「トヨタに謝らなければ」 HVが英国トップ3独占、モルスタのアナリストも間違い認める真っ青現実

「トヨタに謝らなければ」 HVが英国トップ3独占、モルスタのアナリストも間違い認める真っ青現実
https://news.yahoo.co.jp/articles/f9f847fb0522b39e854a094460ba42e231804b65?page=1

 ※ 選択するのは、「購入者」だ…。

 ※ トヨタも、淡々粛々と、「マーケットの動向」を読んだに過ぎんだろう…。

 ※ 巨艦トヨタは、決して「賭けたり」はしない…。

 ※ 浮かれていたのは、アナリスト、コンサル、マーケター、マスコミだけの話しだろう…。

『3/31(日) 7:11配信

HVが支持される“EV先進国”

2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)

 先日、英国で人気の電動車が発表された。

 運転免許庁(DVLA)と運輸省の2023年1月から9月までの新車登録データを分析した保険ブローカー「ハウデン」によるものだ。売り上げトップ5を見てみると、“電気自動車(EV)先進国”としては少々意外な結果となった。

【画像】えっ……! これが先進国の「HV比率」です(計10枚)

1位:トヨタ ヤリス(ハイブリッド車〈HV〉) 51万8500台

2位:トヨタ プリウス(HV) 34万3507台

3位:トヨタ C-HR(HV) 29万6209台

4位:キア ニロ(HV) 28万8130台

5位:テスラ モデル3(EV) 27万3622台

(2024年3月22日付、英『エクスプレス』)

1位から4位がHVだったのだ。英国では、2035年からガソリン車とディーゼル車に加え、HV、プラグインハイブリッド車(PHV)の新車販売が禁止される。

 国策により“EV先進国”として進んできた英国だが、近頃はその勢いに陰りが見られていることがここにも表れた。

・公共充電インフラが十分でない
・EVの価格が高止まりである

ことが理由だ。

トヨタ、HVで好調維持

英国の2024年1月の新車市場全体(画像:自動車製造業者および貿易業者協会)

 英国で電動車売り上げトップ3を占めたトヨタは、以前からHVに投資してきた。投資家や環境保護団体に何といわれようが、EVは価格が高いので消費者が購入をためらうと考え、消費者にとって

「現実的なソリューション」

であるHVに注力してきた。トヨタの豊田章男会長は、

「EVのシェアは30%でピークを迎え、残りは水素エンジン車と内燃機関車が占めるだろう」

と2024年1月にも発言している。

 HVの販売台数は2022年には260万台だったが、2023年は340~350万台となった。1年のうちに世界中でハイブリッドの需要が100万台近く増加したことになる。第3四半期のHVの販売数は

「前年同期比47%増」

の95万1000台となった。2025年頃までに

「500万台に達する可能性が高い」

と宮崎洋一副社長最高財務責任者(CFO)は話す。

 同社は3月期の営業利益見通しを4兆5000億円から過去最高の4兆9000億円に上方修正した。そこには、(フル)HVの収益性の高さも影響している。』

『消費者の声、トヨタの選択

フィナンシャル・タイムズの記事「トヨタがHVに賭けたのは最初から正しかったのか」(画像:フィナンシャル・タイムズ)

 2024年1~2月の英国の新車登録では、

・EV:15.8%
・PHV:7.9%
・HV:13.0%

のシェアだった(SMMT英自動車工業会)。

 PHVはバッテリーが大きく価格が高いが、コンセントで充電ができ、電気だけでも数十km走行が可能である。HVは家庭で充電ができないが、車体の価格が安く、燃費がいい。

 英国の経済専門日刊紙であるフィナンシャル・タイムズは、

「トヨタがHVに賭けたのは最初から正しかったのか」

と題した記事を掲載した(2024年2月26日)。

そこには、モルガン・スタンレーのアナリストであるアダム・ジョナス氏(同社マネージング・ディレクターとしてグローバル・オート&シェアード・モビリティ・リサーチをけん引)は、政府のアグレッシブな規制と消費者の好みを根拠に、HV市場がすぐに廃れるとしていたが、2024年2月になって

「トヨタに謝らなければならない」

と自身の予測の誤りを認めたとある。たしかに、EVが買えるかどうかは別として、CO2を減らすHVよりも

「ゼロに近いEVこそ新しい、かっこいい」

という空気があったように思う。米自動車購入者向け情報サイトエドマンズ(Edmunds)のインサイト部門の責任者、ジェシカ・コールドウェル氏も、消費者はHVが

「セクシーともクールとも感じなかった」

とする。

 トヨタがHVを「CO2削減」「内燃エンジンの終焉(しゅうえん)を引き延ばす」という「いいとこ取り」と捉えていたのに対し、消費者はHVを「中途半端」と感じていたのかもしれない。

方向転換する他社

トヨタUKのウェブサイト(画像:トヨタ自動車)

 実際、多くのメーカーもEVを重視していた。

 ゼネラル・モーターズは2024年1月、ほとんど製造していなかったPHVに取り組んでいくことを発表した。消費者がフル電力のEVを迎えるのに予想以上の時間がかかっている事実を認めたからである。

 フォードの場合は、HVを

「暫定的な技術」

という認識で生産していたが、2024年の販売台数は、40%増で、2023年の2倍のペースになると発表した。フォードのジム・ファーレイ最高経営責任者(CEO)は2024年2月、投資家に向けて以下のように語った。

「フォードのデータから、多くのカスタマーにとってEVがはっきりとした到達地であることはわかっています。ですが、私たちが18か月前に予想していたよりも時間がかかりそうです」

 それが「いつ」なのかについて、フィナンシャル・タイムズは、

「より通勤距離が長く、ガソリンエンジンに強い愛着を抱く米国が、HVの寿命を決める主戦場になりそうだ」

としている。

 政権によって影響を受ける部分があるが、HV人気の高まりはある。

 ロサンゼルス郊外に位置するロンゴ・トヨタ・ディーラーのダグ・エロー社長は、2023年の売り上げのうち、HVは42%を占めたという。2019年から2倍以上増加している。

「2024年は50%を軽く超えるだろう」

という。最初はEVを検討しても、

「結局はHVを選ぶ」

客が多い。価格が安く、どこで充電するかという問題を気にしなくて済むからだ。

 記事は、

「いずれEVを所有するのは簡単になるだろうが、まだ時期ではない」

というエロー社長の言葉で締めくくられる。ハイブリッド好調により、トヨタの株価は過去12か月で80%以上も上昇した。

「トヨタがHVに賭けたのは最初から正しかったのか」

は、少なくともしばらくは正しいといえるだろう。

鳴海汐(日英比較ライター)』