EU、防衛産業戦略を公表へ 対ロシア長期戦に備え
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR16CAH0W4A210C2000000/
『【ミュンヘン=辻隆史】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は16日の記者会見で、EUの防衛産業戦略を近く公表すると表明した。EU予算を活用した域内の兵器・弾薬の増産を念頭に置いているとみられる。ロシアとの対立が長期化することを見越し、欧州の安全保障体制の抜本強化にカジを切る。
同日始まったミュンヘン安全保障会議に合わせ、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と共同で記者…
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『同日始まったミュンヘン安全保障会議に合わせ、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と共同で記者会見した。執行機関の欧州委員会が本格的な防衛産業の強化戦略を提示するのは初めて。
EUは農業分野などで共通政策を手がけてきた。加盟国が個別に振興してきた防衛産業をEUの共通予算で後押しする体制になれば、大きな政策転換となる。
フォンデアライエン氏は「我々はより多く、より賢く防衛産業に投資しなければならない」と訴えた。ロシアのウクライナ侵攻が長引くリスクも踏まえ、長期的、持続的な産業支援が必要だと主張した。
ウクライナは反攻や防衛に必要な砲弾の不足に苦しむ。EUは加盟国が連携して砲弾を共同調達する仕組みの構築を急いできたが、100万発を供与する目標に届いていない。
英BBCによると、ドイツの防衛大手ラインメタルの最高経営責任者(CEO)は、ロシアの脅威から欧州を長期的に守るには10年単位で弾薬などの生産増強に取り組む必要があると指摘する。
EU首脳らはトランプ前米大統領が11月の大統領選で再選した場合、米国が欧州安保への関与に消極的になるリスクを意識している。フォンデアライエン氏は会見でロシアがサイバーなど地理的な制約を超える攻撃能力を高めていると言及。欧州の安保環境は「米国にも影響する」と語り、欧米の協調を改めて求めた。』