米株605ドル安、利下げ観測が再後退 利益確定売りも

米株605ドル安、利下げ観測が再後退 利益確定売りも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL2400E0U4A520C2000000/

『2024年5月24日 5:28 (2024年5月24日 7:39更新)

【ニューヨーク=三島大地】23日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比605ドル(1.5%)安の3万9065ドルで終えた。1日の下げ幅として2023年2月以来の大きさとなった。経済の底堅さを示す経済統計が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期が後退するとの見方が広がった。

S&P500種株価指数は0.7%安の5267、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も0.4%安の1万6736と、全面安となった。

S&Pグローバルが同日発表した5月の米国の購買担当者景気指数(PMI、速報値)が市場予想を上回った。サービス業の活動拡大がけん引し、2年1カ月ぶりの高水準を記録した。

同日公表された新規失業保険申請件数も市場予想を下回り、雇用市場の堅調さが確認された。堅調な米経済を背景にFRBが早期利下げに慎重になるとの見方から、金利先物市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までにFRBが利下げに踏み切る確率が約5割と前日の約6割から後退した。

金融政策の先行きを映す2年物国債利回りは一時4.95%と、前日比0.08%上昇した。高金利が長期化することへの懸念から、S&P500種の業種別では不動産や製造業が大きく下げた。

5月に入り上昇を続けていたハイテク銘柄にも売りが広がった。前日、好決算を発表したエヌビディアは9.3%高と逆行高となったが、インテルが4.3%安となったほか、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も3.1%下げた。資金繰りの悪化見通しが伝わったボーイングが7.6%安となったことも投資家心理の重荷になった。

米株相場が下落基調に転じたとの見方は少ない。ダウ平均は5月に入り3.3%高で推移している。17日には終値として史上初の4万ドルを記録するなど急ピッチで上昇してきた。ファクトセットによると1〜3月期を中心とする24年第1四半期のS&P500種の1株当たり利益(EPS)は、17日時点で前年同期比5.7%増と事前予想の3.4%増を上回った。

好調な企業業績を受け、UBSグローバル・リサーチは22日、S&P500種の予想株価を24年末に5500に引き上げた。米投資顧問会社インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏は23日の下落を「非常に好調な決算が出そろった後のちょっとした利益確定の動きに過ぎない」と話す。

ただ、決算シーズンを通過したことで「今、株価を上げる材料は何もない」(米ニューブリッジ・セキュリティーズのドナルド・セルキン氏)との声も上がる。FRBの利下げ開始時期を巡る市場の目線が定まるまで、株価は方向感の定まらない展開が続きそうだ。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

ダウ工業株30種平均は前日比▲605ドル78セントになったが、これは1年3カ月ぶりの下落幅。正確には23年2月21日(▲697.10ドル)以来である。

この日に売り材料になったのは、米S&Pグローバルが発表した2月の総合PMI速報値が50.2になり、8か月ぶりに好不況の分岐点である50を上回ったこと。FRBによる利上げ長期化につながるのではと警戒された。

PMIの上昇をけん引したのはサービス部門だった。「歴史は繰り返す」と言うが、同じ経済統計の予想比上振れで、同じようにFRBのタカ派化を警戒する金融市場の姿がある。

とはいえ、現在はFRBの利上げ局面が終わっており、次は利下げだという安心感がある。
2024年5月24日 7:46』