※ 今日は、こんな所で…。

美の進化ー性選択は人間と動物をどう変えたか | リチャード・O・プラム, 黒沢令子 |本 | 通販 | Amazon
『「美のための美」はなぜ進化したのか?
メスが美的感覚をもとに配偶者を選び、オスを改造していく――世界的鳥類学者が、美の進化にまつわるダーウィンの〈危険思想〉をよみがえらせ、刺激的な新説を提唱する。
華麗な鳥の羽から人間の同性愛やオーガズム、性的自律性の進化まで、従来の進化論では説き明かせない美と性の謎に斬り込む野心作。
ニューヨークタイムズ紙の「年間ベストブック10冊」(2017年)や、ピュリッツァー賞のファイナリスト(一般ノンフィクション部門、2018年)に選出されるなど、高い評価を受けた話題の書。
◆生物学・人類学の世界的権威が絶賛! ◆
「興味の尽きない魅力的な本。……読者は驚嘆することだろう」
――ジャレド・ダイアモンド(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授、『銃、病原菌、鉄』著者)
「きわめて独創的な、必読の書。鳥や人間を含む動物の体と行動に、性選択がどれほど影響を与えたかを教えてくれる」
――ダニエル・E・リーバーマン(ハーバード大学教授、『人体600万年史』著者)
「進化について刺激的な新しい見方を提示している」
――フランス・ドゥ・ヴァール(エモリー大学教授、『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』著者)
「美が生命史の核心にあるという魅力的な考えを教えてくれる」
――カール・ジンマー(『進化』著者)
「今年私が読んだうちで最も刺激的な本。読者のものの見方をまるっきり変えてしまうだろう」
――マイケル・ポーラン(『欲望の植物史』著者)
◆目次◆
第1章 ダーウィンの危険思想──美の進化はニヒリズムか?
第2章 美の生起──セイランの羽はどうしてできたか
第3章 マイコドリの求愛ダンス──行動と系統の生い立ち
第4章 美の革新と退廃──キガタヒメマイコドリの翼歌
第5章 カモのセックス──雌雄の軍拡競争とレイプ
第6章 野獣が生み出した美──ニワシドリのあずまやの謎
第7章 ロマンスよりもブロマンス──レックとオス同士の絆の進化
第8章 ヒトに生じた美──装飾とペニスの謎
第9章 快楽の生起──ヒトと類人猿のオーガズムの進化
第10章 「女の平和」効果──女性の性的自律性と「美による改造」
第11章 同性愛の進化──ヒトの性的選り好みはどう決まるのか
第12章 美による生命観──芸術と優生学を考える 』
『 商品の説明
著者について
リチャード・O・プラム
イェール大学鳥類学教授、イェール・ピーボディ自然史博物館脊椎動物学部門主任学芸員。世界中で鳥類学のフィールドワークを行なう。中国産の獣脚類恐竜の化石を研究し、恐竜の羽と色の発見に貢献した。マッカーサー・フェローやグッゲンハイム・フェローを数々受賞。
登録情報
出版社 : 白揚社 (2020/2/14)
発売日 : 2020/2/14
言語 : 日本語
単行本 : 480ページ
ISBN-10 : 4826902166
ISBN-13 : 978-4826902168
寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
Amazon 売れ筋ランキング: - 296,920位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- 496位生物学 (本)
カスタマーレビュー: 4.3 5つ星のうち4.3 20個の評価 』
『myk
5つ星のうち4.0 美しいというだけで生物は進化し、時には退化する
2022年5月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は多様な生物は環境に適応した自然選択だけではなく、動物たちが美しいと感じる主観に基づいて選り好みが行われた結果、性選択との相互効果を通して進化したことを教えてくれる。
また、ダーヴィンが主張した美による生命観を通して、種の多様性、メスの性的自立性やオス同士の競争、人間社会に踏み込んでからは人類特有の性のあり方から男性優位、フェミニズム、そして同性愛にまで多岐にわたる仮説と検証を読むことができる。
私たちヒトも地域によって外見が大きく異なる。それは地理や遺伝的なものだけではなく、その土地の文化や美の基準に基づいて外見が進化し続けた結果であり、動物と比べるとヒトは複雑な文化の影響がさらに加わっていることで独自の進化を遂げてきたことを知った。
また、様々な鳥類の生態を通して審美眼に基づいた進化、そして行き過ぎた美の追求による退廃、雌雄間での性的対立について学ぶことができた。
特に求愛舞台としてあずまやという独特の構造物を作り、多様な装飾物で飾り立てるニワシドリの芸術性には驚かされた。
彼らの美の基準に基づいて作られた構造物はヒトの目から見ても洗練された美しさがあり、美というのは主観によって感じ方が異なるがそれでもヒトも動物も美しいと感じる部分は共通しているのだと思わされる。
