Uber、スト横目に1兆円の自社株買い 問われる分配方針

Uber、スト横目に1兆円の自社株買い 問われる分配方針
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14EJA0U4A210C2000000/

『【シリコンバレー=山田遼太郎】米ウーバーテクノロジーズは14日、70億ドル(約1兆円)を上限とする自社株買いをすると発表した。業績改善を背景に株主還元を強めるが、同日に運転手の一部が米国の10以上の都市で待遇改善を求めるストライキを実施した。成長の果実を株主と働き手に分配する難しさがあらわになっている。

ウーバーのプラシャンス・マヘンドラ・ラジャ最高財務責任者(CFO)は「初の自社株買いの承認は…

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『ウーバーのプラシャンス・マヘンドラ・ラジャ最高財務責任者(CFO)は「初の自社株買いの承認は当社の力強い財務状況への信任だ」と述べた。市場と、株式報酬の権利を持つ社員から株を買い取る。14日の米株式市場でウーバー株は前日比15%上昇した。』

『同社は2023年12月期の営業損益が11億1000万ドルの黒字(前の期は18億3200万ドルの赤字)と、09年の創業以来初めて営業黒字に転換した。運賃のうち自社の売上高になる「取り分」を増やして増収につなげ、広告など利益率が高いライドシェアの周辺ビジネスを伸ばして黒字を確保した。新型コロナウイルス流行後は不採算事業からの撤退も進めた。』
『収益性向上と株主重視の姿勢を株式市場は好感している。ウーバーの株価は過去1年で2倍以上になり、上場来の高値圏だ。時価総額は1600億ドル強と円換算で24兆円を超える。』

『投資家の評価と裏腹に、不満を募らせるのがアプリを通じて運転や料理などの配達の仕事を請け負う「ギグワーカー」だ。単発の仕事を請け負うギグワーカーは個人事業主で、企業が雇用する従業員と異なり働き手としての立場が弱いとされる。』

『米国ではすでにライドシェアが移動手段として定着し、ウーバーが市場の7割、リフトが3割を握る。成長が鈍化するなかで両社は運賃からの取り分を増やして収益を広げている。ウーバーでは乗車時の支払総額のうち、同社の売上高になる割合が10?12月に28.7%だった。21年までの20%前後と比べて大きく上昇している。

ウーバーは従来、利用者や運転手を集めるためのマーケティング費用といった先行投資が重く赤字経営が続いた。世界で1億5000万人が利用する規模を確保し、これまでの投資を回収する段階に入っている。稼げる体質に転換した一方、ウーバーに依存する労働者に利益をどう分配するかは課題として残る。同社を通じて働くギグワーカーの数も23年12月末に1年前から26%増の680万人と増えた。』

『今後ライドシェア導入を段階的に進める日本でも、事業性と働き手の保護の両立が課題となる。米ペンシルベニア大ウォートン校のリンゼイ・キャメロン助教授は「公正さを担保するには消費者がより多くの料金を払うほかない」と指摘する。

ギグワーカーの普及など働き方が多様になり、企業にとって考慮すべきステークホルダー(利害関係者)の幅は広がっている。成長の果実である利益をどうステークホルダーに分配するか。企業は社会との向き合い方が問われている。』

『多様な観点からニュースを考える
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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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分析・考察 先日メタが創業初の自社株買いを発表した事に符合するものを感じるがそれより遥かに企業年齢が若くようやく創業来初の営業黒字化したばかりの同社ゆえ、その自社株買いには一定の批判があってもおかしくはないだろう。

ライドシェアは産業としてあっという間に世界各地で成熟した感がありその理由はいわゆるロールアップ、M&Aによる合従連衡だ。

その一つの弊害としてプラットフォーマー側のパワーが強まり労働者たるドライバーの取り分が減っている。

これは小職がアジア諸国で日常使いしているシンガポールのグラブ社などでも同様でドライバーからよくそのような声を聞く。実質的な労働分配率と総株主還元のせめぎ合いはしばらくは続くだろう。

2024年2月15日 7:18 (2024年2月15日 7:34更新)』