米地銀経営不安、不動産融資「今後2年で損失が表面化」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN07ENJ0X00C24A2000000/
『【ニューヨーク=伴百江】米ニューヨークの地銀、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)が商業用不動産(CRE)融資の不良債権化で最終赤字に転落し、地銀の経営不安が再燃している。他の地銀にも波及するのか。米銀への投資を専門とするKBWの銀行調査部門責任者クリス・マクグラッティ氏と不動産市場担当のマネジングディレクター、ジェイド・ラーマニ氏に見方を聞いた。
――NYCBが予想外の大きさの…
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『――NYCBが予想外の大きさの貸倒引当金を計上した背景は。
銀行専門投資銀行KBWのクリス・マクグラッティ氏
マクグラッティ氏:同銀行は昨年経営難に陥った地銀シグネチャーバンクを買収した。資産が1000億ドル(約14.8兆円)の大台を超え、資本規制の枠組みが1段階上の「カテゴリー4」になった。これまで以上にリスク資産の縮小などが求められたことが背景にある。
不良債権の損失計上のタイミングなどは各銀行の戦略によって異なる。オフィス不動産向けの融資からの損失計上は予想されていたが、わずか数件の不良債権の償却がこれほどの規模になったことには驚いた。』
『――CRE市況の悪化は銀行の収益にどれだけ打撃になっていますか。
銀行専門投資銀行KBWのジェイド・ラーマニ氏
ラーマニ氏:米銀は2020年から適用された新しい貸倒引当金のルール「現在予想信用損失(CECL)」に基づいて早期に貸倒引当金を積み増してきた。
しかし、22年半ば以降の急激な利上げによる市場環境の激変に直面し、不動産融資悪化の打撃を受けることになった。
とくに在宅勤務の普及でオフィス不動産市況が低迷し、オフィス物件所有者の資金繰りが悪化した。また、新型コロナウイルス禍で急激に住民が流入したサンベルトと呼ばれる米南部地域の集合住宅が供給過剰になりつつあることも、CRE市況にはストレスになりつつある。』
『CRE融資の残高は約5.8兆ドルに上り、そのうち20%の融資が24年と25年に償還期限を迎える。それらの融資借り換えの金利は元の融資よりも高くなるだけに、借り手の不動産関連企業は家賃の引き上げなどキャッシュフローの拡大で金利上昇分を補う必要がある。しかし、オフィス不動産市況は構造的に低迷が続くとみられ、キャッシュフローの拡大は見込めない。
CECLのルールに従った貸倒引当金の積み増しを受けて米銀の潜在的損失拡大への懸念が昨年には強まっていたが、24年、25年は損失が実際に顕在化することになるだろう。』