独政府、ガスパイプライン会社を国営化 水素転換に布石

独政府、ガスパイプライン会社を国営化 水素転換に布石
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『2024年3月27日 3:36

【フランクフルト=林英樹】ドイツ政府は、国営エネルギー大手SEFEを通じ、自国の天然ガスパイプライン運営大手を国営化することを決めた。SEFEが26日、ガスパイプラインを運営するヴィガの株式50.02%を買い取り、全額出資子会社にすると公表した。パイプラインを国営化しクリーンエネルギーである水素利用への転換を進める。

SEFEはすでにヴィガの株式の49.98%を保有していた。今回、残りの50.02%を民間企業である独ウィンターシャル・デアから買い取る。ヴィガを完全子会社化し、これにより国営化する。

SEFEはセキュアリング・エナジー・フォー・ヨーロッパの略で、前身はロシア国営天然ガス大手ガスプロムの独子会社、ガスプロム・ゲルマニアだった。ロシアのウクライナへの全面侵攻後、ガスプロムが独事業から撤退したため、独連邦ネットワーク庁が2022年4月以降、管理下に置き、同年11月に独政府が国営化していた。

ヴィガは独国内を中心に延べ4150キロメートルのガスパイプラインを運営する。一部はドイツとロシアを結ぶ、ガスプロム保有の海底パイプライン「ノルドストリーム」と接続している。22年9月の同ラインの爆破以降、ヴィガのパイプラインは他国から輸入する液化天然ガス(LNG)の陸揚げに使われている。

ヴィガの株式49.98%を保有するウィンターシャルは独化学大手BASFの子会社。ロシア事業など非中核事業の切り離しを進めており、この一環でSEFEにヴィガ株を売却する。欧州委員会による独占禁止法の審査をへて、24年夏までの国営化完了を目指す。

経済安全保障の観点から、ドイツ政府はエネルギー資産の国家管理を強化している。SEFEだけでなく、ノルドストリームからの供給が絶たれ採算悪化に陥ったエネルギー大手ユニパーも国営化している。

今回の国営化には、クリーンエネルギーへの転換を進める狙いがある。ドイツ政府は23年7月、3年ぶりに水素戦略を改定し、30年までに独国内で1800キロメートルの水素パイプラインを整備する計画を盛り込んだ。この目標に向け、ヴィガが保有するガスパイプラインやガス貯蔵設備を、水素が利用できるように改修する。

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