むしろ、私たちは生物や自然の中にある自然を感じ取ってそれを芸術や文化に落とし込んでことを思えば、動物たちの方が真の芸術家なのかもしれない。
進化とは種の生存率や繁殖率を上げるために合理的に環境に適応し続けてきたものと考えがちだが、自然界や生物の多様性は合理的なものだけでは説明できないことがたくさんる。
私たち人間も、本来価値がないものでも価値があるとみんなが思うから熱狂し、価値や人気は高まっていく。そしてたびたび欲望に突き動かされて、非合理的な行動をとる。
生物も種ごとに独自の美の基準があり、例え生存や繁殖を犠牲にしてでも美に向かってある意味熱狂的に進化し続けている。
自然界は非合理的に予測不能に進化していく。だからこそイノベーションが起こり、新しい美の基準が再び構築され、さらに美しく進化していくのだということを本書は教えてくれた。
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八塚
5つ星のうち5.0 本を読んだ後に、世界の見方が変わった素晴らしい本
2022年3月6日に日本でレビュー済み
人間について記載されているところから(本書の半分だけ読むのがおすすめ)でいいので一読すればわかります。この本は名著であると。昨今のフェミニズム、その始まりはすべて女性の快感のためにあった…..とんでもない本です。ジェンダー問題は、進化の軸で考えないと本質は見えてきません。進化心理学に興味がある人なら、度肝を抜かれるはずです。
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0ooo
5つ星のうち4.0 恣意的な力が豊穣な世界を創りだした
2020年5月9日に日本でレビュー済み
かつてダーウィンは、動物は審美眼による評価で配偶者選択を行い、それは自然界で進化を推し進める独立した原動力である、という考えを『人間の由来』にまとめた。
しかし皮肉なことに、ウォレスを始めとするダーウィニズムの信奉者たちによってその考えは否定され、以来、今日までほとんど顧みられることはなかったという。
本書は、主に鳥類の生態からダーウィンの美の進化仮説をあらためて考え、美による生命観の独特な豊かさや複雑さ、多様性を読者に示してくれる。
個体が主体的に経験する魅力や感覚的な喜びが、自然界にあまた見られる生命の複雑さや進化的放散に深く関わっているという見方は、適応による自然選択こそが進化の唯一の原動力である、という考えよりも遥かに豊穣で刺激的だ。
雌の性的自立が様々な面で雄の進化を決定づけた、という視点も面白い。
進化について新しい知見を得ることができる良書だと思う。
ただ、プラムは作中でしばしば自分と反対の立場をとる研究者たちに対して、アンチ・フェミニズム的である、と批判しているが、それはあまりフェアなやり方ではないような気がする。
どんな優れた学説であっても、そこに社会正義やイデオロギー的な言説が絡むとどうも胡散臭く感じてしまう(プラム自身は逆に保守的なイデオロギーから進化生物学を解放しようとしているのだろうし、それは正しいことだと思うが、論敵を『男根崇拝者』呼ばわりはちょっと行き過ぎで逆効果だ)。
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小倉光雄
5つ星のうち5.0 性選択理論を適応度からの理解から解き放つと新しい観点が見えてくる
2020年8月11日に日本でレビュー済み
ダーウインは”種の起源”で自然選択による進化を唱えたが、それでは説明できない自然現象を捉えていた。
典型的にはクジャクの羽であり、ダーウイン自身クジャクを見るたびに嫌な感じがすると手紙に書いている。クジャクの羽の進化を適応度上昇の観点からは説明できないからだ。
彼は、その後の著作”人間の由来”で性選択理論を提唱したが十分な理解は得られなかった。
現在の総合説でも、性選択は認められているが、あくまで適応度を上昇させるために性選択は行われているとしているので、いろいろ無理のある説明が多い。
最近市民権を得つつある進化心理学にも学ぶところは大きいのだが、性選択とその結果としての形質(ペニスの形とか男性の性行動)の理由づけには常に精子競争とか卵子の希少性を原則にしているために、トンデモ理論スレスレである。
この理解を頭から信じ込んでいる竹内久美子が叩かれるのもそのせいだろう(実際その種の原著論文がたくさんあるのだから彼女が意固地になるのも無理はない)。
特にこの手の話では、男性は誰でも女なら相手にしたいという前提で語られているが、そんな人はごく一部ではないか、大部分は好みというものがあるだろうと考えてきたのだが、本書にも同様の指摘があった。
男性にも当然えり好みはある。
本書の著者は、幼い頃からバードウオッチングにのめり込み、ついに鳥類学者になった人物である。
彼は、鳥の性選択(この場合はメスの選り好み)により、適応度の観点からはあり得ない水準にまで達したオスの求愛行動を観察した。
ここのあたりの著述が全体の7割を占め圧倒的に面白い。
彼らは、過剰な色彩や妙な形態で装飾したり、巧妙なダンス、羽でクリック音を出したり、それが発展して虫のように羽をすり合わせてメロディーを奏でる、そのために羽の尺骨の中空化も諦めてうまく飛行できない。
