中国国防相、台湾独立阻止へ「軍は断固とした行動とる」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM020EJ0S4A600C2000000/
『2024年6月2日 11:23 (2024年6月2日 20:50更新)
【シンガポール=田島如生】中国の董軍国防相は2日、シンガポールでのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で演説した。中国が領土の一部とみなす台湾の独立を阻止するため「人民解放軍は断固として行動をとる」と表明した。
台湾では5月20日、中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が「独立分裂勢力」と敵視する頼清徳(ライ・チンドォー)氏が総統に就任した。中国軍は23、24日に台湾を包囲する形で大規模な演習を…
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『中国軍は23、24日に台湾を包囲する形で大規模な演習を実施した。
董氏は「軍は祖国の統一を守るための強大な力をもつ」と主張した。「台湾を中国から分裂させようとする者は誰であれ粉々に打ち砕かれ、自らの破滅を招くだろう」と強調した。
台湾問題は中国の内政だと訴え、米国を念頭に「外部の勢力が干渉する権利はない」とクギを刺した。米国による台湾への武器売却は「実質的な台湾独立の助長であり、台湾を危険な状況へ導く」と警告した。
台湾問題を巡る質問への回答時間が10分を超え、司会者から発言を遮られる場面もあった。
台湾総統府の報道官は2日、「台湾の立場を曲解し、武力行使の脅しまでしている」と批判した。中国の軍事演習に関して「危険で無責任なやり方は現状を破壊するだけでなく、国際秩序に挑戦している」と指摘した。
董氏は中国がフィリピンと領有権を争う南シナ海問題にも触れた。米国によるフィリピンへの中距離ミサイル配備を「地域の安全と安定を著しく損なう」と非難した。「中国は挑発行為に自制を保ってきたが、これには限界がある」とも語った。
フィリピンが実効支配するアユンギン礁で対立激化を避けるために同国と取り決めを結んでいたと明かし、マルコス現政権が「一方的に破棄した」と批判した。同礁周辺での緊張はフィリピン側に非があると言明した。
ロシアによるウクライナ侵略を巡っては、中国が双方に対し武器を提供したことはないと説明した。中国が軍事転用可能な部品や技術をロシアに輸出し、事実上の軍事支援をしているとの米欧の指摘も否定した。
米中国防当局の交流の重要性も提起した。「両軍には相違点があるが、対立すべきではない」と述べ、意思疎通が必要だと呼びかけた。
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