の達者な人物だったらしいが、この本を読むとプロジェクトを推進するリーダとしての能力も高かったように思える。また経営に関与していたこともあり、敵も多かったようだ。意外なことに。

チューリングはノイマンより年上だと思っていたが逆のようだ。しかしチューリングがノイマンに影響を与えたことは間違いないようだ。

この本は、章毎に物語があり、時代がさかのぼったり下ったりする。物語は独立しているが、数箇所で繋がっており、最後へ向けてまとまっていく。

人工知能は意外なことにコンピュータの黎明期から技術者をひきつけていたのだった。

計算機の能力は全くいたらなかったが、概念は早くから構築されていた。

人工知能というより遺伝的アルゴリズムと言ったほうが適切か。

そして気象について詳しく書かれている。気象は計算機が登場するまで経験に頼っていたが、気象予報に計算機が使えると早い時期に考えられていた。

これは流体力学とほぼ同じ意味だ。計算機工学と応用先の関係は思ったより早くから取りざたされていたということだ。

計算機のアーキテクチャは当時の天才的数学者が構築し、工学の匠が試作したが、当時のハードウェアの信頼性の低さは現代とは比較にならない。

ところでこの本の翻訳者は直訳調で著者のインタビューワーとしての表現をそのまま使っているようだ。正直読みにくい。最後に関係者のその後の消息が書かれているが、チューリングが性犯罪で起訴され、ほぼ自殺と見られることはショック。

もっと少なく読む
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート

koku
5つ星のうち2.0 間口が広すぎ
2013年6月22日に日本でレビュー済み

チューリング・マシンや、ENIACの話を期待していた向きには、がっかりです。
技術的な記載は、あまりなく、フォン・ノイマンやノバート・ウィーナー、その他たくさんの登場人物の人間関係が、延々と語られます。読んでいるうちに、誰が何だったか、錯綜してきました。
そういえば、アラン・チューリングは、どれくらい出てきていたのでしょう。

ノイマンもウィーナーも、コンピューター界の巨人で、更に、この本の途中に出てくるモンテカルロもオートマトンも、各々それだけで、まとまった本が書けるわけですから、これらを全部一冊に入れ込もうというのは、無理があったようです。
19人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート

enob
5つ星のうち4.0 コーディネーターとしてのフォン・ノイマン
2015年9月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入

コンピューターのことについて知りたいと思い、本書を手に取ったのだけれど、プログラム内蔵型コンピューターやランダム・アクセス・メモリ(RAM)が開発されるプロセスを知ることで、以前よりは理解が進んだ。

まあ、しかし、それ以上に興味深かったのは水素爆弾を作ると言うあの当時の軍事的要請が今日的なコンピューターを生み出す原動力となり、そのような状況を利用して自らの数学的理想を現実のものとしようとしたフォン・ノイマンと言う天才がいたことだ。

フォン・ノイマンは最初は純粋数学の分野で「集合論の公理化」などの研究をしていたが、ゲーデルの不完全性定理を知るにつけ、純粋数学の分野の限界を悟った。

そのことが彼をして応用数学に研究の矛先を転換させるきっかけとなった。また連合国側に勝利をもたらすと言う使命感も応用数学を追求することになった背景にあったようだ。
プリンストンの高等研究所で彼は、数学者・物理学者と技術者のチームを率いていたが、彼がチームリーダーとなる前は、スタッフは仕事の進め方について先が見えずに悶々としていた。

しかしノイマンが、技術者達に対しては、比較的単純な指令によって動く機械を作ることを指示し、数学者たちのグループに対しては単純な指令の組み合わせによって必要を満たすプログラムを作成することを指示することによって、お互いの連携は単純になり、仕事が驚くほど簡単にはかどるようになった。彼のそのようなコーディネーターとしての能力は勉強になった。

書評を書いている他の方々が、本書の時間の進行についていけないと指摘しているが、確かに最初は戸惑うだろう。

時間は螺旋系に進行するような具合に文章が並んでいるからだ。

私は読んでいる内に慣れてきて、却ってそのような時間の進行がツボにはまって快感になってきたところもあるが、慣れない方へのお勧めは、まず最後の方にある「訳者あとがき」を読んで大雑把な全体像を捕まえてから本書を読み進めるやり方だ。

