FRB、年内利下げ見通せず インフレ収束「進展なし」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01CDJ0R00C24A5000000/
『2024年5月2日 3:02 (2024年5月2日 7:04更新)
【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)は1日、米連邦公開市場委員会(FOMC)を開いて政策金利の据え置きを決めた。記者会見したパウエル議長は高インフレの収束が「進展していない」と認め、年内の利下げ開始についての言及を封印した。高金利政策はさらに長期化する見通しだ。
金利先物市場は会合前の時点で年内の利下げ見送りをすでに2割強見込んでいた。市場の一部は追加の利上げを示唆する可能性まで警…
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『多様な観点からニュースを考える
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小野亮
みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部 プリンシパル
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ひとこと解説 ①従来、利下げには「2%物価目標の進展についてさらに自信を深めたい」と言ってきたFRB。声明文で「進展が足りない」と明記したことは、記事通り、利下げが遠のいたことを意味しますが、「足りない」という文言には強い危機感が感じられます。
②また、雇用と物価のリスクバランスについても「均衡に向かっている」という現在進行形だったものが、「この一年で均衡に向かった」という現在完了形に。ディスインフレの停滞感が滲み出ています。
③QTの減速を決定。6月から米国債の削減ペースの上限が半分以上に縮小。「Higher for Longer」が予想される中で金融市場の流動性維持を急ぐ姿勢とみられます。
2024年5月2日 3:37いいね
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説FOMCの結果が利下げ後ずれ(年内の利下げ回数減少)を示唆するところまでは、市場は十分に織り込んでいた。
むしろ市場が警戒していたのは、金融政策スタンスの「仕切り直し」に伴い、追加利上げの可能性が増大することだった。
だが、パウエル議長の発言はハト派寄り。「次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低いと考えている」「どれだけ長く制約的な政策を続けるかに焦点をあてている」といった発言は、米債券・株式市場に安心感を与えるのに十分だった。
「利下げまでにどれくらいの時間がかかるかはわからない」「利下げする道もあれば、利下げしない道もあり、経済指標次第となる」とも議長は述べており、利下げなしもあり得る。
2024年5月2日 7:08
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滝田洋一
日本経済新聞社 客員編集委員
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ひとこと解説
①利下げ時期が遠のくことを織り込んでいた金融・株式市場にとって、QTの減速の発表はプレゼントかも。たとえ、資産圧縮を長く続けるためのスピード調整としてもです。
②米長期金利は小緩み、米国株は上昇へ。ドル・円相場も円安からやや円高気味に。パウエルFRB議長は会見で利上げ観測には水を差す。
③それにしても、円安の進行に対し国債買い入れの減額を示唆するかと見られていた日銀がお愛想なしだったのとは好対照。今回のFOMCの声明文は市場参加者の痒いところに手が届いた感じです。
④直近のインフレには冒頭でにらみを利かせつつ、発表文の半ばにさりげなくQTの減速をはさむあたりの芸。座布団一枚といったところです。
2024年5月2日 3:42 (2024年5月2日 5:20更新) 』