米大統領、南シナ海の「危険行動」懸念伝達 中国主席に

米大統領、南シナ海の「危険行動」懸念伝達 中国主席に
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『2024年4月3日 0:30 (2024年4月3日 1:19更新)

【ワシントン=坂口幸裕、北京=田島如生】バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2日、電話協議した。バイデン氏は南シナ海での法の支配と航行の自由の重要性を唱え、フィリピン周辺での中国船による「危険な行動」に懸念を伝えた。

中国国営新華社によると、習氏は米中両国について「衝突や対立をしてはならず、互いに尊重すべきだ。関係の安定を保つべきだ」と述べた。バイデン氏は「中国と対立するつ…

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『中国国営新華社によると、習氏は米中両国について「衝突や対立をしてはならず、互いに尊重すべきだ。関係の安定を保つべきだ」と述べた。バイデン氏は「中国と対立するつもりはないと改めて申し上げる」と語った。

米中首脳が話すのは2023年11月に米カリフォルニア州で対面会談して以来になる。米政府高官は記者団に、競争関係にある米中が「緊張を管理し、誤解に対処し、偶発的な衝突を防ぐための対話が必要だ」と説明。数週間以内にブリンケン米国務長官が訪中する。

南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島のアユンギン礁近くでは中国船がフィリピンの船舶に衝突したり、放水銃を使ったりして緊張が高まっている。バイデン氏は地域を不安定化させる中国の行動をやめるよう促した。米高官は11日の日米比の3カ国首脳会談でも議題になると明かした。

米国とフィリピンは相互防衛条約を結んでいる。中国によるフィリピンへの攻撃とみなせば防衛義務が生じるため、米国は「この海域における中国の行動が意図しない結果につながりかねない」と憂慮。中国を抑止するため、フィリピン防衛への関与を強めている。

台湾情勢も話し合った。バイデン氏は中国本土と台湾が不可分だという中国の立場に異を唱えない一方、米国が台湾の安全保障に関与する「一つの中国」政策を維持すると表明。台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて訴えた。

23年11月の首脳会談で両軍高官の対話再開で合意して以降は米中の軍同士の意思疎通が活発になっている。近く国防相が電話協議するほか、週内に海洋の安全保障政策を議論する米中の実務者が米ハワイ州ホノルルで会合を開く。

ウクライナ情勢も協議した。バイデン氏は中国がロシアの防衛産業再建を支援していると懸念を伝達した。周辺国の脅威となっているロシアの防衛力強化を支える中国の行動が「欧州の安全保障に長期的な影響を及ぼす」(米高官)おそれがある。

米国では11月に大統領選を控える。バイデン氏は選挙介入しないよう改めて中国側にクギを刺したもようだ。新疆ウイグル自治区やチベットでの人権侵害についても提起したとみられる。

中東情勢でも意見を交わす。米政府はイスラエルとイスラム組織ハマスによる衝突が中東の他地域に拡大しないようイランに働きかけるべきだと中国に要求してきた。イランの挑発的な行動の抑止へ影響力を行使するよう改めて求める可能性がある。

米中首脳は23年11月に合意した合成麻薬「フェンタニル」の規制を巡っても討議した。原料となる化学物質の主要製造国は中国で、バイデン氏は具体的な行動に移す必要性を唱える。人工知能(AI)に関する政府間対話を近く実施する方針も確認した。

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