台湾民衆党、議会で存在感 頼次期政権も配慮不可避

台湾民衆党、議会で存在感 頼次期政権も配慮不可避
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0253Y0S4A200C2000000/

『【台北=羽田野主】第3政党「台湾民衆党」の柯文哲・党主席が台湾の政界を左右する影響力をみせている。既存政党への不信感を原動力にのし上がってきた。少数政党でも立法院(国会)でキャスチングボートを握り、政権に揺さぶりをかける構えだ。

1月の立法委員(国会議員)選で、第1党は最大野党・国民党(52議席)となり、与党・民主進歩党(民進党、51議席)は第2党に後退した。

国民党も民進党も法案や予算案の可決…

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『台湾の有力シンクタンク「国策研究院」の郭育仁・副院長は「(柯氏は)頼政権に厳しい立法院の構図をわざとつくり出した。頼氏が民衆党の協力を求めざるを得ないようにする作戦だ」と解説する。

「4年後に大きな力をつけ、きっと執政政党になってみせる」。1月13日夜、台湾総統選で落選が決まった柯氏が涙をぬぐいながら口にしたのは、28年総統選への出馬意欲だった。』

『「民進党は早く下野すべきだ」「(親中派の)国民党はだんだん中国共産党に似てきた」。選挙期間中、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで既存政党を批判した柯氏は、若者の絶大な人気を得た。』

『1月の立法委員選の直前、民進党幹部はあるデータに驚いた。1月上旬の美麗島電子報の世論調査で20代の50%、30代の45%が柯氏に投票する意向を示した。民進党(20代22%、30代32%)や国民党(20代11%、30代12%)を大きく引き離した。

終盤で勢いをつけ、369万票を獲得。立法委員(国会議員)の議席も5から8に増やした。

柯氏は選挙戦で若者に照準を定め、公営住宅の大量建設や子育て世帯への手当の拡充を訴えた。対中政策の姿勢は曖昧にしつつ「国民党は中国に従順で戦いを恐れ、民進党は中国と交流せず戦いを求めている」と主張し、若者をひき付けた。』

『「民進党も国民党も利権にまみれて思い切ったことはできない。柯氏だけが汚職の指導者ではなくて真実を語ってくれる」。台北市の大学に通う陳宇氏(22)はこう話す。

陳氏は投開票日の前に大学テニス部のメンバーで集まり、だれに入れるか議論をした。「柯氏は台北市長時代に巨額の借金を返した」「むだな公共事業に手を付けなかった」「家賃高騰に苦しむ若者の支援策を示してくれた」。10人あまりのメンバーのほとんどが柯氏を支持した。』

『若者の支持は16年の総統選で蔡英文(ツァイ・インウェン)政権を誕生させるエネルギーになった。民進党は8年間にわたって法案や予算案の可決に必要な過半数の議席を獲得する「完全執政」を達成した。

一方で蔡政権の後半は民進党の汚職疑惑や醜聞が続出。今回の立法委員選で民進党から出馬したひまわり学生運動出身の候補は相次ぎ落選した。いまの若者には民進党も「古い」政党に映る。

新興政党で資金力も地方組織も弱い民衆党は8人の立法委員もすべて比例区選出。柯氏のカリスマ性だけが頼りだ。もともとは台湾大医学部卒の外科医というエリート。名字に「プロフェッサー」の頭文字をつけた「柯P」のロゴは総統選で民衆党のシンボルになった。

ときにステージで歌って踊り、アニメのコスプレに扮(ふん)することもいとわない。既存政党をばっさり切りすてる手法は若者にいままでにない政治家にみえる。

台湾の小政党の多くは民進党や国民党から分裂する形で生まれ、政策で差別化ができずに影響力を失っていった。

台湾・政治大の李世暉教授は「柯氏は歯切れのよい言葉で民進、国民両党を『悪者』にして若者をとりこにしてきた。だが政策に政権を担うだけの具体性はない。数年たつと社会経験を積んだ若者にあきられる可能性がある」と指摘する。』