つまり適応度は減少しているのだ。
性選択は単なるメスの好みのせいでオスの進化が促されるのであって断じて適応度上昇のためではないというのが著者の信念だが、科学の主流学説は一旦確立するとドグマ化してひっくり返すのには時間がかかる。
反論するデータは、そもそも発表されにくいし、一流紙からは掲載を拒絶されるからだ。そこで著者は、一般書で自説を開陳しているわけだ。
性選択を適応度の観点から解き放つとヒトの性行動の進化的起源についても従来説明できなかったり(あるいはこじつけたり)した事実が、新しい観点から解決可能なように見えてくる。
ただし、この部分はまだ弱くて著者の仮説にとどまっているが(何しろ人類進化は文化とも共進化しているので)、人口に膾炙しつつある進化心理学(あるいは俗流化したモテ理論の類)がいかに狭い物であるかをよく理解できる。
しかし、この観点によれば、女性の持つ男に対する好みで社会があるいは人類のオスが変化するなんて許せないという感情が難問になるだろう。
鳥のメスの好みが美しい鳥の羽やダンス、歌を進化させて、それを人が美しいと思うということはよく考えると不思議なことだ。人類の感受性と鳥の美意識が一致しているのはなんという偶然だろう、あるいは必然的なものなのか。
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山田由紀夫
5つ星のうち5.0 文句なしに面白い「審美進化説」
2020年3月16日に日本でレビュー済み
この本の内容はイェール大学鳥類学教授のリチャード・プラム氏による進化の新しい「審美進化説」の説明が中心になっています。
この審美進化説は今までダーウィンの適応説が極大解釈されてきた進化生物学の分野に新しいパラダイムシフトをもたらしていると思います。
具体的に審美進化説とは、生存に有利ではない「美」の基準が後の世代や子孫に残っていったという考え方です。
本書の前半では鳥に関する記述がメインですが、そこでも決して生殖や生存に有利ではない特徴が多くの鳥においてみられることが書かれています。
そういった特徴は、メスがオスを生殖能力だけで選んでいるのではなく、羽の模様の鮮やかさや求愛ダンスを通じて「美」を判断している証拠になります。
そして面白いことにそうしたメスの選択が必ずしも後々の世代に有利に現れるわけではないことが書かれています。
またそのようにメスにオスを選ぶ権利があることを「女性の性的自律性」という表現で書かれていて、それが今のフェミニズム運動やクィア理論に繋がっていることに触れられています。
また同性愛も、メスが暴力的なレイプを拒否することによって男性同士が同性愛的な傾向を持つことを好ましく思うようになったことが挙げられていて、それはまた女性がゴリゴリのマッチョよりも細マッチョを好むことから裏付けられると書かれています。
このように前半は鳥の話がメインでしたが、後半はチンパンジー、ゴリラ、ボノボとヒトの性生活やペニスの違い、ジェンダー、芸術とは何かなど様々な話題に発展していき読者を飽きさせません。
さすがピューリッツァー賞のファイナリストに選ばれただけはあるなと思いました。全く進化論の知識がない方でも楽しんで読むことができる本です。
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Amazon カスタマー
5つ星のうち1.0 偏りが強すぎる。
2021年1月11日に日本でレビュー済み
いくらかこの人の話は聞いているけど、様々な側面で定義誤用や仮説レベルの段階の話を断定しているように書いていて話にならない。
進化心理学を研究しているピンカーは道徳的な価値観からは中立であり、あくまで事実は事実として捉えているように過ぎないが、彼はそういった側面を平気で破っている。
学問に携わる人物としてはあまりに価値中立性をなおざりにしている感じがあるし、他の人も書いているが、ホルモンバランスなどの生物学といった分野で培われた部分に言及が足りない。
フェミニズムに対しては進化であると強引な解釈の在り方も酷ければ、マスキュリズムの定義誤用及び科学的な部分ですら否定するという、相当恣意的な解釈でないと成り立たない論理を構築するのは、とてもじゃないが学者としては失格。
学問の名を借り、イデオロギーのために利用している節がある。
しかも、それでいて進化心理を都合よく利用する人物を批判するのだから、たちが悪い。
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紙軸綿棒
5つ星のうち1.0 ルッキズムに科学的なお墨付きを与えようという試み
2020年7月1日に日本でレビュー済み
著者のいう審美主義とは「美しいものが選択され、美しくないものは淘汰される」というもの。
「美しいものは優れていて、醜いものは劣っている」まであと一歩のところである。
リベラリストである著者は、ルッキズム礼賛と取られることを恐れてか、そこまでズバリとは言っていないが。知的興奮を誘う本であることは確かなので☆5を付けたいが、政治的に正しくないので☆1。
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