米CPI、遠い2%目標 大統領「ステルス値上げ」批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13DC60T10C24A2000000/
『【ワシントン=高見浩輔】米労働省が13日発表した1月の消費者物価指数(CPI)は市場が予想した「3%割れ」を実現できなかった。11月の次期大統領選を控え、インフレ鎮圧の勝利宣言と利下げを待ち望む政権には焦りがにじむ。バイデン大統領は怒りの矛先を企業に向けようと「ステルス値上げ」批判を展開し始めた。
消費者物価上昇率は2023年6月までの1年間で9.1%から3.0%まで急低下したが、そこから24年…
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『消費者物価上昇率は2023年6月までの1年間で9.1%から3.0%まで急低下したが、そこから24年1月の3.1%までおよそ半年間も足踏みが続き、物価目標の2%は依然遠い。エネルギーと食品を除くベースで鈍化傾向にあるものの、物価水準がゆっくり動く品目を集めたアトランタ連銀の粘着価格指数は伸びが4.6%で高止まりしつつある。
直後の金利先物市場では米連邦準備理事会(FRB)が5月も政策金利を据え置くとの予想が4割から6割に上昇した。かつての3月利下げ説は完全に消え、6月がメインシナリオになる計算だ。「最初の利下げ時期は夏にずれ込む危険性がある」(米ウェルズ・ファーゴ)との見方も漏れ始めた。
「バイデノミクスが引き起こしたこの高値はこれからも続くのでしょう?」。8日に米連邦議会上院で開かれたイエレン米財務長官の議会証言。野党・共和党のジョン・ケネディ議員は、国民は物価上昇率の鈍化ではなく物価の下落を求めているのだと政権批判を展開した。
その場では賃金上昇で購買力が上がっているため生活苦に直結しないと説明したイエレン氏だが、政権にとって必要なのは「正論」ではなく経済政策運営への低評価を続ける世論を覆すインパクトだ。
13日の講演では一転して「ガス代、卵代、航空運賃など主要な家計支出は値下がりしている」と反撃した。だが卵の値下がりは鳥インフルエンザの感染拡大による高騰の反動という面も大きい。説明には苦しさがにじむ。
そこで大統領が打ち出したのが「ステルス値上げ」批判だった。同じパッケージなのに中身を減らして実質的に値上げをする手法は、国民の怒りを呼び起こす。「強欲インフレ」批判は大企業への負担増を求める民主党の支持層に響くメッセージとなる。
全米がプロアメリカンフットボールの優勝決定戦「スーパーボウル」に沸いた11日。大統領はX(旧ツイッター)の動画で、スポーツ観戦で食べるお菓子について一気に不満をまくし立てた。
「一番腹が立つのはアイスクリームのパックが小さくなったのに値段が下がっていないことだ」「これはぼったくりだ」「米国民はカモにされるのにうんざりしている」
ステルス値上げは高インフレの当初から広がってきた現象だ。米サイト「コンシューマーワールド」には消費者が発見したステルス値上げの証拠画像が投稿されている。23年12月号のリポートでは、知らない間に40枚減量されていたトイレットペーパーなどがずらりと並んだ。
同じパッケージで量を減らす「ステルス値上げ」の報告が相次ぐ(米コンシューマーワールド)
民主党のボブ・ケイシー上院議員は23年12月にまとめた報告書で、具体的な事例として定番クッキーの「オレオ」や「クリネックス」のティッシュを名指しした。20年〜22年の物価高騰のうち41%は企業が利益を増やすためのものだったと批判した。
大統領にこうした企業行動を変える権限はない。バイデン氏はXでは、こうした企業に対して「ストップを呼びかける」とのみ述べた。「裏を返せば何もしないということだ」。SNSでは共和の支持者らからこんな批判が殺到した。
懸念されていた景気後退を回避し、インフレ率も相当程度低くなった。それでも世論からの高評価を得られないバイデン政権。インフレ目標までの「最後の1マイル」が遠いなか、大統領選に向けて挽回する妙策はまだ見えていない。
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