IMF、アルゼンチンに8億ドル支出へ ミレイ政権を評価
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN210210R20C24A5000000/
※ 今日は、こんな所で…。
『2024年5月27日 19:02
【サンパウロ=水口二季】アルゼンチンの経済再建に向けた改革が進展を見せ始めた。国際通貨基金(IMF)は新政権での取り組みの成果が「期待以上」として、6月にも約8億ドル(約1250億円)の支援を承認することで合意した。緊縮財政を維持しつつも、高インフレに対応する難しい政策のかじ取りが今後も求められる。
IMFはこのほど、支援条件とする基準をアルゼンチンが全て満たしているとして約8億ドルの資金を提供…
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『IMFはこのほど、支援条件とする基準をアルゼンチンが全て満たしているとして約8億ドルの資金を提供すると発表した。6月にも理事会で承認される見通しだ。
アルゼンチンはIMF最大の債務国の一つだ。2022年には450億ドル(約7兆円)の債務再編で合意しており、アルゼンチンは定期的な調査を受けることを前提に、借換資金を受け取る取り決めになっている。
IMFはマクロ経済の回復が予想を上回るペースで進んでいるとして、23年12月に発足したミレイ政権の取り組みを支持。アルゼンチン経済は「今年後半から成長を始める」との予測を示した。
評価したのは、ミレイ大統領の「ショック療法」による経済再建策だ。就任直後には、非公式の為替相場との格差を縮めるため、自国通貨ペソの対ドル公式相場を約5割切り下げた。
他にも新規公共工事の停止や省庁の半減、公共交通機関への補助金の削減といった厳しい緊縮財政を進めてきた。
こうした取り組みの結果、1〜3月の財政収支は国内総生産(GDP)比で0.2%の黒字となった。四半期ベースの黒字は16年ぶりとして、ミレイ氏は「(目標に向けた)道のりの半分を越えた」と成果を強調した。
インフレの抑え込みも成果を出しているとIMFは評価する。4月の消費者物価指数は、前月比で8.8%の上昇にとどまった。23年12月の同25.5%増から4カ月連続で上昇率は縮小している。
中央銀行はインフレの抑制を理由に大幅な利下げを続けている。中銀は14日、政策金利を50%から40%に引き下げると決めた。ミレイ政権下では6度目の利下げとなる。
マクロ指標は改善する一方、緊縮策や長引くインフレにより国民の生活は厳しさを増す。アルゼンチンのトルクァト・ディ・テラ大学が政府統計から推定する貧困率は、24年1~3月は51.8%と23年末の約45%から悪化している。
光熱費や食料価格は1年間で6倍程度に上がり、国民の購買力は低下した。3月は物価が前年同期比287.9%上昇したのに対し、賃金上昇率は同200%にとどまった。
アルゼンチンの国民食である牛肉の1人当たりの消費量が過去30年間で最低の水準に落ち込む。デモやストライキも相次いでおり、国民の間では不満が募っている。
IMFは今後「財政再建の質を向上させることが重要」と指摘する。改革の負担が労働者層に偏らないために追加施策が必要だとした。ミレイ氏は5月末にも、税制や労働市場の改革に向けた法案の国会承認を目指す。当初案からは大幅に修正を迫られており、野党や国民の支持を取り付けられるかが課題となる。』