上場企業が3期連続最高益 24年3月期最終、3兆円上振れ

上場企業が3期連続最高益 24年3月期最終、3兆円上振れ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC13CTD0T10C24A2000000/

『【この記事のポイント】

・純利益が3期連続で過去最高を更新
・43.5兆円と前期比13%増加
・値上げ浸透と円安が押し上げ

上場企業の2024年3月期の純利益が3期連続で過去最高を更新する見通しだ。43.5兆円と前期比13%増え、昨年5月の期初予想から3.5兆円上振れする。経済再開や値上げの浸透、円安が収益を押し上げる。トヨタ自動車など株価の上場来高値更新も相次いでおり、稼ぐ力が高まった企業に投資マネー…

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『好業績の背景には値上げの浸透、経済再開に伴う人流の回復、円安の進行がある。代表業種が自動車だ。半導体不足の解消などで供給網が正常化し、高水準な受注分を一気に生産できるようになっている。円安も加わり、純利益の増加額は2.9兆円と全体の6割を占める。大手7社ではトヨタやスズキ、マツダが最高益の見通しだ。』

『為替相場は1ドル=150円程度と再び円安に振れている。企業の多くが24年1〜3月期の想定レートを142円程度に設定しており、今のまま推移すれば自動車を中心に製造業の利益を一段と押し上げる要因になる。

インバウンド(訪日外国人)を含めた観光需要や通勤客が回復する影響も大きい。JR東日本など鉄道・バスは3割増益、ANAホールディングスなど空運は7割増益を見込む。高額品の販売好調で3回目の上方修正に踏み切った三越伊勢丹ホールディングスは「1月の状況をみるともう少し上振れするかもしれない」(牧野欣功最高財務責任者)という。

値上げも浸透する。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドはチケットを値上げしても入園者数が伸びる。松屋フーズホールディングスは客足回復や一部メニューの値上げで最高益を見込む。食品ではカルビーが定番商品を値上げし原材料高影響を吸収する。海外で「MARUCHAN」シリーズなど即席麺が好調な東洋水産では値上げが浸透し、純利益が3割増える。

電気自動車(EV)や電動化関連の需要は引き続き強い。富士電機はEV向けのパワー半導体などの好調で今期に最高益を見込み、株価は2月15日に最高値を付けた。パナソニックホールディングスはEV用電池や車部品が堅調に推移する。』

『来期は懸念材料がある。筆頭が長引く中国経済の減速で、村田製作所の村田恒夫会長は「スマートフォン市場のかつての規模へのV字回復は無い」と話す。為替動向は不透明だが、市場では「値上げなどが進む中、円高にふれても増益を確保できる体質になっている」(大和証券の阿部健児チーフストラテジスト)との見方があった。

稼いだお金の使い道も焦点になる。足元の自社株買いや配当を拡大する動きを続けつつ、設備投資や研究開発費などの成長投資を増やすことが欠かせない。賃上げや優秀な人材の確保・育成といった人的資本投資も含め、市場は最適な資源配分を続けられるかどうかを注視している。』

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①上場企業が過去最高益を更新するなど、企業業績の上振れを織り込む形で日本株は上昇中。大証の日経平均先物は日本時間16日午前5時前に一時3万8590円まで上昇しました。日経平均の史上最高値(3万8915円)が指呼の間になっています。

②企業の海外での稼ぎも含めた名目GNI(国民総所得)は、23年には625兆円と600兆円台に乗せています。長きにわたったデフレ型の停滞から脱却し、企業が無理なく売り上げを伸ばせる。そんな環境が整ってきましたことを、株式市場は寿いでいるようです。

2024年2月16日 5:49 (2024年2月16日 8:39更新)』