中国恒大に罰金870億円 売上高11.7兆円の虚偽記載で

中国恒大に罰金870億円 売上高11.7兆円の虚偽記載で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM18C4Z0Y4A310C2000000/

『【上海=土居倫之】経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団は18日、中国証券監督管理委員会から計5640億元(約11兆7000億円)の売上高の虚偽記載などで罰金約41億7500万元(約870億円)の処分を科されると発表した。創業者の許家印氏は終身にわたり、証券市場に関連する業務に就くことを禁じられる。

恒大の主要事業会社で社債の発行主体である恒大地産集団が18日発表した。発表によると、恒大は売上高を前倒しで計上するなどの方法で2019、20年決算に虚偽を記載した。

19年は当期の売上高の約50%に相当する2139億元、20年は同約78%に相当する3501億元をそれぞれ水増ししたという。これによって純利益も実態よりも大幅に多い金額を計上した。
こうした虚偽記載をもとに不正に社債を発行した疑いがあるという。

証券監督管理委員会は「恒大の各業務を全面管理し、業績の水増しを指示した」と許氏の責任を全面的に認めた。恒大には計41億7500万元、許氏には4700万元、夏海鈞・元最高経営責任者(CEO)には1500万元の罰金処分をそれぞれ科す。また許氏と夏氏には終身にわたり、上場・非上場企業の取締役や高級管理職に就くなど証券市場に関連する業務を禁じる。

恒大は23年、許氏が中国当局による拘束や逮捕を意味する「強制措置」を執られたと発表している。

中国の倪虹・住宅都市農村建設相は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)期間中の記者会見で「重大な債務超過に陥り経営が困難となった企業は、破産すべきものは破産し、債務再編すべきものは再編すべきだ」と述べた。経営状態が深刻な不動産企業に今後厳しい対応を取る方針を示唆している。

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察

遅すぎるといわざるを得ない。証券監督当局はそれを見抜けなかったとすれば、それはそれで大問題である。見抜いてもっと早く処分しなかったのなら、なぜ?すでに債務超過が判明して、香港裁判所から破産命令を下された会社に、罰金を課すことを言い渡す唯一の意味は、大陸でも、恒大集団を政府が救済しないと決めたことであろう。
2024年3月19日 6:50 』