OPECプラス、協調減産25年末まで 原油相場は下げ反応

OPECプラス、協調減産25年末まで 原油相場は下げ反応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR013US0R00C24A6000000/

『2024年6月2日 23:13 (2024年6月3日 8:07更新)

【ドバイ=福冨隼太郎】石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成するOPECプラスは2日、閣僚級会合を開き、年末までだった協調減産について2025年末までの延長を決めた。参加国で一致して減産を打ち出し、原油価格を下支えする姿勢を強めた。

OPECプラスは22年秋以降に協調減産を始めており、減産規模は日量366万バレルにのぼる。この減産は24年末まで続く予定だった。次回の閣僚級会合は12…

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『次回の閣僚級会合は12月1日に開く。発表では市場動向を踏まえて追加会合をいつでも開くとした。

サウジアラビアの国営通信によると、サウジなど有志8カ国が協調減産に加えて続けている自主減産も6月末から9月末まで延長する。その後は段階的に縮小する。

週明けの原油価格は弱含んでいる。米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は日本時間3日朝、前週末から0.4%安の1バレル76.66ドルで取引を始めた。10月以降に自主減産が段階的に縮小されるとの方針を受け、原油需給が緩む可能性が意識された。

OPECプラスのうちサウジやイラク、アラブ首長国連邦(UAE)などの有志8カ国は、協調減産に加えて24年1月から日量220万バレルの減産を続けている。当初3月末までだった減産を同月に6月末まで延長していた。今回の会合ではその再延長が焦点だった。

仮に自主減産が6月末で終了した場合、7月以降に供給過剰に転じる可能性があった。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は自主減産が終われば7〜9月に日量132万バレルの供給過剰になると試算していた。

市場では今回の会合でOPECプラスが6月末までの自主減産を延長するとの見方が強まっていた。実際には協調減産の延長にまで踏み込み、参加国が一致して原油価格の下支えに向けてより強い姿勢を示した。

ただ、減産期間が長引くほどに参加国の財政への影響は高まり、内部での不満が足並みの乱れにつながる可能性もある。

前回23年11月のOPECプラス閣僚級会合では、サウジが参加国全体による協調減産を目指したものの、アフリカ勢が反発した。有志による自主減産というかたちで体裁を保ったものの、アンゴラは同会合を最後にOPECを離脱した。

足元で原油価格はイスラエルとイランの緊張が高まった4月の年初来高値から1割程度下落して推移している。今回の決定が狙い通りに原油価格の下支えにつながるかは不透明な部分もある。

市場では中国経済の先行きの不透明さなどからエネルギー需要の緩みが意識されているためだ。国際エネルギー機関(IEA)は5月の市場リポートで、24年の23年比の石油需要の伸びを4月の前回予想から日量14万バレル引き下げた。

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小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
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ひとこと解説 今回の決定内容は、基本的には市場関係者にとって、「想定内」であり、「織り込み済み」というものであった。

もし、「サプライズ」があれば、市場の反応はまた違ったものになる可能性もあったように感じる。

4月のイラン・イスラエルの相互攻撃で地政学リスクが高まり、リスクプレミアムで原油価格が押し上げられたが、石油供給への影響がない、という認識が広がった結果、プレミアムは剥落していった。

今は、需給ファンダメンタルスで、やや弱含みの方向に向かっている。

OPECプラスは油価下支えの意思を改めて、市場に発信したことになる。ただし、OPECプラスの下支えの意思が固いことも市場は意識することになる。

2024年6月3日 8:55 』