米長官、LNG新規輸出許可の凍結「1年後には解除」

米長官、LNG新規輸出許可の凍結「1年後には解除」
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『【ヒューストン=花房良祐】エネルギー業界の国際会議「CERAWEEK」が18日、米南部テキサス州ヒューストンで開催され、石油会社や各国政府の要人が講演した。米エネルギー省のグランホルム長官は、液化天然ガス(LNG)輸出の新規許可凍結を巡り「1年後には解除されている」との見通しを示した。

バイデン政権は1月、LNGの新規輸出許可を凍結すると発表した。LNG生産の地球温暖化などへの影響を精査するためだとしているが、消費地の日本や欧州では懸念の声があがっていた。

グランホルム氏は18日、「来年の今ごろには(凍結は)バックミラーに映っている」と話し、凍結が一時的なものだと強調した。日欧の懸念に配慮を示した。

エネルギー業界では2010年代後半から2020年ごろにかけ、脱炭素に向けた流れが加速した。ただ、22年にロシアがウクライナに侵攻し、エネルギーの安定供給の重要性が再認識され、脱炭素を巡る議論は振り子のように揺れている。

国有石油サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は同日、「実際の世界ではエネルギー転換の戦略は失敗している」と話した。化石燃料の生産・消費を抑制するような政策を批判した。「石油需要のピークは当分ない」とも主張し、コストと需要を見据えた現実的な対応を促した。

18日、米ヒューストンで講演する国有石油サウジアラムコのアミン・ナセル氏(S&Pグローバル提供)

米国の石油業界では、大手が中堅をのみ込む大型買収が相次ぐ。パイオニア・ナチュラル・リソーシズを約600億ドル(約9兆円)で買収することで合意したエクソンモービルのダレン・ウッズCEOは「買収で原油の生産効率が高まる」と述べた。「(シェールの)掘削技術はまだ進展の余地が大きい」としてシェール事業も強化する。

石油メジャーは事業の「選択と集中」を進める構えだ。英シェルのワエル・サワンCEOは「(シェルは)太陽光発電が得意分野ではない」と言及した。同社は再生可能エネルギーに注力していた時期もあったが、「一度に多くのことをやり過ぎた」と方針を転換した。LNGなど強みとする分野に集中する。

アジアの新興国では経済成長によりエネルギー需要が伸びており、脱炭素に向けた課題は多い。保坂伸・経済産業審議官は「アジアは欧州のように一直線にカーボンニュートラルを達成できない」と話し、地域別の特色を踏まえた行程表が必要だと指摘した。

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