テスラ、充電器部門を閉鎖 最大「標準規格」に揺らぎ

テスラ、充電器部門を閉鎖 最大「標準規格」に揺らぎ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30DB10Q4A430C2000000/

『2024年5月1日 5:19 (2024年5月1日 6:35更新)

【ニューヨーク=川上梓】米テスラが急速充電器を担当する部門を事実上閉鎖し、担当幹部と数百人の従業員を解雇したことがわかった。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)が30日報じた。

同社の急速充電器は世界最大級のインフラ網を持ち、独自の充電規格「NACS」は米国の標準規格にも採用されている。

事業は今後も続けるが、新規拠点の拡大は遅らせる見通しだ。テスラの規格を採用する他の自動車メーカーのEV戦略や、米…

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『NACSは米国で標準規格となっている。米ゼネラル・モーターズ(GM)など欧米メーカーをはじめ、トヨタ自動車やホンダ、日産自動車など日本勢も北米でNACSの採用を広げてきた。事業の今後の動向によっては日本メーカーのEV戦略に影響を与える可能性もある。』
『テスラは今後の充電器事業の詳細を明らかにしていない。世界最大の充電インフラ網を持つテスラが今後、拠点の拡大ペースを抑制することになれば、米国政府が進めるEV充電網の整備にも影響を与える。

米政府はEVと電池の自国生産を後押しし、充電インフラにも補助金を拠出してきた。EV充電器は30年までに50万基を設ける目標を掲げる。テスラの北米の急速充電器のシェアは6割に上る。北米には、テスラとは別の充電規格である「コンボ(CCS)」もあるが、23年6月に米自動車技術者協会(SAE)がテスラ式を急速充電器の標準規格に採用すると発表したことで、テスラ式が優勢になり、事実上の標準を握っていた。

テスラは1〜3月期の決算が4年ぶりに減収減益となった。4月に世界の全従業員の10%以上を削減する方針を発表し、電池開発などを手掛ける幹部らが退職した。その後も幹部や従業員の退職が続いており、経営体制の迷走が続いている。

急速充電器を通じた課金による収益や、NACSの標準規格化を通じた充電網の広がり、充電データの活用などは、テスラの今後の成長の柱と位置づけられてきた。

こうしたデータ収入や再生可能エネルギー分野などEV販売以外の収入は1~3月期のテスラ全体の売上高の2割程度を占めた。EV普及が遅れる中、大きな戦略転換を進めていくとみられる。

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