中国全人代、地方トップが習氏への忠誠を競う 陳氏ら
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM06CJ00W4A300C2000000/
『2024年3月7日 13:30
天津市の分科会で発言する陳敏爾氏(6日、北京)=宮崎瑞穂撮影
【北京=多部田俊輔】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で5日から各省などが主催する分科会が開かれ、地方トップの指導者から習近平(シー・ジンピン)国家主席に対し、忠誠を誓う発言が目立っている。分科会の様子が新型コロナウイルス禍を経て5年ぶりに海外メディアなどに公開された。
共産党指導部は現在、次期体制が発足する2027年に向け、指導部入りを期待する幹部候補を全国の地方トップに配置し、研さ
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『共産党指導部は現在、次期体制が発足する2027年に向け、指導部入りを期待する幹部候補を全国の地方トップに配置し、研さんを積ませている。
「習近平総書記自らが天津に視察や指導に来臨した際、中国式現代化に奮闘することを要求した」。天津市トップの同市共産党委員会書記の陳敏爾氏は6日、天津市の分科会でこう強調した。10分余りの発言で20回近くも習氏の名前や肩書を連呼した。
各省などで個別に開かれる分科会は通常、全人代の開幕初日に首相が読み上げる「政府活動報告」をベースとし、議論を深めることが多い。ただ、今回の天津の分科会では記者との質疑応答の冒頭であえて、陳氏は習氏が天津を視察した時の話を持ち出し、習氏への忠誠を示す場面をつくり、アピールしたものとみられる。
重慶市の分科会で発言する袁家軍氏(5日、北京)=宮崎瑞穂撮影
習氏が22年の党大会で抜てきした人材も忠誠を示した。
袁家軍氏は重慶市トップとして、習氏のことばをあえて引用しながら、宇宙開発の仕事のやり方を重慶の統治に活用していると話した。袁氏は、指導部が強力に推し進める軍民融合政策を背景に宇宙開発の軍系企業出身として抜てきされた人物だ。
習氏が地方指導者として研さんを積んだ浙江省、福建省、上海市出身の地方トップの発言も目立った。中国メディアによると、浙江省出身で、習氏が(知識青年を農村で働かせる)「下放」で過ごした村がある陝西省で現在トップを務める趙一徳氏は、習氏の陝西省視察時の指導をもとに統治を進める考えを強調した。
福建省で経験を積んだ河北省トップの倪岳峰氏も、習氏自らが旗を振る新都市構想「雄安新区」について、習氏の視察時の指導をもとに建設を強力に推し進める考えを強調した。福建省トップの周祖翼氏も習氏の同省視察に触れ、「総書記の指示のもとで一貫して取り組みを進めている」とアピールした。
全人代の期間中に開かれた天津市の分科会(6日、北京)=宮崎瑞穂撮影
新型コロナの影響で20〜23年は、感染対策の強化などから、全人代の開幕後から始まる分科会は海外メディアが取材できなかった。北京に集結する地方トップの発言を直接聞き取る貴重な場で今回、5年ぶりに海外メディアの取材を受け入れた。ただ、中国の共産党系メディアが質疑応答の中心となる構図は変わらなかった。 』