日銀高田委員、2%物価目標「実現が見通せる状況に」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB291MJ0Z20C24A2000000/
『日銀の高田創審議委員は29日、政府・日銀が掲げる2%の物価安定目標について「実現がようやく見通せる状況になってきた」と述べた。先行きの金融政策運営をめぐっては「今日のきわめて強い金融緩和からのギアシフト、マイナス金利の解除など出口への対応も含め検討が必要」との認識を示した。
大津市で開いた金融経済懇談会で講演した。日銀は3月18〜19日に金融政策決定会合を開く。金融市場は3月か4月の会合で日銀が…
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『金融市場は3月か4月の会合で日銀がマイナス金利政策を解除するとみており、高田氏の発言で3月の解除観測が強まる可能性がある。
高田氏は賃金と物価の好循環について「根強く定着する賃金や物価は上がらないものと考える規範(ノルム)が転換する変曲点を迎えている」と語った。
金融経済懇談会に臨む日銀の高田創審議委員(29日、大津市)
現在の大規模な金融緩和政策の修正に言及した。「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作=YCC)の枠組みの解除、マイナス金利の解除、オーバーシュート型コミットメントの在り方など、出口への対応も含め機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要」と説明した。
今春の賃上げをめぐっては「昨年以上の賃上げ方針を示す企業が多数みられるなど、賃上げ機運が高まっている」との見解を述べた。長期化する物価高を受け、「持続的な物価上昇の実現につながり始めたと解釈できる」と分析した。その上で予想物価上昇率は底上げされているとの見方を示した。
今後の経済は「緩やかな回復を続ける」と予想した。日本の実質GDP(国内総生産)は「ペントアップ(先送り)需要の顕在化などで、コロナ禍前である2019 年の水準を上回った水準にある。需給ギャップは改善傾向をたどっている」と話した。
日銀が大規模な金融緩和路線を掲げて実施した様々な非伝統的な金融政策については、「日本は世界的にも金融政策の歴史的なフロントランナーといえる」と述べた。
日銀が実施している「金融政策の多角的レビュー」を踏まえ、バブル崩壊後の企業行動も分析した。「企業部門が金融政策の出口における金利上昇に対し、従前と比べて耐性をもった状況だ」との考えを示した。
日銀の財務についても触れた。バランスシートが縮小する出口局面での財務について「いくら赤字や債務超過になってもいいということではなく、財務の健全性に留意しつつ政策運営に努める必要がある」と語った。
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