中国に到来した売血経済・・・最後は、自分の体が資本

中国に到来した売血経済・・・最後は、自分の体が資本
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/33536563.html

『 このブログで、中国で就業する事を諦めた若者が「寝そべり族」として、一定の数に達している事を、何回かに分けて記事にしました。現地の言葉で、「躺平」と呼んでいます。これ、単に怠け者と考えられがちですが、実は無言の抗議の一面もあります。もちろん、単なる怠け者もいるのですが、意図的に労働を放棄している人もいます。起きている現象を列挙すると、次のようになります。

・現職だった人が首になったわけでもないのに、自らの意思で退職を選ぶ。退職する時は、残った同僚で「退職記念祝」を行い、悲壮感は無い。むしろ、新しい人生に対する祝の場として企画される。

・学校を卒業しても、最初から就職活動を拒否。バイトで最低限の生活費を稼いで、生きるのに最低限必要な労働しかしない。いわゆるニート的存在。

・失業したのをキッカケに、再就職する事を諦める。生活は、貯金を食いつぶしながら、ニート的存在に甘んじる。

「生きるのに必要最低限の労働しかしない」という点で、共通しているのですが、そうなった原因は、一つでは無いし、自分で選んだ人もいます。この理由は、過去の記事に詳しく書きましたが、共産国である中国で、労働を拒否する事は、抗議活動として機能するんですね。実情がどうであるかは置いておいて、共産主義の建前は、資本家を排除した搾取の無い労働者の平等な社会を作る事を目標にしています。今の中国は、給料の不払いや、無賃残業など、とても労働者の為の社会になっていないので、社会が目標に掲げている労働を拒否する事は、無言の抗議になるのですね。少なくても、若者は自分達は、搾取の対象になっていると感じています。

実際、毎日、どこかで労働争議が起きている状態で、中国共産党は、強力な警察力で抑え込んでいます。そういう日常を見ているので、労働を諦めるし、何の期待もしないという事が、一つの社会現象になってしまったわけです。いわゆるデリバリーが、キツイ仕事なのに、工場労働より人気なのは、働いた分が記録されて、賃金が確実に支払われるからです。工場は説明された労働条件が、どうであれ、会社の都合で辞めさせてもらえないし、数ヶ月単位の給料の遅延や、未払いが起きる可能性を心配する必要があります。法律で決められている労働者の権利と、社会の実体が伴っていないので、働いた分が金になるという、何とも基本的な部分が保証されているというだけで、デリバリーが人気なのです。

しかし、こういう貯蓄もできない最低限の労働を、何年も続けられるわけでもありません。人によって事情は違うでしょうが、いつかは生活が息詰まります。その為、最後の手段として出てきたのが、「売血」です。200ccを売血すると、16000円になります。最後には、自分の体を資本として、売る事で稼ぐという究極のスタイルになるわけですね。

これ、どこかで聞いた話だなぁと思ったのですが、記憶が曖昧なので、間違っているかも知れない事を、予め断っておきます。昔、アメリカで、鳥がジェット・エンジンに吸い込まれて機能が停止して、ハドソン川に緊急着陸した事故がありました。「ハドソン川の奇跡」と呼ばれた事故で、街中にも関わらず、犠牲者を出さなかった奇跡の事故として、当時は話題になりました。当然ながら、冷静に対処した機長は、英雄視されて、大きな称賛を浴びました。

で、彼がレセプションに呼ばれて公演をするというので、これは目立つ機会だとばかり、セレブや政治家が大挙してかけつけたわけです。当然、英雄から良い話が聞けると思っていたのですが、政治家がいると知った彼が話したのは、そういう聞いて楽しい話ではなく、彼のような高い技能を持つ労働者が、航空免許を取得する為に組んだローンに未だに苦しみ、仲間のパイロットの中には、ちゃんと働いているにも関わらず、生活資金が足りず、売血で糊口を凌いでいるという窮状を訴える話でした。

アメリカも高い技能を身に付けないと、まともな職に着けないので、大学や職業訓練学校の学費を払う為に、高額の学費ローンを組むわけです。これ、払い終わるのって、順調にいっても30代後半なんですよね。なので、航空機の機長になっても、アメリカでは希少な職というわけでもないので、給料がずば抜けて高いわけでもなく、しかも航空機業界の価格競争で、コスト・カットが進み、競争に負けた航空会社が突然無くなる事も良くありました。アメリカの民間航空機の象徴だった、パン・アメリカン航空も、既に存在しませんしね。

その為、ローンと生活費で、売血しないと生活できない同僚もいるという話をして、改善を訴えたわけです。しかし、聞きたい話ではなく、場が盛り上がる話でも無かったので、途中退席する人が出て、最後まで話を聞いてもらえなかったそうです。

共産主義でも資本主義でも、最後は自分の体を切り売りして稼ぐのが終着点になるのだなぁと、思った次第です。』