SF小説第2弾 津村記久子「サラと気難しい人間たち」
「テクノ新世」コラボ小説まとめ読み
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD133W40T10C24A3000000/

『2024年3月21日 5:00
本紙1面連載「テクノ新世」は現代の先端テクノロジーの光と影をルポしてきた。連載を読んだ作家がSF小説を書き下ろすコラボレーション企画の第2弾として、津村記久子氏の「サラと気難しい人間たち」を連載する。
主人公の「私」はオンラインで「上質な雑談」を提供する「トークアテンダント」を仕事としている。一癖も二癖もある客たちの応対に疲れきったとき、「私」と交代してくれるのが人工知能(AI)のサラだ。好き勝手にふるまう客にもそつなく応じるサラに救われる日々だったが――。感情を持たないAIを描きながら、機械に代替できない人間の価値をアイロニカルに問う。
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第1話
「よそ見すんなよ、金もらってるんだろあんた」。もう3時間も居座っている常連の顧客Nは、疲れで上の空の「私」に容赦がない。「交替しましょうか?」。ギブアップ寸前の「私」の様子を見て、サラが助け舟を出してきた。
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「テクノ新世」コラボ小説 津村記久子「サラと気難しい人間たち」(1)
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第2話
横暴な顧客Nが不快な質問をしてきたが、サラと「私」は力を合わせて何とかきょうも乗り切れた。なぜ顧客Nはいつも私を指名するのだろうと思う「私」に、サラは鋭い人間観察を披露する。
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「テクノ新世」コラボ小説 津村記久子「サラと気難しい人間たち」(2)
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第3話
「〈人〉と〈人〉の上質な雑談」をうたうオンライン雑談サービスでは、トークアテンダントがAIを使うのはNG。だが感情労働に疲弊した「私」はサラを手放せない。きょうの顧客Rは嫌みで詮索好きな年配の女性だ。
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「テクノ新世」コラボ小説 津村記久子「サラと気難しい人間たち」(3)
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第4話
顧客Rの話がだんだん説教めいてきたので、「私」はサラに交替してもらう。疲れ知らずで完璧な客あしらいをしてみせるサラの様子を見ながら、なぜ人間がトークアテンダントを務めなくてはならないのだろうと自問する「私」。
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「テクノ新世」コラボ小説 津村記久子「サラと気難しい人間たち」(4)
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第5話
きょうは無難な会話ができる顧客Cが相手。話が弾んで、サラも交えて3人で雑談を楽しんだ。ほっとしたのもつかの間、夕方になって顧客Rから呼び出しがかかる。出たくなかったのでサラを使おうかと思ったが、呼びかけても返事がない。
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「テクノ新世」コラボ小説 津村記久子「サラと気難しい人間たち」(5)
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第6話
疲れた頭で顧客Rに応対していると、今度は顧客Nからも呼び出しが。サラの助けが得られない中、2人の顧客に追い詰められた「私」はとうとう力尽きてしまい――。
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「テクノ新世」コラボ小説 津村記久子「サラと気難しい人間たち」(6)
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津村記久子氏「人間のことを書いている」
作者の津村記久子氏は本紙連載「テクノ新世」を読んで「サラと気難しい人間たち」のアイデアを膨らませた。「この作品はロボットのことを書いているようで、人間のことを書いている小説です」と話す。
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津村記久子氏インタビュー AIが書けない小説を書くには
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