ミャンマー中銀「介入」も焼け石に水 ドル内需で物価高
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM25EYL0V20C24A4000000/
『2024年5月8日 4:00
軍事政権下のミャンマー中央銀行が通貨チャット安の抑え込みに苦闘している。
国内で紛争が広がり、安全資産として外貨の内需が膨らんでいるためだ。
チャットへの強制両替など統制一辺倒だった中銀は外貨売りの介入も織り交ぜ始めた。だが、焼け石に水で、物価高がさらなる社会不安を招きつつある。
ガソリン、日本より高く
「支出を減らすだけでは立ち行かない」。最大都市ヤンゴンのホテルに勤務する女性(31)は、共働きな…
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『ミャンマーではインフレが収まる気配はない。ヤンゴンのガソリン価格は過去最高水準の1リットル2900チャット(約215円)前後で日本よりも高い。コメやタマネギ、ニンニクは過去1年で5割以上、値上がりした。
世界銀行の2023年12月の発表によると、同年4月〜24年3月のインフレ率は20.1%と地域で群を抜く。
「水かけ祭り」に沸いた4月中旬のミャンマー正月の連休も食品や運輸の価格が急騰した。軍政当局は国営メディアを通じて値上がりを伝えたが、数値のベースは卸売価格で、消費者の実感はもっと重い。』
『通貨チャット7割下落
インフレの背景にあるのがチャット安だ。足元の実勢レートは1ドル=4000チャットに迫り、21年2月のクーデター時から7割近く下がった。22年8月末ごろの最安値圏と同等ながら、当時よりも軍政の焦りは強いだろう。統制緩和や外貨売りなど、市場へのアピールを一通り披露したうえでの下げ圧力だからだ。
「水かけ祭り」の連休は多くの商品が値上がりした(4月14日、ヤンゴン)=AP
中銀は24年に入って20回以上、外為市場や貿易事業者を対象に外貨売りの介入を実施した。大半が米ドルで、タイバーツや中国人民元も含む。
中銀はそれまで強制両替の導入や両替商の取り締まりといった強硬手段に傾倒し、市場での通貨の売買による介入に距離を置いていた。』