インドネシア、木工製品にEU規制の圧力 新市場を開拓

インドネシア、木工製品にEU規制の圧力 新市場を開拓
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM256O60V20C24A3000000/

『2024年3月28日 13:30

【ジャカルタ=柴田奈々】インドネシアで家具などを作る木工製品メーカーがアジアやアフリカで新たな市場の開拓を目指している。

主要輸出先だった欧州連合(EU)で、森林保護を目的とした新規制の導入準備が進んでいるからだ。規制はパーム油やコーヒーなど他の主力産品にも影響するため、東南アジア各国は強く反発している。

「以前はドイツなど欧州に輸出していたが、今はしていない。規制強化のためだ」。インドネシア・ジ…

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『インドネシアの木工製品メーカーが戦略転換を余儀なくされている理由の一つが、EUの森林破壊防止規則だ。同規則は輸入業者に対して、商品が森林の破壊を招くものではないことを証明する報告書を求める。EUで製品を販売する業者は、零細企業などを除き、2024年後半までに同規則を順守する必要がある。』

『こうしたなかインドネシア家具・手工芸産業協会(HIMKI)は、業界各社に向け、新しい市場を積極的に開拓するよう呼びかけている。例えばインドは住宅やオフィスの建築によって家具需要の拡大が続くとみている。エジプトなどのアフリカ諸国や東南アジア諸国連合(ASEAN)域内も顧客基盤の拡大が期待できるという。

HIMKIによると、2023年7〜9月期の同産業の輸出額は18億ドル(約2700億円)で、前年同期比28%減少した。HIMKIは世界的な地政学リスクの拡大とインフレが主因とみているが、EUの規制強化も相まって、大きな課題に直面している。』

『EUの森林破壊防止規則は、木工製品以外の産業も揺さぶる。パーム油やコーヒー、ココアといった商品も対象となるためだ。インドネシア政府は大豆や天然ゴムなども含め、1500万〜1700万件の小規模農家に影響が出ると見積もっている。同国のほか、パーム油の一大生産国であるマレーシアの首脳も大きな影響が及ぶと訴えている。』

『東南アジアの環境問題には厳しい目が向けられている。環境保護団体グリーンピースによると、インドネシアの熱帯雨林は過去半世紀の間に、ドイツ国土の2倍にあたる7400万ヘクタール以上が伐採されたり、焼き払われたりした。動植物の生息環境が脅かされていると警鐘を鳴らす。

もっともインドネシアも対策に取り組んできた。「木材合法性証明システム(SVLK)」といった仕組みだ。ただ国際的な認知度は低い。今後は欧州など他の地域で導入される規制に、自国の保証制度を組み込む協定締結に向けた努力などが必要になりそうだ。 』