中国の天瑞集団セメントの株価が、15分間で99%下落。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/33931612.html
『 香港株式市場で上場していた中国の天瑞集団セメントの株価が、取引終了間際の15分間で、突然99%暴落し、5香港ドルから0.48香港ドルまで落ちました。
株取引をしている方なら、「サーキットブレーカーは、発動しないのか」とすぐに頭に浮かぶでしょう。
多くの市場では、株価の変動幅を規制して、投資家の頭を冷やす期間を強制的に設ける為、サーキットブレーカーという仕組みが取り入れられています。
つまり、暴騰した場合は買えなくし、暴落した場合には売れなくする、株価の1日の変動幅を、制限するシステムが組まれています。良く、ストップ高とか、ストップ安と言われるのが、それです。
しかし、香港株式市場は、このシステムが採用されていません。
なので、暴落も暴騰も制限無しです。
この暴落で、同社の株価は2800億円が吹っ飛び、ほぼ無価値になりました。
この企業は、創業者夫婦が株式の70%を所有している、典型的な同族経営の企業で、売り逃げしたのではないかという噂が出ていますが、原因は調査中という事で、確かな事は不明です。
この暴落に引き摺られて、浩森金融科技という、設備投資の資金貸出を専門にしている金融会社の株も、91%も暴落しています。
天瑞株が突如大幅に下落したことは、株式保有が一部に大きく集中する中国企業および、株式を債務の担保にするような資金調達慣行に従事する企業に関連するリスクをあらためて浮き彫りにしています。
また、中国の前例のない住宅危機を受け、国内の不動産開発業者や建設会社のストレスが高まっていることも背景にあります。
つまり、建設業の先行きが暗い上、所有している株式を担保にして、借金をする体質が、金融リスクにつながっているという事です。
株なので、株価によって資産価値は変動するので、担保にする対象としては不安定極まりないのですが、借りたお金というのは、その金額を確実に返済する必要があるので、企業の信用不安が高まると、こういう事も起こります。
日本のソフトバンクが、あれだけ資金調達できるのも、創業期に買っていた中国のアリババ株が何百倍にも高騰して、それを担保に借金をしていたからで、アリババの業績悪化と共に、担保価値も下がっている為、色々と厳しい局面になっています。
価値が変動しないモノは存在しませんが、土地などと違って、株価の変動は不安定なので、担保にして借金していると、企業の財務としては、かなり脆弱になります。
この事から判りますが、「株価が高いから景気が良い」というのは、単純に言えない話という事です。
もちろん、景気が良く無いと株価が上がりようもないのですが、株価というのは人気投票に過ぎないので、業績と関係無く価値が変動する部分が大きいです。
特に企業の内部情報が開示されず、平気で嘘の決算を発表する中国企業の場合、株価の根拠というのは、限りなく不透明で、噂程度で左右されます。
資本主義の徒花と言うか、経済ニュースで語られる程、現実を映していないという事です。
なので、李克強指数という、誤魔化しが難しい指標で、経済を見るのが大事になります。
・銀行の貸出高。
・貨物の輸送量。
・消費電力量
これらは、数字を操作するのが難しく、また、直接の経済指標ではないので、そもそも数字をお化粧しようという人もいないので、正確な数値が出てきます。
これによって、本当の経済の良し悪しが判断できるとしたのが、故・李克強元首相の業績です。
この基準で考えると、株価が史上最高値付近を指している、アメリカの経済も良く無いのですよ。
特に、貨物輸送量は、数十年単位で右肩下がりになっていて、アメリカの製造業が、衰退しているのは否定しがたい現実です。
つまり、空虚な繁栄と言えなくも無いのですよね。
これが、当たっているかどうかは、10年もすれば判明するかと。
一つ言えるのは、原因は違いますが、中国もアメリカも、莫大な借金を土台に今の経済を築いています。返せると思われているうちは、表面化しませんが、返済に問題が出てくると、一気に崩れる砂上の楼閣という事です。
今回の件は、一企業に起きた現象ですが、今の世界経済って、冷めた目でみると、似たようなものです。』