戦争でどこかの国が消えてしまうようなことがあっても、…。

戦争でどこかの国が消えてしまうようなことがあっても、…。
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 ※ 「永遠の敵も、永遠の味方も無い…。あるのは、永遠の国益だけだ…。」

『kokichi
5つ星のうち4.0 なるほど
2018年11月1日に日本でレビュー済み
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いま、この人は、中堅幹部くらいなのだろうか・・・。

《一九九九年春のことと記憶している。鈴木宗男内閣官房副長官(当時)から電話がかかってきた。外務省の中東を担当する専門家たちとしゃぶしゃぶを食べるので同席してくれという話だった。

~略~

アラビア語の専門家数名とヘブライ語の専門家が二人いた。
あるアラビア語の専門家がヘブライ語の専門家の目を見据えて言った。
「いま、私は敵の言葉を勉強しているからね。いまにみていろ。思い知らせてやるわ」
彼女はなかなかアラビア語がよくでき、現地事情にも通暁しているといわれる評判のよい後輩だった。
「敵ってだぁれ」と筆者が尋ねた。
「ヘブライ語を話すあいつらよ。国名すら口にしたくない」
彼女の瞳の中では、一九六〇年代末に爆発的人気を博した劇画「アタック№1」の主人公・鮎原こずえのように炎が燃えている。
~略~

この女性外交官のイスラエル観を知って、筆者の心の底から、「これはまずい」という気持ちがわきあがってきた。

「あなた、イスラエルに関して、敵であるとか、シオニストの国などと吐き捨てるように呼ぶのはよくない」

「どうしてですか。パレスチナ人をあれだけ虐殺しているシオニストの存在を私は認めることはできません」

「あなたがイスラエルを認めるかどうかは、関係ない。あなたはどこでアラビア語を勉強したの」

「シリアでです」

「誰のお金で勉強したの」
「自分のお金です」

「違うでしょう。外務省の研修生としてアラビア語を勉強したのでしょう。日本政府のカネで、つまり国民の税金であなたは勉強したんです。僕が言うことがどこか間違っているかな」

「それは確かに佐藤さんの指摘のとおりです」

「それじゃ、今度は少し質問を変えよう。あなたは、シリアを好きですか」
「好きです」
「アラブ人はどうかな」
「アラブ人にも嫌な人もいます。しかし、日本ではアラブ諸国やアラブ人について、あまりに理解が低いです。アラブ諸国に対する偏見を是正する必要があると思います」

「イスラエルは好きかな」
「何を聞くんですか。敵です。大嫌いです」
「どうして」
「パレスチナ人を虐殺し、パレスチナの地を占領し、植民地として支配しているからです。しかも核兵器を保有して、武力でアラブ諸国を脅しあげています。イスラエルの存在が諸悪の根源です」
この女性外交官は、きわめて真面目なのである。恐らく、学生時代はノンポリの優等生だったのだろう。外交官を志望するのだから、基本的に左翼に対する共感はないはずだ。
~略~

筆者は、珍しく強い口調で言った。

「イスラエルの対パレスチナ政策によって、日本にどのような不利益があるのか、具体的に説明して欲しい」
「………」

「君は日本の国益の観点から説明できないようなことを言っているのか」

「そうじゃありません。イスラエルを支持すると日本が国際的に孤立します」

「アメリカはイスラエルを支持しているけれど、国際的に孤立なんかしていないよ。ロシアのエリツィン政権の中枢も、イスラエルとはきわめて良好な関係だよ。ソ連時代の親パレスチナ政策をロシアは放棄したよ。それによって、ロシアが国際的に孤立したわけではない」
「………」

「いいか。日本の外交官は、日本国家だけを、日本国民だけを愛するんだ。

それがわれわれの職業的良心だ。

戦争でどこかの国が消えてしまうようなことがあっても、日本の国益に関係がなければ、黙っている。それが外交官という職業なんだ」》…。