プラボウォ氏、米中から実利狙う 安保は米国重視か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM13BU90T10C24A3000000/


『2024年3月26日 5:00
インドネシアで10年ぶりに大統領が交代する。東南アジアの有力新興国のかじ取りを新たに担うのは、元国軍幹部のプラボウォ国防相だ。インド太平洋地域で覇権を争う米中双方から実利を得て、経済成長につなげる絵を描く。
「インドネシアを繁栄させるために共に歩もう」。プラボウォ氏は当選が確定した20日、記者会見でこう述べ、目標とする2045年までの先進国入りへの決意を示した。
世界4位の約2億7000万人の人…
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『世界4位の約2億7000万人の人口を抱える同国は、インド太平洋の海上交通路(シーレーン)に位置し地政学的な重要度も高い。米中双方が自らの陣営に引き込もうとプラボウォ氏との関係構築に動く。』
『「あなたと緊密な関係を築きたい」。バイデン米大統領は22日、プラボウォ氏に祝意を伝える電話のなかで、インド太平洋地域の安定を巡り「両国は共通の責任がある」と強調した。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席も20日、プラボウォ氏に祝電を送り、「両国で運命共同体をつくり、さらに大きな成果をあげることを期待する」と呼び掛けた。』
『プラボウォ氏は「全ての勢力との良好な関係は国益につながる」と語り、中立外交を掲げてきた。米中を含む各国から投資を呼び込むとともに、地政学リスクを低減する狙いからだ。』
『もっとも、同じく中立外交を掲げたジョコ政権下では、経済を中心に中国依存が強まった。23年の貿易額で中国は最大の約30%を占めた。ジョコ氏就任前の13年(18%)から拡大した。
ジョコ氏は任期中に7回訪中したのに対し、訪米は4回にとどまった。「ジョコ政権時代には外交で守るべき国益の定義が極めて経済的なものになった」(九州大学の相沢伸広准教授)』
『国益の定義は変わる可能性がある。プラボウォ氏はジョコ路線の継承を掲げつつ、安全保障の強化も訴えてきた。念頭にあるのが中国だ。南シナ海のナトゥナ諸島周辺で中国と資源開発を巡る対立を抱える。
プラボウォ氏は1月の討論会で「南シナ海の状況は強力な防衛力が必要なことを示している」と言及。国防相としては米国と連携を強化し、F15戦闘機の購入をまとめた。米国との軍事演習も22年から日豪などが参加する形に発展させた。』
『シンガポール南洋理工大学の古賀慶准教授は「プラボウォ政権では、経済面で中国との関係を維持しつつ、防衛面では米国やその同盟国との関係を重視していく」とみる。』
『対米関係でカギを握るのが、強権的なイメージを払拭できるかだ。プラボウォ氏はスハルト独裁政権下での国軍幹部時代に人権侵害に関与した疑いがある。同政権崩壊後は米国から入国を一時禁止された。
米国務省のパテル副報道官は20日、「(人権問題で)懸念があれば、率直に伝える」と語った。
「民主主義は非常に疲れ、コストがかかる」。プラボウォ氏は3月上旬の講演でこう指摘し「多くの改善すべき余地がある」と語った。「改善」が意味するのは健全な方向なのか。国内外が注視している。
(ジャカルタ=押切智義)』