選挙控えるインド、製造業PMIが過去16年の最高水準に

選挙控えるインド、製造業PMIが過去16年の最高水準に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0839P0Y4A400C2000000/

『2024年4月12日 4:00

インドの生産活動は3月、過去16年来の最高水準となった。労働市場にとって追い風となり、4月から開催予定の総選挙を控えるインドのモディ首相にとって望ましい経済状況だ。

米S&Pグローバルと英HSBCが発表したインド製造業PMI(購買担当者景気指数)は2月の56.9から3月に59.1に上昇した。製造業者は在庫を積み増して生産を拡大し、国内と欧米など海外の需要増に応えている。

4月2日発表のリ

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『4月2日発表のリポートでは「成長拡大は消費財・中間財・投資財分野に及んでいる」と分析。投資財は新規受注も生産も最も大きく伸びているという。

「購買量は2023年半ば以降で最も急速に伸びており、過去13年で最大規模となっている。企業は販売増を見込んで、先行して在庫確保に動いている」(同リポート)

この状況は3期目を目指すモディ首相にとって有利に働く。モディ政権はインドを製造業の拠点にするため一連の政策を打ち出してきた。企業が従来生産拠点として強く依存してきた中国から供給網の多角化を図ろうとする動きを背景に、政策が効果を発揮すると期待している。

インド政府は電気自動車や家電、半導体、医薬品など幅広い分野の製造業誘致に向け、巨額の優遇策や減税を打ち出している。政府は生産設備投資への意欲を促すため、道路建設や新空港開設など国内インフラ整備にも力を注いでいる。

インド経済は世界の主要経済大国の中で高い成長率を誇っている。国内総生産(GDP)は23年4〜12月の3四半期に8%を超える成長率を達成し、政府は24年1〜3月期も同水準の成長を予想している。

比較すると、中国経済は不動産分野の低迷が足かせとなり、23年の成長率は5.2%にとどまり、24年の成長率も約5%と予想されている。中国の生産活動は3月、過去半年で初めてプラス成長を記録した。

生産活動と雇用の拡大は4月に始まる選挙を迎えるモディ首相にとって好材料だが、リポートは製造コストの上昇も強調している。

「歴史的に見ればまだ控え目な水準だが、コスト上昇圧力は過去5年で最も高まっている」と報告し、企業が綿や鉄・鋼材、機械工具、プラスチックの購入で支払う価格は上昇していると指摘した。

だが、リポートでは企業はコスト上昇分を顧客に転嫁するのに消極的だと分析している。「製造業者は顧客維持を重視しており、過去1年の値上げを最小限にとどめている」

(ベンガルール=サヤン・チャクラボーティ)』

(日経ヴェリタス https://www.nikkei.com/theme/?dw=20062208 )