岸田流「官製春闘」で価格転嫁 賃上げ、再選戦略に直結
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA118L70R10C24A3000000/
『2024年3月13日 5:00
1月の政労使会議に出席した(写真左から)岸田首相、連合の芳野会長、経団連の十倉会長(首相官邸)
岸田文雄首相は13日、2024年春季労使交渉(春闘)で3度目の政労使会議を開く。中小企業が賃上げ原資を価格転嫁できるように取引適正化に取り組み「官製春闘」の色合いを強める。賃上げの結果は9月の自民党総裁選での再選戦略にも直結する。
政労使会議は経団連の十倉雅和会長、連合の芳野友子会長らが参加する。前回23年春闘で大企業の集中回答日に8年ぶりに復活させた。今季は23年11月、24年1月に続く3回目
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『首相は1月の施政方針演説で「2024年に物価高を上回る所得を実現する」と公約した。
物価を考慮した実質賃金は1月に前年同月比0.6%減った。マイナスは22カ月続いている。今回の労使交渉で賃上げは23年を上回る勢いになっているものの、民間の試算では実質賃金のプラス転換が24年後半になるとの見方がある。
政府は6月に1人あたり4万円の所得・住民減税を予定する。この底上げでまず可処分所得の伸びが物価上昇率を上回るようにする。首相周辺は「手取りが増えたという実感が大事」と指摘する。
日銀のマイナス金利解除が近づくとの観測も強まり、政府も「デフレ完全脱却」を宣言する時期を探る。』
『9月に首相の自民党総裁としての任期が満了する。再選するには支持率の反転が欠かせない。求心力を回復させるために6月23日までの今国会で衆院解散に踏み切ると想定する声も出ている。
「賃上げと成長の好循環をつくっていくために今年の春闘は大変重要だ」。首相は11日、記者団にこう語った。6月に所得増の実感を広げられなければ、再選戦略に影を落とすことになる。』
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永浜利広
第一生命経済研究所 首席エコノミスト
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分析・考察 全体の賃上げ率はそれなりに上がりそうですが、昨年の賃金構造季報統計調査で年齢階層別の賃金変化率を見ると、大卒一般労働者で主に上がっているのは20代と60代以降で、特に30代後半から50代前半のロスジェネ世代ではほとんど上がってません。
このため、今年の賃金も同様の傾向が予想されますので、仮に大幅な賃上げ率となっても、ロスジェネ世代の賃金上昇率は限定的となることが予想されます。
2024年3月13日 7:57いいね
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察 「官製春闘」は今の政財界を描写する相応しい言葉である。
労働組合の幹部は肩書と所属だけ労働組合だが、実際は官僚に近い。首相は賃上げを求めなければ、労働組合は何をしていたのだろうか。
企業が内部留保を積み増しすることで、キャッシュフローに問題が生じたとき、それを克服する力が強くなる。
しかし、労働者の権利を誰が守るのか。資本主義が正常に機能する前提は労働組合がきちんと役割を果たすことである。
2024年3月13日 5:59 』