中国、ネット業者に秘密保護協力義務 「国家安全」徹底
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2906I0Z20C24A4000000/

『2024年4月30日 17:14
【北京=田島如生】中国で5月1日、改正国家秘密保護法が施行された。インターネット上で秘密が漏れた場合、ネット事業者に情報の削除や調査への協力を義務付ける。習近平(シー・ジンピン)国家主席が重視する「国家安全」の徹底につなげる。
同法の改正は2010年以来で6章65条からなる。柱はデジタル化を踏まえたネット上での国家秘密の保護と拡散防止の徹底だ。新聞や書籍、テレビ番組に加え、ネット情報の制作や公開…
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『国家秘密の範囲と秘匿性の程度を巡っては、国家保密局などの行政管理部門が単独の判断でも指定できるようになった。改正前は外交、公安、国家安全などその他の行政部門と合同で決めていた。
国家秘密に関わった政府職員らは離任、離職後に「秘密離脱期間」を設けた。その間は就業や出国を制限し、満了後も秘密保持義務を負う。
国家秘密保護に関する科学技術の研究や応用を奨励し、関連する知的財産を守る。秘密保護への中国共産党の指導を強化し、従来の安全保障に経済や科学技術、情報などを含めた「総体国家安全観」を堅持する。
中国の情報機関の国家安全省を束ねる陳一新・国家安全相は29日、党の幹部養成機関の機関紙である学習時報に寄稿した。「国家秘密の安全に対する堅固な防衛線を築く」と記し、反スパイ闘争の徹底を表明した。
習指導部は国家安全のための法整備を進めてきた。スパイ行為の定義を広げて摘発しやすくした改正反スパイ法を23年7月に施行した。国家安全当局の権限を強め、スパイ行為の疑いがあれば手荷物や電子機器も強制的に調べられるようにした。
香港では24年3月に国家安全条例を施行した。スパイ行為や国家秘密の窃取、国家への反逆行為、外国勢力の干渉を幅広く取り締まる。20年施行の香港国家安全維持法を補完する位置づけだ。』