最初の方には「主な登場人物」についてのまとめもついており、途中で混乱してきた時に参考になる。

最後に印象に残った場面を引用する。ノイマンはおそらく水爆の実験に立ち会ったことによる影響と思われる癌で衰弱していくのだが、死を目前にして厳格なカトリック信徒になる。

死への恐怖からそうしたものと思われるが、そのようなノイマンに対して彼の娘のマリーナは『あなたは何百万人もの人々を亡き者にすること(水素爆弾の開発)を沈着冷静にじっくり考える人なのに、自分自身の死に直面することができないのね。』と言う。

そうするとノイマンは『それとこれとはまったく違うんだ…。』と答える。水爆は彼を活かしてコンピューターを現実のものとするのを可能にしたと同時に、彼の命を癌と言う形で奪うことになった。

コンピューターの恩恵にどっぷりと浴している我々は、その歴史的な起源を知ることで、この世界の土台となっている悲喜劇に種々の感慨を抱くことになる。

続きを読む
19人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
レビューをすべて見る 』

『TAS
5つ星のうち3.0 コンピューター黎明期に関する巨大なメモ帳
2013年3月20日に日本でレビュー済み

第2次世界大戦から戦後の軍拡競争時代の計算機に纏わるあれこれの事象を集めた本。
叙述は途轍もなく微細なこと(研究者の奥さんが託児所を開いたとか)から
過去のこと(舞台となったプリンストン高等研究所のアングロサクソンとしての最初の持ち主は誰か)
ショッキングな事実(計算機は暗号解読とか原爆、水爆の計算目的で作られたとか)
などが不思議な時系列で語られる。(パラグラフ毎に10年ぐらい時間が前後するのは当たり前)
読んでいくうちに1940年から1955年までの出来事が一瞬で起きたかのような錯覚に
捉えられる。

黎明期の計算機の仕組みとか計算機の理論に関して知りたい方には物足りないかもしれないが
当時の家族的な高等研究所の雰囲気は十分伝わってくる。

わりと焦点の当たっている人は以下
フォンノイマン(主役です。とても閃く人で当時の業界?をけん引していましたが、少し邪悪です)
ゲーデル(なぜかこの人が結構出てきます。数学の不完全性と計算不可能性が親戚だから?)
チューリング(本の名前ですから。軍事機密にかかわっていたためか正統な評価されず、哀れな末期)
あとは計算機ハードを作った人、主要アプリケーションを作った人に焦点があたってます。

最初期のアプリケーションとは何か

・爆風の計算(何のことかと思ったら下につながる)
・原爆・水爆の計算(鬱だ。ノイマンはとっととソ連を叩き潰せ(物理的に)という意見だった。)
・気象予報(平和的なのはこれぐらい)
・人工生命(一度忘れられたらしい)

著者は当時の事実を相当細かく広範に抑えていると思いますが、
今回策は叙述の目的がはっきりしていない感じです。
計算機のみに焦点を当てた次作を期待したいと思います。
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート

YRTS
5つ星のうち4.0 部内者ゆえに書けたであろう一冊
2016年12月14日に日本でレビュー済み
著者は、大物物理学者フリーマン・ダイソンの息子である科学史家ジョージ・ダイソン。
本書はプリンストン高等研究所を核として展開される叙事詩または群像劇ともいえる一冊だが、
21世紀時点でそこの長老的存在となっているフリーマンのパイプを使えるのは大きかったろう。

そんなわけで、部外者には到達できないであろう資料やコメントが幾つもあったように思えた。
ただ臨場感を優先しているためか、他レビュアーの言及にもある通り構成が錯綜した感じだ。
訳者あとがきで構成の全体像が示されているので、各章に入る毎に事前確認すると良いだろう。

最初のとは言えないが、現コンピューターの直系祖先的個体ではあるMANIACを取り巻く群像劇。
登場人物は百人以上はいた気がするが、確実に主役と言えるのはジョン・フォン・ノイマンである。
ほか綺羅星のごとき科学者たちの名前が並ぶ中、準主役は忘れ去られた技術畑の男であろうか。
このコンピューターの具現化に並外れた貢献をし、そしてその最期を看取ったジュリアン・ビゲローだ。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
スポンサー
カスタマーサービスが必要ですか?』